3試合連続の試合終了間際の失点。
後半の失点率が明らかに高い今年のレノファ。守れていない、ということをブログやスペースで言及してからよりそれが悪い方向に出てしまっています。
今節は4‐4‐2のブロックのスペース管理ミス、最終盤のブロック外⇒ブロック外でのクロスからの失点となかなか昨年の堅守が出せていません。第10節を終えて降格圏脱出までに勝ち点4と2試合分の差がついてしまっている現在、どこに立ち返るのか、それが問われているように思います。
では、今節は下記について振り返ってみたいと思います。
1)奏功した積極性と裏目に出た積極性
2)2025年レノファ山口FC
【得点者】
佐賀 山口
9分 新井 50分 下堂
90+3分 堺屋 55分 末永
1)奏功した積極性と裏目に出た積極性
今節もレノファは並びは変えず。鳥栖の並びは3‐4‐3。前節の対戦相手の富山がボール保持時に多少形を崩していたところにも似た形。レノファとしては試合開始からハイプレスをかけていきました。中でも特にケアしていた場所は鳥栖のシャドウのスリヴカと西川のところをSHとCHで締めてここをCBやCHから通されないようにし、外回りにさせるところを狙いとして持っていたと思います。
鳥栖は前節レノファと同じく4‐4‐2を敷く長崎と対戦をしていました。この試合では多少ミドルゾーンで構えつつ、機を見てハイプレスをかけて得点を取るような試合運びで勝利を収めていました。ボール保持はある程度長崎にもダブルボランチの2人を中心に回すのは変わらず。
やはりレノファと長崎の力の違いやホームとアウェイもあってか、鳥栖は特にボール非保持のところで長崎戦よりも積極的に前に出てきていたように思います。
では、試合自体の振り返りを。レノファのボールの非保持時について。
まず6分前後のところでレノファが上述したシャドウのスリヴカと西川を気にしていたのがうかがえるところ。
レノファの右サイドで鳥栖がボール保持したところで横山、池上で彼らの距離感を絞って、中をだいぶ締めておりスリヴカを消すような形を取っていました。そしてそこから鳥栖がボールを左サイドに動かしても、末永はボランチを消しながらRCB井上へ出ていき、RSH西川には田邉がピタリと付き、西川の落とした先の西矢にも有田がつぶす。櫻井にも奥山がタックル。とかなり厳しくここのボールの出し入れについて気にしていたように思います。
鳥栖の前節も長崎の4‐4ブロックに対して、特に長崎ボランチの脇あたりをスリヴカや西川が位置どることで、ビルドアップの逃げ道にしている場面がありました。3-4-3というフォーメーション自体が4-4-2で守るレノファにとっては、このシャドウやWBを捕まえにくいフォーメーションということもあります。レノファとしてもボールをさばく能力の高いダブルボランチとシャドウの2人に好きなようにされてしまうと、主導権を持っていかれてしまうので、強く意識をしていたのではないかと思います。
ただ、やはり現実そうはうまくいかないし、今期のレノファはなかなか守れないのが悩みの種です。
失点シーンについては良くも悪くも人を捕まえに行くことを意識したあまりにレノファの選手たちのプレスが被ってしまったところから始まってしまいました。
6分と同じように、鳥栖のRCB井上が右サイドに流れたRCH西矢からボールを受けたところで、西矢のマークについていた有田がここも西矢を消しながら出ていきます。
このプレスに対して井上から櫻井にボールが出て奥山が付きに行きます。ここで櫻井と西矢も捕まえられる位置に行こうとしたのか田邉が中途半端に前に出てしまいます。その後ろの末永も西矢のところをケアしに同じように前に出て行ってしまいました。
鳥栖の櫻井はこの動きをしっかりと把握しておりワンタッチで西矢へはたくと見せかけて、これをキャンセルしてワンタッチ持ち出してパスに切り替えます。この持ち出すプレーで田邉と末永は動かされてしまい、一番警戒していたはずの西川への道を空けてしまいました。
そして櫻井はワンツーで西川からボールをもらい、同時にスリヴカはインサイドに入り、横山を吊りWBの新井へのパスコースを作り、そしてエリア内に入ることで池上を引き寄せ新井のカットインのコースも作ります。LCB小川もオーバーラップをすることで縦を岡庭と横山に意識させたところで、新井はカットインからの隙間を縫うようなシュートが決めてみせました。
本来であればこのカットインに対してボランチなりFWなりが蓋をするような動きをしたかったところですが、スライドは間に合わず。志垣監督はボランチの池上に蓋をしてもらいたかったというような談話を残されてましたが、その前の作りの段階でミドルゾーンでのプレスのところですでにエラーを作られてしまった失点であり、池上も目の前でボールを逃がされマークについているスリヴカを意識するでしょう。やはりケアをしていると思ったところでいきなり突破されたところの一発目での失点…あ~こういう対応難しいが、ここが今年はもろいな~…と。
失点後はレノファは徐々に修正。まずは横山を多少上がり目にして4‐3‐3にもなるようなミドルブロックを引きます。しかし、16分のように横山がLCB小川へ寄せても、スリヴカがLWB新井と小川をつなぐような位置に入ってくると、横山はスリブカとボランチを両方の位置を気にしなければならず、中途半端な対応を強いられてしまい、スリヴカのコースを消せず。ここにはレノファのボランチはスリヴカの位置へは出て行けず結局ここから前進を許してしまっておりました。次の1手は横山を上げるほか、田邉をある程度高い位置にすることで、横山がジャンプしてCBに付きに行ったところでボランチへのコースを田邉がケアするようにマイナーチェンジ。ボランチを田邉が抑えているので、横山はスリヴカの位置を確認してそこの道を切ることができれば鳥栖も満足にゲインはできなくなっていきました。
このあたりからようやく鳥栖のペースから多少針をこちらへ戻せるようになっていきましたが、前半はほぼビルドアップが停滞。
プレスを受けて蹴らされてしまう。つなぐビルドアップもほぼうまくいかず前後が分断。できる形はある程度最終ラインで相手を動かしたところでスペースにボールを送ることに限られてしまっていました。
鳥栖のビルドアップをある程度止めることはできても、今度は押し込まれたところで蹴らされて自陣へ押し込まれる時間をずっと作られてしまい、前半を終えることとなってしまいました。ただ、1失点で抑えた。失点直後のばたつきはあっても大きな決定機は作られなかった。これは後半に多少なりとも響いたのではないかと思います。
2)2025年レノファ山口FC
そして後半。
あくまで印象ですが、やり方を変えたのがまず見えたのが鳥栖であったように思います。前半の上述したようにつなぐビルドアップにこだわりは見せずにロングボールでレノファ陣の深いところへボールを送ってきました。
これは前半の最後の試合の文脈として、鳥栖の攻撃⇒ネガティブトランジションでレノファを追い込み蹴らせる⇒クリアボールを回収⇒再度鳥栖の攻撃⇒以下略 というものがあったのでそこを引き続き狙ったように思えます。
ただ、これは後半レノファが仕切り直したところとうまくかみ合ったように思います。後半開始直後鳥栖のロングボールに対して横山にボールがこぼれたところで有田がDFを背負い、その裏は奥山がフォロー。アバウトなボールなどにも選手が単発の反応になるのではなく、距離感をしっかり保ちつつセカンドボールを狙うような形にします。
鳥栖のWBはハイプレスで前に出てきているので、タッチライン沿いの裏のスペースは空く場所になっています。レノファはここをしっかり突くように変えたように思います。そしてその最初の攻撃でアーリークロスで有田へボールを送ることでまず一つ形を作ることで流れをこちらへ。
続くプレーではセカンドボールを奥山が鳥栖のCB森下から奪いファウルをもらったところでやはりWB裏、PAのポケットを狙いながら前進。そこで奪ったCKの流れから1点。
畳み掛けるようにまた右サイドのスローインでもまず狙うのは相手のWBの背後。有田が右サイドのPA付近でボールを収めればクロスに飛び込むのは左サイドバックの小澤。流れをもう一段とこちらへ。
続いてやはり右サイドのスローインで縦を気にする鳥栖を横目に、最終ラインまで丁寧にボールを戻し鳥栖の選手たちを引き出していきます。そして田邉から一気に左サイドへ局面を変えるようにDF背後へのロングボール。小澤が抜け出したところに奥山がしっかりとフォローに入りクロスからの末永のゴールを生みました。
得点自体は多少できすぎなところはあったように思えますが、ただ、しっかりと狙いをもって相手の背後を突く。ロングボールへの表と裏の対応をしっかりする。SHとツートップの距離感を保ってセカンドボールを狙う。
このあたりは開幕戦から見せた<2025年レノファ山口FC>であったと思います。そこから幅を持たせて反対サイドも使う。これは小澤、岡庭というキャラクターのSBをつかったからこそ見せられたものようにも思えます。もちろん、それは亀川や板倉でも同じように狙うこともできます。自分たちの形をちゃんと表現する。そうすればこのようにチャンス・得点を生むことができる。それは確かに見せてくれたのではないかと思います。
それでも現実は厳しく、守れない今年のレノファも現れてしまいました。
2失点目についてはある程度前半の終盤に状況は似ていたかと思います。
前半の終盤あたりも落ちてくるシャドウを捕まえられずミドルサードからファイナルサードにボールを運ばれ続けられる状況。ただ、それでも4‐4ブロックの外回しはできているので、決定的なところまでなんとか踏ん張っていた形でした。前半の終盤だけで言えば、コメンタリーは鳥栖素晴らしいを連発していましたが、ファイナルサードではブロックの外回し。ぎりぎりのところでは体がはれていました。45分の新井⇒小川のヘディングについても小澤は体を入れていることもあり、満足にボールへあてさせることはさせず枠外へボールはいっていました。
劣勢ながらも最後のところはやらせていない状況でした。
ただ、この場面。ピッチの中のことは分りませんが、後ろの選手たちはある程度跳ね返すことができていると感じていたかもしれません。ただ、前線の選手はボールの保持を従っていた。試合後の談話では後ろの選手と前の選手では意識が違っていましたし、そこをコントロールできていなかったのか、志垣監督が采配ミスという言葉を出していました。
◎後ろの選手の疲労を考えれば5-4-1で後ろのスペースをケアしてたほうが…
「アリバイ作りの守備が何回かあったのはもったいなかったです。前線は交代して出ている選手ですのでもっとハードワークしないといけない。」(志垣監督談話)
◎うん、うん、もっと寄せてほしかったよ…
◎いや~もっと最終ライン含めて背後を感じててよ…
たらればは尽きない。でも、
『レノファ山口3試合連続クロージングに失敗』。この事実だけが残ります。
10節終わって降格圏。多少今年厳しいと思っていましたが、ここまで苦戦するとは正直思っていませんでした。でも、今僕らレノファ山口の目の前にはしっかり課題が見えています。手の付けようがない、そんな状態ではありません。きっとチームはこの難局を乗り越えてくれるでしょう。
こんな難しいなかでも鳥栖には1000人ほどのレノファサポが詰めかけたようで、僕らサポーターの熱も全然冷めてませんね。もしかしたら、客足は少し少なくなっているかもしれませんが、まだまだちゃんと火種が残っていれば大丈夫。乗り越えていきましょう。
上位陣との5連戦が始まります。難しいなんてわかってます。でもここを乗り越えたときに見える景色はきっと素晴らしいものになるでしょう。チーム、クラブ信じて応援していきたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)
さて、あとがき。
今節は一番驚いたのはレポーターをされていた諸岡彩さんでした。
https://x.com/Ayayeah01/status/1913582841457443254
ヒーローインタビューに来た堺屋選手の顔を見て言った言葉が「チームにとって悔しい試合となりました」
諸岡さんの「ヒーローインタビュー」なのにこの言葉をいきなり選手に向けられたのってすごいなって思うんですよ。試合後色々調べてて上のツイートにたどり着いて色々思いが変わったんですよね。
たぶんこの方はちゃんとサガン鳥栖に寄り添っているからこそこういう言葉をとっさに出すことができたのかなと思ったんですよ。いや~もうそんなことを思ったら、あ~素敵。となりましたわ。維新でもトクダトモヨさんは毎試合すごく冷静に(熱い思いをおしこんで?)しっかり選手・監督に向けられてますよね。ほんとプロってすごい。
僕はもうこの試合いろいろやるせない気持ちが混雑してしまい、僕は試合後から半日サッカーとSNSを遠ざけましたが、もう少しこういう冷静さがあるとまた違う世界がみえるのかなって思いました。
でもまあ、感情ぶるんぶるんに振り回されるのもサポーターとしては正解でもあるんだろうな。とこの試合はリアルタイムと見直したときは全く変わったよという話でした。
では、また次のブログで。