日本での知名度でいえば抜群に高いチームの1つであると思います。
まずこのチームとの対戦をすることが1つの事件のようなもの。そこを破って次のステージに進めたことはただのお祭りであったと思います。
選手らチーム関係者、クラブ関係者、もちろんサポーターも『あの鹿島』という枕詞を使って話すようなチームとの対戦はそりゃ全ての人に力は入るし、この1試合を経験できたことはとてもレノファに関わる多くの人にとって大きな出来事だったなと、数日経った今も感じます。
『リスペクトしすぎないようにしよう。もったいない試合になるよ』
と志垣監督が試合前に語れば、
『世界変わるぞ!勝ったら!』と横山が円陣で檄を飛ばす。
勇敢に戦ってくれたレノファを簡単ですが、振り返ってみたいと思います。
1)鹿島のDFラインの経験値とレノファの前線の試合勘
2)後ろと前をつなぐ。
1)鹿島のDFラインの経験値とレノファの前線の試合勘
まずこの試合で抑えておきたいのは、これはカップ戦であり、ある程度両チームともにターンオーバーしたメンバーになり、カテゴリー上のチームはアウェイでの試合であること。
鹿島は直近のリーグ戦でショッキングな敗戦であったり、怪我人も何人かいたようでこの一戦には今季出場機会に恵まれていない選手、またプロでの出場経験が少ない選手を起用しないといけない状況でした。
もちろんレノファも、小澤、峰田、磯谷と大卒新人やボムヨン、池上といった今年満足に試合時間を確保出来てない選手もいました。しかし、前線に目を向けると有田、奥山は幾度かスタメンでコンビを組み出場があり、横山や山本もある程度出場機会はもらっている面々でした。
この中でまず存在感を放ったのが有田でした。
試合開始直後からレノファの狙いはいつもの通り相手のDF裏。鹿島が割とプレスをかけてくるチームということもあり、そのプレスを受ける前にさっさとボールを前線に送り込みます。有田はこのボールへのロングボールのターゲット、スペースへの走り込みなどの局面でマッチアップした鹿島RCB津久井に対して質的優位を発揮します。ここで有田がボールを収める、優位な形でセカンドボールをこぼれさせることで、鹿島陣内でのプレー時間を長くすることをかなえていきました。
3:50のロングボールを蹴ったところで有田の突進に対して津久井はなんとかボールに触ることが精一杯となり奥山が早速決定機を迎えます。
有田はただ前線で体を張ってポストプレーをするだけでなく、スペースへ流れて起点を作ることもできます。そのため、津久井の有田への対応が遅れるというか、ボールをどう回収するかを定められないような状態を試合を通して作ることができました。
そして、相手陣の時間を長くさせることができれば機会が増えるのはレノファがハイプレスをかけるような場面。鹿島のビルドアップに対して今度力を発揮したのはこの試合の最大の功労者といっても過言ではないでしょう、奥山でした。
主にレノファの右サイド、鹿島のLCBキム、LSB佐藤らにボールが出た場合は鹿島のボランチを背中で切りながらハイプレスをかけていきます。
このあたりでも鹿島のDFラインの若さなどが出ていたと思います。奥山のスピード、2度追いをすることで相手がボールを持ってからの時間を奪います。ここでやはり鹿島はレノファに対してつなぐことを30分あたりまで選択することができず、ロングボールを蹴ることが最初の選択となりました。
こうなればレノファを意図してロングボールを蹴らせているので回収することは比較的簡単になります。主に鹿島の左サイド、レノファの右サイドに誘導しているので、ロングボールの行く先は下堂、峰田の背が高いコンビの方になり、競り負けることも少なくしっかり跳ね返す、回収することが出来ていきました。
この流れを嫌い、鬼木監督のチームということもあり、ボランチ経由で前線へ進もうと何回かトライ。そんな鹿島に対してレノファはアンカーのような位置にいる三竿に対しては池上がジャンプして捕まえ、相方の舩橋にもボムヨンが比較的高い位置までついていました。15分のようなセカンドボールの奪い合いのようなところでも出足のよさは池上やボムヨンに分があり左サイドからのビルドアップやボランチ経由でのビルドアップを封じてレノファのペースを維持させていきました。そうすることで鹿島の攻撃は右サイドのRSB濃野の縦の突破とRSH師岡のコンビネーションなど交えてだけになっていったように思います。右サイドからクロスを上げられても磯谷、下堂は特に動かされていないので中を固められていますし、この日のレノファRSBは峰田ということもあり、高さはバッチリと鹿島の攻撃を抑えていくことができました。
30分くらいから流石に鹿島も微調整。LCBキムがボールを持った時に中を締めている横山に対して、LSB佐藤を高い位置にあげ、OH荒木やLSHチャブリッチがインサイドで横山の背後や脇に顔を出すことで、横山がLSBまですぐに出れないような状況を作り、LSB佐藤に時間を作らせることでここから打開を図ってきました。時にちょっとJ2ではあまり見られない中への差し込みなど多少際どいシーンはありましたが、この試合は終始レノファの4-4ブロックはブロックの中へボールを運ばれないよう安定していたように思います。
それもやはり前線がしっかり追ってくれること、またSHの横山、山本も中を締めることやプレスバッグなどサボることなく続けブロックの中への侵入を許しませんでした。
レノファのファーストライン、セカンドラインが鹿島相手に優位を取れていたこと、ここは試合の流れをまずレノファにもたらしたことがこの試合の勝率を上げてくれたように思います。
2)後ろと前をつなぐ
そして後半。ある程度ボールをもたれる展開は変わらずもレノファはミドルゾーンでまずブロックを組んでからプレスをかけていきます。
鹿島のビルドアップは序盤よりも改善してもまだ脅威にはなっておらず、展開としては多少押されるも際どいところまでは行かせていない。そしてレノファもシュートで終わるような攻撃が出来ていました。そして後半に前半よりも存在感をだしてきたのがは山本駿亮だったかなと思います。
今年のレノファでいうと、山本が担うSHはSBを上げるスペースを作るためにインサイドに入り、ツートップとともにロングボールなどに備える役目。
この試合では、いつもより背後を狙う姿勢が強かったレノファ。自然と浮き球になれば有田とともにターゲットを担うのが山本であり、左サイドが定位置ではあるもののかなりインサイドに入ってきてプレーをしていました。
最近のレノファの問題の1つとして、前後分断があると思います。蹴る、もしくはつなぐにしても後ろと前の意図が合ってなかったり、距離が離れすぎててフォローが間に合わないなど。で、相手ボールになる→後ろにズルズル→気づいたら全員戻らされて今度は自陣に皆引いてて、前にはあまり人がいない。
この試合では攻守のセカンドボールなどに山本が鼻を利かせ、セカンドボールの回収やレノファが奪ったあとの次のパスコースを作るなど程よい距離感を意識した立ち位置をしていたように思います。
得点シーンのフリーキックを取った場面もやはり山本が絡んで、有田がスペースに走り込んでからのドリブルから得たもの。有田のいろいろやらないといけない状況も助けとなっているのが山本かなと思いました。(あとは有田同様得点が欲しい)
このあたりは河野の離脱が響いているように思いますが、うまく乗り切れていない現在のレノファでスコアラーとして存在感をだしている末永、そして今回の山本と、彼らで引っ張っていくことになるのかなと感じます。
と簡単ですが、この試合での雑感を書いていきました。
なかなかリーグはうまくいかないなか、カップ戦では良い結果や内容がでたのは良かったかなと思います。
すぐに次の試合、富山戦が本日です。昨日鹿島は中2日でセレッソに負けてしまってますし、レノファも難しい戦いを強いられるでしょう。
ただ、それはもう仕方ない!カップ戦で勝っている代償。ありがたい代償です。
その分カップ戦の勢いと掴んだ良い内容を発揮してもらいたいと思います。
勝ちましょう!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)