レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

なんとも術中にハマった感がある。徳島ヴォルティスvsレノファ山口@ポカリスエットS 2022年8月27日

人数が少なくなっても勝ち取った勝ち点3。なんともこれがなかったかのように感じてしまう敗戦でした。

今年3度でしょうか、維新劇場がありました。ただ、それを相手にやられただけ、とも言えますが、シーズン終盤勝ち点が1でもほしいこの試合で、最終盤に勝ち点が取れなかった。このことが精神的なものにも響いてしまわないかなと勝手に憂いております。うまく切り替えてほしいです。

では、今節は下記について考えたいと思います。

1)徳島の5バックへの変更

2)徐々に運動量が落ちていったレノファ、落ちなかった徳島。

得点者

徳島           山口

28分 エウシーニョ    65分 高井

90分+5 内田

 

1) 

この日のレノファは変わらずボール保持時は3-4-2-1、ボール非保持は5−4−1。対する徳島はボール保持時は4−3−3。ボール非保持は4-4-2のような形で入りました。

レノファは水戸戦と同じような形5−4−1で中を固めて、岸田がアンカーの白井を消しながらコースを制限しボールを奪うことを考えていたと思います。しかし、岸田がコースを消しつつもなかなか後ろの4人の脇、特に右サイドのエウシーニョがボールを引き出しては縦につける、もう一度戻して中へ。など内田・カカと共に揺さぶりをかけてき、なかなか矢印を定めることができず、徐々に白井のところでもボールがサイドに振られるようになります。またここでもエウシーニョが桑原に対して兒玉(杉本)・西谷とともに起点を作り、攻め込んできていました。

一方レノファのボール保持の局面、山形や水戸とある程度菊地が浮く形を相手の対応のまずさなどもあり作れていましたが、今節の徳島はそうはさせてくれません。もう一つの逃げ道の桑原のところもRSBエウシーニョがジャンプして対応をしてきたこともあり、序盤は徳島にショートカウンターをくらうこと場面が散見されました。そうするとCF岸田めがけてのロングボールが増えますが、岸田は梅木ほど収められないのに加え、この日は沼田がなんとなく岸田からは遠く、3連敗していたときのようにCFが孤立している状態での展開が続いてしまっていました。

ただ、時間が経ち18:15の佐藤健だったり、24:30のシーンくらいからでしょうか、徐々に田中渉落ちてきてビルドアップに加わるシーンが出てき始めます。このような落ちるプレーを混ぜつつ前進ができ始めていました。展開として痛かったのが「レノファに流れが来るかな〜」と思った矢先で失点を喫してしまいました。

20分あたりからだったでしょうか、レノファがミドルゾーン辺りまで進めた際に、徳島LWG37浜下が最終ラインへ落ちて5バックの形を取っていました。

そして徳島は得点を取ったあたりから、山口のビルドアップ開始時から浜下を落として5バックとなりました。ポヤトス監督が試合後コメントで出されいたものを以下引用。

相手は前線の右サイドへダイレクトでボールを入れてくると予想していたので、それをコントロールしたかったからです。また、当初は前線に張っていた20番の選手(田中渉選手)が、途中から落ちるようになり1対2を作られていたことも要因です。もうひとつ、連戦の中におけるフィジカル面も考慮した上での判断です」

上記の田中渉の動きと同様に前節の菊地からRWB吉岡へ行っていたようなボールへのケアのため、この5バックを取ったとのこと。また連戦の疲れなども考慮に。

この徳島のシステム変更で彼らは多少前から奪いに来る動きが減り、後ろを固めて前線は中へのボールはやらせないような布陣となります。

しばらくは寺門や菊地がボールを保持するも桑原のところにはエウシーニョ、サイドチェンジをしても浜下が吉岡を離しておらず(31分や41分)、相手の出方を見る時間帯が続きました。流石に外循環だけでは厳しいので、34分には渡部→田中へ縦パス。ただ、ここは徳島の包囲網の中なので、捉えられてしまいました。しかし、35分今度は桑原が佐藤健がこの中に入り、自ら持ち上がり田中とのワンツーで深い位置まで侵入しました。また42:20ではスローインの流れから渡部→佐藤謙。沼田が徳島の「3」の脇に降りることで徳島CB6内田を釣り出し、そこへ田中渉が侵入しボールを受けシュート。決定機とまではいきませんでしたが、前半のうちに挽回しはじめた状態で後半へはいりました。ただ、徳島としてはある程度引いて守ることで前半を0に抑えて折り返すことができたとも見ることができる前半でした。

 

2)

やはり先制されているレノファとしてはギアを上げて得点をあげることが必要となります。そのため後半開始から取った策は前からのプレス。前半は岸田が孤軍奮闘というかそれぞれの息があっていないような状態でしたが、後半は高い位置からコースを限定しグループとしてプレスを掛けていきました。ただ、それは徳島も同じ。前半開始のときのようなお互いテンポの早い時間帯が続いていきました。

そんな中、最初のカードを切ったのがレノファ。高井と成岡の投入でした。成岡が入ることで後ろからのボールを引き出して前を向くプレーなど去年相模原で見せていたプレーを出していきます。もう少し高い位置でもこのプレーが出ると彼の真骨頂が見れそうです。

また高井を入れたことで岸田よりもより攻撃という指示がベンチから出されました。そんな中で生まれたのがあの素晴らしいFKでした。ここで畳み掛ける!という雰囲気ではありましたが、64分の嵌めたと思ったが沼田の股を抜かれて抜け出されてしまったところ、69分のカウンターから田中から吉岡へ渡ったところも、前に人がいなかったためかすぐに吉岡はやり直しを選択したところ、71分の高橋から中間ポジションの成岡へのボールがずれたところなど、ここぞというところで精度が落ちてしまい、流れを完全にレノファにもたらすことができませんでした。

そうこうしているうちに、失点直前に徳島は櫻井、田向、一美を後退で入れており、形を5−2−3、5−4−1のような形に変えておりました。この交代で元気になっていったのが7白井。櫻井が入ったことで彼に後ろでボールを捌くことを任せることもでき、持ち前の運動量を活かしてレノファの左サイドへ出ていくシーンが増えました。

また、前半途中から割り切った戦い方をしていた徳島。まだ白井のほか、西谷や兒玉などキーマンの選手たちにまだ違いを出す力が残っており、徐々にレノファは80分以降攻撃を受けてしまう展開が増えてしまいました。特に白井にセカンドボールを拾われることが多く、正直ここで白井を上回れる選手がほしかったなと(前という選手が。。。)

そのため最後のCKへの流れもこの10分徳島の時間帯であったこともあり、試合最終盤に起きても仕方なかった失点ではあったと思います。

徳島はこの試合初めての左CK。インスイングで来るボールはレノファは初めてでした。FKでは変化を加えられてあわや失点シーンというのもありましたが(59分)、CKは仙台戦の高木のニアサイド、と同じでした。児玉の話では、あのカカに当てる形はよくやっているとのことで、やはり警戒をして然るべきものであったと思います。

80分以降前から行くことが難しくなり受けてしまったレノファとは対象的に守備でリズムを再度取り戻しギアを上げることができた徳島。前半得点後からの5バックでの守備、後半に入っても的確にギアをあげていったポヤトス監督。アクセルは踏みっぱなしだったレノファ。踏んだまま突き抜ければよかったのですが、そうはうまく行かず。ミスをつく余力を残していた徳島。このあたりが勝負を分けてしまったのかなと思います。

 

では、何ができたのか?この試合でレノファデビューをした成岡。ボールを受けては前を向く・運ぶ・捌くなど期待を抱かせる選手でした。例えば60:48のFKの流れで、一気に相手のファーストライン、セカンドラインを飛ばして高井へ出したグラウンダーのパスは見事でした。試合終盤、レノファの攻撃は出てきている徳島のセカンドラインの脇を狙ったロングパスが多かったと思います。もちろん相手が出てきているのでWBが競り合ったあとのフォローなどもレノファのシャドウのほうが取れている場面もありました。ただ、そこから徳島へサイドに圧縮されたまま中へ出せない。こんな展開がありシュートまで持っていけなかったと思います。84分の池上へ出したラストパスなどは池上自身が悔しがっていたようにとても面白い狙いでした。

折角成岡がいるのであれば彼を使って持ち運んで相手を引き出してから中を使うなど、工夫があっても良かったのではないかと思います。前同様にボランチに機動力を持たせてくれる存在なので、W佐藤のような役割ではなくもう少し彼の個性も活かせたら良かったかなと思います。85分の桑原が抜けたシーンで並走する佐藤謙でしたが疲れなどもあってか、後ろでのフォローになってしまいました。しかし、ここで成岡あたりがもっと顔を出して受けていれば、後ろではなく横で受け、より相手ゴールへ迫るプレーが出せたのではないかと思います。

高井が最前線にいたこともあり、裏抜けがなかなか活かせなかったと試合後コメントにありました。解説の方も高井や吉岡がよく裏を狙っていると画面外の動きに言及もされてました。この動きを活かせなかったことで、CFですが高井は降りてきてしまう、サイドに開いてしまうなどボールを貰いに行く動きが増え、彼がゴール前でシュートを打つシーンを作れませんでした。後ろから最前線にいる彼にボールを届けることがこの試合では求められていたかと思います。梅木がもしかしたら怪我?で岸田と高井のみ(高木もいると思いますが)となるなら、より彼が降りて来ないようにし、ゴールを奪う仕事に専念させてあげなければなりません。

なので最後92分の成岡のクロスは合わせたかった。というか、中の兒玉と高井が同じ動きをしており、もったいなかった。。。それかもうワンタッチ中へ運んでも、、、

クロスといえば前半など深い位置を取った際は迷いなくクロスを上げていましたが、後半池上が入ったあたりからファイナルサードではより足元で受けたがる選手が増えたこともあってか、まったく見れなくなったのもどういう指示をベンチは与えていたのかなと気になるところ。もちろんニアゾーンをとることができていた前半でももう一歩インサイドへ切れ込むなどして中とタイミングを合わせる、相手をもう一つずらすプレーがでないかなとも以前より書いてますが、出していってほしいです。あ〜悔しい。。。

 

さ、悔しがっても試合はやってきますし、なんと断片的にしか知らないのですが、J2にもアウォーズができるとか?田中渉に年間ベストゴールを取ってもらいましょう。しっかり残留して胸はって取ってもらいましょう。

次節横浜FC、町田と上位は続きますが、水戸戦同様相手の形を見て崩すところまで行けていますし、臆することなく勝点を取りに行ってほしいですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)