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アルゼンチンvsサウジアラビア

90年イタリアワールドカップのアルゼンチンvsカメルーンの時もこのような

インパクトだったんですかね。

ここまで苦戦を超えて大苦戦をしていたアジア勢の3番手で登場したサウジアラビア。相手はワールドカップ優勝候補の一角のアルゼンチン。winnerの2−1でサウジアラビアが勝つ確率は36.1倍だった模様。下馬評通りに行かないワールドカップ。面白いですね。

さて、ささっと思ったこと下記のとおりです。

1)及び腰にならずに、相手陣での即時奪回(ファウル)、サイドバックを交えた攻撃。

2)ラインをあげることでアルゼンチンが選ぶサッカーを制限した?

 

 

1)及び腰にならずにサウジアラビアの色は残して。

ポーランドサウジアラビアの試合のレビューを書くにあたっていくつかのサウジアラビアの試合を見ていた時の感想が下記の3つ。

サイドバックが頻度高くあがる。

・前4人のこの突破力がある。センターバックはじめ速い選手が多い。

・時々前線のプレスバックなどゆるさが見られる時がある。

 

この試合でサウジアラビアはハイラインを敷いてきた。アジア予選のときに比べてもかなり思い切ったラインと感じた。イランがイングランド相手に5-4-1を敷いてかなり重心を後ろにしたのと好対照だった。

各識者の方々がおっしゃっていたが、ハイラインにするもアルゼンチンの最終ラインに制限はかかっておらず、アルゼンチンCHパレデスやデパウルらが1枚最終ラインへ落ちて、後ろを3枚にしたところでは、サウジアラビアの11アルシェハリ、7アルファラジでは1枚足りず、ボールの出どころは割とフリーになってしまっていた。この構図はイングランド相手にベタ引きをしてしまい、ミドルサードイングランドに制限をかけることができず「4」の位置をずらせれてしまったイランのように、ボールの出どころを抑えられなかった失敗例になるように思えた。現にオフサイドの新システムに救われるシーン含めて得点にはならなかったが、3回ネットは揺れていた。

ただサウジアラビアがイランのようにならなかったのは、アジア予選でも同じように行っていたサイドバックを絡めた攻撃を、ワールドカップの舞台でも行っていたことのように思う。

試合全体で打ったシュートは3本。2得点目の前に打たれたシュートが3本目だろう。打てたシュートもあの5分だけであった。だが、効果的であったとは言い切れないが、前半から両SBアブドゥルハミド、アルシャハラニは臆することなく、オーバーラップを行っていた。奪われれば即時奪還というよりも即時ファウル。相手陣に人を送り込むことでアルゼンチンのカウンターを最低限に抑えていたと思う。

特に好印象であったのはRSH9アルブライカン。アルゼンチンのCF22ラウタロ・マルティネスが左サイドの大外レーンへ開く際は、ハーフスペースに位置を移したLSH17パブゴメスのマークをアブドゥルハミドに任せ自分は5バックのような位置まで落ち、ボール保持になれば右サイドの体を張る担当として時間を作る役としてチームに貢献していた。

運も働いたオフサイドでの得点の取り消し、不運な?PKで1失点はするも、狙い通りのオフサイド奪取など自分たちのやるべきことは成し遂げられてた前半だったと思う。1点ビハインドは想定内。ハーフタイムでのサウジのロッカーでは「いけるぞ!」といった声が出ていたのではないかと思う。

そしてあの逆転劇が生まれた。

1得点目は相手陣でのボール奪回。23ケンノと8アルマルキの日本戦でもおなじみの2人でボランチ。このシーンではアルマルキがCB17アルタムバクティとメッシを挟んでボールをとりすかさず前線へ。9アルブライカン⇒11アルシェハリと縦に速い選択をし一気にゴールを陥れた。

そして2点目はロングボールをアルブライカンが競り、抜けたボールをRSBアブドゥルハミドが拾い、数分前同様にドリブルで持ち上がりクロス。18OHアルアビドのシュート含め2度跳ね返されるも最後は10アルドサリの見事なフィニッシュ。

結果論のような書き方で恐縮ではあるが、劣勢になりながら前半からナイフを研ぐようにサウジアラビアは自分たちの形は繰り返せていたと思う。それが結実した90分であったと思う。

 

2)ラインをあげることでアルゼンチンが選ぶサッカーを制限した?

最近のアルゼンチンの試合を見ていないので、何とも言えないのだが、本来はもっとショートパスを交え崩すチームであったと思う。しかし、サウジアラビアにハイラインを敷かれたことやオフサイドで取り消されながらも何度かネットを揺らせていたことでアルゼンチンとしては自動的に狙いは【裏抜け一択】とゆうかたちになってしまっていたのではないか。

もちろんこれでアルゼンチンが勝っていれば「裏抜けもできるしバリエーション豊かなアタッカー陣」といった称賛のされ方をしていたかもしれない。ただ、負けてしまった今アルゼンチンはあれで良かったのか?となってしまう。

序盤こそ13CBロメロがニアゾーンを取るシーンがあったりと、大外から斜めのボールの差し込みであったり、メッシのフリックなどあったが、時間を経るごとにディマリアが開いたところに後ろからのロングボールといったような大味な狙いになっていたように思う。サウジアラビアの最終ラインと同じところで4人が並ぶ時間帯も多く、【ライン間】【相手をスライドさせる・ずらす】といったような言葉は出てこない状態に。

次戦は試合巧者のメキシコとの対戦。どうなるかは見ものである。

 

7試合(決勝)を戦うことを考えているアルゼンチンとグループリーグ突破を目標としていると思われるサウジアラビアとのコンディションの差はあったっと思う。ましてやアルゼンチンは1週間前に各国のリーグ戦を戦い集合しているような状態とちがい、サウジアラビアは1ヶ月入念にキャンプを行っていたようなので、初戦の仕上がり具合というのはだいぶ大きかったのではないかと思う。

だからこその金星でありワールドカップの醍醐味なんだろう。

いきなり「1強とその他」と見られていたCグループが想像つかないグループになった。大会3日目。多少順当な結果が多くなるのかと思われていたところに、いきなり鋭いスパイスを効かせたサウジアラビアには拍手と感謝を送りたい。

 

 

ただ、僕はメッシにワールドカップをかかげてもらいたい。。。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)