レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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どこを狙っていくか。目はあっているか? レノファ山口vs栃木SC@維新 2023年4月8日

割り切った戦いをして連敗を止めた秋田戦。吉満のコメントにもあった通り、「次の試合で結果を残すことで、こういう試合で無失点で勝てたからこの結果になったんだと言えるような試合にしたいです。」割り切ったサッカーをしたからこそ、その明けのこの栃木戦はホームということもあり、名塚監督が志向する形で勝ち点3をとりたかった1戦であったと思います。結果としては最終盤での得点でのドロー。

今回は下記について考えていきたいと思います。

1)狙い目はどこだったのか。

2)右サイドの攻防とその結末。

得点者

山口        栃木

94分 梅木     40分 福島

 

1)狙い目はどこだったのか。

今節のレノファの形は4-2-3-1。ベンチ含めて前節と同じラインナップになりました。

対戦相手の栃木は5-2-3(3-4-2-1)の形。流し見をした程度の知識ですが前々節の磐田戦ではハイプレス。前節の群馬戦ではミドルサードで構え気味。時折ハイプレスに行く形をとっていました。

今節の栃木は群馬戦のようなやり方でレノファに対して布陣を引いてきました。両WBは予め低めの位置で5バックのような形。中盤はダブルボランチの2枚で守り、2枚のSHと1枚のCFを頂点に5角形を形成しての守備布陣でした。基本はミドルサードで構え、CF37根本がサイドへ誘導したところにシャドウの8高萩や36山田がプレスのスイッチを入れる形でレノファのビルドアップに対応してきました。少しでも緩いボールになれば、栃木の両WB黒崎と福森がジャンプしてレノファのSBの位置までプレスをかけてボールの奪還を狙ってきました。

これに対してレノファは後ろから丁寧に…という形ではなくある程度縦に早くサイド奥深くからニアゾーンを取るいつもの狙いをしていました。ただ、狙い所としていたのが栃木SCの5-2-3の「2」の脇や裏であったと思います。69mのピッチの横幅に対して「2」で守る場所には広いスペースはできますので、ここを狙わない手はありません。

今季の栃木の失点パターンとして、WBの裏を取られてのクロスからの失点があります。それもあってか、栃木のWBはレンファのSBの位置まで上がることもありますが、最初の基本のポジションとしては最終ラインに近い位置でした。そのため栃木のダブルボランチの脇はよりいっそうあいてきます。試合前にツイートしましたが、この試合でレノファはこの位置でボールを逃がせると思ったので、この位置でボールを受けて前に運ぶことができる五十嵐は入っていないのか・・、と僕は考えました。

案の定、3分と4分に河野がこの脇でボールを引き取る場面が出ました。9分には吉岡などもここでボールを引き取るなどの形が出ました。ここで受けることができれば、前には栃木の最終ラインしかないので、相手DFが出てくればそのずれたところを狙えばいいですし、リトリート(後退)を選んでくれればしっかりボールをキープしてそこから攻め込めます。

この形で最も成功したのが21分のところだったっともいます。多少栃木がプレスで前掛かりになってきたところを生駒が皆川へ。矢島がすぐに受けられる位置をとって、そこから吉岡へ展開します。正直ここは時間がかかってしまい栃木が戻ってしまいましたが、右サイドから左サイドに展開をしていき、前→沼田→皆川→小林とつなぎエリア内からのクロス。吉岡のニアに飛び込む形へ持っていけました。

ただ、先にも挙げたとおりちょっと時間がかかりすぎ。栃木の選手たちはすでにもどっていましたし、セカンドボールもレノファの選手の準備は間に合っていませんでした。

 

折角相手のセカンドラインの裏をとるような試みができても、前半その他にチャンスになったのは、17分や20分のようなセカンドボールをうまく回収してからの展開であったり、相手陣でのボール奪取から素早く相手ゴールを陥れるようなショートカウンターのシーンでした。こちらのほうがレノファボールになった際に相手の数は少なく、ビルドアップでゴールを狙う形よりも各選手の動きがゴールへ矢印が向いており、得点の可能性があったのではないかと思います。(この試合に限った話ではありませんが)

 

攻めあぐねているところに前半30分辺りから徐々に栃木にペースを奪われてしまい、相手のファウルはあったようにも思えますがそこから失点。前選手がinside matchで多少足が止まったと言ってましたね。もったいない失点を喫してしまいました。ただ、36分のシーンでは右サイドで数的同数のシーンで、特に位置的優位であったり質的優位があった場所ではなかったように見えましたが、マークの受け渡しをミスしてシュートまで持っていかれるなどうまくいっていない時間帯であったと思います。仕留めた栃木、仕留められなかった山口。という見方もできる前半であったと思います。

 

2)右サイドの攻防とその結末。

先制をした栃木。後半目立ったのはCF根本のポストプレーが挙げられるかと思います。彼を起点にして、一旦中へ預けて外を使うようなプレーがより出てきました。また、栃木の左サイドの高い位置でのボールの保持も目立っていました。

 

話を試合開始直後に戻しますが、前半1:30の栃木陣内・栃木ボールのFKの場面。栃木の3CBに対して、皆川・河野・小林の3人が並んでいました。RWG吉岡は右サイドでRSB高橋の右側に立ち、5バックを形成するような位置をとっていました。

吉岡を下げることで最終ラインで5レーンを埋めるような形を取ろうとしたのか、はたまた栃木LWB福森を警戒したのか。個人的には後者のような気がしますが、それだけ吉岡の位置は低かったです。

そのため、福森が高い位置を取れば取るだけ、吉岡が低い位置になり、そこから攻撃の局面で吉岡の前線への距離は遠くなります。

試合後インタビューで名塚監督がハーフタイムで右サイドを修正したと仰っていました。ちょっと修正内容ははっきりとわからなかったですが、吉岡や高橋の位置取りは高いものになっていたように思えます。前半よりも高橋が吉岡を追い越すシーンもあり、彼らが押し込めば栃木LWB福森は下がらざるを得なくなります。

ただ、これは先に挙げたように表裏一体。福森が押し込めばこちらが下がらなければならない状況になります。後半はお互いが高い位置をとろうと意識をしている中、多少栃木が押し込んでいた状況でした。そこで名塚監督がうった最初の交代策が68分の吉岡に替えて松橋の投入。

この試合でも悪くない出来であった吉岡でしたが、おそらく体力的な問題もあったかと思います。ただ、松橋に明確につかせたのが、福森が強気にポジションを取る裏、であったと思います。

68分のところでは早速押し込んだ福森のマークで吉岡同様自陣深くまで守らされる展開になっていましたが、まず70分。セカンドボールをおさめて味方の上がる時間を作り、エリア内ハーフスペースに侵入しクロス(CK獲得)。71分には栃木CBを背負いながらコースを作り、河野のスペースを作るなどしていました。

そして明確に狙いが出たのが73分。福森がレノファのビルドアップで高橋に出てくるだろうとポジションを高めに取ったところで、松橋が右サイドの奥に流れて、LCB前からのロングボールを引き出します。トラップは多少乱れましたが、裏へ抜け出し矢島のミドルシュートまで繋げました。

このように実際には栃木ゴールを脅かす一歩手前くらいまでではありましたが、徐々に相手のストロングポイントになっていた福森を押し下げることで、レノファへ流れを呼び込む要因になっていました。

ただ、ここからが難しかった。時折松橋と河野が抜け出しそうな場面は作りますが、なかなかシュートまで持っていける展開が少なくなってしまいました。1つの原因として、5-4-1で中を固めてくる栃木に対して、ボールを大事にするがためになかなか中央の選手を使えなかったと思います。大外からエリア内への侵入などいくつかパターンはみせてはいたものの、結局ファイナルサードで中央を使うことができませんでした。

解説の中島さんもおっしゃっていたシーンですが、85:53のところがわかりやすかったかと思います。

この時間帯レノファは3バックにしており、前がRCBで松橋がRWBに。そして左サイドからボールが前に渡り、大外に張っていた松橋にパスが繋がります。松橋は外に流れた河野ではなく中へのドリブルを選びます。ここで栃木のボランチ7西谷が前線に上がった池上コースを消すために左に位置を修正します。

そうすると途中後退で入った高木がペナルティアーク手前にフリーでいるところに道ができました。しかし、松橋はここで高木へのパスは出せず矢島へ。結局攻撃のやり直しになりました。もしここにパスを通せていたら、、、というシーンでした。

そのあとの76分には池上が右サイド流れて中へパスを送り、受けた高木が松橋に落として梅木へあてて、梅木のシュート。というシーンを作ることができていました。

栃木はミドルサードに侵入されれば5-4-1の硬いブロックを作っていましたので、なかなか中を通すような場面が試合を通して作ることはできていませんでした。しかし、ミドルサードのところでボランチの脇や裏を使うことを意識していたように思えたこともあり、アタッキングサードのところでもこの相手ボランチが空けたところを見逃さないようにしたかったと考えます。外回りでは相手としては思うつぼであり、あまり怖い動きにはなりません。やはりどこかで相手に中を意識させるとかはしておきたい。

現に次のプレーでは池上から高木→松橋→梅木と中を使うことでエリア内でのシュートまで持ち込むことができていました。

inside matchで前が言っていましたが、ここからのアイデアがまだ課題。もともと選手の即興性がここ数年特に強いイメージなので、ある程度チームの狙い目・その意識の共有などは上位に上がっていくために必要になってくるのではないかと思います。

 

ただ、追いつくコーナーキックを取った場面は初出場LCB国本からペナルティエリア内右サイド奥深くへ走り込んだ池上へのピンポイントのロングパスをかろうじてクリアされたところから。下で回しているのが牽制になっていたのか、シンプルに裏へ抜ける動きでチャンスを作ったことはなんともこの90分何だったんだろうか、という気持ちにさせられる反面、国本の左足の精度に期待をしたくなる場面でした。

 

さあ、3連戦。強豪大分です。押し込んだときに出す例の「新しい形」はさていつ出てくるのか。。。前が言っていた「解放」についてももう少し効果的にサイドを変えてウイングに時間とスペースを与えたいのかな、というのも見え隠れしますね。

J1やプレーオフを経験したチームとの対戦がこれから続きます。トップ6を目標にしている以上このあたりのチームに勝てなければその地位は手に入りません。4月終わったところでどんな順位にいるか。。。まずは目の前の1勝を手にしてほしいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)