レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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困難の先には新しい希望があることを祈って カターレ富山vsレノファ山口@富山県総合運動公園陸上競技場 2025年4月13日

ホームだけではなくアウェイでもなかなか天気に恵まれないレノファ。ミッドウィークのルヴァンの勢いを!と思いましたが、なかなかうまくいかないのこの世の常。

しかし、待望の有田の一発、先制されつつも逆転までは持って行った力。これは今までには出せていなかった結果ではあります。

降格圏を脱せず厳しい時期は続いていきますが、この試合がターニングポイントになることを期待しつつ、この試合を振り返っていこうと思います。

 

1)ボタンの掛け違いとハマった時の伸びしろ

2)ターニングポイントになるか、一瞬の花火になるか。

 

 

【得点者】

富山          レノファ

10分 松田       58分 有田

87分 神山       82分 小林

 

1)ボタンの掛け違いとハマった時の伸びしろ

まず、冒頭でも書きましたが、まあ悪天候に愛されているのか2試合に1回は悪天候のなかでサッカーをしているイメージのレノファ。この富山の地でも例にもれず風とも戦わねばならない状況でした。(流石に慣れたか?と思わなくもない。)

試合開始直前の状況ではレノファは前半風上。アプリの天気を見ると後半20分あたりから雨が降りそうだ。風はキーパー練習でも目測を誤るような場面もあるほど強く、時折舞っている状況であるなと僕は感じておりました。(現地にいました)

もちろんそんな情報はチームも把握していたと思いますので、コイントスで富山がコートチェンジを選び状況は一変。あ、前半耐えて後半勝負か。ただ、雨など降ってくるな~という試合前から厳しい試合になる予感のする幕開けでした。まあ90分の内60分くらい向かい風だったんですが。

この日のレノファの布陣はミッドウィークにルヴァンカップ鹿島戦があったこともあり、今までリーグで先発を続けていた有田がベンチスタート。また120分走り続けた奥山もベンチとなり、古川と山本(桜)のツートップでスタート。また、CBの下堂、松田の位置も右左を変えた布陣でした。

 

まず攻撃のところから。

試合開始時より傾向としてあったのが、とりあえず板倉がインサイドに入ること。もともとインサイドに時折入るという場面はありましたが、この試合は攻撃の局面になった時にもうすぐに中にポジション取りをしていました。

この形開幕当初から色々サポーター間の議論になっていたかと思いますが、やはりこの試合の前半、この形の功罪が大きく出たように思います。

 

◎うまくいってなかったように思う点

富山側からすれば多少想定外であったようですが(後述)、あまり板倉がインサイドに入っても特に大きなズレは起こせておらず、板倉がインサイドに入ることで富山のLSH伊藤、LCH末木らをピン留めしておき、右サイドで幅をとっている野寄へのパスコースを作る。そして野寄へパスがでても野寄にとっての前線のパスコースはできていなかった。こんなシーンが開始10分くらいで数度発生していました。

また、アタッキングサードに入ったところでもやはり板倉を中に入れ、野寄をアイソレーションさせておき、左サイドからのサイドチェンジを受けてクロスなどチャンスを作っていました。あまりこの8節ではなかったシーンではあったので、マイナスとは言えないですが、やはり野寄と板倉の距離は離れており、野寄はここで独力で突破するかクロスという場面になり、単に孤立をしてしまっているようにもなっていたり、中にいる選手たちとの距離も遠いのでなかなか得点の可能性の高いクロスを上げることができていませんでした。

板倉自身もポケットをとるような動きをすることや、思い切って中でシュートを狙うような思い切ったプレーも風を受けてのカウンターを危惧してか出せず。

また28分など左サイド経由でゲインをしたところ、末永が抜け出たところで中に切り替えしたところでは、末永が顔を上げれば本来なら右サイドのインサイドに誰かが上がってきていれば野寄への中継地点として縦に早い攻撃はシュートまでもっていく可能性は広がっていたでしょう。ただ、ここで時間がかかってしまい富山は帰陣。体力的に厳しかったかもしれませんが、なかなか板倉がインサイドにいる良さというか意味というのがなかなか形にすることができませんでした。

そして時間が経つにつれ富山のDF陣は板倉にボールがわたっても下げるか横に安パイのパスをだしていたこともあり、たぶん効果的に使わないな、という感じであまり彼をケアするシーンも減っていったように見えました。

また、板倉が前にいるのはよいのですが、カウンタープレスに行くんじゃないの?というところで、野寄が板倉の位置におり、板倉も帰陣を選べばカウンタープレスだったり色々ネガティブトランジションがリトリートに偏りがちなところもあったように思います。

 

 

 

◎良かった点。

相手がロングボールを多用してくるという想定が外れて、前半はあまり守備がハマらなかった。後半は修正できて、ボールを奪ってショートカウンターが打てるようになった。それを前半のうちからできていたら、チャンスをもっと増やせただろう。(引用元:Jリーグ公式より末木談話

と富山側より振り返りが出ていたように、富山としてはロングボールが来ることを想定していたようです。しかし板倉をインサイドに入れて、野寄と岡庭に幅をとらせてここを経由させての前進をレノファが狙ったこともあり、富山の狙いのショートカウンターをださせなかったことがありそうです。

志垣監督も

全てを長いボールにするとか、全てを足元でつなぐとかというやり方はしていないので、状況を見ながらやっています。相手が下がっていれば足元でつなぎ、相手が前から来ていて背後が空いていれば背後を狙うというところは、今シーズンの頭からやってきています。状況を見て、相手が嫌がることをやっていく。今日はそこの部分では、起点になるスペースを試合を通じて意識していた中で、そのスペースは使えていたと思います。(引用元:レノファ公式

と述べているように、全てつなぐビルドアップでうまくやる必要はなく、富山がうまくプレスをかけれないことや、プレスをかけに中途半端に行くようになれば効いてくるのがロングボールです。板倉がインサイドに入ることで、そこをケアしようと富山のボランチが前に出てくれれば、最終ラインとの間を末永、山本桜、古川が入り込むことで相手陣で起点を作っていきました。

また、板倉がアタッキングサードに入ってもボランチよりも高い位置をとることで23分のようにセカンドボールを収める場面が2次攻撃につなげる場面が出ていました。

 

ただ、やはりぱっと見、うまくいっていたか?そう思い返す、見直すという作業をしているとやはり現地で見ていた思い、これってうまくいってるか?一辺倒にならないための策としても効果的でないよな?という感想は変わらずでした。

板倉が悪いとかそういうわけではなく、やはりインサイドに人を入れることが目的化してしまっているようにも見え、じゃあそこからどうするのか?特に富山が困っていないが、それをつづけるのか?この辺りが前半答えが出ないまま終わってしまったように思います。

 

 

話し戻して守備のところ。

以前Xのスペースでも語らせていただきましたが、個人的には今年のチームは去年よりも守れていないことが今の低迷の要因と考えていることを話させていただきました。

長崎戦や愛媛戦など、ハイプレス、ミドルプレスで人数をかけて前に出て行っても交わされてしまい、数的同数であったり、中の状態があまりよくない時に仕留められてしまうシーンが今シーズンよく見かける形であると思います。

今節についても残念ながら富山の右肩上がりにし3-2-4-1のような形にし、シャドウのような位置にいるCF松田やRSH高橋が落ちてきてボールを受ける形に最初対応することができませんでした。彼らのところがビルドアップの逃がし場所になってしまい、ここからゲインをされてしまっていました。1失点目はボールを最後高橋のところに逃がされて、そこから右サイドへ展開され、クロスからの失点でした。(あとはファーサイドは最近よく他のチーム狙っているような印象はありますね)

 

相手に順応する前に失点するということが今のチームの問題点という考えもできると思います。失点が早い。得点後など含めてゲームの起点であったり、転換点で仕切りなおすところで耐えきれない。ここはちょっと今のチームには大きな課題となっているように思えます。

ただ、そこから修正できていたのは良かったように思います。時計が進むにつれ、落ちてくる松田や高橋には下堂らもジャンプして相手陣までついていきつぶすなど、守備である程度相手陣での時間を長くしていきました。

前半の内に失点はしたものの守備のリズムをつくることができていたのは大きかったと思います。後半もある程度相手陣でプレーする時間を長くできたことはしっかりプレスをかけてボールを高い位置で奪えていたことが逆転するための要素となったかなと思います。

 

そして、後半レノファが形を変えました。

CFを古川⇒有田、とビルドアップの局面でもより貢献できる有田を投入。また、板倉に変えて鹿島戦で活躍をした小澤を投入。

この8節SBには

・縦に仕掛けてクロスを入れるタイプ

・時にインサイドに入って、ボランチのようにふるまえるタイプ

の組合せでしたが、後半から岡庭、小澤とサイドの上下運動を得意とするタイプを起用。彼ら2人に幅をとらせて、SHの野寄末永はインサイドに入る。ビルドアップも田邉は最終ラインに降りる形は継続も野寄や成岡が今まで板倉が使っていたスペースに入ることでここで前にボールを運べるようになりました。

こうなることで最も恩恵を受けていたのが岡庭だったように思います。高い位置でボールを受けることができるようになり、右サイドを活性化させていきました。このような形が作れていれば空いてくるのが最終ライン⇒有田のパス。富山の意識がサイドに行くことでそのまま有田への道が開けていきます。何度かオフサイドにはなっていましたが、明らかにサイドの活性化と中央も使える前進ができていきました。狙いが嵌った展開になりました。末永(途中から山本桜)や野寄がインサイドでセカンドボールへ対応することや、カウンタープレスをする距離感もつかみ始めていたように思えます。

この試合のFOOTBALLLABさんが出しているこの試合のスタッツになります。

相手陣での時間が長かった今節のスタッツは今シーズンなかなか数字が上がっていなかった30mライン進入、ペナルティエリア進入の数字も上がっています。それにつれてクロスの回数も増えクロスの成功率も39.1%と高い数字が出ており、これが得点につながりました。

やはり去年の「新保にいかに良い形でクロスをあげさせるか」のように、しっかり岡庭や小澤に高い位置でターゲットに近いところまで侵入したところでクロスを上げる形を作れるのか。このあたりが得点が伸びていない今、得意の形を構築することができればこのようなスタッツ、得点数になるというのを証明できたのではないのかなと思います。

 

 

2)ターニングポイントになるか、一瞬の花火になるか。

もちろん、プレスをかけてロングボールで一発でひっくり返される場面が見られたところ、ミスがらみでカウンターを喰らうところ、追いつかれてからのオープンな展開での殴り負けなど、失点に直結しそうなところでの弱さは見せてしまっていますが、ここまで苦戦をしているチームとしては、ちょっとずつ改善を繰り返していければと思います。

正直ここまでリーグがまずいとカップ戦は失ってもリーグ優先!という考え方もありかなとも思いますが、どうも今年のレノファはカップ戦である程度ベンチやベンチに入れないメンバーが発奮して、ある程度流れを作っているような印象があります。そのため多少体力などはけが人も出ていることから辛いところはあるかなと思いますが、カップ戦もしっかり経験値を積む場として活用しリーグへの力を蓄えて行けるといいのかなと思います。

いや~鹿島に(PK戦だけど)勝ったよ!すげ~!!で終わるのか、これを勢いをつける起爆剤とするのか、それが試される、GWの連戦になって行くのかなと思います。

 

ルヴァンの次の相手はレイソルに決まりました。またJ1のチームが山口に来ます。勝ち進めばまた違うチームが来てくれるかもしれません。カップ戦は夢がある。

ただ、J1昇格した岡山はJ1フィーバーに1年を通して湧いております。同じ舞台を目指しためにも降格圏にいる場合ではありません。

 

チーム、クラブ、ファン・サポーター、さあ逆襲を始めましょう。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

(※文中敬称略)