レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

『これを最低限にver.2024』 レノファ山口VSザスパ群馬@維新 2024年4月14日

今季初の晴天の中でのホームゲーム。観客こそ昨年のホーム群馬戦を下回ってしまったようですが、内容はとても気持ちの上がる内容・結果であったと思います。

ついに生まれたキャプテン河野のゴール。2節からゴールがなかった梅木、今年のチームになかなか馴染めていなかった五十嵐にもゴールが生まれた上での無失点での勝利と会心の結果であったと思います。

点を取れないことを嘆くようなブログを書いてたので、では今回は得点のところを!とはならず今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)群馬の攻撃への修正

2)ボランチのスタッツ

3)『些細なことなんてないんだよ』

 

【得点者】

山口            群馬

4分  河野

55分  河野

66分  梅木

93分  五十嵐

 

 

1)群馬の攻撃への修正

今節の対戦相手はザスパ群馬、昨季の躍進を基盤に大槻監督も継続してオフには精力的に補強した印象でしたが、今シーズンは降格圏に低迷と難しいシーズンの序盤となっているようで、浮上のためには勝ち点がほしいところ。

対するレノファもホームでは群馬には負けなし。ホームでは1勝1分2敗と結果がなかなかついてきておらず、しっかりと勝ち点3を積み重ねることがマストという位置づけの試合。お互い負けられない、勝ち点を落とせないという姿勢が序盤から見えたように思えます。

 

前節の栃木戦ではCKが12本ありましたが得点につながらずスコアレスドローとなっていたレノファ。しかし、この試合では1本目から結果が出ます。いつものように河野をGK前に一人立たせ、このコーナーキックでは4人がニアサイドへ飛び込ませます。新保の鋭いボールに対してストーンに入った10佐藤のクリアが甘くなりファーポストを直撃。GK前に立っていた河野の目の前にボールがきて、しっかりそれをプッシュし早々に試合を動かすことに成功しました。

栃木戦では『あとは得点のみ』というシチュエーションでしたが、この試合ではすぐにその足かせが取れたことで、相手のプランも崩れたでしょうし、レノファとしても精神的に楽に試合を動かせるようになったと思います。何より開幕からゴールを取れてなかった河野が決めたことでチームに勢いや安定が出たように思えます。


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今節のレノファの4局面を簡単に。

・(攻)レノファボール保持時に前からプレスにくる群馬にたいしてつなぐのではなくタテに早くボールを動かす。相手陣に早くボールを送り込む。

・(攻⇒守)相手陣では即時奪還を狙う。保持はされた場合はミドルゾーンで構えるように陣形を組み

・(守)主にはミドルゾーンで4‐4‐2のコンパクトな陣形を組んで対応。相手の最終ラインの3バックに対してはSHの河野や野寄が1列上がるようにして4‐3‐3のような形に時にはして対応

・(守⇒攻)ボールを落ち着かせる場面とタテに蹴るのが半々くらい?いつもはボールを落ち着かせる方が多かったように思いますが、割と簡単に前線の選手にやっていた印象

 

このようなレノファに対しての群馬についてまずフォーメーションから。

昨季群馬は4‐4‐2ベースのフォーメーションを敷き、ボール保持時は後ろを3バックに可変させ左肩上がりのようにしておりました。今シーズン序盤も同じような形をとっておりましたが、第5節の横浜FC戦より『はじめからそうしてしまおう』理論ですかね、3-4-2-1をベースにしました。

 

今節は早々にレノファが試合を動かしたからなのか、もともとのプランとして群馬に持たせてタテに早くして仕留めることを想定していたためかはわかりませんが、群馬のボール保持の時間が長い展開に。

レノファとしては『守』の時間が多くなりますが、横浜FC戦にようなミドルゾーンで構え、時にはハイプレスなど防戦一方ではなく、どちらかと言えばボールを持たせるような展開に

 

群馬のキーになったのは和田と田頭のハーフスペースにポジションを取っていた2人であったと思います。

前半はRSH佐藤は右サイドのラインを踏むくらいサイドに張っており、RWB田頭がボランチよりも多少高い位置で、中央部からハーフレーンにポジションを取ります。反対に左サイドはLWB川上が幅をとり、LSH和田はインサイドに入ります。

群馬から見て右サイドの田頭はWBの位置からボランチエリアに入るように河野の動きに合わせてポジションを移しておりました。その一方で左サイドの和田はほぼシャドウの位置そのままに、レノファの野寄、池上、前、ボムヨンの4人の中間ポジションを巧みにとっておりました。LCB36中塩やLCH6天笠がボールを持った際に、和田がここにいることで、特に野寄に対して野寄が川上につくのか和田につくのか?といった具合にマークにつきずらい動きをしておりました。

 

志垣監督の下記コメントであったように

そこから20分は想定していたよりも相手が和田(昌士)選手を使ってきて、そこの部分でズレができていました。20分以降は修正して、前からプレスも掛けることができ、我々の時間も作ることができたと思います。引用元:レノファ公式

おそらくもう少しLWB川上であったり、RSH佐藤を使うなど大外の選手を使って攻めてくることをレノファは想定していたのかなと思いますが、和田や田頭などインサイドの選手を経由することで序盤は群馬に多少ファイナルサードへの侵入を許してしまっていました。

 

また大槻監督も狙いとして下記のようにインタビューを残されていらっしゃっていました。

山口さんは4-4のブロックを組んだところから追い込んでサイドでボールが変わってきた時に河野選手であったり、野寄選手がスイッチを入れるという守備なので、そのスイッチを入れたところに逆にウチが入り込むスペースが出来るのでそこを前半から動かして狙おうとしていました。ただ、入り込んだ後のクオリティであったり選択肢を作るところが一手足りなかったので、そこを作りましょうといった話をしました。そこに関しては表現してくれた部分もあったのですが、その時間を続けることが出来なかったのが残念でした。引用元:ザスパ公式

と話している通り、群馬はビルドアップ時にレノファのSHの裏を狙っていたことを明かしており、それをケアするよう動いた志垣監督。ここが2点目が入るまでの試合の焦点であったように思います。

 

そこ(ボランチ)を逃がすと逆サイドに展開されて相手の攻撃の幅が広がってしまうので、その部分は意識して守備をしていました。引用元:レノファ公式

と梅木が試合後コメントで残しているように、群馬の最終ラインの3人とボランチ2人に対して、レノファのCF梅木、若月はダブルボランチへのパスコースを消すような位置取りをしました。

そして群馬の『3』に対して、レノファは横浜FC戦同様に4‐3‐3のようにするためにSHの河野や野寄が1列上がって対応します。群馬はまさにその彼らが出て行ったスペースを狙ってきていました。

 

そこでレノファはボムヨンの負傷中にこの和田のマークについて調整します。

和田が浮く場面として大きく2つあったと思います。

1つは群馬のビルドアップ時に野寄がRCB中塩へプレスを掛けにいったところ。野寄がでていったところに和田が落ちて、そこでボールを受けます。この群馬陣内でのビルドアップ時の和田の動きに対してレノファはボムヨンを付けます。和田が下りて行けばボムヨンもそれについていくなど、相手陣でポジションを落とすことでフリーになる和田に対してはっきりマークにつくことで、起点をつくらせないようにします。

また、2つ目はレノファ陣で中間ポジションをとる和田に対して。

ここの場面では池上や野寄が和田がいるハーフスペースを意識したようなポジションを取り、群馬に外循環を促します。そうすることで大外の川上に対しては野寄であったり、RSB前が時に対応するなど、インサイドの和田を経由させないことで和田及び川上につく選手をはっきりさせることで守備時の混乱を抑えていきました。

後半に入り野寄に替わり吉岡が入った場合も、インサイドは吉岡・アウトサイドは前と言ったように、ハーフレーンに立つ和田への対応をよりはっきりさせたように感じました。志垣監督は交代の理由として気温の上昇の影響について触れておりましたが、おそらくこのような守備タスクを任せることについて吉岡のほうができると感じ、交代の決断に至ったかなと思います。

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話を前半にもどして、、、

レノファが修正をしたとしても、22分にようにRSB24酒井へ河野、若月が二人で出て行ったしまったところで、田頭に河野の裏を使われ、CH22高橋を捕まえていないので、ここからボールを運ばれてしまいました。

反対に24分は河野が酒井にでていき、CFは高橋を抑えているのもあり、田頭に対しては池上がしっかり捕まえており、ここでインターセプト。と中盤のイニシアティブを握る駆け引きが繰り広げられました。

 

2)ボランチのスタッツ

この鍔迫り合いのような展開でレノファが押し切られなかった要因としてダブルボランチでスタメンで出場した池上と相田の活躍があったと思います。

大槻監督が上で述べていたように、レノファのサイドハーフの裏を突かれても危ない場面を多く作られることはありませんでした。

何度も書いて恐縮なのですが、まずレノファの守備局面で必要なこととしてコンパクトな4‐4‐2のブロックの守備。この試合では上述した和田を相手陣で捕まえるときにボムヨンが自分のポジションを離れる場面はりましたが、自陣ではボムヨン・ヘナン・池上・相田が著しくポジションを空けることなく、しっかり中を固めた状態で群馬の攻撃への対応ができていたと思います。そのため、前半の群馬のゴール期待値は0.1未満であり、試合を通して0.57に抑えることができたと思います。(以後いくつかSPORTERIAさんよりデータ拝借します)

後半佐藤がインサイドや中に入ってくる動きというのは、大槻監督のいう入り込んだところでの選択肢を増やすことやクオリティをあげることであったと思いますが、大事なところをしっかり締めることで試合を通して対応できていたと思います。

 

 

そこでダブルボランチのスタッツについていくつか挙げていきます。この試合良い意味でボランチの分業がされていたように思えます。

まず相田のこの試合のヒートマップから。

 

この試合相田は他の試合に比べてアタッキングサードに出て行く機会がかなり少なかったと思います。出て行くときもプレスに対して呼応するくらいで、攻撃への参加よりも主に上述したようなハーフスペースへの侵入してくる選手への対応をしていたように見えました。

下記がこれまでの相田のヒートマップの一覧になりますが、他の試合よりもアタッキングサードでのボールタッチ数が少ないことが分かるかと思います。

それだけ、まず群馬が狙ってくる前に出たレノファのSH裏のケアであったり、佐藤・川上など突破力のあるサイドアタッカーに対して、SB+1人となるようなフォローを行うなど守備の局面での活躍が目立っていたと思います。

下記footballlabさんのデータですが、ページ中段の下あたりにあるこの試合の攻撃CBP(チャンスビルディングポイント)が低く、奪取Pが他の試合に比べて高いことがわかります。CBPの定義についてはこちら

他の試合ではクロスを上げるシーンであったり、シュートを打つ場面はありましたが、この試合ではシュートの他クロスやラストパスも0と、守備に比重が置かれていたと思います。


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次に池上。

この試合池上は主にボールを左右に散らすというよりもまずプレスに来る群馬に対してボールを保持して出方を見ているように思えました。プレスに来なければまず前を向いて様子をうかがう。彼がボール保持をして前を向くことで、群馬はプレスに行くのではなくリトリートを選択する場面もあるなど、あえてボールを動かさないことで相手を後退させ、レノファの前進を導くような働きもしていました。
また、パスの選択はまず「タテ」。彼がタテにつけることもあれば、パスの受けた選手の次のパスの矢印を前向けさせるようなパスを送っていたように思えます。

パスの方向を見れば一目瞭然ですが、前方へのパスが突出しておりました。
相田が守備のタスクを多く担う一方で、池上はプレスに来る群馬をいなす役割をし、チームの矢印を前に向ける役割を担っていたように思えます。形は違えど2点目、3点目ともに起点としては彼の前へのボールからでした。

特に2点目については秀逸であったと思います。後半に入り群馬はRSH佐藤が逆サイドにも顔を出すようになり、よりレノファの「4‐4」の間を意識したようなプレーを増やし、チームとして出力を上げてレノファゴールへ迫ってきていました。

そんな時間帯に、相手のミスを見逃さなかった若月がワンタッチで池上へつけ、池上は再度若月へ浮き球でボールを届けました。

この場面は若月がボールを池上につけるくらいですでに反対サイドの河野はスプリントを始めていました。また、池上が若月にタテへのパスを出したところで吉岡も自身の矢印を前に向けました。

ここで安易にクリアだったり、ボールを保持して時間を作るプレーをしていればこの得点は生まれなかったでしょう。群馬がミスがらみなこともあり、守備陣形が整っていないのをしっかり見ていた選手たちが、矢印を相手ゴールへ向けたことで、偶然はあったものの隙をしっかりついた得点になったのだと考えます。


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3)『些細なことなんてないんだよ』

この試合のレノファはしたたかに試合を進められたと思います。ボール保持率は38%対62%と大きく差は開けられているものの、ほぼ多くの時間は相手にボールを持たせているような時間であったと思います。

4-4-2のミドルゾーンブロックから、4-3-3への可変。そこを群馬が付いてきても後ろの微調整で修正。後半開始から吉岡の起用で右サイドを再調整。

後半15分過ぎにあたりに前線のプレス強度が落ちてきたところですかさず若月⇒山本で強度を持ち直させ、交代直後に3点目をあげこの試合を決めてみせました。

大槻監督は試合後インタビューで『些細なことなんてないんだよと言った』とおっしゃっていました。

結果論ではありますがまず群馬は2失点目のスローインのミスは前半28分に一度やってしまっており、後半勢いをもって攻撃を仕掛けていた矢先、再び同じミスをしてしまったところで生まれたものでした。大槻監督は「もったいないことをした」「自分たちで手放してしまった」というような言葉を使われていました。

2失点目、3失点目の群馬のネガティブトランジションは、レノファのポジティブトランジションに比べると見劣りのするものであったかなと思います。決して手を抜いているようには見えませんでしたが、一歩目の速さであったり、球際の強度のようなところで、上回ったのがレノファだったように思えます。


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4失点目についてもジュニーニョ、五十嵐がネガティブトランジションでボールを即時奪還し、五十嵐がボールを持ち運んだところから生まれた一連の流れから生まれたセットプレーでの点でした。ボールを失ったところでも切り替えは遅く、試合最終盤で3点差、ある程度気持ちが切れてしまっていたようにも見えました。

 

視点をレノファに戻すと、この群馬のミスであったりアクシデンタルなボールの動きに対してもレノファの選手は強度と精度を落とすことなくプレーできていました。

当たり前のことを当たり前にやる。サッカーに限らず実生活や仕事でも「わかっているけど結局できない」ということは、そこそこあるかと思います。この試合ではこの集中力であったり、志垣監督がよくボードに書いているアラートをきらさないプレーの結果がこの試合の結果になったのかなと思います。

 

前線の選手は数字を残してなんぼですから、献身的にプレーすることはもちろんですが、ゴールに絡め、勝点3を取れる選手になっていってほしい。彼らだけではなく、今日メンバー外になった選手も悪くて外しているわけではなく、18人を選ぶにもスタッフで活発な議論ができるくらい迷います。(引用元:レノファ公式)

とあるように練習から切磋琢磨、ひいてはそれが志垣監督やコーチ陣が求めている強度ということと想像できます。まずこの強度を出せたメンバーが18人の試合のメンバーに入ることができているのかと思います。

このチーム内競争を勝ち取るボーダーラインが、相手チームを上回るラインにもなっており、言ってみればこれが今年のレノファの最低限、スタートライン。このラインを超えているからこそ、相手を上回るプレーをしてくれるし、僕らも「今年のレノファは違うぞ!」と実感するようにもなっているんだなと、教えてもらったような一戦でありました。

 

これで第2タームは勝ち点7となりました。残り2戦でどこまで勝ち点を伸ばせるでしょうか。なんクロでも話してましたが、いい状態で1万人プロジェクト第2弾を迎えたいですね。

もしろん3連勝で第2タームを終えることが一番ですし、それを期待できる内容であったと思います。次節水戸戦は僕は東京PVから声を届けたいと思います。勝ちましょう!!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

[お写真:トリバンさんよりいただきました @jtki2004]

 

 

さて、今節のトピックスはやはり河野・五十嵐のアベックゴールでしょうか。アベックゴールってなんやねん、って話ではあるんですが、
なかなかゴールを決めれなかった河野孝汰に、ちょっとくすぶってそうだった五十嵐君。

4点目を取ったときの五十嵐君の顔であったりベンチ前で出迎えた孝汰の喜びようなどチームとしても何かまた一つ上にあがって行けそうな雰囲気になったように思えました。

梅木にもゴールが生まれるなど取るべき人が取る、こういうフェーズにシーズン中盤にかけてなっていくのは、例年のようにこのあたりからずるずると順位を下げがちなレノファには好材料に思えます。

ただ、好事魔多しということばもありますし4-0で勝とうがまだ15位までは勝ち点3差ですので、油断せずに水戸・鹿児島を乗り切ってもらいたいですね。


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サイドのCBを動かしたその後 栃木SCvsレノファ山口@カンセキS 2024年4月7日

悔しい敗戦から立ち直れるか?といった今後をちょっと占いそうだったとアウェイ栃木戦。残念ながら勝ち点3は得られず。ほぼ危険な形を作らせなかったものの、最後仕留めきれずという試合であったかと思います。

前節の熊本戦よりコンディションを崩してしまった選手がいるとのことで、平瀬や吉岡などがそうであったのかなと思いました。そのようなコンディションの中で今季3度目のクリーンシートと代わりに入った選手たちは一定の手ごたえなども得られたのではないかと思います。

このような惜しい試合を勝ち点3にいかに結び付けられるか。レノファの永遠の課題ではあるように思いますが、ホーム2連戦にうまく今節の反省をつなげていってもらいたいなと思います。では、今節は下記について考えていきます。

 

1)ロングボールとアンカー脇の攻略

2)得点をする者、その設定は?

 

【得点者】

栃木          レノファ 

なし          なし


1)ロングボールとアンカー脇の攻略

今節の対戦相手の栃木のファーメーションは3-5-2。ただ極端に言えば5-1-2-2のようにも言えたかなと思います。このブログは後者で話を進めさせていただきます。

多少今節は双方が狙いが似ているチームの戦いであったように思います。

・割とロングボールを使って相手のSB(WB)の裏へ。

・ハイプレスを交えて相手陣でのプレーを狙う。

・守備の意識は高め

 

ただ、フォーメーションは4‐4‐2と5-1-2-2のため割と中盤で空く人間が双方に出るような展開でした。

まずレノファの守備局面。

栃木は最終ラインは3バックにしWBは高い位置を取ります。横浜FC戦や岡山戦同様にWBはレノファはSHの選手がつくのか、SBの選手が付くのか、が試されます。

ただ、栃木は岡山などのようにWBが高い位置をとることはないため、ある程度SHの選手が付くことがおおく、その対応である程度うまくいっていました。

例えWBが高い位置に出てもSBが付き、SHの選手がSBの選手がでていくところを埋める形で対応。SBが出た場合CHがその位置を埋めることが今までは多かったですが、栃木がそこまでここを強く狙ってくることはなく、狙ってきていてもIHの単騎で来ることのほうが多かった印象。CFや逆サイドのIHなど岡山のように人数を掛けてくるならある程度レノファも人数を割く必要があったかと思いますが、きほんSHが対応し、CHはCBと共に一番危ないところを締めるところに専念をすることができました。25分のように左サイドでLWB大森が幅をとり野寄、前が間に合わない場所から中央に移動してきたRCF奥田にも冷静に板倉が対応するなど、なかを使われても対応していました。

ある程度セットプレーがらみなど押し込まれるシーンはあったものの、自陣でのコンパクトな形は維持することができており、チャンスらしいチャンスはあまり与えることなく試合を終えることができました。

ディフェンス陣の大黒柱平瀬がコンディション不良なのかこの日は不在。それでも代役の板倉が時折ボムヨンとポジションを入れ替えながら最後のところはやらせず零封に貢献してくれました。


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そして、その板倉ですが攻撃の局面でも特徴を出してくれました。

栃木は前節0-8の敗戦を喫していたこともあり、かなり守備意識は高かったように思います。

レノファの自陣でのビルドアップに対してはミドルプレス~ハイプレスを使用し最終ラインを高く保ちコンパクトに。前線の4人でレノファの前、板倉、ボムヨンの後ろ3人と、板倉・池上のダブルボランチに対して制限をかけていきます。そこにアンカーの神戸も時折加わってきます。五十嵐、野寄のサイドに張る選手に対しては最終ラインのWBが時折ジャンプし前へ出てきました。また、梅木にはRCBラファエル、若月にはLCB西谷がつき、CB平松がそこをカバーするような形をとっていました。

千葉戦では前と後ろのプレスとカバーがあっていなかった、といったような解説の方のコメントがありましたが(私未視聴)、この試合ではそのような場面はあまりなかったように思えます。

時にはゴール前にバスを置くような堅牢さも見せるなどこの試合は失点はしない、というチームの姿勢が見えていたと思います。

 

ただ、レノファが実際にチャンスがなかったのか、といえばそうではなかったと思います。

この日のレノファの狙いもやはりまずは相手最終ラインの裏へボールを送り込み、そこを起点とするやり方。

上述した通り梅木には188cmのラファエルをつけるなど対策をとってきていたので、ここ一辺倒では通じないので、いくつかバリエーションを持たせます。

狙うところはアンカー脇。レノファも4-3-3を採用していた時によく佐藤謙介が主でしたが、彼の脇や裏にはスペースがあります。4-1-2-3の形なので、1人で担当する「1」のところはどうしても空きが生まれてしまいます。

そのためレノファもこのアンカー神戸のところを狙います。栃木は守備時は5バックの形をとるため単純にサイドにボールを放り込んでもWBしかりCBが対処をしてしまいます。横浜FC戦ではRWB中村、RCBンドカの位置を河野、梅木、新保で数的同数や優位を作ったように、人を送り込むやり方はありますが、今回はアンカー脇にCF梅木や若月を入り込ませてそこへボールを送ることで、栃木の両サイドのCBが出てきたところを狙います。

板倉から若月へこのアンカー脇へのボールが何本か出ており、ここから若月がボールを納めてゲインする場面が何回かあったかと思います。

ただ、若月はこのレノファのファーストサードにボールがあった場合以外でもミドルサードまでボールが運ばれても23分のように相田がボールを持ったところで、神戸の脇に落ちてボールをうけます。LCB藤谷がふらふらっとその動きにつられて前に出てき、最終ラインへの戻りが遅いのをみるとロングボールを呼び込みペナルティエリア付近で起点を作っていました。

28分の若月の決定機は梅木が左サイドから右サイドに来て、藤谷とロングボールを競り、そのまま藤谷が空けたところへフリック。若月がそのままゴールまで持ち込んでのものでした。

 

後半の決定機についてもセットプレーのセカンドボール争いから、栃木の最終ラインが乱れているところを梅木と若月が同じ場所を狙っており多少お見合いのようになってしまい、栃木の戻りを許してしまいましたが、最終ラインを動かす・乱れを見つけることでチャンスをうかがうような試合でした。


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2)得点をする者、その設定は?

ただ、結果的にスコアとしては0。決定力を上げてもらうというのが手っ取り早い話ではあります。

スコアレスドローにはなりましたが、個人的にこの試合、若月に得点チャンスが久々訪れたことをプラスに考えたいと思っています。

田んぼサッカーの試合は彼は出場していませんでしたが、どちからというと得点を取った横浜FC戦含めて、シュートチャンスよりもチャンスクリエイトのほうが多かったように思えます。また相方の梅木にしてもダントツの空中戦勝利数がのこるほど前線でロングボールのターゲットとなっております。

CFの献身性などで支えられてチャンスは作っており、平瀬の3試合連続弾は別として、色々な選手がチャンスを迎え得点を取っています。どちらかというCFが作ったチャンスはSHが仕留め気味といった方が近いでしょうか。


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ただ、やはりCFの最大の役割は点をとること。チームが勝つことが一番ではありますが、点を取る役目としてはCFになってきます。早く河野に点が欲しいなどはありますがやはり今節のように点を取らせるような仕事をもっとやってもらう。彼ら自身もゴールへ向かうようなプレーをもっと見せてほしいなと感じるような試合でした。

この試合で言えば、アンカー脇を使うことで栃木のサイドのCBが出てくる。そしてそのスペースを使うことを取り入れていました。

そしてそこを使ってゴールへ向かうシーンはありましたが、それはCF二人で完結をさせたような形。やはり彼らがお膳立てをする形はできているが、その空けたところで他の選手たちが入り込んでCFが仕留めるような逆の形はまだこの9節見えてこないかなというのが率直な印象としてあります。

どこからでも、誰にもチャンスが生まれるというのは聞こえはいいかもしれませんが、これといった形がないというのも逆にあるとも言えます。梅木や若月のヘディングやスペースへのランニングのほかに彼らが点を取る形、彼らにとらせる形も新保のクロス以外見えてくるといいなと。

長崎戦はゴールに矢印が向いていなかった、ということを書かせていただきましたが、一番ゴールへ矢印を向けないといけない選手たちへの道筋・矢印次節以降変化に期待をしたいなと思います。

 

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さて、ホーム2連戦のあと、アウェイを二つはさんで、一万人プロジェクト第2弾の山形戦です。この山形戦をいい形で迎えるためにもこのホーム2試合はとても大事なものになるでしょう。

選手・スタッフ全員が僕以上に感じているでしょうし、それを成し遂げてくれるでしょう。そう信じてこの4月は勝ち点を伸ばしていってもらいたいです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

[お写真:トリバンさんよりいただきました @jtki2004]

 

 

さて、趣旨が変わるので本文に入れられないなと思って省いたのがセットプレー。

いやCK12本。どれか仕留めたかったですね。

前半のボムヨンのところが一番のチャンスでしたかね。

レノファの通常のコーナーキックの布陣として、キッカーが1人いて、エリア内に6人、エリア外すぐのところに2人、そして最後尾に1人。みたいな形がオーソドックスなものとしてあります。

その上で、徳島戦のヘナンのゴールの際に、相手ゴールキーパーのところに誰もいかずに6人全員が固まるように構えてそこへボールが入って来て混戦の中からヘナンがうまく合わせていました。

上記のボムヨンのところですが、GKのところに若月と五十嵐だったかが二人入っており、4人がニアに走ることでマンマークの相手が彼らについてきます。ボムヨンのマーカーもそれにつられるようになりますが、ボムヨンはほぼステイ。梅木がボムヨンのマーカーもろとももつれるようになり、ボムヨンがフリーでシュートを打つ形になりました。

全てがそうなるわけではないですが、ゴールキーパーのところに1人ではなく2人や0人であった場合、「あ。何かあるな」って見るのも面白いかもしれません。

また、CKでインスイングのボールに対して全員がGK付近に集まる場面もありました。特段珍しいプレーではないですが、志垣レノファでは初だった気も。この時は新保が直接狙ったのか、はたまたミスキックかわかりませんがキーパーに近い位置に蹴って、GKが出れないような形を狙っていました。

これが惜しかったのが後半の立ち上がりでした。丹野がうまく出れずエリア内にボールがこぼれるシーンがありました。

ボールの行方よりも最近はゴールキーパー前をよく見るようにしてますが、また秋田戦や徳島戦のようなセットプレーからのゴールも期待したいですね。

では、今節は以上です。


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勝ち点55の内訳は? レノファ山口vsロアッソ熊本 @維新S 2024年4月4日

愛媛戦に続いて2試合ぶりの田んぼサッカー。2試合ぶりというよりも2年ぶりとかでもいいですよ、というピッチコンディション。まあホームなんで知っているよ、という話ではあるのですが、ちょっと度を過ぎたのが2試合続いてしまったなという印象です。

試合についても先制するも雨の日、ピッチが悪いとこういうことが起きてしまうというPK2発での逆転負け。なかなか受け入れがたいものでもありますが、リーグは続きます

。後に引きづらいないことが大切です。

では、今節は特に戦術的なものというのは愛媛戦同様出しにくいので、そこそこに改めて勝ち点55への道について自分の考えを書いていこうと思います。

僕のレビュー記事同様に「かくあるべき」というわけではないので、気楽に読んでいただければと思います。

 

1)天候だけでなくまだまだチームが途上

2)勝ち点55も負ける。負グセつけないように。

【得点者】

山口           熊本

53分 平瀬        82分 神代

             89分 神代

 

1)天候だけでなくまだまだチームが途上

今節も愛媛戦同様にピッチコンディションの問題でやるサッカーは限られてしまいました。

その中で今節は多少プランがハマらなかった印象があります。ロングボールであったり、相田のロングスローなどを駆使していきますが、試合のペースは熊本に。

 

(志垣監督)

試合は前半はうまくセカンドボールを拾えませんでした。最初に私が立てたプラン通りに行かず、なかなかセカンドを拾えないという状況で、相手に勢いを与えてしまったと思っています。後半は修正して立ち上がりは良い形で入れて、その中で先制もできましたが、最初のPKも不必要なプレーでのPKだったと感じています。(引用元:レノファ公式

(梅木)

その時点でもうちょっと自分でポジショニングを修正するべきだったかなと思いますし、2トップの距離感もちょっと遠かったかなと思う。(引用元:Jリーグ公式

と試合後インタビューであるように、ターゲットとなる選手とセカンドボールを狙う選手の距離感が合わずペースを掴めませんでした。

熊本の選手の身長が比較的低めであり、ある程度競り勝つことを想定し、レノファの選手間の距離を多少広めて熊本のブロック自体も広めることを狙っていたのかもしれません。ただ、前半なかなか掴めずハーフタイム中に修正。

後半は左サイドをメインにし、梅木・ジュニーニョ・河野らの距離間を詰めていくことでペースを握っていきました。

平瀬の先制のところではロングスローを警戒してきたところを、おそらく近くの新保へスローインでボールを渡し、熊本の一瞬の隙をついて先制とはまらなかった前半に比べてペースを握っていったところでの先制することになりました。ゴール期待値の推移を見るとわかりやすいかと思います。

 

ただ、結果論ではありますが、やはり勝ちたかったこの一戦。多少レノファのチームとしての若さがでてしまったと思います。

今シーズンのレノファとしてはすでにこのピッチでの戦い方は2回目。また大き監督が残しているように、このピッチで自分たちの特徴を出しにくかったのはむしろ熊本の方であったはず。

前半の距離間のところで言っても、熊本はいつもの距離間とは違えど、狙ってくる場所であったり選手の立ち位置でフリーの選手をつくるところなどは、通常時に通じるものがあったと思います。

また、ここまでのリーグ戦選手交代が割とハマり続けていたベンチワークにしても、中盤がほぼないような状況であったとはいえ、多少選手の起用法についても疑問が。

この重馬場を想定してのベンチメンバーであったと思いますが、多少得手不得手があってなさそうなところであったり、勝負をかけて選手を入れ替えた後半40分以降に2失点目をしてしまいました。河野→佐藤と得点を狙い勝ち点3を目指すのか?押し込まれていたので守備を安定させて勝ち点1を狙うのか?が多少見えない交代であったかなと思います。そのため、勝ち越されたあとにもう交代機会の3回目を使っており、板倉なり加藤を入れることができませんでした。

交代策で徐々にチーム状態を上げていった熊本、あげることができなかったレノファ。シュート20本でゴール期待値は2点以上と拙攻もあいまってホームで勝ち星を逃してしまったように思えます。

 

2)勝ち点55も負ける。負グセつけないように。

この試合ジャッジにも不満が残る試合であったかと思います。それをとるならこっちも。厳しくないか?など。ただ、リーグ戦を38試合戦っていけばこういう試合はでてきてしまうもの。

また、昨年の42試合ベースではありますが、勝ち点55というものを見てみると、

11位の群馬は14勝15分13敗で勝ち点57

12位の藤枝は14勝10分18敗で勝ち点52 でした。

いやいや、勝ち点ペースがちがう、という意見はあると思います。てことで、38節で勝ち点55のペースを42節になおすと勝ち点計算は約60になります。であると

9位大分17勝11分14敗で勝ち点62

10位岡山13勝19分10敗で勝ち点58 

ちなみこの4チームすべて得失点差は0以下とプラスのチームはありませんでした。

このぐらいの目標値でも結構負けるんだよ、ということが言いたいのではなく、この負けを引きづらいないのが大事。INSIDE MATCHで志垣監督も言っていまいましたが、「負けに慣れることはやめよう」ですね。

9位大分と12位藤枝の間に勝ち点10離れていますが、やはりここの大きな差は負数の少なさ。岡山の引き分け19が良いわけではないですが、負けないことは大事。ただ、負けてしまうことはあれどそれをはねかえすことが大事。

38節で勝ち点55を取ることを考えてみると

・16勝7分15敗
・15勝10分13敗

・14勝13分11敗

・13勝16分9敗

こんなところがラインでしょうか。どこをとっても負が勝ちより先行するわけには行きません。3勝2分3敗。ここは踏ん張りどころ。

 

ジャッジに泣かされた、なかなかハマらない、押し返せないことはあるでしょう。何度も繰り返しますが、レノファは昨年J2で20位のチーム。まだまだ変わり始めている段階です。こういう難しい試合のほうがむしろ多くなるでしょう。ただ、その時にどんなふるまいができるのか、僕らファン・サポーターも「次こそは!」というメンタルで、負を引きずりすぎずにシーズンを戦っていければいいんじゃないかなと思います。

個人的にはジャッジに多少不満はありました。ただ、試合が最終盤だったということもあったかと思いますが、変な形で審判と戦うことがなかったのは良かったなと思っています。

不満を訴えて試合中何度も審判を囲うような対戦相手を何度も見てきました。その姿って見ていて気持ちのよいものではなかったですし、結局その試合が終わったあとは、「あの審判ないわ〜。あっちも取り囲めばいいっておもってんじゃねえの?」とそのチーム、審判共に良い印象をその後も持たなくなってしまうように思えます。

悔しいことは悔しいしジャッジに不満はある。ただ、その選手の気持は志垣監督が審判に異議は申したとのことで、チームの姿勢としては残してくれましたので、さっと次の試合に向かっていってほしいと思います。

 

それと渡部社長が投稿されていたので、なにかかわるのかなと期待したいところですが、4月ではやくも2回目の田んぼサッカー。6月や9月など雨の多い季節にまたこれになる?と思うと頭が痛いところです。せっかくのホームの試合もアドバンテージがほぼなくなってしまうのは悩ましいところ。観客の動員数にも響いてしまいます。

どうも水道などに明るい方の話を聞くと一筋縄ではいかない問題のようですが、なんとか改善がすこしでもされるといいなと思います。

 

田んぼサッカーだと書くことわからんな〜。で、また次節の試合当日になってしまいました。今日東京結構晴れてます。栃木も晴れるようですし、今日は思いっきりレノファのサッカーをアウェイの地で発揮してもらいたいと思います。勝ち点3!

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

 

 

 

 

あとがき

さて、審判の話になりましたが、去年アウェイ千葉戦で神垣によくわからないレッドカードを出した主審のTさん。岡山対ヴェルディでもよくわからないジャッジを繰り返したとか、色々去年J1含めて話題になっていたかと思います。

ただ、調べたら彼は今年アウェイ徳島で主審を務めていたんですよね。まったく気づいてませんでした。笑

今年の他の試合がどうだったかはわからないですが、この徳島戦はとくに不満がのこるようなことはなかったように思います。

今節担当されたIさんは去年主にJ3の試合で笛を吹かれていました。そして今節が初のJ2の試合だったようです。まだ36歳。次回のレノファの試合があれば、違った姿で試合後を迎えてもらえればと思います。

ミドルサードでのブロックとプレスのリスクとリターン、そして相手の事情 ヴァンフォーレ甲府vsレノファ山口@JIT 2024年3月30日

第2ターム白星発進!!

今季の38節を6節ずつに分けて(後ろ2試合は余り扱い)、タームという言葉を使わせていただいておりますが、この第2ターム(7~12節)の中で最もクラブ規模が大きく、順位が良かった甲府の本拠地へ乗り込んでのアウェイ戦。相性自体はそこまで悪くはない相手ではありましたが、0-2と無失点複数得点での勝利。これ以上ないスタートであったと思います。

第1タームで得た手応えそのままに第2タームも駆け抜けてくれそうな予感です。

では、今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)「常に背後を狙う」

2)ミドルゾーンでのプレスの裏に三平

3)レノファの修正だったのか甲府の修正の裏目

 

【得点者】

甲府          山口

なし          50分  平瀬

            79分  山本

 

1)「常に背後を狙う」

INSIDE MATCHDAYで志垣監督が「常に背後を狙う」という言葉がありました。

この試合は2つの意味があったのではないかと考えました。

・DFライン裏

アダイウトンの背後や脇

 

まず1つ目が横浜FC戦から見せているDFライン裏へのロングボール。この試合開始早々から池上がアバウトにボールを甲府のDF裏へ送り、それに梅木が走るというシーンからこの試合は始まりました。

ロングボールを送り込むことで敵陣深くで起点を作ります。2分には関からのロングボールに梅木と甲府LSB荒木が競った裏に若月と野寄が走っており、ボールが流れて(流して?)野寄があと少しで抜け出すという場面を作ります。

9分は15前から同じく右サイドの奥へ若月へ目掛けてのロングフィード、12分にもスローインから池上がアバウトに蹴って梅木が競り勝ち、ボールを拾った若月から河野への決定機を生み出し、14分もヘナンから梅木がGK渋谷に競り勝ちあと少しという場面も作りました。


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また、この試合で序盤ペースを握る要因になっていたのが、相手陣でのプレスでした。

序盤ゴールキックなどレノファはロングボールを蹴ることを選択していましたが、甲府は10分過ぎまではつなぐことを選んでいました。

この日対戦の甲府はボール保持時は4-2-3-1、非保持は4-4-2とほぼレノファと同じようなフォーメーションを取るチームでした。

レノファは新保を上げて後ろを3枚にしたり、RSB前も1列前に上げてボランチの相田や池上を落ちるようにして、相手の4-4-2に対して備えると同様に、甲府ボランチを落として後ろを3枚にすることやGKを交えて後ろを3枚にしてビルドアップを行おうとしてきました。

ただ、この形に対して特に相田が対応してましたが、この最終ラインへ落ちるボランチに付くのではなく、アンカーの位置にいる選手をまず捕まえ、甲府の最終ラインの3人に対しては梅木と若月2人で見る形に。

篠田監督が大声で「怖がるな!」「ボランチにあててそのまま抜けろ!(?)」など声を上げていましたが、甲府はレノファのファーストラインの2人を超えることに多少手こずっており、SBへのロングボールなどが出ればしっかり後ろで構えているレノファの中盤の選手たちにボールを拾われる、もしくは通ったとしてもその後のプレーでレノファにボールを奪われるなどしておりました。

前半の終盤は甲府もDF裏へのボールを多くするなど、最初のプランで考えていたと思われる形を放棄しておりました。

それでもレノファは4分や10分、22分など相手陣でボールを奪いショートカウンターを成功させるなど、まずロングボールで相手陣での時間を増やし、そこからハイプレスを置こうなうことで相手陣で4局面(攻、攻⇒守、守、守⇒攻)をまわすことに成功していきました。

 

そして「背後を狙う」のもう一つがアダイウトンの脇や背後。

レノファの最終ラインがボールを保持しているときは、甲府はウタカと三平がCBを観察するような形。SHの宮崎とアダイウトンはそれぞれのサイドでレノファのSBや中盤の選手を見る形になります。

すると4−2−4のような形になった甲府のプレスに対してレノファは多少やり方を変えてました。開幕から右サイドの吉岡に比べて左サイドの河野のほうが比較的ボランチ位置へ落ちてくるなどして、相手のSBを吊り出したり、そこでボールを受けるなどしていましたが、この試合はここに降りてボールに関わるのはRSH野寄でした。

10分のシーンでは相手のボールを奪った直後ということもあり、三平とアダイウトンの脇にぽっかりスペースができていたのでここに入り込みボールを受けます。

また、16分には今までロングボールを送り込んでいたゴールキックをショートパスに変更。池上が降りて前を1列上げる形でビルドアップを試みます。

池上は右のCBの位置とボランチの位置をウロウロすることで徐々にアダイウトンが池上に付くために上がっていきます。このシーンでは池上がずっと特に右サイドの状況を確認するように首を振っていました。

そこで一列上げて幅を取っているRSB前が野寄に対してボランチアダイウトンがでていったスペースの間に入るよう指示します。野寄にはCH林田が付きますが、平瀬が選択したのはRSB前への浮き球のパス。これが見事に通り、林田も野寄に付いているため間に合わず。林田はそこからプレスをかけてきますが、今度は野寄が裏を取るような動きも入れることで前はあっさりこの林田のプレスを交わして相田にボールを逃がしました。アダイウトンはなんとなく戻っているような具合。

 

ここからの流れで相手陣内へ。一度はクリアされるも、相手陣でボールは池上に。また池上は梅木と前で3角形をつくり、池上と前の二人を見るような形になっていたアダイウトンをショートパスを交えることで吊り出します。アダイウトンが出てきたところをポジションをアダイウトンの脇から背後に移していた前に通してサイド右サイドを攻略していきました。

アダイウトンのボールに食いつき気味になるところや、多少守備をおろそかにしてしまうところを突いていきました。

いつもより左サイドよりも右サイドが目立ったのは、この何節かのレビューで書いておりました「いかに新保がクロスを上げる場面をつくるか」というよりも、アダイウトンの守備がゆるいところを梅木、前、池上、野寄で突くことが目的としてあったのではないかと思いました。

38分などもアダイウトンへのボールを前がカットしてもすぐには戻ることはしませんでしたし、戻っても正直いるだけというような守備。攻撃があれだけ強烈なのでこのあたりはある程度免除されているのでしょう。そこをレノファが突いた。そう見えた前半でした。

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2)ミドルゾーンでのプレスの裏に三平

割とうまく行っていた前半ですが、いくつか危ない場面が。いくつか個人で打開をされるシーンも有りましたが、個人的に怖かったのは三平。

まず25分に左サイドの奥を取られたシーンではRSH宮崎、RCH村田、RSB関口に対してレノファは相田、新保、河野とフォーメーション通りの選手たちが対応していました。

ここでフラフラっとこの3vs3に加わったのが三平。ボールを受けないものの相田がサイドへ出ていったスペースへ入り込むことでヘナンを釣り出しておりました。最終的にヘナンはサイドの対応にいくことになり、池上のヘナンのポジションを埋める動きが多少遅くなりましたが、なんとか平瀬とともに対応する形に。

また、34分にもやはりレノファの左サイドで人数をかけてボールを奪おうとボランチが2人でていったところに三平が位置しており、ボールを引き出してそのまま危ないクロスを上げられる場面を作られてしまいました。

43分もこぼれ球を収められてそのままトリッキーなワンツーから強烈なシュート、45分はプレスに行ったところをかわされてウタカ→三平→アダイウトンと繋がれるなど前半終盤にかけて多少三平を捕まえにくくなっていました。



3)修正だったのか甲府の修正の裏目

三平が目立ったシーンではレノファがミドルサードで積極的にボールを奪いに行ったところでそこをかいくぐられてしまったのピンチでした。

前述した通りこの試合はハイプレスからアタッキングサードミドルサードでのボール奪取が目立っていました。相手陣でボールを奪えばショートカウンターでゴールを狙うなどチャンスが作れます。

ただ、積極的に行ってもそれは人数をかけている、言い換えれば本来いてほしいポジションを放棄してまでも取りに行っていることもありリスクも伴います。

相手あってのスポーツのサッカーではすべて成功することは難しいので、どこに折り合いをつけるかは繊細なものになります。相田と池上2人でボールを取りに行ってボールを逃されるのは多少なくしたいシーンではありますが、前線からプレスに行くこと、引いてブロックを作って守ること、この使い分けは今後も大切なポイントになるかと思います。エスパルスの乾などはこういう空けたスペースをとても上手く突いてきますので。。。

 

そこでレノファも後半微調整。57分のように相田がでていった場合若月であったり、交代した山本が反対サイドからボランチエリアをケアするようなシーンがありました。

また、これは多少印象論になりますが、甲府が後半の交代でFゴンザレス、鳥海を投入したところで試合の潮目が変わったように思えました。

まずスタメンだったウタカと比較して、裏のスペースというよりもFゴンザレス目掛けてのロングボールが増えたように思えました。また、鳥海やアダイウトンらSH陣が多少インサイドへ位置どるようになったと思います。この動きをすることで甲府SBが大外のレーンでクロスを上げるような機会が増えました。

ただ、このように中盤を飛ばして最前線へ当てるボールであったり、中間ポジションをSHも取るようになればレノファとしてはこの時間先制していることもあり、ボールを積極的に取りに行くのではなく、4-4-2のプロックを作って守ることを選びます。

70分などはカウンターを受けそうになりますが、池上がうまく寄せてやり直させたところでレノファは全員帰陣。何度かボールの出し入れやFゴンザレスへの縦一本などの場面はありましたが、レノファとしてはしっかりブロックが組めているので全く動じず。

前半は甲府のサイドからのクロスで危ない場面もありましたが、しっかりとブロックを組んだ状態でクロス応対ができればよほど素晴らしいボール、素晴らしいシュートでなければ今のレノファは対応できます。

レノファらしくないといえば失礼な言い方にはなるのですが、この4-4-2のブロックをしっかり組めているときはほぼ失点の臭いはしないです。

ハイプレスをかけて2点目を奪いに行くというのも手段の一つではありますが、そうはせずに先制をして優位に立っているからこそ、甲府が得点をとるためにギアを上げたことで必然的にレノファはミドルゾーンでしっかり守るということを選んだというようにも思えます。

また、前半のようにサイドに人数をかけるようなことも甲府がしなかったこともあり、レノファは中央部をしっかり固めることができていました。76分などはボールを持ったらまず前を向くようなプレーをする小林、加藤らがシンプルにボールを相手陣に送り込み、徐々にラインを上げれば山本がすきを見てボールを奪うなどしたたかさを見せます。そして、78分にはその姿勢が結実して2点目をとることに成功しました。そこからはボムヨンを投入して5-4-1のような形に。最前線の小林も守備に加わるなど隙を見せることなく無失点で試合終了となりました。


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また、失礼な言葉を重ねるのですが、今までのレノファでは考えられないくらいに試合巧者。秋田戦のようにある程度自分たちの時間で試合を進めるのとは違い、相手の出方を見つつ対応していき、機を見て追加点を奪っての勝利。なかなか経験値が高い勝利に思えます。それもアウェイ甲府という第2ターム最大の難関と思われたところでやれたのは大きいと思いました。


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3連戦初戦をアウェイで勝利をあげることができ、意気揚々とホームで熊本を迎えられそうですが、どうもまた大雨のようですね。熊本の特徴的なパスワークに対してレノファがどんな姿を見せるか楽しみにしていたのですが、雨でそれも見れなそうです。ただ、すでに愛媛戦で経験していると思いますので2連勝としてもらいたいものです。

勝ちを祈りましょう。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

[お写真:トリバンさんよりいただきました @jtki2004]

 

 

 

さて、今回のあとがきはINSIDE MATCHDAYで最近よくMTの様子を出してくれています。

甲府戦は冒頭の「背後を狙う」を使わせてもらいましたが、このあとがきでまず使うのは岡山戦。

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まず、1:35あたりからでてくる【チーム走行距離128.850km】という言葉。

最初え?秋田戦そんなに走ってたの?と思いましたが、流石にこれはないなと。スタッツで走行距離がでるJ1でも120kmかもうちょっと多いくらい。フロンターレなんていつも大体110kmくらいです。

ただ、なんか関係ある数字だよなと思い調べたら、この数字は去年のJ1で鳥栖が記録したチーム別のシーズン走行距離の最長記録だったようです。

【公式】Jリーグの成績・データ:Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

特に多く走ればいいってものではないですが、チームとして目指しているものとしては『走る』ということを意識しているのがわかりますね。

 

youtu.be

また、秋田戦では『準備+常にアラートに!(※予測=腰の高さ)』というフレーズがあり、よく志垣さんはアラートって言葉をよく使われてますし、愛媛戦の失点の原因は腰が高かったという言葉も出されておりました。徐々に志垣語録が表に出てきているな〜と感じる今日このごろ。

さて、次節はどんな言葉が出ますかね。今節はこの辺で。

7節以降につながれば。 レノファ山口vs愛媛FC@維新S 2024年3月24日

暴風の徳島戦の次は大雨⇒難しいピッチコンディションというなかなか厳しい天候が続いたレノファ。今節でも割り切った戦い方が求められました。

結果としては終盤追いついての引き分けと最低限の結果は得ることができたと思います。こういう天候であれば『思い切りや事故』みたいなものが試合を左右すると考えているので、前半にあのミドルシュートを叩きこまれてかなり難しくなったと思っていたので、勝ち点1を得たというよりも、愛媛さんへ勝ち点3をわたさなかったという意味でよかったかなと僕は感じております。

では、下記のように振り返っていきたいと思います。

 

1)ロングボールの落としどころ

2)コンパクトな4-4-2の徹底を出し続けられるか。

【得点者】

山口            愛媛

90分  平瀬        39分 パク

 

1)ロングボールの落としどころ

レノファ、愛媛ともにこの試合は4‐4‐2を採用。愛媛の石丸監督はアライバルインタビューにてこの天候とピッチコンディションを加味しての11人に急遽変更したとおっしゃっていました。今節スタメンのベン・ダンカンは開幕当初はスタメンでしたが、最近では10松田をワントップにおいてトップ下に25石浦をおく形をとっていました。このようなピッチコンディションなので、収まることができたり、身長の高いベン・ダンカンが起用されたのかなと思います。またボランチに180cmあるベテラン18菊地の起用であったり、RSHにサイドバックが本職なんですかねスコアラーとなったタテの運動量が落ちないサボらない21パク・ゴヌを起用してきました。

対するレノファも連戦疲れも考慮してなのか、SHに加藤・田中と走ることができる選手を配置し、ツートップの一角には身長と献身性をもつジュニーニョをFWに起用しました。

両軍ともに連戦最後、ピッチコンディションを意識した並びとなりました。

そしてやはりお互いに『事故』を起こさないよう、リスクを極力減らすよう前線へのロングボールを送る場面が続いていきました。

 

レノファとしては横浜FC戦以来このようなロングボールを使うことに対しては今季問題なくやれていたので、大丈夫かなと思っていましたがなかなかこれが難しい。

この試合通じて感じたことで言うと、試合を難しくしてしまっていたのが、FWへのロングボールのフィードの精度の違いと、ポジティブトランジションの質の違いがあったように思えました。

支配率はほぼ互角でしたが、シュートは19(13)対11(4)、パス343(52%)対261(42%)、ゴール期待値も2倍くらいの差がありましたが、と一見レノファのほうが効率が良かったように思えますが、効率的には愛媛のほうが良かったように思えます。

 

基本両チームともロングキックを選んでいましたが、レノファは時折DFライン裏には出るものの割とDFラインよりも前の設定。愛媛CBの小川と森下もしっかりと視認ができるようなところ蹴ってしまっており、跳ね返されてカウンターを食らうシーンが多かったと思います。

また、DF裏へのボールにしても後半梅木がボムヨンにもっとサイドに、といったジェスチャーを送っていたように、キーパーが前に出てきて捕球できてしまうところに蹴っている場面もあり、自分たちのボールを簡単に愛媛へ渡してしまう形になっておりました。

対する愛媛はベン・ダンカンをターゲットにするか、また彼を超えるようなボールを送り込みチャンスをうかがってきました。

レノファのCFが割としっかり自身に戻って守備をするのとは反対に、愛媛はある程度ベン・ダンカンは攻め残りをさせており、愛媛のクリアボールに見える物もボールサイドの縦に出せばベン・ダンカンが待ち構えるといったように、愛媛のクリアボールに見える物も、しっかりつながっていました。簡単な愛媛のクリアもすぐに愛媛のボール保持にかわってしまうので、ここでボールがおさめる頃の出来るベン・ダンカンはやっかいな選手でした。

また、DFライン裏へ蹴られるボールについてはレノファの守備陣はある程度撤退を余儀なくされてしまい、4‐4‐2のコンパクトな陣形を取っているからこそ、前線の選手たち含めてレノファは帰陣をするので後ろにちょっと重くなった試合だったかなと思います。


完全に結果論ではあるのですが、1節~5節までCFの組合せが梅木&若月、もしくは山本&若月といったように若月がCF一角として出場をしていました。

凸凹コンビと言いましょうか、ある程度選手としてのキャラクターが違う組み合わせということもあり、サイドに流れてロングボールを対応したりするのが梅木、後ろからのショートパスなど納めて前進する役割を若月。また、ロングボールが来ても真ん中のところで同じく裏をねらうように睨みをきかせていたりしたのも若月といった具合に分業がされていたかと思います。

この日のジュニーニョと梅木が割と似たような役割をし、性格的にチームへけんしんてきということもあり、多少動きが被っており一番狙いたいゴール前というものが空いていたようにも見えます。やることが限られてるピッチコンディションであったからこそ、役割などメリハリがあればまた違った展開であったかなと感じました。やはりそのあたりは愛媛のほうが明確だったかなというのが印象です。

 

ただ、得点シーンではこの6節でFP唯一のフルタイム出場の平瀬を前線に上げての3トップ。相手が足を攣ったりする中、相手に時間を経過させないようにクイックスタートで始めたボムヨンと関。しっかり、競り勝った梅木とヘナンに2回目のチャンスで仕留めた平瀬。最終盤までちゃんと疲労はもちろんあったでしょうが、足はちゃんと残っており相手のスキを逃さずに奪った得点は、成長というかトレーニングの賜物であったように思います。

 

2)コンパクトな4-4-2の徹底を出し続けられるか。

レーニングの賜物といえば、やはり『コンパクトな4-4-2のブロック』。

ピッチ状況はまだ劣悪になる前だったので多少違いますが、去年のホーム徳島戦などは自陣で下がってのセットした状態のディフェンスでしたが、ボール保持をした相手に対してふらふらっと出て行って、サイドチェンジをされたところに出て行ったところでSBとCBの間を空けてずっとそれを放置してしまって最後もエリア内でCFをフリーにしてしまっていたのが1失点目。

2失点目も相手のロングボールに対して準備があまくボールをそらしてしまったところからファウルを与えてFKからの失点でした。

 

www.youtube.com

 

ただ、今節で言えばこの試合以上にピッチ状態が悪かったこともありましたが、ベン・ダンカンにボールを収められる場面はあれど最後のところはしっかりと守れているなど守備の安定は第1節からかわらずあったと思います。

特に後半はある程度愛媛を押し込んだ状態で相手陣での時間を増やせていました。ピッチに関係なく相手陣で時間を進められることなどもうまく4局面が回っている証かなと思います。

攻撃、攻⇒守、守備、守⇒攻の4局面で、自分が応援だったりよく見るチームはだいたい守備局面でうまくいっておらず、守⇒攻がスムーズにいかず良い攻撃につながっていないことがあります。

岡山戦は難しい時間が長かったものの、守備が崩れて攻撃ができないという時間は限定的であったと思います。得点数こそ6と物足りないものはありますが、チャンス自体は作れています。

第6節終了時点で失点5。試合数よりも少ない失点という、目標の45失点を十分に狙えるスタートであったと思います。この良い流れをいかに持続させられるか。横浜FC戦の後半のように格上の相手に対しても自分たちの時間をいかに長くできるか、など勝ち点55へ向けてのキーポイントになってくると思います。

その中でやはり「コンパクトな4‐4‐2」これが崩されなければ自ずとその時間は増えてくると思うので、今後も注視していきたいなと思います。

 

さあ、もう試合当日です。2時間前って・・・

今日から勝手に言っている第2ターム。小山会長のブログにもあったように12節でほぼ最終順位に近いところに位置をする傾向が強いです。いかにこの6節を超えられるか。クラブ規模や順位が近いチームとの対戦も多いのもこのタームの特徴です。

また骨太の相手との連戦が続く第3タームに向けてよい時間となることを願うばかりです。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

 

 

今日はあとがきなしです!

中2日でも能動的に。 ヴォルティス徳島vsレノファ山口@ポカスタ 2024年3月20日

公式3連敗&中2日でのアウェイ。相手は中3日での試合の対戦成績があまり芳しくない徳島。難しい試合展開が予想されましたが、1−2と見事に勝利!

オウンゴールで1点は失うものの総じてレノファペースで試合を進めるなど、難しい状況でも大き進歩と大きな勝ち点3を手にすることができたように思います。

では、今節について振り返って行きたいと思います。

 

1)大きかった相田と梅木の復帰と早い時間の成功体験

2)冴えた志垣采配

3)失点時のちょっとした雑感

 

得点者

徳島           山口

81分  オウンゴール   51分 野寄

             56分 ヘナン

 

1)大きかった相田と梅木の復帰と早い時間の成功体験

まずこの試合を振り返る上で外せないのが<強風>。昨年のアウェイ秋田戦のときのように割り切ったサッカーが求めれました。

志垣監督が試合後インタビューで仰っていましたが、本来は前半風上で戦って試合を優位に進めてから後半を迎えたかったようです。ただ結果論ではありますが、前半から五分以上の戦いをしてくれたこともあり、それが後半に繋がったのかなと思います。

また、去年のアウェイ秋田では風のほか芝の問題もありましたが、割り切って主導権をある程度諦めているような展開での勝利でしたが、今節は主導権は概ねレノファが握っての勝利と昨年よりも成長した姿も見せてくれました。

では、内容に触っていきます。

 

まずレノファが流れを呼び寄せたのは相手陣でのプレー時間を長くするプレー、ゲームプランだったかと思います。

最初の5分ほどは徳島に攻め込まれましたが、まずレノファが行ったのが下手に繋くことはせず相手陣内へボールをおくること。1分や4分で関がボールを持ったところで多少つなぐような素振りは見せるものの相田や平瀬が前線を指差しロングボールの選択をします。

また、5分にはスローインのセカンドボール争いのところでも長崎戦同様に平瀬が相手のCF16渡が落ちたところまでついていきます。ここは徳島にボールが渡りますが、平瀬がでていっても前やヘナンが後ろで準備ができているので、前が裏へのボールをカットし若月が収めて、新保へつなぎ梅木のヘディングまで繋げました。

開始5分で前線からのプレス。相手陣でサイドボールを奪ってのショートカウンター。これでシュートまで持っていけたのは大きかったと思います。上述したように中2日ということもあり、ハイプレスを行うには体力的にきついものがあったと思います。風下ですしリトリートしてゴール前に引きこもってしまったほうが体力の消費は抑えられたでしょう。ただ、今年は走るチーム。相手陣でボールを追い奪還することで早いうちに『今日もこのプレーはできるぞ』という成功体験があったからこそ、前半から積極的に行けたのではないかと思います。徳島にうまくいなされてボールを回されてしまったら、岡山戦のようにうまく行かない時間が長くなっていたかもしれなかったですが、見事ここで決定機まで持っていくことができました。

 

この試合キーになっていたのが出場停止明けの梅木。スタミナ的な事情も他の選手よりもあったかと思いますが、まず彼が存在感をしめします。

前半はほぼ繋がずにロングボールであったり、自陣からの相田のロングスローなどを使い相手陣へボールを送っていました。梅木が主に起点を作った場所は左サイド。徳島のRSB13西野のところでした。

身長を考えると西野よりも橋本のところを狙うかと思いますが、やはり考えるのは『新保にクロスを上げさせる場面を作れるか』などがあったと思います。また、橋本もそこまで守備が得意ではないですが、西野も元々FWの選手とのことでスピードはあるものの多少ふわっとしていたところがあったと思います。そのようなスカウティングもあったのでしょう。序盤から常に梅木を左サイドでボールを引き出していました。21分には関がペナルティエリア右でボールをキャッチしましたが、わざわざ左サイドへ移動しているシーンも有り、チームとして狙っていたと思います。

この左サイドに上がったボールに対してはほぼ梅木が競り勝つことができ、前半からここを起点にすることができ、レノファの時間を増やすことができました。前半40分くらいからはRCB3石尾が代わりに競るように徳島は変更してきましたが、梅木はそれもあまり苦にはせず、河野の決定機なども演出していました。

DF優位である空中戦勝率も62.8%と高い数値がでています。ちなみに梅木より高いのがおそらくヘナン77.8%、平瀬68.4%の2人。平瀬はグレイソンやEジュニオ相手にしていたことを考えるとかなり健闘しているなと思います。

(引用元:Jリーグ公式www.jleague.jp

前半のスタッツはボール保持率は徳島59%で山口が41%、パス本数も255本(成功率75%)と136本(57%)ではありましたが、つなぐことはあまりせず前線にボールを送り込み、セカンドボール勝負、徳島ボールになっても高い位置でボールを再奪回するというサイクルができていました。レノファのボール奪取位置は40mを超えており、決定機も多かったのは明らかにレノファでありました。

成功率が低いロングボールを選びつつもゴールに迫れた1つの要因として梅木の復帰は大きかったなと思います。

 

また、ボールの再奪還で効いていたのが相田でした。

昨年のJ3ボール奪取率上位、抜群の運動量という事前の情報通りの働きだったかと思います。6分に左サイドの流れたボールに対しての河野のプレスに呼応して14玄にプレスをかけるところから、14分にはアンカー位置の27島川へのゆるいボールと島川のCBへ戻すボール対して猛烈にプレスを掛けるなど所々で相田が強度を上げることで前線のプレスを牽引します。

16分のように相田がプレスのスイッチを入れ、徳島にかわされるものの再度河野が今度はプレスのスイッチを入れてボランチの相棒の池上が前に出ていけば、相田は真ん中を埋めるなど、なりふり構わず動くのではなく周りとの連動もしっかりと取れていました。

18分のプレスのところではヘナンがプレスに連動するように前に上がった際はヘナンの位置を埋めており、16渡、10杉本、17高田に対して、レノファは吉岡、相田、平瀬、前と構えることができており、もしヘナンが杉森にかわされたとしてもまだ備えることができていました。

また、そこからのスローインですぐにヘナンの位置でそのままボールを受けて、ハーフレーンに落ちてきた若月にすかさずパスを付け、そのまま上がっていき吉岡から再びボールを受けるとエリア内の梅木へ差し込むなど幅広く顔を出していました。

このシーンは最後は池上の決定機まで繋がっており、チームのハイプレスに対して彼が追うシーンもありますが、時には埋める役割もしてそこから試合を作るといった多くの場面でチームに貢献できるボランチだなと感じます。

田邉がルーキーながら色々なプレーができるなと思いましたが、佐藤謙介や池上も含めてもちょっと相田がこの位置では抜けているかなと思う試合にもなったように思えました。

 

2)冴えた志垣采配

連戦で出ている選手たちで、インテンシティーも高くやってくれている中で、後半に足が止まることは考慮しました。また、ハーフタイムで交代カードを切ることで、後半も3回の交代枠を使えますので、もっと勢いを持って入れるというところで交代をしました。(引用元:第5節 徳島ヴォルティス | レノファ山口FC

とインタビューにあるように悪くない前半ではありましたが、やはり中2日、ハーフタイムで動きました。

この試合での出力を下げないことや、次の試合に対しての吉岡や若月のコンディションも考慮されているでしょうから、まさに5連戦も総力で乗り切るような交代であったかと思います。

いきなり野寄が結果を出したほか、高橋がおそらく負傷欠場のなか板倉をRSBで試すことや最終盤河野に代わりジュニーニョを入れることでもう一度前線で収まるポイントを作るなど、的確な采配が行われたように思います。

後半は野寄を入れたこともあり、前半のような左サイドからの起点にこだわるでけでなく、つなぐことであったり、右サイドの山本をめがけてのハイボールなど、新保に〜という彼に負担がかかるようなやり方も変えていたように思えます。

志垣監督は相手のやり方を見てから動くよりも、まず先手を打つ。ただ、次の一手は相手の動きを一手、時には二手分くらい見てから動くようなイメージです。

岡山戦、徳島戦と交代選手が出る直前での失点が続いているのは気になるところではありますが、この試合は総じて先手先手で手を打てたように思えます。

 

野寄にはクロスには中に入っていけ、という指示やニアサイドを狙うという共通認識があったようで、これもバチッとあたったようです。

この場面では徳島のCBの2人が河野と梅木に付いて、山本には橋本がついているので、CB2人に対してレノファは野寄含めて3人があのスペースに入り込めていました。相田のボールも見事でしたが、CBに対して、数的優位であのクロスへ挑めたことなど良かったなと思います。

前半から若月や河野がゴールへ向かうプレーが多かったりと矢印がしっかり相手ゴールへ向いている場面も多かったなと感じる試合でした。

 

3)失点時のちょっとした雑感

断っておくのはこれは個人批判をするわけでもなく、志垣監督のやり方について批判をする意図ではないことを予め記しておきます。

まずボールを失ったところは相手陣の左奥。特に怖い位置ではないので問題ないかと思いますが、その後にボールを回されたところで多少レノファの選手は遅れ気味。

ただ、27島川にパスが出たところで山本がプレスバックで相田、梅木とともに奪う。梅木から板倉へ。

まず板倉がここにいたのは直前に交代で入った8柿谷がボールを逃がせる位置にいたことで左サイドまで付いていったと思われます。

そして3人で島川からボール奪い、板倉がここにいたからこそ梅木はボールをここに出せた。野寄も板倉がキープしそうなので、パスを受けれるよう多少位置を上げた。

ここで児玉が板倉からボール奪取。何人かの選手がおいていかれるような形でカウンターを受けてしまい、最後は不運形でオウンゴールとなった。

 

77分にコーナーキックの流れからやはり多少ハイプレスを仕掛けた時に板倉はセットプレーの流れということもあり、このときも左サイドまで出てハイプレスに加わるような形でプレスの陣をコンパクトするような立ち位置を取っていました。

ただ、このような動きは前も新保も行っていない。結果論で言ってしまうとあそこでボールロストがなければ、、、となるが、うまく児玉をいなせていれば「よくあそこでフォローに入ったな」ともなる。

また、70分くらいに右サイドの高い位置で板倉が攻撃参加をした時に志垣監督から「たける下がるな!追え!」といったような声が飛んでおり、ファーストディフェンスをしっかり行うことやそれに連動することは割と意識をしていたと思われる。

この失点シーンでは最初野寄が30坪井が明らかフリーでいたこともあり、右サイドを埋めるような形で戻っていた。また平瀬・ヘナン、ボランチにポジションを移していた前もある程度後ろにポジションは取れていた。

ただ、一瞬ボールを奪ったことでポジティブトランジションで前がかりになり、再度ボールを奪われてしまい、ボールを失ってから12秒位で仕留められてしまった。橋本への対応も平瀬が1対2のような形で難しいものとなってしまった。

Xの投稿でもともと板倉がここに戻っていることを選んでいればというたられば書いたが、特に選手や監督からもそのような指示は飛んでいるようにも見えなかったし、この場合ではあのポジション取りは正解であったかもと個人的には思っています。誤解を与えるような形になっていたら、すみません、その時はあの投稿消すようにします。

ただ、INSIDEで板倉自身が語っていましたが、「時間を考えてのプレーが大事だった」これに限るのかなと思います。一瞬一瞬判断をしてプレーする難しさ。プロの凄さがあるなと感じた失点シーンでした。

 

板倉が続けて「レベル高いというか楽しい、自分がプレーしてて。成長ができるなって思ったしチームに貢献できるようにしていきたい。試合に絡めてなかったが充実した時間で成長を感じられた。この壁を超えられたらもっといい選手に慣れると思った3カ月間」(意訳)と語っているのを見て、まだまだ成長してレノファに色々なものを還元してくれるのかなと今後に期待したく思いました。

 

関・平瀬・新保・前らは多少替えが効かない選手らも愛媛戦もでることが予想されますが、相田、池上、野寄、板倉等この5連戦で上げてきた選手もいるなど、このあたりはコーチングスタッフ陣もうまく選手のやり繰りができているのかなと思います。

例年通りレノファのベンチの選手たちも良い雰囲気でピッチの選手たちに声をかけているようにも見えますし、元気印の寺門の役割もヒョンチャンが担っていそうで若い選手たちが頼もしい年になりそうです。

愛媛戦はまた荒天のようですが、ホームで勝ち点3。連勝を期待して、この第1ターム勝ち点10で追えられることを強く願って東京から声を届けたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

 

 

 

 

さて、そろそろこのあとがきも違うことを書きたいのですが、いくつかセットプレーのことを今回も書いてみたいと思います。

長崎戦のあとがきで触れたCK時の守り方。これはあの通りでしたね。今節はメンバーは変われど、ファーポストに一人配置をして全員ゾーンで守ってました。これでしばらくCKからの失点がなくなるといいなと思います。

 

で、2点目についてです。

レノファはだいたいいつもCK時にはエリア内に6人の選手を構えてエリア外に3人といった形(1−6−3)。

その他の形でいうと時々ショートコーナーを狙うようにしますが、それでも6人はエリア内に配置します。エリア外は2人。今節でいうと新保がキッカーで池上がショートコーナーでよっていき、新保がオフサイドになったシーンですね。このときはおそらく(2−6−2)

中の並びは都度違うんですが、大体若月辺りがGKの前に立つんです。特に新保のアウトスイングのボールに対してGKがでてくるのを多少邪魔するように。秋田戦の梅木のゴールの時も若月がいます。

ただ、ヘナンのゴールのときは誰も立たなかったんですよね。確か前半は若月がいたし、ヘナンのゴール後も板倉だったかなキーパー前にちょっと行くような素振りをしていました。

もしかしたら、相手GKスアレスがあまりアウトスイングのボールにでてこない、というスカウティングがあったのかも。で、6人でこの場面では梅木、ヘナン、平瀬にはマークを付けて、ゾーンの選手含めて結構人がいそうなところにあえて蹴ったのかもしれないですね。全部想像です。妄想のレベルに近い。笑

僕のセットプレーの情報は85%くらい下記の本からのインプットなので、興味がある方はこちらを読んでみるのも良いかもです。セットプレーだけの本なのでちょっとおすすめしにくいですが。。。ではでは。

https://www.amazon.co.jp/%E5%85%83AC%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%B0%82%E9%96%80%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%81%AE%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E6%9C%80%E5%85%88%E7%AB%AF%E7%90%86%E8%AB%96-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%AA/dp/4905349303

相手CBを動かすための矢印 レノファ山口vsV・ファーレン長崎 @維新S 2024年3月17日

 

雨が降る中の第4節。前節の岡山戦での敗戦をホーム2連勝として流れを変えたかったレノファ。

しかし結果は0-1の敗戦。セルフジャッジが絡んだミスとなってしまいました。誰がゆるめたというわけでもなく全員がゆるんでしまったことで、ボールホルダーへの寄せ、囮になった選手へのマークの引き渡しなど全員の指示が止まっていたようなところを突かれてしまいました。

良い試合をしても勝ち点は0。例年よく聞くフレーズではありますが、内容としては良いものを継続して発揮できており、戦う相手に対しての微調整などもできているので、あとは得点をとること。次節以降期待したいと思います。

では、今節は振り返っていきます。

 

1)ハイプレスとミドルブロックの使い分け

2)両SBを上げての「2」への攻略

3)動かせなかった長崎のCB

得点者

山口         長崎

なし         32分 マテウス・ジェズス

 

1)ハイプレスとミドルブロックの使い分け

今節対戦した長崎はこれまで対戦してきたチームと割とやり方が違っていました。しっかりとこの3節を見ていないので、予測の範囲ではあるのですが、4-3-3のフォーメーションでポゼッションベースのサッカーを目指していると思われ、レノファはルヴァンカップで行っていたようなハイプレスを試みるような布陣を守備局面で敷きました。

ゴールキックでは試合序盤こそ、長崎のアンカー17秋野に対して、若月・山本の両CFが中央に寄り秋野を抑える形でCBへ出て行く形を取っていましたが、前半途中からCH田邉と佐藤を縦関係にして、田邉を秋野にそのまま充てる形に。
長崎も最初は繋いでいましたが、雨の営業があったのか15分すぎには無理してつなぐことを選ばずにゴールキーパーからロングキックを選択します。

長崎がIH6マテウスをツートップのような位置に置いて、CF11エジガルジュニオが落ちたり多少左右に動き、このロングキックに対して競りますが、ここはほぼどこにいても平瀬が対応。浅い位置にエジガルジュニオが移動しようが追尾していき、相手に起点を作らせないようにします。

 

セカンドボールが長崎に行ってしまっても、ここからこの年のレノファの代名詞4-4-2ブロックを構築していきます。

長崎は4-3-3でWGが割としっかり幅をとる形。これまで4-4-2で最終ラインはあまり動かさないようにしていたレノファでしたが、この試合WGに対してはSBが積極的に出て行っていました。そしてSBとCBの間はCH佐藤や田邉が埋めました。

失点シーンではセルフジャッジをしてしまった以外にも、米田がマテウスから前貴之のマークを外すために、ポケットをとるような動きをしたことで前がそちらへ吊られてしまい、中の面々もシュートブロックに遅れてしまっていました。

そして、失点後は多少長崎の時間になっていましたが、Eジュニオなどもこのハーフレーンに入り込んだり、マテウスらも引き続きここを突くことで徐々にレノファのブロックもズレていきます。どうしてもマテウスやEジュニオには2人などで付いていくこともあるので、別の場所が空いていきます。それがバイタルエリアでした。

立て続けに秋野にミドルシュートを狙われ、その後もマテウス、Eジュニオのフィジカルに苦戦をするシーンも有り、下記SPORTERIAさんのゴール期待値の推移ですが、得点直後から多くチャンスを作られてしまいました。

ただ、試合を通してみれば概ね危ないシーンはつくられていなかったと思います。負はしましたが、これはしっかり今年の特徴をだして戦えていた証左と思います。

 


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次は前半の攻撃の局面について。

長崎は4-3−3を基本フォーメーションにしてましたが、ボール非保持はマテウスを1列上げて4-4-2のような形。秋田戦同様にレノファは新保を左肩上がりにさせるような形を取ります。

後ろDF3枚とダブルボランチ2枚のレノファに対して、長崎は4-3−3のままでマークに付けばフォーメーション通りにバチッと形はハマるのですが、それはせずに4−4−2を保っていました。

この長崎に対して、レノファはこれまた秋田戦同様にCH田邉や佐藤がLSBの場所に落ちつつ、河野がCHの位置に落ちることでLSB飯尾を釣り出してその裏を狙う場面が早速6分にでました。流石に何度もやっているプレーなので、長崎もこれは対策済み。

11分にはやはり田邉が落ちて新保を前に上げますが、新保がパスを出そうとしたところでキャンセル。やりなおしを選びます。おそらく新保のジェスチャーから察するに、CF及び河野が同じ狙いで動いたと思われます。誰かが裏抜けをすることでCBを引っ張るので、その分CBの前が空くのでそこに落ちてこないといけなかったのが動きが被ったと思われます。このあたりはちょっといつものユニットと違ったためか。

26分にはよく左サイドでやる河野が落ちたその裏、というものを右サイドでも繰り出します。吉岡が落ちてLSB米田を吊って、山本がその裏を突きます。いくつかやり方を変えながら長崎ゴールを狙っていきます。

この試合は一旦攻めようとしても、やりなおしを選べるほどレノファはボールを持てました。理由としては、この数試合割りとアグレッシブにボールを奪いに来るチームとの対戦が続いてましたが、長崎はむしろ引いてしっかり守るチーム。前二人は多少ゆるいと感じましたが、後ろ8人は強固にブロックを気づき、粘り強く守っていました。

この多少ゆるい2人と崩せなかった後ろ4人についてはそれぞれ第2項と3項で触れていきたいと思います。


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2)両SBを上げての「2」への攻略

上記した通り長崎のぼーる非保持は4-3−3の形にはせず常に4-4-2でした。前半時々後ろ3人に加えてCHが最終ラインへ落ちる動きをしていましたが、これは秋田戦でもやっていたのでなんとも言えないところですが、長崎が4-3−3にして前線3人で来たときに備えて、可変させつつも最終ラインを4人にして長崎の前線3人のプレスに備えて、一人余らせるようなことを想定していたかもしれません。

ただ、長崎はその形(4-3-3のプレス)をやらず。そして前2人のプレス貢献度はあまり高くない。これがわかったことで後半のレノファのやり方が変わりました。今まで後方でパスを捌く側にいたRSB前をRSBとして高い位置へ上げます。後ろ2枚になるところには後半替わって入った相田や田邉が時折落ちること後ろを3枚にして片方はアンカーの位置で長崎の4-4-2の「2」を牽制します。

この形をとるころで「2」の脇からレノファは前進をすることができるようになっていきます。

そして前がミドルサードからアタッキングサードへ侵入することで吉岡、若月らと共に右サイドを攻略していくことでほぼ長崎陣内で後半時計を進めることができました。

左サイドは河野がFWのようにエリアへ侵入することなどもあり、新保が孤立するような状態も散見され多少バランスが悪かったものの、相手陣深くまで行くことができていたので、長崎のクリアしたボールに対してもボムヨン、平瀬も積極的にボール回収するために持ち場を離れて積極的な敵陣でのボール奪回を狙います(ネガティブトランジションの局面)。

時に相手陣内でのサイドチェンジも出すことも増え、縦にも横にも相手をずらすことを狙っていきます。前を上げることや相田の投入で運動量とロングスローを駆使しつつ、4局面を長崎陣内で回すことに成功はしているもののなかなか長崎ゴールを割れないレノファ。時間だけが過ぎていき徐々に自分たちのスタミナのほうが切れていきました。f:id:cross_reno:20240320002132j:image

3)動かせなかった長崎のCB

個人的に攻め込んでいてもなかなか難しいなと思った理由が長崎のCBをあまりゴール前から引きずり出すことができず、クロスもしっかり跳ね返されていたことが要因の一つであったと考えています。

まずこの試合通じてクロスが跳ね返される、クロス自体をブロックされる場面が多かったと思います。何故か、長崎の守備ブロックの外からのクロスが多かった。

確かに後半特に右サイドを攻略ができていたようにも見えましたが、しっかりシュートに行けたのは54分の前が奥をとってからのクロスで相田のボレーシュートがありましたが、その他のクロスは残念ながら届いていませんでした。

72分のようにハンドっぽい場面はあったものの、それ以外はエリア内への侵入はなかなか叶わず。上で触れたサイドチェンジも長崎のブロック自体はスライドしますが、ボールに触れてスローインにされてしまったり、そもそもレノファの選手自体もなかなかフォローに間に合っておらず、新保が三笘薫なら別ですが彼が孤立することが多く、なんとかしようという彼の思いとは裏腹にスタミナの消耗からプレーの精度が落ち、最後は足も攣ってしまっていました。

それもこれも長崎の4−4ブロックの献身性があったからと思います。特に増山、加藤など2列目の選手もサボらず戻り、ブロックの中にレノファが侵入することさえもなかなかさせてもらえませんでした。ブロックの中に入れなければ、長崎ゴールへレノファは矢印を向けることができません。

58分のようにうまく関のクリア(パス)を相田→田邉→若月とつなぐもなかなかゴールへの矢印が向かない。68分も前からエリア内の若月へ差し込みがありますが、ここもすぐにクロス。70分のカウンターではエリア前まで行きますが、ジュニーニョは一度泊まる選択をし、吉岡と息が合わず。75分もカウンター時にジュニーニョが相手を引いたところに河野が中を取りますが、吉岡の選択はサイド。とチームとしてつなぐ意識、狙いなどは共有できていそうで、ファイナルサードに入ったところで矢印がゴールに向かわない場面が続きました。

矢印がゴールに向かわなければ、CBは引き出されずゴール前で構えた状態でクロスの対応ができますし、長崎の選手たちもしっかりエリア内に多くの選手を戻しクロス対応をすることができていました。

では、どんな場面で長崎のCBを動かせていたか、

開始1分。特に形を作ったというよりもセカンドをしっかり拾って繋いだ河野のミドルシュート

38分の佐藤から山本への裏へのパスで山本が抜け出して、LCB田中を引き出してドリブルで交わして若月へシュート性のクロス。

69分吉岡がカットインで中へ入っていき、若月がエリア外へLCB田中を吊って、河野がその裏へ入り込み吉岡のパスを引き出し、RCB29新井が河野へついたことで生まれたスペースへ加藤潤也がエリア内へしんにゅうしたところへヒールパス。残念ながらここはIH加藤大の見事クリアにあってしまいノーゴール。

といったように、如何にCBに対して攻撃ができ矢印をゴールへ向けられるか。たぶん風間用語なので他の言葉が僕はわからなく表現しにくいのですが、

長崎に意図的に外循環にさせられたわけではないですが、レノファが外循環で進んでしまったことで、ボールは長崎の怖いところから遠ざかっていたように思えます。CB位置でもう少し勝負をしたかったなと思う試合になりました。


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ビルドアップを目的にするのではなく、ゴールを目指していく姿勢も見られたと思いますが、最後を割れなかったですので、アタッキングサードの質だったり、相手にとって脅威となる背後を狙って攻撃を進めていくことがさらに必要になってくると思います。(引用元:レノファ公式

と志垣監督が残しているように相手に「脅威を与えるプレー」。これを徳島戦以降増えていくといいなと思いました。

前が言うように相手の立ち位置を見て、ボールを相手陣で回すことやそのうえで組織的に守ることなど昨年からの上乗せはしっかりあると思います。この2連敗を引きずらずに連戦を乗り切ってもらいたいと思います。

けが人も戻ってきました。まだまだこれからですよ。負けていられません。

次こそは勝ち点3ですよ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

[お写真:トリバンさんよりいただきました @jtki2004]

 

 

今回のあとがきはまたセットプレーの話題を2つほど。

コーナーキックがこの試合長崎に1本しかなかったので、試行回数が1回なので断言はできませんが、前節から修正があったと思われます。

横浜FCの森や岡山の柳にマンマークでついていた田邉を今節はゾーンに組み込みました。田邉は新保がいたところに入り、新保はファーポストへ。おそらく前回柳に田邉がついていてもものともされていなかったり、ファーサイドのケアが弱いと見てこのような形にしたのかもしれません。

徳島戦以降どうなるか見てみたいなと思います。

 

また、ちょっとスローインで面白かったシーンを。

14分に新保がスローインをするのですが、田邉が長崎の増山をちょっと押すんですよね。ただ、新保が投げれなくて審判に注意を受けているところで、田邉が河野にジェスチャーで落ちろよと言っています。おそらく増山をバスケットボールのスクリーンのように邪魔をして、田邉が空けたところへ河野が落ちて、スローインをもらおうとしていたのだと思います。

やり直しのところでは、見事に河野と若月が同じ動きをしてお互いに邪魔をするような形になり台無しに。笑

ただ、上で書きましたが、38分のところのチャンスはこの田邉が増山をスクリーンをして河野がおちて、平瀬へボールを逃がしたところから始まっていました。

きれいに決まるとこんなふうになるんですね。という面白い対比的な場面でした。

よろしければ見直してみてください。

ではでは。