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また去年の繰り返し?? ツエーゲン金沢vsレノファ山口@維新 2023年3月19日

今節は選手自身も言っていましたが恥ずかしい5失点での負けでした。カウンターばかり食らっての5失点。心折れて山瀬のゴールまでもたず、DAZNを消してしまった方もいたのではないかと思います。

ただ、落ち込んでも、前を向かないとトップ6にはいけません。今回は下記2つについて考えていきたいと思います。

 

1)河野がスタメンで五十嵐ベンチで、前が上がって高木が下がること。

2)2人の共存はあるのか。

得点
金沢        山口

18分  林     20分  吉岡

40分  奥田    94分  山瀬

68分  奥田

75分  加藤

83分  杉浦

 

1)河野がスタメンで五十嵐ベンチで、前が上がって高木が下がること。

今節2つのトピックスがスタメン発表のところであったと思います。

河野がスタメン、五十嵐がベンチスタート

右サイドバックで高木が先発、前は左サイドバックに。

まず河野と五十嵐の2人がスタメンとベンチで立場が変わることについては4-3-3または4-2-3-1をやる上で、前節河野のゴールがあったこともあり、入れ替わることは想像ができたところだと思います。

ただ、彼らのできるプレー・得意なプレーが違うためどのような生かし方をするのか、という不安や期待も同様にあったかと思います。

五十嵐は後方からのボールなどでも前を向いてゴールを目指せるスキル。

河野はゴール前で発揮される万能な攻撃性能。

これらがあると思います。五十嵐についてはゴールやアシストこそないものの、レノファに昨季よりないものをもたらしてくれているタレントであると思います。そんな五十嵐をベンチにおいて起用される河野に求められること、それは単純にゴールや相手ゴール前での驚異を与えることであったと思います。では五十嵐が担っていた役目は誰がするのか?別のやり方をしていくのか?それが試合前に注目したところでした。

今季のレノファの基本フォーメーションは4-3-3。ただ、結局相手のやり方を見て4−2−3-1も使用しています。どちらの布陣をとってもビルドアップの流れとして五十嵐がDFやアンカーからのボールを相手のライン間で受けてウイングへボールをつけることをある程度前進の仕方として採用しているレノファは金沢戦どうしようとしていたのか??

 

まずキックオフ時の人の配置から。

4節までは右サイドの吉岡や田中をターゲットに生駒からロングボールでスタートをしていました。3節には皆川を大外において、彼をターゲットにするなど右サイドをまず意識をしたキックオフの形を見せていました。

しかし、今節は皆川を左サイドに置き、LWG松橋のほか、LSB前をハーフウェイラインにおいてのキックオフから始まりました。そしてやはり生駒は左サイドへのロングボール。この様子からレノファのこの日の意向が見えていたかと思います。左から攻める。

今節の相手金沢の非保持の陣形は4-4-2。アンカーの佐藤をCF2人で見ながら、というオーソドックスな形を引いてきました。ここでレノファが取った策はCBの2人がある程度幅をとり、GKの関や佐藤・矢島がCBの位置に入る3バックのような形をとりました。

そしてその中でよく見られた形は金沢の「2」の脇(CFの脇)からボールを運ぶことでした。

これはLSB15前がRSB18高木に比べて高い位置を取っていたことが起因していました。前のマーカーである金沢RSH14石原は試合開始から30分くらいまで、マークをするためにポジションを下げてしまっていました。CF15奥田の脇のところへ生駒が運んだり、矢島が落ちた際にここへ石原は出ることができなかったため、ここでうまく起点を作れておりました。ここからレノファから見て左サイドの奥へ松橋や皆川を走らせるようなボールを送り、序盤チャンスを伺っていました。特に矢島が印象に残っていると思います。

この矢島にCH17梶浦などが出てくれば、13分や27分のように皆川がこの金沢のCHが空けた位置に落ちてくるなど、五十嵐が位置どりそうなところを皆川・松橋が埋めるような動きをしていました。

また、LSB前も前線でコンビネーションで崩すようなプレーも見え、左サイドへ押し込んだところで前も加わることで厚みをもたせようとしていたと思います。(ただ、この流れから1失点目を喫したのはなんとも皮肉めいたものではありました。)

時間が経つにつれ、金沢のボール非保持時の14石川の位置が高めに設定をされます。やはり上述したところから運ばれることが多かったため、38分のようにCFの2人に並ぶくらいまであがることで、スペースを埋めて対策をしてきました。

そして後半見られた形がLSB15前のボランチ位置へのポジションチェンジ。矢島が左側に落ちたと思ったら前がアンカーの位置へ移動。そして佐藤がそれに合わせて位置どりを変えていました。前がボランチ位置へ入ることで、この中盤の位置で相手よりも人を多く割き、後ろからのボールに対して受け手を増やすことや、相手のマークをずらすことをしようとしていました。前節の金沢の対戦相手である岡山のLSB43鈴木がこのプレーを開幕戦からしており、それを模したものだったかもしれません。個人的には前のアドリブに見えましたが、52分には生駒から河野へボールが入ったり、57分には生駒に14石川がついたので彼の背後で前がボールをもらおうとしたりと、この位置で崩すことを試みていました。

しかし、これが開幕から五十嵐や小林が担ってきたビルドアップ時にCBからボールを引き受けるような動きの代わりになっていたか?というと疑問符がついてしまいます。ロングボールで相手の背後をつくことは一定の成果は出していましたが、五十嵐からスタメンを取った河野の良さが全く引き出せていなかった。時間が経つにつれ、「ロングボールを蹴ってくるなら前から行かないで後ろで構えます。リードしているのうちですから」といった具合に金沢が前に出てこなくなってしまいました。

前半のようなロングボールでの解決もできなくなり、形を崩したり、選手交代をして後ろからつないでの前進を試みても、ひっかけられてカウンターを受け続けるという時間を過ごしてしまいました。

 

そしてもうひとつこの試合で、残念だったのが右サイド。その右サイドの吉岡の談話を引用します。

攻撃面ではもっと高木選手の動きを生かすような自分の動きはしたいです。ローテーションしていくことが少なかったので、もっと流動的に二人で崩せればと思っています。 引用元:第5節 ツエーゲン金沢 | レノファ山口FC

とあるように、もともと運動量を生かしたプレーが特徴の高木。ただ、彼の良さは全く出ない状態で試合の多くの時間が費やされてしまいました。吉岡はその他にも後ろからの高木のコーチングがやりやすかったと言っていましたが、本職ではない高木の裏を幾度となく使われていたのも事実です。ボール保持でも高木がサイドを上がっていくというよりは、後ろでパスコースを探すような場面があったりと高木の個性を光らせるような場面はなかなか訪れませんでした。

正直この試合、選手の個性と布陣が噛み合っていたかと言われると、結果論ではありますが噛み合っていなかったと言わざるを得ないと思います。確かに左サイドの前が起点となり、2得点が生まれました。ただ、そこを活かすためにチーム全体のマネジメントやバランスは適切であったのか?と言われると怪我人などの台所事情はあると思いますが、選んだ策は難しいものであったのではなかったかと思います。輝く選手がいる一方、我慢をする選手のほうが増えてしまった、というのが僕の印象です。

 

2)2人の共存はあるのか。

あまり負け試合にこの2人の名前を並べたくなかったのですが、やはり今節の負けについて駄目だったことをずっと述べるよりも、河野と五十嵐の今後の起用方法について考えてみたいと思いました。

3節のいわき戦で河野がベンチ入りして揃って試合のメンバー入りをし、4節では河野がゴールをあげ、この同世代の2人がピッチに同時に立つ時間が今後あるのではないかと期待する方は少なくなかったと思います。

そして今節後半17分から35分にかけての18分にこれが実現しました。1点ビハインドの状況であったため、中盤でアンカーに矢島を据え、IHに河野と五十嵐を並べました。多少小林と田中も低めの位置でこの2人に関わるような動きをしていたので、形は同じですが、4-1-4-1のように思えました。

五十嵐が入った直後はまだLSB前はボランチのような動きをしていましたが、徐々に五十嵐がボールを運べるようになってから、また左サイドにとどまるような形になっていきました。前が中盤で頑張るよりは五十嵐が運ぶことで、より高い位置で前はプレーすることを選んだのかと思います。そして最もこの若者2人の見せ場となったのが66分の河野の決定機であったと思います。

生駒からのボールを五十嵐が納めて、高い位置の前へパスを通し、小林が前とスイッチしボールを一気に金沢陣深くまで持ち運びます。そしてクロスを送り、河野に決定機がおとずれました。結果を考えれば64分の皆川のシーン含めて同点にしておきたかったところですが、五十嵐の前を向く・つなぐ能力と河野のゴール前での質が出たシーンでした。

この直後に失点をし試合展開が難しくなったため、評価としては中盤で被カウンターの制御(カウンタープレスなど)が効かなくなった、というまず守備面での大きなマイナスを下す必要はあると思いますが、一方で攻撃面ではより多くのゴールに迫る機会は作れたのではないか、と感じました。皆川は割とゴール前で構えるのではなく、サイドに流れたり、ポストプレーのために落ちることも多いため、その分ゴール前が手薄になります。そんな状況でも河野がゴール前に加わることで単純にゴールに迫る人数は増え、この66分のシーンは生まれました。

ただ、これが継続して採用されるのか、というとやはり疑問符が。上述したように守備の局面で河野と五十嵐をはじめ、もう少しチームとしてネガティブトランジションのところで相手をつぶすのか、またはカウンターに備えて人の配置を考え直すなどの工夫が必要になっているかと思います。やはり矢島、河野、五十嵐となるとさすがに攻撃にバランス振りすぎ、ゲームの世界ですか?という感覚にもなります。ビハインド状況であったりそもそも並びを変えないと共存の機会はないかなというのが率直な感想です。でもみたいですけどね。夢があるというか、期待しかないというか。

 

去年も橋本が上がった後ろのケアをどうするのか、というのをシーズン中に突き付けられ、回答が出せないままずるずる過ぎ、ようやく28節で3-4-2-1にたどり着きました。また同じ道を歩みかねないように思えた金沢戦。さて、次節藤枝戦はどうなるか。

維新は勝つ場所。そろそろ五十嵐君にも目に見えた結果がつくことを期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)