レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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勝ち点3がほしい。 レノファ山口vs徳島ヴォルティス@維新S 2023年5月13日

名塚さんが退任され、中山監督が暫定的に指揮を取った徳島戦。

おそらくこの3連戦が終わってから中山監督がそのまま留任するのか、新しい監督が就任するのかが発表されるのではないかと思います。もし、新しい方が今週発表されても、ヴェルディ戦までは中山監督でいくのかなと思います。

そんな中山レノファの初戦。個人的にはちょっと名塚さんからの変化がわからないまま後半のピッチ状態になってしまい、変化が見えにくいまま終わってしまった印象でした。ピッチがまだ水溜りがひどくなっていなかった前半で0-2。ピッチ状態が悪化してから2-2。複数得点を出来たことは素直に喜びつつも、やはり前半の0-2が気になっています。

今節は下記について考えていきたいと思います。

1)『前から行く』

2)左サイドハーフ池上とダブルボランチ

3)複数得点は取れた

 

得点者

【山口】       【徳島】

61分 池上     27分 森(海)

88分 ヘナン    40分 柿谷

 

1)『前から行く』

今節のレノファの形は4-2-3-1。この形を選択した狙いとして、中山監督は

相手の形に合わせました。前から行くためにどうすれば良いかを考えて4-2-3-1にしました。動かす時には相手の立ち位置を見て変えられます。守備のところでより高い位置で取りに行くという方法としてそれで選びました。”(引用元:第15節 徳島ヴォルティス | レノファ山口FC

と仰っていたように、「前から行く」の言葉の通り、相手の形に合わせてこの布陣を選択されました。

徳島のボール保持は3-5-2の形。最終ラインが3枚でウイングバックにアンカー1枚、インサイドハーフが2枚にFWが2枚の形。これにレノファの4-2-3-1を合わせました。

いつものざっくりで言うとこんな感じで徳島の3バックに対してレノファのSHの選手が上がることで人数を合わせました。

前節の徳島の相手であった大宮は4-4-2のいつもの形をそのまま当ててきて、うまくこの後ろの枚数に合わせることが出来ず、ズレをうんでしまい3失点をしておりました。そのため、レノファとしても同じ轍を踏まないためにこのような形にしたと思います。

この形については概ねうまくいっていたと思います。

中山監督も試合後インタビューで

やりたいプレスの掛け方を選手に大枠は伝え、選手たちが判断して、迷うことなく行けたと思います。良いシーンもありましたが、行く分のリスクはあります。失点につながるようなリスク。突破されたときにどうゴールを守って、ボールを押し返して、またボールを奪うゾーンに持っていけるか。そこは課題でしたし、詰めたいと思います。

と仰っているように、上記の形で徳島には細かく繋がせずに、特に序盤は相手をはめ込みロングボールを蹴らせることでCBで回収するなどできていました。やはり池上が守備のスイッチを入れたり、神垣が入れたりとわかりやすく全体が連動できるような動きがあったと思います。

34分には池上が相手エリア内でボールをかっさらい決定機をうむなど、これ決めておけば成功体験として残るのにな。。。というシーンもありました。

 

ただ、2失点を喫していることは事実。いくつかあったのがサイドに追い込むも、キーマンを外していまいゲインをされてしまうようなシーン。

21分のところでは、徳島IH10杉本をサイドへ神垣が追い込んだところ。池上がIH23玄を捕まえようとしていたところ、CF9森(海)へ杉本がボールがでたところ。池上は15前と挟んで取ろうとしたところ、ここをうまく玄へ叩かれて右サイドへの展開をされてしまいました。

失点ところでいえば、1失点目はここも玄にうまく運ばれる形を作られてしまい、アタッキングサードまで運ばれてしまったところがスタート。

そして逆サイドに振られることで、マークをずらされてしまい、このシーンでもエリア内で玄を捕まえることが出来ておらず、玄にニアゾーンへ入り込まれそこからのクロスで失点。この場面では神垣は玄があいていることを池上に指示はしており、池上も西野から玄のパスコースは切っていましたが、後ろからフォローした白井から玄へのコースは空いてしまっており、もちろん誰もマークに付けてませんので、フリーでクロスを上げれてしまいました。

 

その後の33分の相手のカウンターのシーンでも同じようにエリア内の西野を捕まえられていませんでした。

やはりクロスからの失点が多

いのは変わりなく、潰さないといけないところのチームでの認識・確認は今後もやっていかないとなかなか失点は減らないのではないかなと思ってしまいます。

 

2)左サイドハーフ池上とダブルボランチ

話を変えて、ボール保持のところで前半キーマンになったのは池上と思います。今季になり、シーズン序盤の4-3-3のウイングを務めていた小林や吉岡が、去年に比べるとインサイドに入ってのプレーが目立つなと思っておりました。今節の池上はそれ以上にインサイド。というかある程度フリーマンのように右にも顔を出すようなプレーをしていました。

4分の河野の決定機のところは右サイドに出張中。24分のファウルにはなってしまいましたが吉岡がシュート未遂までいった場面も五十嵐に変わってトップ下のような動きをして、チャンスを演出していました。

徳島はサイドの守備はウイングバックに任せ、3バックはあまりサイドへ出ていくことはせず中を安定させることで、順位を上げてきたとのことでした。この徳島に対してレノファはまず池上を自由に動かすことで徳島のマークのズレを生むことを考えたのではないかと思います。

例えばこの24分の場面では徳島のボール非保持のフォーメーション5-3-2に対して「3」の部分を動かします。池上が一度右サイドで高橋らとパス交換を行い、一度15前→寺門→ヘナンと細かくつないで逆サイドへ展開。そこまで守備の貢献が高くない徳島のFW2人のため余裕を持ってここは繋げます。

そして玄がヘナンのところへスライド。それにあわせて五十嵐が玄の裏へ位置取りボールを引き取ります。矢島は上がることでCH7白井をひきつけ、河野がこの白井の脇を使おうと例のごとく降りてきます。

そしてここにLCB4安倍が河野をケアをしに前に出てきたところで、池上が裏をねらいます。ここはLWB西谷へのファウルの判定になってしまいましたが、ここに池上が入り込むことで安倍と西谷を寄せることになり、吉岡がシュートまで持ち込むことが出来ました。

もしかしたら本来の五十嵐の狙いはその安倍をもっと超えてのボールを狙っていたかもしれませんが、池上が奥行きを使うようなプレーを見せることでチャンスを作る場面がありました。

 

また、今節徳島の「3」に対してレノファが打ったもう一つの手がダブルボランチの矢島の上がりだったと思います。この日ダブルボランチを組んだ矢島と神垣。神垣が時折上がることもありましたが、比較的下がり気味のところでバランスを取っており、矢島が前線へ顔を出す機会が多かったです。

13分の河野の決定機もスローインの流れから、左サイドで徳島の西野、玄、白井にたいして池上、石川、矢島でボールを繋ぎ、玄と白井がサイドまで出てきているので、その脇を五十嵐が使い、ワンタッチで河野にパスを送る場面を作りました。

また、18分のところでもアタッキングサードで「3-2」の間で中間ポジションをとり、ボールを引き出し、石川へサイドチェンジをしてあわよくば五十嵐のシュートという場面を作るなど、相手ゴール前でのプレーをすることが出来ておりました。

名塚さんのときに比べて何かが劇的に変わったか、といえば変わっておらず、中山監督も

大枠は変えずに、ポイントのところだけしっかり抑えて伝えようと思っていましたゴールに向かうというところでは本当に走ることが大事ですし、チャンスであれば足を振り、クロスを入れる。それを信じて飛び込む。
そうすることで相手がバランスを崩したら、さらに奥まで走れて、パスを出せる。そういうことが攻撃では必要ですし、守備はその裏返しで、クロスを上げさせない、中に出ていく、シュートコースに入る。当たり前のことを当たり前にやる。

とこの短い期間では要点を抑えて選手に伝えたとのこと。

4-2-3-1に変更することで、名塚レノファ最終盤の矢島をアンカーにしてビルドアップを安定させることを選んだことからマイナーチェンジをし、得点能力もある矢島を少し前目に位置に置くことで得点をすることを狙っていたのかなと思います。

それもあってか、群馬戦同様に相手よりも得点期待値は高く、ゴールの匂いもするような展開ではありました。

ただ、どれだけ良い形を作れたとしても前半のスコアは0-2。劣勢の状態で折り返すことになってしまった。ここについては個人的には名塚さんのときとまだ根本的に抱えている問題は同じ。惜しい止まり感は拭えていないと考えます。ここは町田戦東京V戦でどのような布陣を引いてくるかなど、楽しみにしたいと思います。

 

3)複数得点は取れた。

で、後半です。ハーフタイム中にだいぶピッチ状態が変わってしまいました。ただ、これがレノファにはうまく作用したと思います。

試合の狙いは下手にドリブルだったりグラウンダーのボールを使用しても止まってしまうので、後半の序盤は吉岡を裏へ走らせる。

徳島LWB西谷が多少上がり気味なので、この後ろを単純に突いていきます。もともと吉岡の裏抜けが整えば、ロングボールを吉岡に蹴ることが多いので、この形はある意味いつも通り。

早々に河野・五十嵐に代えて皆川・梅木のハイタワー組を投入。1得点目は相手のボールを奪ったところで、即座に吉岡を走らせ皆川が並走し、ボールを失いかけたところで徳島LCB4安部に対して2人でプレスをかけて攻略。

吉岡のクロスから池上のボレーシュートで反撃の狼煙。

安永聡太朗さんがツイートをされていましたが、確かに今回奪ったときに矢島がすぐに裏へボールを送り込むことで4安部の準備の時間を奪うことになりました。そのため一度バウンドをさせてしまい、吉岡と皆川がこのボールに追いつくことができました。

奪って即座に相手ゴールへ矢印を向ける。今までのやり方がようやく実ったゴールだったと思います。今回はピッチ状態もあり、すぐに裏を狙うようなシーンが散見されましたが、通常時でもこのようなプレーが出てくると良いかなと思います。

また、後半終盤戦は高木を入れてのロングスロー作戦を追加。なりふり構わず生駒も前線でハイタワーを3人に。88分の同点ゴールはまさしくこれが生んだゴールでした。徳島が退場者を出していたことや徳島が後半立ち上がりからピッチコンディションになれていなそうなこともあり、ほぼ一方的な後半に。もっと早い段階で同点にし逆転をすることができればよかったのですが、なかなか現実はそううまくいかず。次節以降の宿題です。

 

さて、多少皆さんが中山レノファで盛り上がっているところに、水を差すような言い回しをしてしまったかなと思いますが、思いは一つ。レノファの勝利です。

まだまだこれからの巻き返しに期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)