レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

いつの間にか柔軟なチームに。Vファーレン長崎vsレノファ山口@トランスコスモスS 2022年10月15日

天皇杯甲府が初優勝。横浜FCが自動昇格を決め、中村俊輔が引退。

なかなかトピックスの多い1週間でしたね。ただ、レノファの長崎戦初勝利も僕達にとっては大きなトピックスだったと思います。

久しぶりのジャッジリプレイでとりあげられるようなシーンも有りつつも見事な零封勝利だったと思います。

今節は下記について考えていきたいと思います。例のドロップボールの件も僕なりの考えも書いております。

 

1)オプションではなく本命だった4-2-3-1

2)柔軟に構えられた3-4-2-1

3)ドロップボールについて思ったこと

 

得点者

長崎           山口

なし           16分 田中

 

1)オプションではなく本命だった4-2-3-1

前節の大宮戦の後半から採用した4ー2ー3ー1のフォーメーション。シチュエーションとしてはアウェイ栃木戦のときの3-4-2-1と同じですね。うまくいった形を引き続き採用。

長崎の選手の言葉をいくつか引用。(引用元:Jリーグ公式)

19澤田「(練習では3バック想定だったが)4バックで来たので、もうちょっとそのへんを考えて試合に入れれば良かった。」

とあったように長崎側で想定外のようでした。また「相手のほうが距離感が良いし、単発でプレスに行ってもサポートの選手が近くにいる。それもあってプレッシャーには行きづらかった」(同)とも。

この試合レノファは初めての4-2-3-1スタートでしたが、名塚監督の言うようにやり方は変えてない。と仰っている通り、今までやってきたことをやっていたと思います。

・ボール非保持時は前からコースを限定しながら、高い位置でのボール奪取を狙う。ミドルゾーンでも最終ラインは高めに設定。

・ボール保持時には後ろからつなぐことを第1としつつも、梅木へ当てるボールや、裏へ抜け出す動きも混ぜる。両サイドは幅をとることでサイドチェンジも混ぜつつニアゾーンへの侵入を狙う。

・攻⇒守のトランジションについてはボールサイドの選手はボールへの寄席、その他の選手は自陣への帰陣を徹底。

・守⇒攻のトランジションはまずは遠いところの選手を狙う、難しければやり直し。

とざっくりこのような今年取り組んでいたことが出ていたと思います。

特に前半流れをレノファ側へ引いてきたのがボール非保持時のプレスが挙げられると思います。

長崎の13加藤大のコメントで「ちょっと寄せられるとSBに出してしまう。そこでSBが止まって詰まってしまうことが多い」というのがありました。ん?なんか聞いたことがあるようなフレーズが。。。

おそらく長崎を意識していたと感じたのが、両SH16吉岡と32高井のプレス。

田中渉を梅木と前線に並べて4-4-2の形を作りました。長崎はダブルボランチのカイオが多少上がり目でアンカーの位置に6鍬先を置く形に対して、梅木と田中はこの鍬先を消しつつCBへプレス。ここで吉岡と高井が長崎のSHや加藤がハーフスペースの位置でボールを渡そうとするところをまず消してから、長崎が仕方なくSBへ出してから一気にそのSBへ寄せていました。0:20の吉岡や29分の高井のプレーがそれです。

今回は「やられてしまう側」ではなく「やる側」。しっかりと長崎に対してプレスができていたと思います。まあ自分たちが今シーズンよくやられていたので、しっかり相手にもやれていましたね。笑

長崎はおそらく後半に入ってからはGKから飛ばしてSHに入れたりしていたので、このプレスを嫌がっていたのかなと思います。

また、ボール保持時でも長崎の意図を外すことができていました。「プレスの掛け方については前日にやったのですが、実際に試合に入ってみて、選手の配置としてちょっと難しいなと感じたときに行くのを止めても良かったかなとは思いました」(加藤)

とあるようにレノファと同じく長崎も敷いていた4-4-2のフォーメーションの「2」の脇から持ち運ぶことができており、そこから相手を揺さぶることができており、人に強く突き気味にプレスを掛けてくる長崎のズレを突くことができていました。

 

2)柔軟に構えられた3-4-2-1

先制点のセットプレーは田中渉がインタビューで答えたとおり、武石コーチの狙い通りだったとのこと。個人的には24分のコーナーキックもおすすめです。いつもGK前にいる高井ではなく、吉岡がここにおり、瞬間で相手を置き去りにして佐藤謙とワンツー。そこからファーに上げて、渡部が割返して生駒。このとき中にいた高井がエリア外でこぼれ球に備える人員になっているんですよね。田中渉も構えており、ある程度こぼれ球想定にしていたのかなと。生駒もこぼれた途端に手で高井の方を指しているので、ほら来たよ!といった感じではなかったかなと。シュートが枠飛んでいれば!といったシーンでした。

 

で、個人的に最もチームが成長したなと思ったのは、後半34分からの3-4-2-1への変更。長崎が個の力を中心に攻撃を仕掛けてきました。特にエジカルジュニオの高さを交えつつ、山崎や加藤がおりてボールを引き取ったりとなかなかプレスがはまらなくなっていました。そこで渡部の談話です。

「(プレスを)行け行けで押し出すと、そのあとの攻撃につながるパワーは残せなかったと思います。うまく後ろで守ることのほうが今日は優先だったと思います。前線の選手で奪えなくても、後ろの8人は落ち着いていて、スライドも間に合っていました。ショートカウンターでの背後のケアをするというところも集中してできていたと思います。」

とあるように、割り切って長崎の攻撃を受けていたこと。多少崩され始めても5-4-1のような形で後ろを固めます。前線の交代で入った選手としてはもう少し攻めの形もしたかったと思いますが、コーナースポットのところでボールを保持(通称:鹿島る)するなど、今まで終わり方が良くなかった試合の教訓が活きていたようでした。

シーズン当初に使っていた4-3-3。攻撃でも守備でもうまく行かなくなってから変えた3-4-2-1。前節は「3」の脇や裏を使われていましたが、渡部がラインをコントロールしていたり、割り切って5-4-1のような形になり、相手へスペースを多く与えなかったことで、スキを与えませんでした。

相手を見ての攻撃で先制し、試合終盤は割り切っての守備とバタつくレノファはどこへ?? 【あの】長崎に初勝利。お見事だったなと。

 

3)ドロップボールについて思ったこと

さて。まず、主審を批判することはありません。先に書かせていただきます。

ジャッジリプレイを見た後にいくつかの試合を見ました。バルサビジャレアル、エルチェ対レアルマドリーレアル・ソシエダマジョルカなど流し見ですがコーナーキックの場面を見ました。

長崎戦を裁いた先立主審含めて4者4様の立ち位置だなというのがまず率直な印象。ただ先立主審のような立ち位置の主審は多かったです。もちろん、MCの桑原さんが「あまりエリア内にいないようにする」という旨のことを仰ってましたが、バルサ戦だったかな、エリアの中にも入っていらっしゃってました。

いくつか見てる中で思ったのは、審判の立ち位置って難しいなと。先立主審は割とオーソドックスなのかな、副審と同じ側の視線・視界にならないようにペナルティアークの左脇にほぼ立っていらっしゃっていました。後半一発目の長崎の右サイドのCKでも左脇にいました。スペインの審判も同じ位置。ただ違う試合の主審はアークの中にいる場合もありました。

ここに攻撃側の選手の立ち位置も関係してきますので、どの位置で見るかなど主審の方はそれぞれのシチュエーションで判断するので、同じシチュエーションというのはないので都度選手同様審判も対応をしないといけないんだなと。

悪意のある言い方すると、おそらく先立主審は13加藤大選手の位置を掴めてなかったのかな、と思います。それもそのはずあのシーンではショートコーナーで近寄っていた選手ではなく、23米田選手がゴールエリアのところからレノファのゾーンをぬって、グラウンダーのボールを引き出し、加藤選手へ落とすかなり虚を突くプレーだったので、まさかここにボール来るの?といった具合に難易度は高かったのかなと思いました。

家本さんの「レフェリーはポジションにすごく気をつけないといけない」平畠さんの「選手だってポジション間違えますよね?」中村憲剛さんの「レフェリーの人もポジションを取り直している」というそれぞれの立場での言葉は興味深いなとジャッジリプレイを見直しました。

ただ、フォロワーのぽんたさんのご指摘で気づいたのですが、ドロップボール時に敵味方問わずボールのところへ立った人から4m離れないといけない、というルールはこの場面では見過ごされていたのかなと思います。もし、レフェリーブリーフィングでこのシーンが取り上げられた場合はしっかり結果を確認したいなと思いました。

ルールっていつの間にかかわっているし、難しいですね(笑)

今回は先立主審に疑問を抱くツイートなどもしてしまっていましたが、これをきっかけに色々と調べる機会になりましたし、より審判に対してのリスペクトや考察も増えそうだと思う出来事でした。ただ、山形対岡山のような再戦騒動は勘弁ですし、審判委員会でも審判や各クラブへの周知をしてもらいたいなと。先の山形での一戦のおかげでやばくてバックパスをGKは手で扱ってもDOGSOにはならないって皆学びましたからね。

ペナルティエリア内のドロップボールはゴールキーパーへ渡すことになる、なんてルール全くしらなかったですし。学びですね。

 

さて、島屋と眞鍋の契約満了が出てしまいましたね。島屋は試合絡んでほしいなと思っていたのですが、2度目の退団寂しいです。眞鍋もことしから1桁の背番号をつけてこれからのレノファを支える人になってほしいと思っていただけに、意外な退団でした。もしかしたら、選手側から。。。いえいえ要らん邪推ですね。

さあ、なんか試合前までにまだいろんなニュースが出そうな予感ですが、まずは目の前の1戦、ホーム最終戦に勝つこと。セレモニーなどはそれが終わったあと考えましょう。

今節は見事な勝ち方でした。千葉戦もしっかり勝ち点3をとりこのチームの集大成としてほしいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

文中敬称略