札幌遠征が色々充実をしており、所々で「今日は何もなかった!」「レノサポで札幌にジンギスカン食べに来ただけ!」など試合のことは忘れよう!的なテンションで過ごしてましたが、まあほんとに試合終了直後はとても悔しくて、試合を見直したらやっぱり悔しくて。
勝てた試合だった、とは言いませんがやはりもう少しスコアを動かせた試合だったと思いますし、先制点だったり、複数得点、最少失点、クリーンシート、最近なかなか同時に達成ができていないこのあたりの言葉を実現させる機会はあったように思います。
何かが変わってきている、結果を掴み取れそうな気もする。ただ、現実はそうはいかなかった。
では下記について今日は考えていきたいと思います。
1)やはり出してきたハイプレス
2)スタッツから見る新しい傾向:ドリブル
3)フィニッシュなのかお膳立てなのか。
【得点者】
札幌 山口
45+2分 バカヨコ なし
1)やはり出してきたハイプレス
前節の秋田戦では対戦相手の特色上、今季ある程度武器として使ってきたハイプレスを出すタイミングがなかなかありませんでした。今節の札幌戦では中山レノファとしてどのように相手のボール保持に対して守備をするのかが見えてきました。
監督就任時に「元気に」とご自身の名前を交えておっしゃっていましたし、ミドルブロック、ローブロックを敷いたところから出ていくのではなく、ハイプレスを選択し積極的にボールを高い位置で奪いに行きました。
ただ、志垣前監督の時とは多少ハイプレスの風合いが違っているように感じました。フォーメーションも変わっていますし、相手もあることですが失点シーンにもつながっていたようにも感じました。
どんな形であったかをまず振り返ってみたいと思います。
まず立ち上がり。札幌は47CH西野をアンカーにして、14田中克、31木戸を並べて4‐3‐3のような形でスタート。早速2分のところでレノファの狙いがわかるようなシーン。
野寄が札幌のRSB高嶺へ出ていき、田中克には輪笠がついていき、RCB50浦上には古川がプレスバックをそれぞれ札幌のパスの受け手をつぶします。そしてバカヨコへ苦し紛れに出したパスを亀川がカット。輪笠⇒野寄とつないでクロスをあげてゴールをうかがいます。ハイプレスをかけて相手陣でボールを奪えば時間をかけずに相手ゴールへ迫る。中山レノファはこうするんで、というのが早速出た場面でした。
レノファのプレスのかけ方としては札幌のCB2人にはCFの古川と山本(桜)がつき、札幌のSBにはIHの田邉、野寄が出ていきます。ある程度IHも札幌のボランチの2人は見るもののSBにボールが出ればそこについていく。輪笠が主に14田中を捕まえ気味、残るIHがスライドしてもう一人のボランチの西野を捕まえるような形でした。そしてCFバカヨコには松田が主にマンマーク。割と自由に中盤まで下りたりする木戸は下堂と喜岡が見るような状況でした。
まず、なぜレノファのIHの選手がSBをケアすることになっていたのか。これは札幌のSHの選手がWGのように高い位置で幅を取っていたことがあったと思います。白井・原がその位置を取ることで岡庭と亀川の両WBは最終ラインにほぼ固定をされてしまいます。
札幌のSHの選手のマークをCBに託してSBのところに行くこともできないわけではなかったですが、その時はしっかり前線が追い込んでいる状況の場合。やはりレノファ最終ラインと札幌のCF2人+SH2人を数的同数にしてしまうことはリスキーであり、前の5人のフィールドプレイヤーで札幌のファーストサードでのビルドアップに備えることを選んでいたように思います。
ただ、札幌はキーパーの高木はJ1を含めても屈指のキックのうまいキーパーであり、高木を入れて7人の選手たちに対して5人でボールを取りに行くわけですし、やはり空いてくるところは出てきてしまいます。特にRSB高嶺はもともと中盤の選手であり、右サイドバックでありながら左利き。当初4‐3‐3の並びだった札幌も4‐4‐2のような形をベースにしつつも、LSB岡田を上げることで後ろを3枚にしたり、ボランチエリアに高嶺を入れたりと、彼を浮かせるような工夫をしてきていました。
多少変則的な形でレノファのWB裏へのボールの供給、または中盤を押し上げる時間を作ってのゲームメイクなど、高嶺に時間を与えてしまうことは失点につながってしまいます。そのため、札幌のRCH14田中を輪笠がマンマーク気味で見に行き、LIHに入った野寄は高嶺へついていくシーンが多かったように思います。
そんな中、この守り方に対して脆くなるのが輪笠が札幌のダブルボランチへ出ていった際にできるレノファの最終ラインとのスペースであったり、野寄や田邉が出ていけば広大な横幅を輪笠だけで見ないといけないため脇が空く所でした。わかりやすい場所で言うと、主にセンターサークルというかビルドアップ時に主審が立つ周りはかなりスペースがあった状態でした。
4分のところではGK高木⇒LCB宮にボールが出たところで、田邉はCF31木戸のコースを切りますが、CF20バカヨコは輪笠の脇へ降りてきてボールを引き出します。バカヨコには松田が付きますが、ポストプレーを許してしまい、松田は一度最終ラインへ戻りますが、バカヨコは中盤でステイ。レノファの前線の選手たちが一気にプレスで圧縮していきますが、簡単にボールをバカヨコにつながれ35LSH原への大きな展開を許してしまいます。
16分や19分にもそれぞれバカヨコ、木戸と輪笠の脇のところに顔を出されるシーンが増え、簡単に戻させていればよいのですが、前を向かれてはまずいのでレノファのCB陣にはここでバカヨコ・木戸をしっかりつぶすことが求められていたと思います。
24分などはやはり札幌がレノファの中盤と最終ラインの間を間延びさせるような位置取りをします。ここで31木戸が今度はこのスペースにおりてボールを受けようとしたことで、下堂と喜岡がここをケアするように2人して動いてしまいます。これを見た松田は彼らの裏を使われることを警戒するので、バカヨコから多少離れるような位置を取るので、やはりここでバカヨコにパスが渡り、大きな展開を許してしまいます。そのままバカヨコに松田がついていれば、と思う話かもしれませんが裏を使われてゴールに直結するパスを通されるのが一番怖いこと。
33分のようにGK高木から木戸へのロングボールに対して下堂が木戸をつぶしに出ていきますが、木戸⇒バカヨコ⇒木戸とつながれ下堂が出ていったところをLSH原い狙われ危ない場面を迎えます。CB陣が勇気をもってアタックすればその分リターンはありますが、この試合では多少リスクのほうを気にしてしまい前へ出ていききれなかったことや、出ていっても交わされてピンチを迎える場面があり、CB陣にとってはなかなか悔しい対応が続いていたように思えます。
そしてこのあたりが呼び水になってしまったのが失点シーン。この場面では一度相手にボールを最終ラインまで戻させたところからでした。やはりバカヨコが落ちてポストプレーを狙います。これを察知した下堂はここに出ようとしますが、なぜか下堂の横にRSB高嶺がレノファの最終ラインのところにおり、高嶺を気にした下堂は前に出ていけず。「誰かバカヨコにつけ!」とジェスチャーは見られるものの、野寄は間に合わずここからゲイン。そして前線にいた高嶺にボールがわたりシュートを許してしまい、バカヨコにボールがあたりコースが変わったことで失点を許してしまいました。
おそらく通常のロングボールなどに対してFWをつぶしに行くというタスクであればCB陣として積極的にできたと思いますが、SHが裏を狙っている・想像以上に中盤との間が空いている、こんな状況であるとなかなか決断というのは難しかったのかなと感じます。ただ、外から見ている人間としては勇気をもってアタックしてつぶしに行ってほしかった。というのが感想としてはありました。
また、そもそも志垣前監督の時は4‐4‐2で中を締めたところからプレスに出て行くなど中をまず締める。ここがスタートラインであったと思います。中山監督の場合は守備時で5‐3ブロックと言えどまずは選手の間隔は大事にしているところは感じますが、行くときは形をある程度崩しても思い切っていく、と志垣さんの時から独自の色を入れているように思います。正直志垣さんが指揮をしていたらこのようなパスはここまで通っていなかったようにも思えます。
ただ、今節についてはズバッと中を通されるところが目立つときはありましたが、純粋にフラットな感覚で試合を見返せば多少気になるところはあれど、12分のように輪笠がパスカットしてからのショートカウンターを繰り出すなど、ハイプレスをしてからそのまま前4人ないし5人でゴールへ迫る場面もあり、新たにカウンターをチームに落とし込もうとしているのがわかる前半でした。これは志垣さんの時ではなかなか出せなかったものではあるので、こういうところは中山監督だから、ということも考えられるかもしれません。
2)スタッツから見る新しい傾向:ドリブル
では、どんなカウンターをしているのか。そしてボール保持からどのように相手ゴールへ迫っていったのか。
まずこの試合のスタッツから。札幌のスタッツについてはシュートやチャンス構築率などが高くなっており、それ以外はパスやドリブルが落ちていくことがわかります。30mライン進入やPA進入の数はいつも通りであることから、この数字を見ると割と札幌としてはこの試合効率よくゴールに迫ることはできていたのかなと思います。それは上述したようにレノファのCB陣が割と出ていったところを使われるシーンであったり、最終盤レノファが形を崩してまで前に出たときに、札幌はその形が崩れたところを効果的についてきたこともあり数字が良いのかなと感じます。
レノファに話を戻すとまず目につくのが30mライン進入の数字がよいこと。これは高い位置でボールを奪えてカウンターにつなげられていることを意味しているかなと思います。クロスの数字も高くカウンターからクロスのシーン確かに多かったですね。またCKについても同様のことが言えるかと思います。このスタッツは磐田戦とかなり似ており、やはりあの試合の前半のようなものを目指しているのかなと感じます。
カウンターを割と武器にしようとしているレノファ。カウンターなので当然ではあるのですが、CF2人とIH2人にWB(主に岡庭)を混ぜた4人ないし5人でボールを奪ったらゴールへ向かってたように思います。それは攻撃⇒守備の局面でカウンタープレスなどでボールを取ってからのショートカウンターだけでなく、ボールを保持したところでもこのような攻撃を見せていたように思います。
ボール保持では3-3-2-2のような形でWBもある程度高い位置を取らせてCBはロングボールを前線に送り込んでセカンドボールを収める。ここでミドルサードまで進出したからボールを落ち着かせるのではなく、手数をかけずにゴールを目指していました。ここまでは前節でも感じたものとあまり変わらず。(※秋田戦のブログ、ネガトラの箇所参照)
スタッツの話に戻りますがもう1つ伸びている数字がありました。それがドリブル。
この試合まずレノファがセカンドボールなど収めたところでまず見るのが相手のゴールだったように思います。そしてこの試合起用された野寄については札幌のRSB高嶺をケアする守備への貢献のほか、このセカンドボールを収めた際に山本(桜)のようにまず独力でボールを運ぶことでチームの矢印を前に向ける役割があったように思います。
シンプルに持ち運んでクロス。言葉にしてしまえば簡素な響きにはなりますが、ショートカウンターであったり、ファイナルサードに入ったところで時間をかけずにゴールに迫ることで相手の帰陣が満足にできていないときにゴールを陥れる。後半開始直後のドリブルでのPA進入からの古川の決定機をまさにこのパターンだったと思います。
同様に途中から入った小林もやはりいつも以上にドリブルで仕掛ける場面は見られましたし、意識的に少ない人数でも攻撃を完結できるように。またそれこそ昨年建てたスローガンのひとつ「素早い攻撃」を体現するために、取り入れているように思います。
3)フィニッシュなのかお膳立てなのか
ただ、ポジティブにこのような変化を楽しみたいのですが、現実は厳しくこの試合では得点をとることができませんでした。
前半は割とイーブンで点を取れたのが札幌だった、後半はレノファが攻めるもゴールを奪えないうちに、自分たちから形を崩して札幌に逃げ切られてしまった試合と僕は感じました。
特に後半の入りは上述した野寄のチャンスメイクであったり、多くのチャンスは作れていました。札幌の前線の交代で札幌のファーストプレスの精度なども落ちてボールを相手陣へ繋いで運ぶこともできるようになっていました。
札幌がCBタイプを後ろに3枚並べるようなかなり固い布陣を引いたのもその勢いを嫌がったためだったと思います。特にRSB家泉はかなり強固な1手に思えました。それに対してLCBに磯谷、LWBに小澤、CFに奥山と利き足、スピードで裏を取ってやる!という気概も中山さんから感じた采配でもありました。
ただ、最終盤喜岡を最前列に上げて、フィルター役を担っていた輪笠をパスもさばける三沢に変えて、最後の攻勢を!!といったところで、札幌に落ち着かれてしまいました。85分87分の高木のパスは見事だったと思います。あの2本で札幌が「あ、大丈夫だ」とチーム全体が落ち着いたように現地では見えました。
喜岡を上げる(去年で言えば平瀬を上げる)というのは時々奏功しまた頼ってしまう形なのだと思いますが、やはりその手は使わないことが一番いい。それまでに試合をレノファのリードであったり同点であることが求められます。やはり今得点を決めるCFなのか、それとも今のCFにおぜん立てをできるIHやWBなのかが台頭・獲得が求められているのだと思います。(あ、献身的でドリブルもできて体躯がいい選手がいるんですよ。ルカオっていう悪夢みたいな選手が)
冗談はおいておいて、その第1手が草野の再獲得であったのだと思います。J2の降格圏に沈むチームを選んでくれる選手はなかなか多くはないでしょう。その中でレノファを知っている、レノファで得点を取った経験がある、まだまだ走れる28歳。これが良い再会になることを願いたいと思います。もちろんこれで終わらずチームにもっと刺激をもたらしてくれる選手の加入は歓迎したいなと思います。
なかなかトンネルは抜けませんが中断前の最後の試合。強敵の徳島ですがホームの勢いをもって勝ち点3を取ってほしいなと思います。惜しいゲーム、内容はよくなってる、この言葉はもう要らない。勝ち点3だけを求めたいなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)
で、あとがき。
なんクロでも話しましたが、今回の対戦相手の岩政さん、そして中山さん。僕は学年が同じなんですよね。いや~山瀬さんが現役で頑張っているときもすごいな、と思っていましたが、こうして自分と年齢が同じで同郷である2人がプロリーグの監督として相まみえる。「すごい」とかそういう感情よりも、「マジか」と信じられないなというのが本音でした。
彼らのようになりたかったとかそんなおこがましいことは思いもしていませんが、なんか不思議な感情が出てきました。あ~自分はこんな年齢になったんだな、と思うところもありつつ、でも監督してはお2人とも若いよな~とか同い年の選手が活躍するのとはまた違った感情でした。
試合を見直すと後半の流れや選手交代などは、それぞれ思いが込められた采配をされているな~と二人の会話が聞こえているようにも思えました。
中山さんは最近監督に就任したばかりですが、まだまだ両監督とも目指す場所は上。切磋琢磨しのし上がっていってほしいなと素直に思います。特に中山さん何としても残留を!!
今回は以上です。ではでは。