レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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なにか変わりそうな予感 レノファ山口vsヴィファーレン長崎@維新S 2023年6月3日

前節ようやくアウェイ水戸で勝ち点3を上げ、連勝を狙ったホームでの1戦。

相手は上位の長崎。天敵玉田は引退をしましたが、手強い相手にかわりないです。

前節のように割り切って引くのか、中山さんが試合後言っていた「前から行きたかった」にチャレンジをするのか。エスナイデル新監督が発表されて初めての試合、レノファが見せたサッカーは前から行く、前へと繋いでいくサッカーでした。

エスナイデルさんから多少なりともリモートでの指導はあったでしょうし、なんか今日のレノファいいな。という声もtwitterで散見され、新体制への期待も大きくなっていったように思えます。

では、今節は下記について考えていきます。

1)ダブルボランチの所での数的優位

2)奪い切る意欲

3)この形の行く末。


1)ダブルボランチの所での数的優位

今節のレノファのディフェンス陣は前節と同じ顔ぶれでありましたが、前線はいくつか変更点が。今季ウイングでの起用が多かった吉岡がシャドウの位置に。高木・田中がWBを務めました。なんだか「また怪我人ですか?」と疑ってしまうような18人でありましたが、採用したフォーメーションは3-4-2-1と前節を踏襲しておりました。

対する長崎のボール非保持は4−2−3-1というか4-4-1-1のような形。

CF9ファンマがヘナンや関を監視し、RSH8増山、LSH23米田はレノファのWBを見つつタイミングを見てサイドのCBへ出て、OH29クレイソンがアンカー位置にいる選手を見る形でした。

序盤は沼田から、左サイド奥へのロングボールが数本出ましたが、その後はわりとショートパスでボールを動かすことが多かったです。キーになったのが、矢島と山瀬のダブルボランチ。この2人の位置はクレイソンがマークをしますが、2対1と数的優位となっていました。

そのため、矢島・山瀬のどちらかにクレイソンが付けばどちらかが空きます。レノファ陣でのボール回しについては、これでミドルサードまで行ける機会が多かったです。多少ファンマとクレイソンが並ぶようにコースを制限しようとしても、矢島や山瀬の脇に沼田が上がることでボールをゲインさせる動きもありました。

 

長崎陣に入っても、このダブルボランチをクレイソンが見る機会が前半は多かったです。長崎は割と2列目も後ろに構えるので、山瀬・矢島は結構空きます。CFファンマが戻るかというとあまり戻らず、相変わらずここもクレイソンが担当。それ以外の中盤の選手が付きに来れば、その背後で吉岡らが中間ポジションをとりボールを引き出します。

9:30ではRCB高橋がRWB高木にボールを預け、高橋は長崎陣の奥深くへランニング。山瀬がボールを引き取りにいくと、局地的に高木・山瀬・吉岡・高橋に対して、長崎は米田・秋野・加藤の3人と数的優位を作り出し、山瀬から中間ポジションの吉岡。加藤は高橋が上がっているため、一発で吉岡には出ることが出来ずにディレイ。吉岡→高橋と渡りクロスまで行き、この流れで取ったCKで先制点となりました。

続く12:30のところも一旦高木までまたボールが渡り、同じく高橋があがります。そして山瀬のところへクレイソンがつきます。高木→山瀬と渡ったボールはクレイソンが外した矢島の元へ繋がります。矢島から一気に最前線の大槻へロングフィード。後少しでヘディングシュートという場面を作っていました。

わかりやすい場面としては、19:10あたりで山瀬が田中からパスを受けてフリーに。米田が矢島を消して鍬先・秋野の両ボランチが大槻へのコースを締めたところです。ずっと矢島が吉岡に対して中間ポジションの位置を指示していました。

多少吉岡の位置が中に行き過ぎてしまったり、山瀬との呼吸が合わなかったのもあり、ここはボールが出てきませんでしたが、山瀬や矢島が相手陣で前を向いたときに、チームの攻撃のスイッチが入るような流れになっていました。(これぞ山瀬ワン・・・略)

 

前半30分以降、長崎がSHの位置を多少高めに設定し、沼田や高橋を牽制するようなポジションを取ってきたことで、多少序盤に比べてショートパスでのビルドアップはやりにくくなっていきました。それでもこのダブルボランチはボールを動かし続け、長崎のペースに持っていかせなかった落ち着きをもたらしていたプレーは心強いものがあったと思います。

 

2)奪い切る意欲

そして目立ったのが相手陣でのボール奪回の「姿勢」にあったと思います。今シーズンのレノファでは「前から行く」「前から行きたい」などありましたが、なかなかそれを完遂するような場面は出せなかったかと思います。勝ち点を取った試合も比較的「割り切って」「耐えて」などなかなか相手陣での奪還が単発では出るものの、複数回あった試合というのは少なかったかと思います。

長崎はファンマやクレイソンというしっかりおさめられる選手がいるため、まずここにボールが来ることを制限するために、その前でボールを奪ってしまおうというのは正解であったかと思います。

失点シーンもスローインになったのはゴールキックでファンマにすらされたところをアタッキングサードまで運ばれたところからでした。試合開始直後や失点シーンなどしっかりロングスロー跳ね返しては欲しかったですが、相手の土俵に立ってしまえば痛い目に遭うという授業代でしょうか。

 

今節では12分、14分と大槻がGKからCBのまでと2度追いなどをすることで、相手陣でマイボールのスローインにする機会が比較的多くありました。

長崎はボール保持時はLSB加藤を1列上げて後ろを3枚にします。これに対して、大槻が主にGK波多野とCBヴァウドへ外へ誘導するようにプレス。25櫛引には吉岡、3岡野には河野とそれに呼応するようにプレスを掛け、後ろもそれぞれ一人一人マークをすることで、ボールを制限・奪うを行っていました。

単発のプレスのような形ではありましたが、35分くらいの山瀬のロングシュート、39分の矢島のミドルシュートもそれぞれ矢島と高木は奪ってからのシュートチャンスでした。

 

光っていたのは大槻や吉岡らのファーストディフェンダーの設定。誰が誰にまず寄せるのか、がいつもよりも定まっていました。ここの設定が早くできることで後ろも連動できます。長崎が苦し紛れに縦にボールを出せば沼田や高橋がしっかり潰すことが出来ていました。

 

沼田の試合後インタビューで

守備はすごくやりやすいです。人に対して強度を出して相手に行きやすいですし、サイドに対して「ボールにどんどん行って良いよ。後ろはカバーするから」という声掛けはできています”(引用元:第19節 V・ファーレン長崎 | レノファ山口FC

高木も同じように

5枚になって後ろに引くのではなくて、より前に行きやすくするために3バックにしてウイングバックを置いている。後ろが言ってくれるので、思い切って相手のSBに対して行けた。シャドーのヨシくん(吉岡 雅和)がすごくスイッチを入れてくれていたので、そこはすごく行きやすかったところだと思います。”(引用元:【公式】山口vs長崎の試合結果・データ(明治安田生命J2リーグ:2023年6月3日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

と言っているように、このあたりのマークの確認、受け渡しがチームとして出来ていることで、前も安心してプレスを掛けられますし、後ろも向かい打てます。

思い出してもらえればわかりますが、ヴェルディ戦は人が揃っていなかったこともあり、前線のメンバーがプレスに行けず、IH(ボランチだったか)の池上が出ていったところで周りが連動できておらず、単にバランスを崩しただけでした。

何度も出して申し訳ないのですが、去年のアウェイ栃木戦のように、痛い目に遭って修正して行き着いた先の3バック。だったら最初からやっ(自粛)

 

カリーレ監督の「技術的なところで足りなかった部分があるので、そこで速いパス回しができなかったのは1つ原因だとは思います」と述べていたように、長崎は特別ボール支配率が高いチームではありませんが、このような談話が出たことは成果がある程度あったと考えて良いのではないかと思います。

 

 

 

3)この形の行く末。

言い方は悪いのですが、このあたりでだいぶ『つかみはOK』といった雰囲気であったと思います。なんかレノファいつもと違くない?こんなレノファ久しぶりに見たよね?といろいろな意見を見ましたが、やはり躍動していた雰囲気は今季一番だったと思います。山瀬や吉岡の前半で見せたタックルなど、ずるずる下がるのではなく相手陣で処理をする姿はスタジアムが湧く一因になっていたと思います。

エスナイデルさん効果なのかはわかりませんが、上記2項で書かせていただいたとおり、上位長崎だろうと自分たちの色は出せていました。

カリーレ監督、GK波多野が特に自分たちは怖い場面が多くはなかった、と言っていましたが、それはこちらも同じ。

一概に指針とは言えないですがゴール期待時もほぼ同じ。

双方「もう少しチャンスの回数を増やしたかった」といったところではないでしょうか。中山さんの試合後インタビューで

前向きにアタックできるのがこのシステムの良さです。相手選手にアタックして、奪うというところは良かったですが、そこから早く攻められたかというと、もう一つだったと思います。そこは課題として残るところです。カウンターが無理であれば、ボールを動かしてチャンスを多く作るという部分はあったと思いますが、最後にゴールに迫っていくこととか、奪った瞬間に出ていくというところでは、もう一つ課題があると思います。”と仰っていたように、奪った後に行くときはもちろんすぐに相手ゴールに迫るプレーは必要ですが、それがやはり周りが伴わなければ、また相手ボールになってしまいます。また、何度も前からプレスに行くことは出来ないので、一旦ボールを落ち着かせて自分たちの時間を長く作ること(ある程度体力温存につながる)も、エスナイデルさんになればより求められることになると思います。

このあたりのメリハリはどの様になっていくかは注目したいと思います。

 

そして、最後に触れておきたいのは、なんか矢島楽しそうだったね。ではなく、高橋の充実ぶり。

まだエスナイデルさんが直接指揮を取ってはいませんが、多少さらされてしまっていたディフェンスラインの裏。長崎の狙いはWBの裏が多かったですが、30分のGK波多野からファンマへロングボールからのシュートを始め、何度か奪ってからディフェンスライン裏であったり、ディフェンスラインのファンマへまずあてることがありました。

GKが出れない場所での対処については前がかりになっている以上、その対応はCB陣に求められます。後半多少山瀬の位置でボールをカットできなくなってきた時間帯など高橋の後ろでの対応がチームを救っていました(70分のところなど)。

もちろん試合終了間際のようなプレーもそうですが、相手が裏を狙ってきたときに相手のFWらに走り負けない走力、弾き返せる筋力など、1vs1で相手を上回る場面が多くありました。このあたりで長崎陣営はファウルを要求はしてましたが、まあこれはファウあるかなと思うシーンはありましたが、その他では彼が止めたからこそ、相手もここが超えられないなと苛ついていたのではないかとも思います。

 

沼田同様にSBの経験も生かせるようで、思い切った攻撃参加なども見えて、昨年の3バックのときよりも充実しているように思えます。ハイラインをエスナイデルさんが引くでしょうし、高橋のこのようなプレーは今後もチームを助ける・引っ張っていくような存在になっていくのではないかととても期待をしております。推しメンですのでだいぶ甘めに見ているかもしれませんが。笑

 

さあ、日付変わって今日は天皇杯!またアウェイ水戸!勝ったらもしかしたらフロンターレですね。僕もフロサポ兼任って言うのもありますが、フロサポ兼レノサポさんのフォロワーさんはパッと思い浮かぶだけで4人くらいいらっしゃるんですよね。

リーグが大事!ってのもありますが、天皇杯で開催して人が入ったらその収入あるし、補強費に。。。など皮算用をしてしまいますね。

中山体制総決算。良い結果であることを期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)