レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

相手にとって嫌な動きだったのは?レノファ山口vsツエーゲン金沢@維新 2022年9月14日

勝点40に到達。とりあえず残留に向けて最低ラインには入ってきました。

今節はなかなかエンジンがかからないところで、小野原の特上の恩返し弾を食らってビハインドの展開。しかしここをあと少しで勝点3を取るところまで持ち込めました。

理想は逆転で勝ち切ること。仙台戦や横浜戦のように追いつくところまでは今節もできたし追いついた時間も以前よりも早かったし、交代策で逆転への道筋を作るところまではできた。

前向きに捉えて今節も振り返ってみたいと思います。

 

1)何とも言えない前半

2)5-3-2の「3」を動かす

3)5バックの両CBを動かしてそこを突く

得点者
山口               金沢

63分 前             36分 小野原

 

1)何とも言えない前半

レノファの並びは3-4-2-1。ボール保持では佐藤謙がLCBに落ちる形。4-3-3を形成。対する金沢はベースは4-4-2。ボール非保持時は4-4-2のように見えますが、山口がミドルゾーンに入る辺りからは18CH小野原がRCBの位置に落ちて5バックを形成。5-3-2のような形になっておりました。マンマーク強めの金沢ですが、特に強かったのがレノファ24成岡ー金沢19豊田と、19沼田ー18小野原の組み合わせでした。豊田は背中で成岡へのコースを相方の20林とともに消すとともに、強めに成岡へプレスバックを行うことで自由にさせず、小野原は沼田に対して前を向かせないようにときにはボランチ位置まで上がって潰すなど徹底をしておりました。

試合は見れていないのですが、何試合かは3バックのフォーメーションを金沢が敷いていたとのことなのでこのあたりはフレキシブルに行っていたのかと思います。

金沢のボール保持についてはシンプルにレノファのサイドのCBの裏へボールを蹴ってくるパターンと右サイドのRSB5松田を浮かして、RSH13大石をやはり裏へ走らせてそこでポイントを作るようなパターンがありました。

特に後者はプレスがハマらなかったと名塚監督がおっしゃっていましたが、沼田にしても橋本にしても捕まえるのが難しい位置にRSB松田がポジションを取っており、RSH大石もレノファの最終ラインに対して3トップのような形でCBを牽制し、LWBの橋本に対しても前に行かせないようないやらしい位置取りをしていました。28:30のところのように39庄司に沼田が付き、5松本に橋本が行くも間に合わず、橋本の位置が空いてしまったので、なんとか佐藤謙がカットをしましたが13大石が空いたスペースに走り込んでいました。もちろん34分のように橋本がでなければ松本が持ち上がることもあり、難しい対応を迫られていました。

 

一方で、ボール非保持の場面では、連戦の影響もあったためか金沢は前から行くというよりかはミドルゾーンに引き込んでからのカウンターを狙いたように思います。CFの2人はアンカーの成岡を消しつつ外へ誘導。立ち上がりの3:45あたりの佐藤謙から沼田へ渡ったボールのように、中間ポジションを取った沼田への縦パスから橋本・池上とつながるシーンはありましたが、上述したように沼田には小野原が厳しくマークに付きなかなか前を向かせてもらえず。

その他の場面でもコメンタリーのお二人に指摘されてしまっていましたが、「裏を気にしすぎている」「一本槍」といった調子で裏は狙うも金沢に狙いを読まれており、そのボールをカットされカウンターや右サイドへ丁寧につながれるシーンも見られました。沼田に比べて池上は割とフリーとなっておりましたが、右サイドをえぐった1本くらいで、左サイドからの攻撃が65%であった前半のスタッツでは試合に絡める時間が少ない状況でした。そんな中で決まってしまった小野原のロングシュートは波に乗れていないレノファにとっては厳しい一撃となりました。

 

ただ、それでも金沢がうまくやった前半であったかというと、どちらかというと金沢だが膠着状態の中一発ゴラッソが決まった。といった前半であったと思います。参考までにですが、前半の両チームのゴール期待値は0.4以下。ゴールに迫るというよりもペナルティエリア内でのシュートはなかなかできてなかった前半でした。

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そして後半です。

後半開始直後高橋のパスミスからカウンターなど金沢の良い時間が出てくるかな?といった雰囲気もありましたが、まず守備で橋本が松田を捕まえられるよう高い位置を取る形を取りました。また全体的にもラインを高くしていたのでカウンターを食らってしまいそうな局面でもセカンドボールへすぐにチャレンジすることで、マイボールへするシーンもでてきました。

そしてそのセカンドボールをとった時など、前半ではすぐに裏へ蹴ってしまっていたボールを後ろへ戻してやり直すことや、時間を作って味方の陣形を整うのを待つなど急ぎすぎないことでペースを手繰り寄せる事ができたと思います。

 

2)5-3-2の「3」を動かす

ちょっと話が戻りますが、ではなぜ金沢は5バックを敷いたのか?

レノファのここ数試合成果が出始めている攻撃として、両ウイングバックが高い位置をとり、クロスやニアゾーンを取るプレーが多くなっていると思います。

例えば

横浜FCの2点目はRWB吉岡のクロスのこぼれ球をLWB橋本が大外から折り返した。

・3点目は左サイドから佐藤謙→高木とサイドを変えてからのクロスの流れ。

・町田戦は梅木からハーフスペースの成岡へ。意図とは違いましたが梅木がエリア内からのクロスで沼田。

など、大外のウイングバックをうまく活かつつ、クロスやニアゾーンをとるなどしゴールへ迫る場面があったため、金沢は5バックで幅を埋めてしまおう。シャドーを経由する時はそこは潰してしまおう。ということで小野原を下げた形になったと僕は考えております。もちろん僕が考えているだけであっているかはわかりません。

ただ、後半の形としてあったのが

・いつものように佐藤謙が落ちなくなって成岡と程よい距離でプレーできていた。(途中からまた落ちてはいた)

・高木のインサイドへの位置取りと両サイドのCBの周りへのアプローチ

があったと思います。

まずひとつ目はここ最近のお決まりですね。前半は佐藤謙が落ちて4-3-3。後半は3-4-2-1のような形でビルドアップを始めます。佐藤謙と成岡が横関係になった際に主にアンカーについていた13大石は片方の選手には付きますが、徐々にもう片方のボランチが空き始めそこから敵陣でのパスが回りはじめました。主に大石と藤村がそれぞれ佐藤謙と成岡を敵陣では見ていましたが、ここに前や沼田、橋本が絡むことで徐々にマークがはずれる選手が出てきました。

2つ目は吉岡がスタメンの際にはよく見られてましたが、RWBがインサイドでプレーをすること。人をマンマークで捕まえる金沢に対して高木が時折インサイドに入ることで、RWB高橋が上がる位置を確保する他、マーカーのLSB2長峰がなかなかついていきにくいところにいるためフリーで受ける場面が出てきました。(両サイドのCBについては後述。)

多少強引ですが、この2つの動きが実ったのが先制ゴールに繋がったファウルをもらったプレーです。

佐藤謙はここではLCBのところに降りていますが、成岡が独力で相手を剥がします。8藤村が付いてきますが、そのマークは苦にせずターンをして前線の池上へつけます。このパスで金沢の中盤3枚は池上のところへ。池上は生駒へ落としますが、画面外で高木は池上がいたシャドーの位置、インサイドへ移動。そして高橋がマーカーの松本が外れていますので、右サイドを駆け上がります。そこへ生駒からグラウンダーのパス。多少トラップは乱れますが、この時フォローに来ている高木はフリーであり、局面としては2対2であり相手背後にはスペースが。当然のようにワンツーで抜けようとした高橋を松本が引っ張りFK。成岡のパスを起点にポジションチェンジで大外からのクロス。山口が狙った形でFKを獲得した場面でした。

後半に入りボランチのところでパスが回せ始めていましたが、同サイドで行うことが多くなかなか大きな展開にはなっていませんでしたが、この場面では縦パスを交えつつサイドを変えていき、縦にも横にも金沢の「3」のスライド、この場面では主に松本ですが間に合わなくさせ、セットプレーからの得点で同点となりました。

 

3)5バックの両CBを動かしてそこを突く

そしてここからレノファとしては珍しくと言っては失礼ですが、交代選手でブーストが掛かります。シャドーの2人を交代させます。

その前に多少沼田に言及させてもらいます。小野原にうまくやられたというのもありますし、彼の特徴が特に生きるポジションではないので、求めてしまうのは厳しいとは思いますが、もう少し相手陣内で前をむくことやしっかりボールを捌くことが今後も求められるかと思います。12分の池上へのパス、23分の成岡へのパスなど違う選択肢、もしくはプレーの精度をあげていくことが、今後のこの位置で沼田が輝ける一歩になるのではないかと思います。前節のゴールや56分の場面で得点の匂いを嗅ぎ分けるのはこの試合シャドーで使われた4人の中では随一なので、まだまだ伸び代と思って見ていきたいと思います。

話戻して替わって入った田中渉と高井。この2人の特徴としてボールがもてることがあると思います。田中渉は佐藤謙が下がっていても、成岡と共にボランチエリアでボールを受けてさばけます。そして高井は2列目でそのボールを受けること、人を使うこと・使われることができます。

そして交代直後からゴールに向かうシーンが見られました。64分にはRWB高木のツートップ?というようなポジションにいたかと思えば、65分は左サイドを佐藤謙→橋本で破り、最後はエリア内で高木のシュート。

そして後半何回か似たシーンが見られたなと思うのが、LCB35孫大河の空けたポジション、右サイドのニアゾーンをとることが一つあったと思います。

66:35高木がタッチライン際でボールをキープ、田中渉が孫大河のマークを連れて背後を狙います。この時佐藤謙は後ろに戻すよう指示をしていましたが、ここが空いたのを見つけすかさずそこへランニング。高井が反対サイドから小野原をつれてきてしまったこと、高木のパスが弱かったこともあり、ここは繋がらず。

更に67分。やはり同じように高木が持ったところで田中渉が孫大河を連れて裏へランニング。やはり彼が付いてきているので、右のニアゾーンが空きます。そこへ田中はヒールキックで高井へパス。エリア内へ侵入します。

反対サイドでも同じようにCBを攻略します。68分高井が落ちてボールをキープ。RCB18小野原は橋本に付くため場所を空け、梅木がCB庄司を背負ってポストプレー。田中渉が小野原の位置を突きます。最後はシュートまで持ち込みます。どれもゴールとはなりませんでしたが、相手のCBをずらしそこへ侵入していました。

おそらくこの流れを嫌がったと思われ、柳下監督はCBの孫大河を交代させます。しかし76分。佐藤謙が田中渉が落ちていたこともあり、シャドーの位置へランニング。成岡をマークしていた毛利は松本へこの佐藤へ付くように指示を出しますが、松本は動けず。柳下監督からはCBの庄司が3黒木とともに梅木に付いてしまっていたためか、「庄司ー!庄司ー!庄司ーー!!!」と大声を出していました。ここも庄司と長峰の間に大きなスペースができておりました。ここは毛利にパスカットをされてしまいましたが、5バックを敷かれようとも縦パスを交え「3」を動かし、「5」も人の動きで場所を空けそこを突く。名塚監督の試合後インタビューの「押し込んだあとの背後の取り方は修正しました。」(引用元:renofa.com/archives/result2022/kanazawa-36/)とありましたが、このあたりが前半ではなかなか出せなかったところだったかと思います。

残念ながら勝ち越しゴールに至ることはできませんでした。何度最後の精度という言葉を聞いたかなと思いますが、やはりここに尽きるのかなと思います。あと6試合どこかで爆発する試合を見てみたいと次節以降に切り替えてもらいたいと思った一戦でした。

 

さて、本当は今日の橋本くんを書こうと思っていたのですが、もう5000字になるのでこれはまた何か別の機会がなにかにしようかなと思います。

で、台風なんですね!沖縄!てか日本縦断とか!悪天候のなかなうえ、中3日の難しい試合になるかと思いますが、この勢いのまま勝ち点3を期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略)