レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

連敗しているチームだからこそ レノファ山口vs藤枝MYFC@維新 2023年3月26日

2連敗で迎えたホーム藤枝戦。藤枝は開幕2連勝からの3連敗と、互いに連敗をしたチーム状況で迎えた1戦でした。

結果は0-3でほぼ完敗の内容でした。「恥ずかしい試合をした」と前節も選手談話で出ていましたが、果たしてチームとして前節をどのようにとらえていたのか?どこか次は修正できる、といった甘さがあったのではないか、と勘ぐってしまうような内容だったと思います。

試合内容に入る前にいくつか藤枝の須藤監督と渡邉選手の言葉を拾わせてください。

 

須藤監督アライバルインタビュー

入りをしっかりする

須藤監督試合後インタビュー

負けがこんでいる状況で自分たちのスタイルを崩さず、勇気を持ってプレイするのが大事だった。選手が信念を持って前半プレーしてくれた

 

渡邉選手ヒーローインタビュー

「3連敗してて苦しかっったが、原点立ち返ってやるべきことをやろうと話していたのがこういう結果に繋がった」

「アウトボールのときもひたすら声かけあって、90分通して守りきれた。チーム全員の勝利だと思います。」

渡邉選手Jリーグ公式コメント

「3連敗しているときは15分までに点を取られて後手を踏む状況が続いてしまっていたので、まず先制点を取れたというのは非常に大きかった」

引用元:【公式】山口vs藤枝の選手コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年3月26日):Jリーグ.jp

 

と、「自分たちのやり方に立ち返る」といったどのチームでもよく耳にするフレーズかと思います。ただ、この談話を考えると藤枝としては3連敗の反省として、自分たちのやり方云々ではなく、試合の運びとして

・早い時間に点を取られない

・点を取れば追加点を取り、試合の優位性を保つ

このことをあげていたと読み取れると思います。当然といえば当然の内容ですが、この2点についてレノファのミスをしっかり突き、完遂したこと。対してレノファは前節のようなことがありながら、またも自分たちで試合を壊してしまった(生駒談)。

この試合に対しての向き合い方がそもそも藤枝に負けてしまっており、試合内容もお粗末な前半になってしまったのではないか。。。

前置きがかなり長くなってしまいましたが、今回は下記2点についてです。

1)ハマらなかったプレス。トランジション局面での敗北

2)3-4-2-1の完成度をあげるのか?

得点者

山口         藤枝

なし        7分 渡邉

          32分  渡邉

          86分  矢村

 

1)ハマらなかったプレス。トランジション局面での敗北。

藤枝の並びは3-4-2-1。3バックは後ろで3の形を取ることもあれば、サイドのCBが前線へ上がることでGKと残りのCBでビルドアップをする形もあるチーム。レノファに比べると、より人を動かして立ち位置をとる印象のチーム。

この藤枝でまずキックオフのところから今節は違うところを見せてきました。

解説の中島さんがおっしゃっていたように左サイドに4人並べて、後方にさげてロングキックで左サイドに展開か??とレノファ守備陣が藤枝から見て左寄りになるので、意表をついてRWB24久保へ展開してきました。

このプレー自体も特殊なやり方かと思いますが、僕が見た藤枝のいくつかのキックオフはDFラインへ戻してそこからショートパスで組み立てる方法を取っていました。昨年や見てない節でこの意表を突いたプレーをしていたかもしれませんが、このプレーを見る限りこの試合藤枝はRWB久保を意識した展開になることが予想されました。案の定、久保は試合開始からドリブルで前に対して優位性を発揮しており、レノファとしては難しい試合の入りを強いられました。

対するレノファの布陣はは4-3-3。ボール保持の局面では矢島は金沢戦に比べれると高い位置にいたかと思います。並びとしてはこんな感じ。

アンカーの佐藤謙介に藤枝のワントップ9渡邉がつき、両CBにはシャドーの8岩渕、10横山が。それぞれSBには藤枝のWBがつくなど、マンツーマンでしっかりはめ込んできていました。序盤としては関を混ぜて後ろを3枚にする。矢島が左に落ちてボールを引き取る。藤枝の前線の守備陣を越して皆川などにつけるなどの策を取っていました。

レノファの狙いとしては藤枝のWBが高い位置を取っているので、その裏へロングボールであったり、細かいパス交換からWB裏へ抜けるようなプレーを狙っていきました。主な例としては14:50の関→皆川→小林とつないで、小林のドリブルからペナルティエリア付近でFKを取った場面が挙げられるかと思います。関がある程度序盤からつなぐことはあまり考えずにロングキックを選んでいたこともあり、がっちりはめ込まれてしまっていることもあり、ボールを敵陣に送り込むことを選んでいたと思います。

で、敵陣にボールを送り込んでどうするか?1番良いのは前線の3人がボールを納めてくれること。そこから攻め込めばいいです。では第2は?となると相手陣でボールを奪うことが挙げられます。名塚監督がアライバルインタビューで「しっかり奪いに行く」と仰っていたように、ボールを失ってもすぐにカウンタープレスをかけてボールの再奪還し、そこから再度攻撃をすることを目的としていたと思います。ロングキックで打開してきても生駒・松本とある程度対人には強い2人で迎撃ということを想定していたかと思います。

 

15分くらいまでは藤枝のGK北村のロングキックがずれるなどボールが回収できていましたが、レノファの攻→守にうつる局面(ネガティブトランジション)のところでこの「奪いに行く」ができなくなります。

原因としてレノファ自身のロングボールを使ったところのプレー精度が上がらなかったことが挙げられると思います。ロングボールを受ける皆川らがプレーをするスペースを作るために、藤枝の3列目をある程度レノファ陣に引き出そうと中盤の3人(佐藤・矢島・五十嵐)は自陣で落ち気味になります。そのため皆川らのプレーエリアは広がりますが、中盤との距離感が生まれます。そのため、いわき戦でもありましたが、皆川らが収めきれないとセカンドボールを相手にとられてしまう状況ができてしまいます。

失った際にレノファの選手の距離感が悪ければ再度ボールの回収は難しく、藤枝にボールがわたるシーンが続いてました。

 

またレノファが狙っていたような敵陣でのボール奪還を反対に藤枝にやられてしまうシーンが増え、ボールを前線に運ぶことも難しくなっていきました。これは渡邉のインタビューであった「味方との声かけ」に通じているかと思います。

そんな中、ファウルのように見えなくもないですが、またミス絡みで2失点目を喫しました。そして完全にレノファの守備が効かなくなりました。

 

問題点としては名塚監督も挙げていたように右サイド。皆川・五十嵐・吉岡が誰のマーク付くのかが定まらなくなっていました。

32分のところでいうと、維新スタジアムのメインカメラが引いてくれないので、プレー後の選手の動きでの予想になりますが、おそらく藤枝のシャドウ?が同サイドに位置どることで高橋の他、吉岡の位置を下げる。そうするとLWB榎本が空き、五十嵐は榎本に付けばいいのか、LCB鈴木に付けばいいのか迷ったようなポジションになってしまいました。皆川はCH6新井についているので、藤枝のCBのところにはほぼノープレッシャーになっておりました。

皆川もCBに付きに行こうにも新井であったり、杉田を離すことになり、ここに矢島や佐藤がジャンプして付きに行くのかなど、迷っているような仕草でした。

藤枝のセンターバックに規制がかからない、かけられない状態になることで、レノファで言えば、前節の矢島が金沢のツートップの脇に落ちて、裏へロングパスを供給していたような状態。この低い位置からではありますが、ボールの供給源を作られてしまうことで、藤枝はショートパスをつないだと思えば、ロングボールで大きくサイドを変える展開も織り交ぜるなどレノファは防戦一方に。なんとか押し返そうとプレスをしようにも藤枝のサイドのCBに対して構造的にプレスがかけられず、ここからボールを逃され、前半終了まで防戦一方となる15分となってしまいました。

 

じゃあ、プレスにいけばいいじゃん!ということにはならず、プレスに行けばどこかが空きます。

この前半で言えば藤枝のダブルボランチの一角を皆川が抑えていましたが、藤枝のシャドウの横山、岩淵であったり、ボランチの杉田が運動量を生かすことで、レノファの空いたボランチ周りを使われてしまうことにつながります。なので、行きたくても相手のスペースにスペースを与えてしまう。。。行かなければ鈴木らが持ち運んだりロングパスも出したりとやられてしまう、、、といった状態でした。

 



2)3-4-2-1の完成度をあげるのか?

そしてレノファが後半から3-4-2-1にシステムを変更します。後ろを3枚でビルドアップを安定させるというよりも、前線の形を藤枝のシステムに合わせることがまず主目的だったかと思います。

藤枝の3バックに対しては皆川、五十嵐、小林が付き、WBにはWB、CHにはCHとそのまま形を当てはめました。こうすることでだいぶプレスについては改善がされたかと思います。名塚監督は3-4-2-1の並びについてはオプションとして持っているのことでした。もともとどのようにプレスをするかの準備はしていたとのことでしたので、吉岡が初めての左サイドというイレギュラー対応はあったものの、ようやく藤枝に対してイーブンの体制にはなったと思いました。

ただ、残念なことに得点が0-2でありました。後半の試合展開事態はイーブンに思えましたが、やはり追いかける側のレノファには焦りからかミスは頻発します。WBは高い位置をできる限り取ろうと、吉岡・高橋は前目のポジションはとっていましたが、後ろを重くしている分、なかなか厚みのある攻撃を繰り出すことはできませんでした。

例えば52分のシーン、ミドルサードまですすみ、藤枝の前線のブロックの中に佐藤と矢島が入ります。松本から佐藤へボールが入り、中間ポジションをとっているので藤枝の注意が佐藤に集まります。CH6新井が五十嵐についてましたが、佐藤につくために五十嵐のマークを外し、その五十嵐につくためにLCB3鈴木が前に出てきます。

その鈴木の動きに合わせて皆川がこのスペースへ侵入。佐藤からすかさずボールが入ります。ここまではよかったと思いますが、皆川はエリア内の人間を探してしまったのか、シュートが打てず。縦一本ということもありましたが、小林も吉岡もエリアに到達はできず。皆川にはシュートを打ってほしかったシーンでありました。

終盤河野のオフサイドになってしまったゴールもありましたが、やはり昨年から人が変わっていますし、3-4-2-1の練度は低い印象です。相手ありきなのでこのまま去年のように3-4-2-1を採用するかは不明ですが、採用するにしても去年同様に数節は見守る必要はあるのかなと思います。(※ただ五十嵐&河野を見れる可能性は出てきました。。。)

もちろん今期の基本布陣としている4-3-3を続けるにしても、すぐには持ち直すことはできないかもしれません。次節いきなり勝点を拾うこともあるかもしれませんが、短期的なことではなくチームとして時間をかけて、もう一度どのようなゲームモデルで試合に臨むのかを構築(認識?)する必要があるのかなと思います。

 

6節にしても早くも岐路に・・・という見方もあるかと思いますが、まだ6節終わっただけです。まだ36節あります。トップ6に向けて前に進んでいってもらいたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

文中敬称略