レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

双方消耗しきった上での消耗戦 ノルウェーvsイングランド FIFA World Cup 2026

FIFA World Cup 2026のグループリーグ全72試合をそれぞれの書き手によりアーカイブ化するというJAPAN ANALYZING FESTIVAL '26(Windtoshさん主催)の企画に参加してます。

今回の記事は準々決勝ノルウェー対イングランドの試合になります。

 

まず、今大会僕はグループⅠのセネガル対イラクの記事を担当いたしました。同グループであるノルウェーについては決勝トーナメントでは日本とあたる可能性があったこともあり、気にしてみているチームの一つでありました。

そして準々決勝の記事のおかわり企画としてこの試合の担当の1人としてご指名いただき、ノルウェー目線で書くことになると思いますが、この試合について考えていきたいと思います。イングランドはそれに比べるとあまり見ていないので、ご了承いただければ。

 

【得点者】
ノルウェー  36分 シェルデルップ

イングランド 47分 93分 ベリンガム

 

 

まず、この試合ノルウェーとしては先制に成功をし、突き放す機会、同点後も勝ち越す機会などもあり、勝ち筋は少なくなかったと思います。ただ、やはり連戦であったり、気候であったり、チーム内にウイルス性の病気が蔓延している、といったニュースもあるなど満身創痍でこの1戦を迎えていたようです。もちろん、対するイングランドもノルウェーよりもこの6戦合計1500キロ以上の移動をしていることや、ベスト16はメキシコで標高2000m以上、10人で耐え続ける1戦を終えてからのこの準々決勝なので、どちらも厳しいコンディションであったと思います。それでも試合の中で出場選手のコンディションであったり、ベンチから出てくる選手の質など、総合力でイングランドに上回られてしまった。流石イングランドというようにも見えました。
特にノルウェーとしてはCFハーランドが、湿度など試合コンディションで難しかったようで、後半の途中から膝に手をつくシーンがあったり、この試合のタッチ数21となかなか試合に絡めなかったことなど、チームとして狙いたい形が出せていなかったことがあったように思えました。

長くなりましたが、試合の内容を見ていきたいと思います。

まず、前半のハイドレーションブレイク前までは多少イングランドペースであったと思います。

立ち上がりこそ、ハイプレスをするように前から出ていったノルウェーでしたが、その後は4-5-1でミドルブロックというかローブロックを組み、イングランドの攻撃に相対していました。

イングランドもノルウェーが前から来ないこともあり、ミドルサードまではある程度簡単に進入することが出来ていました。まず開始10分までにイングランドの左サイドから徐々に進入していき、RWGのマドゥエケにサイドチェンジを通したのが3回あり、ここからの崩しを狙っていたのかなと思います。これに対してノルウェーはLSBウォルフだけでなく、LWGシェルデルップがしっかりと2対1での守備を作れており、前半はここからの進入をほぼシャットアウトしていました。

多少隙を与えてしまっていたのが、逆サイドであったかと思います。RWGセルロートの本職がCFということやイングランドのLSBオライリーの上がりを気にしてなのか、シェルデルップに比べると守備が緩かったように見えました。そのため、イングランドLWGゴードンに対して、ノルウェーRSBリエルソンは1対1の守備をする機会が増えました。

リエルソンは負傷交代する60分までに12個のターンオーバーがあったようで、いかに彼のところから攻め込まれていたか、また彼がしっかりそれを食い止めていたかがわかります。(※だからこそ負傷気味だった彼の足がもたなかったのかなと。)

 

また、ボール保持時についても、4-2-4のような形でのイングランドのプレスに苦労しました。「2」の一角であるアンダーソンがウーデゴールに対してマンマークのような形でつくことでなかなか運ぶ筋道を見つけられませんでした。ハーランドやセルロートへのロングボールも中盤と彼らの距離感が離れており、セカンドボールを収めることができずにイングランドボールになってしまっていました。

時間が経つにつれてノルウェーは危ない場面こそ作られなかったものの、なかなかボールを奪っても押し込まれてしまっているところから、ボールを相手陣に運ぶことが出来ずハイドレーションブレイクを迎えました。

 

そして、このハイドレーションブレイク明けノルウェーが多少ビルドアップを変えました(29:50あたり)。ビルドアップ時に1度はウーデゴールが最終ラインに落ちるものの、その後はあえて高い位置をとりました。そうすることでアンダーソンを前線のプレス隊からの距離を遠ざけるようにピン留め。そして8べルゲが落ちて3バックの形をとります。その1シーン前にもLCB17ヘッゲムがドリブルで持ち上がるシーンがあり、RCB3アイエルもにおわすようにボールを持ち、ベリンガムとゴードンを誘い出します。これらの動きに合わせて6ベルグがベリンガムとゴードンの裏を取りボールを引き出しました。

イングランドのもう一人のライスがここに出る選択肢もあったかと思いますが、LWGシェルデルップがインサイドにポジションを取り、ライスの脇に入ることでライスの周りにベルグとともに数的優位の状況を作っていました。シェルデルップがいることでライスはベルグのところまででることができませんでした。これで相手陣への進入が出来ました。そしてそのままファイナルサードへ。会場のバイキングローも盛り上がっていきました。

この一連の流れからか、イングランドのボランチの2人はある程度中央を使われないように引いて受けるノルウェーのIHに対して、迎撃に出ていくことは選ばないように見えました。ここからノルウェーは相手陣やファイナルサードへの進入がしやすくなっていきました。

また、ボール非保持時もウーデゴールを1列上げた4‐4‐2に変更しミドルブロックで構えるのではなく、プレスをかけに行きました。32分には相手陣で嵌め込み、ストーンズのところであわやというところまで追い込みました。

そしてその直後イングランドのCFケインへGKピックフォードからボールが渡ったところで6ベルグがすかさずプレスバックでボールを奪い、最後はシェルデルップがドリブルで仕掛けペナルティエリアに入ったところからシュートかクロスかはわからないですが、鋭いボールがゴールに吸い込まれました。ノルウェーが自分たちで流れを引き寄せその流れをそのままゴールにつなげました。

ボールを保持することで流れを持ってくるノルウェーの流れが準々決勝という大舞台でも発揮されました。こうなるとノルウェーの自慢の攻撃陣がより勢いに乗り、38分はFKからハーランドへのボールに対して、その裏に抜けたボールへ反応したセルロートのエリア内でのシュート。43分のボールを奪ったところからカウンターのような形で速攻でセルロートとハーランドで2vs1となっていたシーンなどを作り出しました。

結果としては後半のファウルになった得点シーン含めてやはりここで2点目を取りたかった、というのがあると思います。ファウルを取られてしまったことや1失点目はカメラのコードに当たった疑惑があるなど多少不運なことはあったかもしれません。

ただ、ノルウェーはここまでの戦いから、繋ぐビルドアップやハーランドらへのロングボールなどある程度引き出しはあるチーム。一方で守備は毎試合失点はしてしまっていました。そこまで盤石な戦いをしているわけではなく、ある程度中盤から前線のタレント力であったり、相手陣である程度時間を長くすることで勝ち進んで来たように見えました。そのため、やはり複数得点は必要であり、ブラジル戦やコートジボワール戦のように最終盤でも得点をするというしたたかさも伴わなければならなかったと思います。そしてそのしたたかさの中心にいたのはハーランドであったと思います。

スコアラーでありチームの柱の一人であるハーランド。彼が後半の途中あたりから試合の中で影を潜めてしまう事態に陥り、ノルウェーとしては厳しくなってしまったように思います。はじめに書いたようにノルウェーのチーム事情であったり、湿度の問題をコメントで出していたようですし、この試合のコンディションも彼にはあまりよくない形で作用してしまったようです。冷房がついているスタジアムではなぜか準々決勝以降試合が開催されないようで、7月のデーゲーム、1994年ワールドカップでも不満の声が上がったようですが、なぜか同じ轍を踏んでしまったように思えます。

ピッチ内での出来事に目を向けると、後半イングランドは3人目の交代でリースジェームスをボランチに入れて、ハーランドのこともあり、ノルウェーの優勢の状態から膠着状態になっていきました。その後もイングランドはLSBスペンス、ボランチのロジャースを入れ、後ろの人員やポジションをいじることで安定を図り、後半ボランチに落としたベリンガムを前線にあげる采配をトゥヘル監督は取ってきました。

イングランドもこの準々決勝までの道のりで移動や試合展開でノルウェー同様に消耗はしていたとは思いますが、このベリンガムを上げる采配であったり、交代で入ってきた選手の質のようなものはノルウェーよりも上であったように思います。

ノルウェーもブラジル戦で流れを呼び込んだウイングの2枚替えを行い、特にLWGヌサがコートジボワール戦のようにカットインからのシュートでゴールを脅かすシーンはあれど単発になる機会が多く、膠着状態はなかなか変わりませんでした。対するイングランドはサカのドリブルであったり、ロジャースのプレス、スペンスのダイナミックな攻撃参加、リースジェームスの対人守備など随所にノルウェーの良さを消すような働きが出ていたと思います。

選手層や選手の質などはやはりイングランドの方が格上なのは確かだからこそ、やはり追加点が交代選手らで盛り返される前に欲しかったなと。トーナメントに入り3戦目。今までのレギュレーションであれば準決勝です。お互いに消耗している状態での試合のなかで、前半のような塩試合のような展開から、後半に入ってもオープンになることなく両チームがなんとか自分たちの色を出そう、相手の色を出させないようにしようと締まった試合になっていたと思います。だからこそどんどんピッチ内の選手が消耗していき、代わりに入ってくる選手の質が最後の最後で勝負を決める一因になったように思えます。もちろん2点目を決めたベリンガムはスタメンを張り続けてまだあのパフォーマンスが出せる怪物であったことは忘れてはなりませんが。

 

最後に話はそれるのですが、僕はこのノルウェーのチームを見てて、いいな、と思うシーンが良い攻撃に対して拍手を送っているところです。普段よく見るのはサムズアップをして、パスの出し手、受け手のコミュニケーションをしているところがあるでしょう。

ノルウェーはそういうロングボールのほか、うまく繋いだビルドアップに対してもそういうような振る舞いをする選手が何人かいました。多くはキャプテンのウーデゴールであったかなと思いますが、完全に僕の感覚の話ですが、サムズアップよりもこの拍手のほうがなんか「良かったよ!」というのが伝わるな、ということや、見ていてどこかチームとしてあたたかいな、という印象を受けます。

ただ、そんな姿をずっと見せていたウーデゴールは、最終盤に思うようにビルドアップの時に動けていないチームメイトへ叱咤をしていました。また、ソルバッケン監督は指示としてはつないでのビルドアップをしていたが、その体力が残っておらず蹴ってしまう選手たちにいら立ってしまうシーンがカメラに抜かれていました。すべてがキレイな姿ばかりではないのは承知していますが、そんな彼らのもどかしい思いからの姿がより一層最後の最後までノルウェーは力を出し切り、もう残っていなかったんだろうな、と試合を見返して思ってしまいました。

 

個人的には敗退はしてしまいましたが、そんな力を出し切ったノルウェーには心から拍手を送っていました。本当にお疲れさまでした。

バイキングローなども話題になりましたし、チームとしてもインパクトを残し、試合内外で個人的にはとても気持ちの良いチーム(国)と感じました。こういう国に出会えること、サッカーに出会えること「ワールドカップってすげえな」

と相変わらず言葉が足りない感想でこの試合のブログも締めたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

(※文中敬称略)

残念ながら前半10分で大勢は決まってしまった。 セネガルvsイラク FIFA World Cup 2026

FIFA World Cup 2026のグループリーグ全72試合をそれぞれの書き手によりアーカイブ化するというJAPAN ANALYZING FESTIVAL '26(Windtoshさん主催)の企画に参加してます。

 

この企画に参加するのは前回大会のカタール大会についで2回目になります。

僕の中で持っているテーマとして、日本のライバルであるアジアの国がどのようにワールドカップのグループリーグを戦ったのか、というものがありました。

前回大会はポーランドvsサウジアラビアでした。ご存じの通りサウジアラビアは優勝したアルゼンチンと初戦に戦い、見事な逆転勝利とアップセットを起こしました。ポーランド戦に勝てれば2勝1敗でグループリーグ突破の可能性はありましたが、ポーランドに2-0で敗戦となりましたが、個人的にはサウジアラビアの話ではありませんが、ポーランドの英雄レヴァンドフスキの大会初ゴール、そして喜びと安堵の混ざった表情が観れるなど印象的な試合になりました。

このような前回大会の思い出もあったので、今大会も同じようにアジアの国の最終戦を書こうと思い、選ばせていただいたのがグループIのセネガル対イラクでした。

 

このグループIはフランス、セネガル、イラク、ノルウェーと3強1弱のような形で映る組でありました。事実結果としてもイラク以外の3か国が決勝トーナメントに進出するなど、引分けもなく順当な結果がそのまま順位に反映された組になりました。

自分の予想としてはセネガルはフランスに負け、ノルウェーに勝ち1勝1敗、イラクはノルウェー、フランスに連敗をし2敗でこの戦いを迎えるのではないかと思っておりました。1勝1敗でグループリーグ2位突破を狙うセネガルにイラクは強豪ぞろいのこのグループで一矢報いることはできるのか。そんなことを考えこのカードを選ばせてもらいました。

ところが現実は2連敗同士の戦い。イラクの決勝トーナメントはかなり厳しいものの、前日の韓国の結果を受けて勝利と複数得点差での勝利で3位での突破が見える状況でした。

ただ、勝ちにいくのではなく複数得点を取りに行くセネガル、イラクがどう対応していくのか、それを見どころと思いこの試合を見始めました。

前段が長くなりました。では試合に入っていきます。

 

1)パぺ・ゲイエを外してディアラの起用

2)DOGSOでほぼ決した試合の行方

3)やはり出てしまった自陣でのミス

【得点者】
セネガル         イラク

4分 ディアラ      なし

56分 I・サール

59分 P・ゲイエ

71分 P・ゲイエ

82分 I・エンディアイエ

 

1)パぺ・ゲイエを外してディアラの起用

イラクとしてはまず痛手であったのはCF18

フセインの不在。ベンチには入っており、出場も可能という情報があったようですがこの試合は結局は欠場。ノルウェー戦、フランス戦で負傷退場するまでの間、ヨーロッパの屈強なCB陣を相手にも引けを取っていませんでした。むしろロングボールでの競り合いで質的優位を作れていた存在であったため、繋ぐビルドアップではなくロングボールで前進を行う時のキーマンが不在でした。

そのためゴールに迫る手段としてはロングボールを交えはするが、左サイドのチームの中心であるLSH8バエシュ、LSB23ドスキでの前進をすること。また相手陣に押し込んだところでのハイプレスの2つになっていたように思います。

イラクは第2戦のフランス戦は引くことを選びましたが、ワールドカップ前の親善試合などでも前から行くことを選んでいたので、おそらくセネガル戦でもやり方を変えることはないだろう、というのは予想できたかと思います。

そのためか、セネガルは第1節と第2節では連続でスタメンは同じ陣容にしていましたが、この第3節は4人の選手を入れ替えました。その中の1人がインサイドハーフの26パぺ・ゲイエでした。第1節、2節ともに中盤からセネガルの攻撃の組み立ての中心にいたレフティーをはずし、21ディアラを起用。8カマラと共に2列目に並べました。

 

立ち上がりからセネガルは自陣からの繋ぐビルドアップよりは割と長いボールを前線に送り込みセカンドボールをこのIHの2人を中心に収め、LWGマネ、RWGエンバィエへ送り、サイドの深い位置からのクロスを狙っていきました。

そして立ち上がりの4分に早速結果につながりました。右サイドで押し込んだところでCKを獲得。インスイングのボールを中でこの日CBに起用された4セックが競り勝ち、そのヘディングが21ディアラにあたりゴール。早々の先制点をあげました。

イラクとしては与えたくなかった先制点を早々に献上。なかなか点が入らずセネガルが焦れてくるような展開に持ち込めると良かったのですが、いきなり追いかける展開になってしまいました。

ただ、イラクとしてはやることは変わらず。自陣からの繋ぐビルドアップからロングボールを送り込み、相手陣に押し込んだころでハイプレス。セネガル陣での時間が増えるよう試みますが、セネガルはボールを持つと割とシンプルに前線へロングボールを送りこむことでこのイラクのプレスをいなしていきます。

そしてその中で出てきていた現象がイラクのスローインでの粗さだったかと思います。18フセインがいればもう少しボールが収まることがあったかもしれませんが、高さや体格などは先制点のところからもわかる通りセネガルのほうが上。自陣からのロングスローでゲインしようとするところでもなかなかセネガルのDFを超えることができず、LSH8バイエッシュが「もっと越せ」とジェスチャーをするシーンがありました。

 

2)DOGSOでほぼ決した試合の行方

そしてそんな中、10分にイラク陣のやや深いところでのスローインのシーン。やはりここでもスローインがセネガルにはじき返され、そのボールをシンプルにつながれてしまい、ゴール前のマネと初スタメンのRCB2スラカのもとへ。競り合いの中、スラカのヘディングはマネにあたりそのまま裏へ抜け出されてしまい、スラカがマネを引き倒してしまいファウル。VARチェックの末レッドカードが提示されてしまいました。

劣勢が予想される中、早々に先制をされ、10分で1人少なくなる。

ゲームが進むにあたり最悪のパターンの1つが起きてしまい、状況としてはほぼ試合は決してしまったと思います。ここからグループリーグ突破のために複数得点が必要なセネガルが点を取れるか否か。が焦点になってしまったかと思います。結果を見てもやはりそうなった。といって過言ではないでしょう。

 

ここから試合展開はボールを保持するセネガルに対して、前線からのプレスを時折出すものの、ほぼセネガルがボール保持し、退いて守るイラクという構図に。
ミドルサードまでセネガルは難なく進むことができ、そこからサイドへ展開。クロスからゴールを狙う。イラクはとにかくゴール前にバスを置くような中を固めることしかできなかったような状況でした。

そんな中でも、彼らが大事にしているボールを繋ぐことなどを時折見せます。ネガティブトランジションでカウンタープレスをしかけるセネガルに対して、かなりヒヤヒヤするようなボールポゼッションをしますが、ここから抜け出すこともあり、イラクのプライドが垣間見えたように思います。そして、そのまま何とか前半は1-0で折り返す展開となりました。

 

3)やはり出てしまった自陣でのミス

そして後半。ついに時間の問題と思われた2失点目が出てしまいます。

イラクはノルウェー戦、フランス戦の2失点目も自分たちのビルドアップのミスから失点をしてしまっていました。2度あることは3度ある。セネガルの攻撃をなんとかクリアをしたところ、ボールを落ち着かせようとしたのか、エリア付近でトラップを試みたところボールをIH8カマラにかっさらわれ、ゴール前にボールを送られイスマイラ・サールにゴールを奪われてしまいました。

そしてゴール後に選手交代をはさみ、試合の再開のところですぐにセネガルに押し込まれたところでイラク陣の深い位置でボールを奪われ、交代で入ったIH26パペ・ゲイエに強烈なミドルシュートを叩きこまれ、あっという間に3-0となってしまいました。

 

サッカーはミスをするスポーツであるので、ミス自体が出るのは仕方がないと思います。ただ、この3試合でイラクが起こしてしまったミスは試合を決定づけるものであったり(フランス戦、セネガル戦)、ここから勢いづきたいときに出鼻をくじかれるものでした(ノルウェー戦)。これだけ大事な場面で自分達起因のミスから失点をしてしまうと勝ち点はとれなくなってしまうでしょう。

どれも自陣のペナルティエリア付近やエリアのなかでビルドアップを試みようとしたところでパスをカットされたというよりも、不注意でボールを失ってしまうというところが共通してしまっていました。

 

セネガルはこの3点目の後もマネがそこそこのセレブレーションで「お前ら早く戻れ!」とジェスチャーを送り、グループリーグ突破の為に更なる大量得点を狙うように促し、そのままの勢いで得点を重ねて5-0で試合が終わりました。

セネガルはこ5点でグループリーグ突破を決め、イラクは3連敗でこのワールドカップを終えました。

結果としてかなり厳しいものになり、戦術のぶつかりというのも残念ながらみられる試合にはなりませんでした。ただ、この大敗などもワールドカップの本戦に出れらからこそのイラクの経験であると思います。8バエシュ、18フセイン、23ドスキなどはそれぞれ強国にも自分たちの色をだしてプレーをしていたように思えます。

そもそも日本はなかなか近年もイラクにアジアカップなどで敗戦を喫してしまうこともあり、この経験を経てイラクがどのようになっていくのか、それは半年後のアジアカップの楽しみにしたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

 

 

最後まで走りぬこう レノファ山口vsテゲバジャーロ宮崎 @維新 2026年5月9日

GWに行われた連戦最後の相手はこのリーグ圧倒的な強さを見せていた宮崎。アウェイでは0-3と良いところなしで敗れた相手。

5連戦目ということもあり、お互いのチーム力、総力というべきでしょうか、それを測るには良いシチュエーションであったと思います。

結果としてはアウェイの時のようにやられたということでもなく、ただ0-1という結果については「まあそうか」と特に否定をするようなこともなく受け入れてしまうような試合であったように思います。

それはある程度今おかれているレノファの状況はこういうものなのかな、と思ったのが自分の中にはありました。

では、今回は簡単ではありますが、それについて書いていきたいと思います。

 

1)いろいろできる、という光と闇、そして未来へいかにつなげるかということ

2)だからこそ走りぬこう

得点者

山口  なし     宮崎  44分 松本

 

1)いろいろできる、という光と闇、そして未来へいかにつなげるかということ

まず5連戦最後の試合。宮崎は大きく人を入れ替え、レノファも並び、というか攻撃のやり方を変えるとともにそれに沿ってコンディション含めた人選であったと思います。

宮崎は誰が出ても宮崎はこういうサッカーなんだ、というのを出しておりました。秋田、いわき、藤枝(須藤監督)のような色が濃いチームと思いました。

今季の鹿児島もですが、ある程度このようにサッカーをやる!という色を濃くするチームが多くなっていくのかな~という感じがしました。やはりこういうチームは型がしっかりチームにはまれば本当に安定して強いな、と思いました。まあここから研究されたりするとそこからずるずると行ってしまうのがJ2沼なんですが宮崎さんはどうなりますかね。

 

そんな宮崎に対して今節のレノファが選んだ策は

藤岡へのロングボールとレイオフでの前進
【狙い】
つなぐビルドアップではなく、ロングボールというよりも藤岡へあてて、田邉・中島へレイオフで前進。ミドルサードまではこのレイオフで進めていた。

【現実】
いざファイナルサードいくところではワンタッチを織り交ぜるのはよいが、その精度が足りず、なかなかペナルティエリアへ入れず、シュートはミドルシュートになってしまった。

RWB奥山のアイソレーションと右サイドからの崩し
【狙い】
RWBの奥山を右肩上がりにする。左は多少繋ぐことを匂わすようなボールの持ち方から、喜岡から対角のロングボールをアイソレーションさせている奥山に送り、そこから1対1からのクロス。

【現実】
ただ、奥山自身がなかなか1対1で相手を外せずクロスをあげることができない。サイドチェンジからの1対1よりも純粋にスピードに乗った状態で勝負させたかったのはあったように感じる。

また、左サイドはチャンスがあればビルドアップや背後へのシャドウの抜けを狙っていそうだったが、なかなかその状態を作れなかった。

 

ミドルプレスからのショートカウンター
【狙い】
サイドにふる宮崎のボール回しに対してミドルブロックを作り、そのサイドにボールが渡ったところをボールの取りどころにして、なるべく高い位置でとり、シャドウがしっかりそこに顔をだしてカウンター。キーとしたかったのは奥山だったはず。

【現実】
ただ、なかなか2項目目にあげたように彼自身のスピードを生かした状態でわたせなかった。また、ターゲットになる中の選手の問題かクロスの問題なのか、クロスを上げども跳ね返されてしまった。

 

このような状態が見られていたように思います。

ある程度現実的なところでは<質>を課題感としている小田切監督の意見は「なるほど、そのようにみえる」というものだと思います。

 

ボランチをうまく使ってボールを動かすチームという想定で準備していたのですが、背後への長いボールが非常に多くて、そこにアジャストするまでに少し時間がかかったことは反省点です。少し情報を与え過ぎてしまい、セカンドボールの回収が遅れてしまうところがありました。相手がボールをつないでくることにフォーカスし過ぎたところは反省しています。(引用元:Jリーグ公式)

と宮崎の大熊監督が談話を残されているように、相手のスカウティングの裏をかくことは成功していたようだっただけに、しっかりと結果を出したかったところであったと思います。
また、輪笠の談話で

5連戦やった中で戦い方、試合を読む力、それは練習でなかなか伸びない部分でもあるので難しいところですが、漏れがある選手がいたりといった部分はあったのかなと思います。鳥取戦もそうですが、入りの10分15分は相手コートでサッカーをやるという中で自陣でつないでしまう選手もいました。今日も最後の判断、前半の終え方のところ。試合の進め方というのは上手く、したたかにならないといけないと感じました。

とありました。

まず試合を読む力、どのようなプレーをすべきなのか、というところは、はじめに書いたチーム力というところにつながるように思います。入りの10分~15分のところは相手の狙いをかわすために背後であったり、レイオフの形を狙うことをまず狙っていたのだろうと思います。そのなかで繋いでしまう選手がいた、というのは個人的には構わないと思います。

 

プランを愚直に遂行するのがよいのか?

相手を見た中で素直すぎるのではなく、少し変化を加えてプランに移るのか

 

この辺りはピッチの中の選手がピッチ内の温度を感じてそれをどう表現するのかを決めるものだと思いますが、やはりそこで齟齬があれば精度はあがりません。

例えば失点のシーンの予兆は前半の12分から始まっていたと思います。本来であれば、山本、小澤が宮崎の背後を狙うボールを蹴るチャンスはあったでしょう。ただ、中の選手のジェスチャーを見ると前線の動きに対して注文を付けているようにも思えます。

 

・後ろの選手は背後を狙いたかったが、前線は準備ができてなかった。

・前線も後ろも背後を狙うよりもまずは落ち着かせることを選んでいた

 

色々な見方ができるかと思います。ただ、輪笠が「最後の判断」という言葉を使ってますが、どのように試合をすすめるか、終わらせるか、というところでまだチームとして考えを合わせている最中なんだと思います。

それはシーズン序盤ベンチメンバーもフルに埋めることが出来ないくらいの離脱者がいる中で戦っていた中でチームの底上げが出来切れていなかったのがあるかと思います。
同じような考えの中で迎えた鳥取戦でうまくいかなかったことからもチームの精度は上げていかないといけない点なのだと思います。

新体制発表会を見た僕の勝手な解釈ではあり、繰り返しの言及で恐縮ですが、僕はこのチームはなんでもできる、変幻自在に戦えるチーム、と感じています。鹿児島戦のように最初はグーをしたところで次の手を出さないでも、そのまま勝てるような強さやしたたかさを持っている一方で、宮崎のようなとがったチーム、鳥取の時のようなターンオーバーをすると脆さを見せるところは、やはり個々の選手の質、チームの考えの層自体がまだ発展途上なのだと思います。宮崎がいわき、秋田のような、と例えたように、このチームをこれをやりきる、と決まったチームは強いと思います。

ただ、【最短のJ2昇格】の次はJ1への道まで考える中で、1つのやり方に特化するのではなく柔軟な戦い方ができるチームを目指しているように思います。

だからこそ、後半に入り、コンディションが万全でなかった奥山に変えて、田邉をRWBに入れていかにクロスを上げるかを変更していたように思います。

アイソレーションをして奥山で勝負!から、チーム全体で押し込んで田邉にクロスをあげさせる、というようにマイナーチェンジをしていきました。もちろん現実的には前半ハブとなっていた田邉を欠いたCFとシャドウのスカッドはボールを収めることがなかなかできず、田邉へボールを届けることが出来ませんでした。

そしてそこにテコ入れをし小林・野寄を入れることでレイオフやロングボールではなく繋ぐこともできる選手をいれ、押し込むことに成功。田邉までボールを運べる展開になるも、今度は中に合わせられる選手がいない。それは質的な話もそうですが、ビルドアップにシャドウが関与すれば、エリア内に入る選手はボランチやWBなど多少遠い選手になります。クロッサーにとっては好機タイミングでも中の選手的には人数的にも位置的にも準備が足りていないような状況もありました。

そして最後はターゲットとしてRWBに峰田を起用するも、彼をターゲットにするために左からのクロスを狙うはずが、そこからクロスは上がらず。むしろ峰田の足元にボールがいく、という狙ったものにはなかなかなりませんでした。

やはり色々なパターンを持っているのでそれを試す回数、方法はあれど、質がまだ伴っていないということなのかなと感じる試合でした。

 

2)だからこそ走りぬこう

ただ、まだこれは構想リーグです。本番は26‐27シーズンです。

もちろんこのリーグで勝つことで賞金やチームの完成度を上げるなどありますので、負けても大丈夫とはいいません。でも、やっぱりこれは構想リーグなので、本番ではありません。最短でJ2へ、そしてその後につなげるための過程にすぎません。

個人的にはyoutubeのショートで見ていたのですが、小田切監督がボールを昇格するための要素の一つとして

「リアクション」「反応」

「1人ができないなら2人、3人いけばいい!」

「そこのバトルで刈り取って、前に出ればいい!」

「取られたら、戻ったらもう一度刈り取って前にでろ!」

とおっしゃってました。

偏屈な言い方をしますが、やはり僕は小田切監督の言葉で大事にしたいのは<襲い掛かる>です。そうしてボールを奪い、いかに早く相手のゴールに迫られるのか。パス数だとか、ボールの保持率だとか、そういう指標ではなく、ボールをいかに刈り取ってどれだけ、相手の30mライン、PA進入ができるのか、シュートを枠にもっていけるのか、そういうところなのではないかなと感じます。

まだまだ発展途上のチーム。

この構想リーグ後には選手のin-outはあるでしょう。

だからこそ、この今のチームにできるポテンシャルをあと2試合+プレイオフラウンドで見せてほしいなと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文章敬称略

相手の土俵で勝ってみせた  レノファ山口vs鹿児島ユナイテッドFC @維新 2026/4/18

前節に続き2-1の逆転勝利。古川大悟に複数得点をはじめとする充実ぶりもありますが、今節のトピックとしてはレノファが「相手の得意な土俵」にあえて上がり、そこで相手を戦術と強度でねじ伏せたということがあったように思えます。

前節のアウェイ大分戦での劇的な逆転勝利の流れをそのままに初の連勝。この2試合を通した形で今節を振り返ってみたいと思います。
と、その前に宣伝というかおすすめを。

https://x.com/cross_reno/status/2046152949735546906?s=20

岡山サポ、といってもレノファの試合も色々見られているゼロファジさんとこの鹿児島を振り返ったスペースを聞かれると、より一層この記事がわかりやすいかなと思います。

【得点者】 鹿児島:13分 オウンゴール 山口:22分 古川大悟、60分 古川大悟


 

  1. 「最初はグー」の土俵に上がる
  2. 古川大悟の充実
  3. 「自分たちの形」を使い分ける意義

1)「最初はグー」の土俵に上がる

小田切監督が試合後に「相手の2センターバックをどう攻めるかということと、どう動かすかというところ」とコメントを残されていました(引用元:レノファ公式)。

まず第3節に鹿児島とアウェイで対戦した際は、ハードワークをする鹿児島に対してどのように攻めるのか、という形を残せずそのままミスがらみの失点で負けてしまい、なかなか堪えるものでありました。鹿児島は村主監督を迎えいわきのようなチームを作っており、縦に速く強く、相手陣でやりつづける!といったものに特化したようなチーム。昨年の終盤にホーム磐田戦で「最初はグー」勝負という形でXのスペースを磐田サポのけーすけさんとゼロファジさんとしていましたが、鹿児島はこの「最初はグー」を磨き続けるようなチームのためにそこにあがるということはかなりこちらの精度を求められるものであったと思います。
ただ、今節小田切監督の与えた「相手の2センターバックをどう攻めるか」というプランがしっかりとこの相手にハマった試合になったように思います。
狙いを端的に言えば「相手センターバックの裏をつく」。特にターゲットとしたのは、鹿児島の左CB江川の背後であったと思います。序盤の1分から、田邉がアバウトに背後へ放り込み、2分には中島がフリックし古川を左サイドの鹿児島のSBとCBの裏へ走らせるボールを入れていきます。この「サイドバックとセンターバックのチェーンを斜めに断ち切る動き」を執拗に繰り返しました。ミドルパスやロングパスを使いこの左サイドの奥へ選手を送り込むことで、CBを引き出すことであったり、左サイドの深い位置でポイントを作ることでそこから攻め入ることを狙っていきました。
まず、このようにロングボールを使ったり、そのセカンドボールを狙うようなサッカーは鹿児島の得意なものであることはおさえておきたいです。小田切監督も「縦に速いところのセカンドの勝負が大事になるゲーム」と練習から話していたとのこと。ここでやられないようにしよう、というのはもちろんありますが、そこで真っ向勝負ではないですが、相手の得意な形に付き合う、「相手の土俵にあえて上がった」状態で勝利したことはとても意義深いものであったように思います。最初はグーを出してきた相手に対して、グーを出しつつもその1手のあとはしっかり想定していた試合であったように思います。

まず、前半はお互いに蹴り合うオープンな展開となりました。お互い相手の出方をうかがうような展開の中、徐々にゴールへ向かい始めていたのは鹿児島でした。

そしてその勢いに飲まれてしまったようには見えませんでしたが、小澤のファウルからのフリーキックからオウンゴールで先制点を献上してしまいました。鹿児島は初戦に宮崎に敗れて以来90分での負けがないチームでしたので、あまり好ましい展開ではありませんでしたが、ここでこの嫌な流れを断ち切ったのが今年のエース古川大悟だったと思います。


2)古川大悟の充実。

今節のレノファは上述した通りまず狙うのはCBの裏、特に35江川のサイドというものはあったと思います。ただ、そのほかにあったのは2人の鹿児島のCBに対してどのようにレノファの前線の選手たちをぶつけるか、というものもあったかと思います。
形としてはシャドーの中島や藤岡が鹿児島のダブルボランチに対してセカンドボールを自由にさせず相手の2次攻撃を防ぎ自分たちのボールにするところから。鹿児島のボランチが積極的にボールに関わりに来るので、ここは押さえないといけません。それが上述した小田切監督のセカンドボールのところに通じるところかと思います。ただ、ここを逆手に取れば積極的に出てくる鹿児島のダブルボランチの背後を取れば、鹿児島のCBに対して有利な形、2vs2の数的同数などで対峙することが出来ます。
その狙いがうまく決まったのが先制点であったと思います。セカンドボールの取り合いになったところを輪笠、三沢のダブルボランチで制します。鹿児島のダブルボランチが出てきていたこともあり、ボールを収めた三沢はすぐに最前線を確認し、鹿児島のCB山田・江川に対してレノファの古川・藤岡がしっかりとポジティブトランジションで相手の背後を狙えていたことを確認したことでしょう。すぐにそこへボールを送りこみ藤岡が競ったところのセカンドボールにいち早く反応した古川がボールを収め、しっかりと鹿児島のGK川上の動きを見極めてロングシュートを放ち同点ゴールを決めました。

相手の土俵で。鹿児島がストロングポイントとするところで上回ったうえで、相手がウィークにしてしまっているところを突く、というしてやったりという展開であったと思います。セカンドボールの勝負をしっかり収めた中盤の選手たちの功績はもちろんですが、やはり挙げたいのは古川の充実ぶり。

試合開始から相手の最終ライン裏を突くランニングをしっかり愚直に狙い続けます。69分のようなアバウトに山本駿からでた裏へのボールについても1m以上うしろからでしたが、江川に追いつき先にボールへさわりペナルティエリアへ進入する場面もありました。また、昨シーズン有田に比べて多少見劣りをしたように思えた前線からのファーストディフェンスをサボらず、相手のビルドアップの出口を限定し続ける動きなどこの構想リーグでは目立っています。

また、裏への抜け出しのほかターゲットマンとしての強さも昨年よりも見せており、大分戦で活躍した藤岡が「シャドーに入って、相手を見ながら、味方を見ながら、しっかり自分の持ち味を出せるように流動的にできたと思います。僕はFWの選手なので、受けたらダイゴ(古川大悟選手)を見るというのも意識しながらプレーしていました。」と語る通り、古川という確固たる基準点があるからこそ、周囲の選手も自分の色を出しやすくなっているように思えます。

スタッツを見れば、ボール保持率は49.3%対50.7%とほぼ互角。敵陣30mラインへの進入回数、ペナルティエリアへの進入回数は鹿児島が上回りましたが、レノファは「セカンドボールを抑える。奪ったら縦に速く最短距離で背後を突く。」といった鹿児島が目指すような形を逆に実現するような形で質で上回ったように思います。

 

また、もう一つ抑えておきたいのはこの試合LWBで使われた田邉光平の起用と彼の配置の意図。

構想リーグ開幕当初、田邉をWBで起用することについて、「なんでだ?」「けが人が戻ったらかわるのかな」というような疑念に似たものが僕にはありました。しかし、構想リーグを通して戦ってきて、大分戦から継続されるこの形は、田邉をピッチのどこでも顔を出せる「リンクマン」として機能させる意図があるように感じてきています。

ホーム鳥栖戦あたりでは田邉がインサイドに入れ、「2-4-2-2」のような可変をさせてビルドアップの形成をしていましたが、大分戦・鹿児島戦と形は違えど田邉がレノファがボールを集めたいところに顔を出すことでよりゴールへ近づけるようにしているようにタスクを与えているように思えます。

大分戦では3バックの大分に対してシャドーが降りることで相手のCBを引き出し、そして後ろにCB2人対して古川だけになったところに田邉が2トップのような形をとることで、相手のCB2人に対して数的同数を作る動きをしたところから同点ゴールが生まれました。今節についても大分戦のRWBの起用からLWBとサイドを変えての出場でした。これは同じくサイドが変わった小澤が鹿児島のキーマンLSH福田を対峙することを狙った起用について解説の中島さんが言及されていました。個人的にはその他に左サイドの奥をとりここをポイントにするのなら、周りと連携してゴールを狙える田邉を左に起用したのかなと感じました。ある程度人数をかけるにはボールスキルなどに長けた田邉が入り、ある程度スペースが生まれる逆サイドには運動量で相手を上回れる小澤を入れ、相手のキーマンを押し下げられるし、ここからボールをゲイン出来ると理にかなったものになったように思います。

それが結実したのが後半15分の勝ち越しシーンであったように思います。セカンドボールを収めて三沢から右サイドの小澤へ。ここから小澤が持ち上がりで相手を引きつけ、溜めを作りレノファの選手が上がる時間を作りました。そして輪笠へボールを渡しクロス。ボールが流れるも田邉がボールを収めクロスから古川のゴールが生まれました。

 

小田切監督のサッカーはカウンターが鋭いような印象があります。時としてポジションを捨ててでも大岩がペナルティエリアの中まで上がるリスクを許容しているのか指示しているのか不明ですが、前線へ人数をかける大胆さを出すことで攻撃に厚みを出しているように思います。


 

3)「自分たちの形」を使い分ける意義。

今節、鹿児島を相手に逆転で勝ち切ったことの意義は、単なる勝ち点3以上の重みがあると思います。

それは「柔軟な使い分け」で結果を得たことと考えます。ホーム鳥栖戦やホーム大分戦で見せた「繋ぐビルドアップで崩す」形を温存しつつ、あえて鹿児島が得意とする「蹴り合い」というテンションが高い試合に対して、別の引き出しを開け、そこで勝利を収めたこと。この「どっちでも行けますよ」という体制が整いつつあることは、今後対戦相手に対策を練られた際にもチームの柔軟性として機能するように感じます。

おそらく鹿児島戦はある程度鹿児島はレノファが繋ぐことを想定していたかと思います。そこをハイプレスで蹴らせてセカンドボールを取って2次攻撃。これはあまりに短絡的な話ではありますが、ある程度そういうプランも考えていたと思いますが、今節はほぼ同じ土俵で戦ったことはあまり鹿児島は想定していなかったように思えます。このようにレノファは幅が広いな、どうしようか。という印象を持ってくれればアドバンテージですし、対策を取られてしまっても違うものが自分たちにはある、という自信にもつながると思います。

もちろん、それはチーム全員がさぼらないでハードワークするという現代サッカーでは当たり前に装備しているものなどの上に立つものです。【襲い掛かる守備】など色々な言葉が出てきています。次のキーワードはなんだろうか。【色々できる】という言葉をもう少し具体的にしたものを見つけたいな、と思います。

 

さあ、日付変わって今日は北九州戦ですね。前回はホームで苦杯をなめさせられた相手です。やり返しましょう!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

 

(※文中敬称略)

まだまだ自分たち次第で上にいける  レノファ山口vs大分トリニータ@維新 2026年3月29日

北九州戦なかなかうまくいかなかった攻撃。
この試合では一挙に3点。構想リーグでは初めての3得点でした。琉球戦や北九州戦などなかなかうまくいかなかったものが、守備起因の得点などポジティブに受け取りたい要素も多かった試合だったように感じます。今回は下記について考えていきたいと思います。

1)4-3-3への回帰?
2)結実した「襲いかかる」プレス:カウンターから生まれた3得点
3)後半の苦戦と、耐え抜いて掴んだ3点目の価値

1)4-3-3への回帰?
今節の序盤、レノファは丁寧につなぐビルドアップの形を多く見せました。鳥栖戦あたりから継続していた「田邉をインサイドに入れる4-2-2-2」の可変 は使わずに、ボランチの輪笠か成岡のどちらかを最終ラインに落とす形を採用。3バックのサイドの大岩と小澤がサイドバック(SB)のように振る舞い、ウイングバック(WB)がウイング(WG)のような高い位置を取る、開幕戦の熊本戦を思い出すような4-3-3の布陣で保持を試みました。
このフォーメーション選択には、スタメンの特性が大きく関係していると考えられます。これまでの4-2-2-2では、WBに起用された田邉をインサイドに入れることで相手の3-4-3に対して「ズレ」を生んでいました。しかし今節のWBに起用された藤森や末永は、ボランチのように振る舞うよりも、縦への突破・仕掛けなどに特色がある選手です。また、シャドーの中島と小林がボランチと古川の間で絶妙な距離感を保ち、ビルドアップに大きく寄与していました。開幕戦の熊本戦では選手間の距離が間延びした状態であり、繋ぐにもなかなか効果的に相手を外すことが出来ませんでした。また、ロングボールを受ける選手には相手のマークがしっかりついてしまっていたことや、フォローがなくそこで奪われたりとうまくいきませんでした。
また、鳥栖戦以降ではこの前線の選手の孤立がないようツートップ化させた形を採用しうまくいきはじめていましたが、今節の中島・小林がバランスをとったうえでの4‐3‐3のビルドアップは効果的だったように思います。

まず熊本戦のように「ただ繋ぐこと」が目的化していなかった点があったかと思います。
6分のシーン:大分の前線3枚とボランチ2枚のプレスに対し、輪笠が最終ラインへ入り4バック化。成岡とシャドーの小林が降りてパスを引き出す際、マークに付きに来た大分ボランチの背後へ古川が落ちる動きを見せデルランをひきだしましたが、中島もその奥でボランチの背後を取っており輪笠からロングパスが通りました。
19分のシーン:ミドルサードまでボールを繋ぎ前進、相手を十分に引き出したところで、成岡から一気に大分最終ラインの裏へ古川を走らせるボールを供給。
第1節では、山本へのロングボールが読まれ始めて潰される場面が目立ちましたが、今節は地上戦での繋ぎを織り交ぜることで、大分に対して多様な可能性を突きつけることができていました。
もちろん繋ぐことでも前進するシーンも多く、前半のボール保持率の高さの一因になっていたと思います。

参考スタッツ:FOOTBALLLABさん

 

2)結実した「襲いかかる」プレス:カウンターから生まれた3得点
守備局面においては、今季のテーマ?? 小田切監督からよく出てくる言葉「襲いかかる」プレスが、理想的な形で得点に結びつきました。今節の3得点がすべてカウンターから生まれたことは、これまでのレノファにはなかった得点パターンではなかったでしょうか。
特に象徴的だった先制点(15分)の場面。大分のビルドアップのやり直しに対し、小林がGKムン・キョンゴンまでプレスをかけ、プレスのスイッチを入れました。LCB戸根に渡ったボールに対しても中島が厳しく寄せ、戸根が右足に切り返したところを小林がプレスバックで奪取。そこからの中島のクロスに古川がニアで合わせるという、連動した守備からのショートカウンターを完結させました。
2点目の藤森のゴールにも言えることですが、ボールを奪った瞬間に即座に「縦へ矢印を向ける」切り替えの意識が強くなっているように思えます。鳥取戦あたりから感じられたファイナルサードでのスピード感が、今節ではポジティブトランジションの鋭さとして結実しました。
また、得点以外の場面でも前半の守備が良い循環を生んでいたと思います。前線の選手がコースを限定することで、後ろの選手が出先の選手を確実に潰すことができていました。特に前半、大分のCF櫻井に対し、喜岡がほぼ仕事をさせなかったのは、チーム全体の守備の連動があったからではなかったかと思います。小林がスイッチ役となり、組織として連動できた前半の守備について、小田切監督も「前節(北九州戦)でスイッチが入らずに重くなっていた反省があるので、前半の守備に関しては良かった」と言及されていました。


3)後半の苦戦と、耐え抜いて掴んだ3点目の価値
後半、大分は前線3枚を全員入れ替え、繋ぐビルドアップから、空中戦に強い伊佐をターゲットとしたロングボールを織り交ぜてきました。 ここでのポイントはレノファの左サイド(大分の右サイド)でした。大分は後半から投入されたRSH木許とRWB吉田がドリブルで仕掛け、攻撃の回数を増やしてきました。前半は余裕を持ってボールを収められていたレノファの前線に対し、大分最終ラインの強度が上がり、自由を奪われる時間が続きました。おそらく前半からレノファの左サイドの方が守備的にもろいというスカウティングがあったのか左サイドからの突破を許してしまっていました。
また、失点前後の時間帯、レノファと大分の違いは攻撃をやり切るかどうか、があったと思います。大分は後半に入りシュートやクロスで攻撃を完結させていました。クロスも阻まれてもコーナーキックにつながっており、チャンスの時間を長く継続させたのに対し、レノファはボールを運べず、シュートで終われない苦しい状況が続きました。すると自陣や敵陣に関わらずボールロストからカウンターを受ける場面があり、最も危険な形として62分や68分のように、プレスを受けて苦し紛れのパスをカットされ、カウンターを受ける場面などが挙げられると思います。
この状況に対し、小田切監督は守備の強度を再構築するため、山本、藤岡、三沢の3枚を投入。さらに疲れの見える両WBを入れ替え、ようやく80分過ぎにペースを取り戻します。 そして待望の3点目が前からのプレスの形から生まれました。
多少剥がされはしたものの、成岡と小澤でボールを奪い返したところから、三沢→藤岡→田邉→山本と繋ぎ、カウンターでゴールを陥れました。奪い返したのは成岡と小澤でしたが、それまでなんどかカウンタープレスをかけることで彼らが戻る時間が生まれたことは押さえておきたいなと思います。

後半耐える時間が長かったのは事実ですが、粘り強く戦い、カウンターで仕留めきったことは大きな収穫と思います。小田切監督もこの点を評価する言葉を残していました。ただ、そのような意見もあるなか、中島賢星は試合後に

「2-0で折り返して、相手もメンバーを代えてきて、よりフレッシュにやってきた中で、僕たちは局面をひっくり返せなかったです。押し込まれる時間が長く続いて、セットプレーも続いていたので、そこで例えばボールを背後に蹴って陣地回復して相手陣地でプレーするというのは、もうちょっと全体の共通意識として持たないといけないです。特にああいう流れが断ち切れないときは、そういうのが必要かなと思います。」(引用元:Jリーグ公式

と、残しておりチームとしてはこのような課題があるのは確かでしょう。現に試合のスタッツだけを見ればゴール期待値やシュート数、ペナルティエリア進入数などリードしていたとはいえ、あまりここは上回れたくない項目でしょう。勝って修正!

 

 

【色々なことができるチーム】といったものを目指しているように、新体制発表会やシーズン開幕あたりの姿や試合後コメントから思えました。それは考え方を変えれば特色がないチームとして映ってしまうようにも思えました。
しかし、この構想リーグ中に見せてくれるレノファの姿は、まず「前からの守備」という土台があり、そこから相手を押し込んでポゼッションを高める、あるいはカウンターで仕留めるという形が見えてきているように思います。これをベースにして、中にいる選手の特色に合わせた可変ビルドアップやロングボールを織り交ぜる。この柔軟性こそが、今シーズンのレノファが目指すチームの形なのかもしれません。

次はどんな姿を見せてくれるでしょうか。まずは勝ち点3を願いながら力強い姿を期待したいと思います。

 

(※文中敬称略)

まんまとやられた堅いダービー レノファ山口vsギラヴァンツ北九州 @維新 2026年3月22日

5年ぶりの関門海峡ダービー。

前節琉球戦でのチームとしてねじを巻き直すうえで、ホームで迎えるダービーということでまたとない機会であったと思います。

ただ、結果は難しいものになってしまいました。ある程度主導権は握れているものの、決定的なものは出せない。そしてセットプレーでの失点を取り戻せず敗戦。試合を通して北九州のほうがプラン通りに、準備してきたものをピッチで発揮できていた試合だったように思います。ゴール期待値はお互い低い数値でかたい試合のなか、両ゴールキーパーのセービングをする場面も少ないような試合。レノファとして崩された!というものはなかったと思いますが、試合後のコメントを見てもしっかりやり切った北九州、反省の弁が並んだレノファ。

この試合前後半ともに言えるかと思うことが、
ある程度レノファが試合を支配しているようにも思えるが北九州はあまり動じてなかった。
というのがあったと思います。そして反撃を受けたところでそれをひっくり返すことが出来なかった。それはなんだったのか。今回は下記について考えていきたいと思います。

1)【襲いかかる】ことをしないことではまった北九州の可変

2)スピード感をもって進めないファイナルサード

3)ゲームマネジメントの課題

 

【得点者】

山口   なし      北九州  57分 岡野

 

まず、本ブログは試合の二日後に行った、北九州サポーターのギラ球応援人さんとのスペースをもとに書いたものになります。こちらのスペースもよろしければ。

 

 

1)【襲いかかる】ことをしないことではまった北九州の可変

 

まず、前半から。前半30分頃までは、ある程度レノファとしては北九州を相手陣に押し込んだ展開が続いていました
北九州が今節から3‐4‐3のフォーメーションを引いてきたことで4戦連続このフォーメーションとの対戦となりました。ミラーゲームのような状態の展開でレノファは守備局面(非保持時)においては、前線の古川、三沢、山本の3枚が相手の3枚のセンターバック(CB)に対して高い位置から規制をかけ、さらにボランチが連動して北九州のビルドアップの出口を封じることで、相手にロングボールを蹴らせることで自陣で回収する展開が続きました。Footballlabさんのスタッツ(引用元はこちらを見ても、0分から15分、15分から30分の時間帯まではポゼッション率が60%を超えており、相手に満足な前進を許さず、敵陣へ押し込むことに成功していました。それは上述したように、相手のパスコースを制限してロングボールを蹴らせてそのボールを収めてマイボールにした形。【襲い掛かる】守備から得られた結果ではありませんでした。

 

 

そして試合の流れを変えたのは、30分過ぎの北九州の配置の変更でした。

・WBを上げてレノファの守備陣を下げさせる。

・熊沢が降りて4バック化するとともにビルドアップを安定させる。

・長谷川がLSB化し、マークしていた山本を釣り出す。

この「3つの動き」により、レノファの前線の守備に「ずれ」が生じました。

特に象徴的だったのが38分あたり。長谷川を試合開始からマークをしていたレノファのRSH山本が2列目に吸収されるような位置取りになってしまい、前線の古川が孤立するようになってしまいました。

すると試合開始から【襲い掛かる】ことではなくコースの制限をすることでボールを回収してきたことが裏目になります。もともとプレスを能動的にかけているわけではなく、古川や山本は北九州のボランチのコースを切るような守備をしていたので、この場面でも古川は一人でボランチをケアするような守備になります。

ただ、そうすると北九州の最終ラインはここから前線へあてるようなボール、降りてきたシャドウの岡野らへの配球、対角へのサイドチェンジとプレスに来られていないことをいいことに自由にゲームを作っていきました。

 

この北九州の修正により、前半のラスト15分ではポゼッション率が北九州側に65%近く握り返され、主導権を手放すこととなりました。失点はしなかったものの、ある程度30分試合を優位に回していた中でシュートが打てない。ただ、どこかで押し切りたいという中でその機会を失ってしまいました。こうなるとこのボール保持率は「ただ相手に持たされていた」という言葉であったり、「相手のブロックの外でボールを回していた」というものになります。これはなぜか?その一因はけが人なのか病人なのかは不明ですが、レノファの台所事情によるこの試合のレノファの並びの変更や起用された選手の特色があったように思います。
 

 

2)スピード感をもって進めないファイナルサード

 

上に挙げたスタッツを参照していただきたいのですが、レノファは攻撃面においては、今節も「30mライン進入回数」は40回近くを記録し、数字上は相手陣までボールを運べているように見えます。しかし、その中身(質)を紐解くと、「ペナルティエリアへの進入回数」は9回と北九州の守備ブロックを崩すまでには至っていないものでした。

 

その要因として2つ挙げたいと思います。まず1つ目がファーストサード⇒ミドルサードのところでの時間と人のかけすぎがあったように思います。
今節レノファは小澤や下堂が欠場と苦しい台所事情で輪笠をRCBに起用。ボランチにはWBの起用が多かった田邉が入りました。ボール保持時は4-2-2-2(2-4-2-2)のように可変させ、RCB輪笠をボランチの位置に上げて田邉を一列上げるような形。基本は鳥栖戦、琉球戦とある程度結果を出していた形にはなっていました。これに対して北九州は5-2-3のような形で真ん中のボランチへのボールやシャドウへのボールを遮断するようなミドルブロックを作ってきました。
北九州のWBの選手はむやみに前線まで出ることなく、目の前にいるレノファのWBを捕まえる形で、レノファのつなぐビルドアップに対して大きく形を崩してボールを奪いにくるようなことはありませんでした。そのため、レノファがつなぐビルドアップをしミドルサードまで進んでも北九州は特に崩れておらず、ミドルサードからファイナルサードへ入る際もサイドの選手を使うのは良いのですが、北九州はどっしりと構えた状態。クロスを上げてもこの日は北九州は3CBを引いているので、中にいる選手は多く跳ね返される場面が続きます。であれば、北九州のサイドのCBを引き出すことでスペースを作るなどがしたかったのですが、この日はなかなかそういう場面が作れず。それは理由の2つ目にあるようなものが関係していたように思います。
それはウィングバックをはじめ前線での奥行きを作る動きの欠如です。今節WBに起用された左の末永と右の西堂はドリブルなど攻撃的な選手ではあるものの、いずれもボールを「足元」で受けようとする傾向が強く、相手の背後を突くアクションが少なかったと思います。そのためWBの2人がサイドで足元でボールを受けてから仕掛けても、北九州の守備陣はしっかりそろっている状態でありポジションを崩されることなく、常にレノファの攻撃を正面で待ち構えることができていました

 

一つ目に挙げたように北九州のCBを動かすような「釣り出し(ひと手間)」の作業が一切行われませんでした。前回のブログで書いた琉球戦の11分や17分のシーンで見せたような、中間ポジションを活用してDFを引きずり出す連動や、ミドルサードからファイナルサードへの進入する際の時間や手数をかけない攻撃は影を潜め、相手がセットした状態で各駅停車のパス回しからカットインや単調なクロスを放り込むという、効率の悪い攻撃が繰り返されました。

 

カットインからのインスイングのクロスはいくつか見られましたが、中の選手とのタイミングが合わず、北九州の3枚のCBに跳ね返され続けました。これは単なる決定力不足ではなく、相手のディフェンスラインを「動かす」という意図が共有されていない、攻撃の優先順位の設定ミスであったと思います。
 

 

3)ゲームマネジメントの課題

 

後半、再びギアを上げ直し選手間の距離などを修正し、いくつか田邉を中心に縦に速い攻撃が出来始めていた矢先の57分、コーナーキックから喫した失点は、今季のレノファが抱える「勝負どころの甘さ」を継続してしまっていたシーンに思えます。北九州のセットプレーに対する強さは事前の情報としてもあったはずですが、北九州にうまくやられてしまいました。

北九州はこのCKにおいて、意図的にファーサイド、ペナルティエリアギリギリに人を配置。北九州のセットプレーから得点パターンはある程度中で密集を作りフリーの選手を作ることが多かったので、中の意識は強く持っていたと思います。その意識を逆手に取られてか、見事にファーで構える選手に意識がいかず、折り返したボールからシュートを打たれ、最後は岡野に押し込まれました。北九州として1本目のCK。おそらく用意していたものをうまく決められてしまいました。
また、この失点後のゲームマネジメントにおいても課題が残りました。ビハインドの焦りからか縦に急ぎすぎるあまり、中央を閉めた北九州の餌食となり、カウンターを食らう悪循環に陥っていました。前半の押し込んだ状態ではなかなか出せなかったものを、焦ったかのように出してしまえば北九州もそれを狙ってきます。また、最終盤フィルミーノを投入し、力押しでの局面打開を試みましたが、そちらの方が前進できるというのもなかなか皮肉なものに見えました。
また、背後を狙うものについても76分には中島がポケットへ侵入し、そこから決定機を生み出すなど、確かな「違い」を見せていましたが、北九州がリトリートして中央を固めている状況を考えれば、これらの「力技」を繰り出すカードの切り方であったり、相手をずらすことなどはもう少し早くピッチ内外で修正ができればよかったのかなと感じます。
それもこれも、北九州がおそらくレノファ対策としてミドルブロックで構えるところやこの固い展開に持ち込むことなどしっかりと準備をしてきたものを遂行したものに屈してしまったように思います。
 
さて、100年構想リーグなかなか難しいですね。J3の相手だからといって油断はしてませんし、あなどることはしてません。ただ、ん~このJ3リーグも色々むずかしいな、と思わされた2戦でした。ただ、まだ前半戦。後半戦に向けて大分、宮崎とJ2勢との戦いで勢いをつけてほしいなと思います。ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)
 
 
 
で、あとがき。ちょっと今回は色々溜まっていたものを殴り書き。
試合終了のホイッスルと同時にピッチに倒れこむ北九州の選手たち。勝利の安堵や喜びもあったでしょうけど、しっかり走り切ったという疲れからのようにも思えます。正直このダービーどちらが勝ちを望んでいたのか、と聞かれると、試合の内容を見ても北九州であったように感じました。
INSIDEで「勝ちにこだわる」という言葉を久しぶりに聞きましたが、う~ん、、、まだもう少し時間はかかるのかもしれないと感じました。
レノファの試合前の映像がどこまでカットされているかはわかりませんが、北九州のINSIDEを見ると、試合前・ハーフタイムの声掛けなどかなり重いというものを感じました。対するレノファは監督だけではなく選手の声掛けはどうだったのかな、というのも感じます。
維新スタジアムでなんでブーイングが響いたのか。負けたから?無得点だったから?気持ちが見えなかったから? 色々理由はあるでしょう。僕はどこかが淡白な試合展開・内容になってしまったからだったように感じます。(※もちろん現地にはいませんでしたし、違っているかもしれません。)
気持ちで勝てるならそれにこしたことはない。ただ、観客というのはそういう部分にとても敏感です。同じ日に0-5で負けた某関東のクラブがありました。0-3になった時点で「あ、この選手心折れたな。」というのはスタンドからでも感じられました。レノファの選手は心が折れたとは思いませんが、ただ、これを挽回しないといけない、という姿があったかと思うと。。。昨シーズンの最終盤の時の方が必死だったのかなと思いました。もちろんこのリーグの性質はあると思いますが。どこか最速でのJ2復帰であったり、圧倒するであったり、言葉だけが先行し、それに追いついていない現状がなんとももどかしいです。
う~ん。。。。。。。。。。。。。。。。まだ何か言いたいが言葉として表せられん!
となったので今節はここまで。
 
では、また次節。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分たちの狙いと甘さと不確定要素と  FC琉球vsレノファ山口 @沖縄県総合運動公園陸上競技場

 

100年構想リーグが開幕し約1ヶ月が経ちました。なかなか雪だったり強風であったりと相手以外の要素にも気を遣う試合が続いていますが、なかなか好調の波に乗り切れない試合が続いてしまっています。

1-1のドロー。鳥栖戦で見せた「目線の揃った崩し」と「襲いかかる守備」を継続し、連勝といきたいところでしたが、勝ち点2という自分たちで勝ち点1を手放してしまった「もったいなさ」が残る試合だったようにも感じます。自分たちの形を90分間どのように出し続けられるか。そんな宿題が出された90分+PK戦に見えた試合でした。では、今回は下記について考えていきたいと思います。
  1. 苦戦した琉球のプレスと風
  2. ファイナルサードでのスピードアップ
  3. 単調さに終着した後半の攻撃

  

【得点者】 レノファ:50分 古川   琉球:46分 石浦
 --------------------------------------------------------------------------------  


1)苦
戦した琉球のプレスと風
今節の対戦相手の琉球のファーメーションは3-4-3。またも同じフォーメーションを敷くチームとの対戦となりました。ある程度ポゼッションを大事にするチームという談話もありましたが、試合の内容を見ると琉球のプレスに対してどれだけレノファがプレス回避であったり、プレスを受けるような状況ではなく相手陣に押し込めるか、が勝負の分け目であったように思えました。
琉球の平川監督のコメントにもあるように
守備面でも前線からのハイプレスや、外されても全員で戻るハードワークを90分間やり切ってくれました。強力な相手に対しても前からの守備がハマる場面が多く、(ボールを)奪えるシーンも増えており、チームとしての成長が見えました。(引用元:Jリーグ公式
と守備での成果をまず挙げていたように、レノファとしてはなかなかこの琉球のレノファ陣での守備→攻撃という流れに、強風という要素も加わり難しい時間がありました。
GK飯田の好守や存在感が試合を重ねるごとに増しているようにも思いますが、それは攻撃が思うように機能せず、相手に主導権を握られた結果として、守備に回される時間が長くなり、シュートを打たれる場面が増えてしまったという側面が強いからではないかと思います。
例えば前半23分のシーンあたりから琉球のプレスが嵌り始めてしまったかなと思いますが、琉球は前線の3人はある程度流動的についていたと思いますが、このシーンではシャドーの高木・石浦がレノファのCB喜岡・大岩を捕まえ、CFカルがボランチ池田と共にレノファのダブルボランチを抑えます。また、レノファがビルドアップ時に4バックへと可変する形を狙うのに対し、琉球はSBの位置にいる小澤と西堂にはそれぞれWBの荒木と茂木が両サイドともに高い位置をとり対応するなど、かなりリスクをかけながらレノファのビルドアップに対してプレスをかけてきました。両WBが高い位置を取ることで裏のスペースのリスクはあると思いますが、風下だった前半、このプレスを回避するためのロングキックが風に押し戻され琉球の守備陣の背後へボールを届けることが出来ませんでした。ビルドアップをやり直して、逆サイドへもっていこうにも琉球がしっかりサイドを限定しつつ、反対サイドもケアしていることもあり、レノファとしては同サイドでの打開をはかることしかできない状況に。三沢や古川も常に相手を背負うような状況でのプレーを強いられ、なかなか繋ぐビルドアップ、ロングボールでのビルドアップ双方満足にできない状況となっていました。その中で上述した飯田の好守であったり、小澤の2試合連続のゴールライン上でのクリアで何とか前半は0-0で折り返すことが出来ました。それだけに風上となった後半にしっかり攻撃を!というところでのお見合いをしてしまっての失点はただただ試合を難しくするものであり、もったいないものでした。小田切監督もコメントで

後半に関しては風上に立った時に、流すだけでは流れてしまうので、どうやってライン間を使うか。守備もスイッチのところを整理して臨みました。(引用元:同上)

と残しているように、最後は耐えた前半から攻勢に!というところでの失点でした。そのような中でも前半は琉球のペースになるまではある程度相手陣に押し込むような展開であったり、風下だからこそアバウトに裏へのボールを配球する流れからのチャンスもあったかと思います。多少後半影をひそめてしまったかなと思いますが、良かったシーンについてまずは振り返ってみたいと思います。

 
2)ファイナルサードでのスピードアップ
前半11分と17分に今季取り組んでいる「意図ある崩し」の形が現れていたと思います。相手を動かし、背後を取る、ライン間を取ったところからまた相手を動かしたところからゴールに迫る形があったのではないかと思います。
【11分50秒:ライン間の活用】
まず、山本が琉球の最終ラインの裏へ出る動きをすることで、相手の最終ラインを押し下げました。そこで生まれたディフェンスラインとボランチの間のライン間を活用したのが古川でした。琉球のCBが下がったところで反対に古川はおちる動きをすることで、 ライン間に入りボールを引き出します。そして再び背後へ抜ける山本へボールを届け、山本の切り替えしから成岡の決定機が生まれました。。相手を上下に動かして、2列目から成岡がゴール前に入る形でした。

【17分:荒木と船橋の釣り出し】
西堂がボールを受けたところから。ここで琉球のRWB荒木がマークにつきに前に出てきます。これに呼応するように古川が左サイドにポジションを微調整しながらボールを引き出す動きを見せると、琉球のRCB船橋も釣り出され、背後に広大なスペースが生まれました。 輪笠がこの「ズレ」を逃さずワンタッチで背後へパスを送り、古川がここへ走りこむクロス。最終的に西堂のシュートへと繋げました。
この2つのシーンに共通することは、アタッキングサードで手数をかけず、かつ相手を「釣り出す」などのひと手間をかけることで、効果的に決定機を作れてたことがあったと思います。鹿児島戦では古川が裏に抜けても孤立している、ゴール前にかけられる人数が少ないのでチャンスになっていないことを書かせていただきましたが、目がそろってきたのか、裏へのアクションとほかの選手のゴールに入るタイミングが合ってきたことや、ボールを奪ってからや攻撃のスイッチとなるようなパスが入ってから時間をほぼかけずにゴールに迫ることを意識しているようにも感じます。

FOOTBALLLABさんのデータではシュート18本中、枠内はわずか
2本(PK除く)でしたのでおそらくこの2つかなと思います。この11分と17分のシーンのように質を伴った攻撃が決定的なシュートにつながりやすいということがわかると思います。また、おそらくこのあたりはチームの狙いであると思いますので、どんどん出していってもらいたいと思います。(引用元:FOOTBALLLAB

3)単調さに終着してしまった後半
後半に入り、風上に立つと、20分頃までは琉球のハイプレスを回避して相手陣へ押し込むシーンが増えました。しかし、ここからチームは風上にいるからこその展開になってしまったように思います。
時間が経つにつれ、得点への焦りからか、あるいは交代で入った藤岡の特徴である裏抜けを意識しすぎたのか、一発の裏狙いが増えてしまったように思います。前半など見せることが出来ていたコンビネーションが消え、単調な放り込みや、足元への各駅停車のようなパスに終始し、琉球の守備陣を動かせない状況が続きました。前半から琉球はプレスがかからない場合にはしっかりリトリートをしており、それは試合終盤まで続いており、単調なクロスではこじ開けられそうなものではなかったように思います。
そんな時はプレスを嵌め込んで!といけたら良かったのですが、琉球がゴールキックなどからのリスタートなどはシンプルにロングボールを蹴る形に切り替えたことで、襲い掛かる守備を出す機会がなく、風の影響もあってかロングボールが行ったり来たりするような展開になってしまったように思います。
試合後のDAZNででていたボール奪取の比率のスタッツではアタッキングサードでのボール奪取率は、琉球の15%に対し、レノファはわずか
3%。ミドルサードでは50%と多く奪えていましたが、もう少しアタッキングサードでの奪取率は高めたかったものはあったと思います。
徐々に守備にも攻撃にもやりたいことが表現できるようになってきたので、じゃあその質はどのように挙げていくのか。開幕から6節。またちょっとフェーズが変わったかなと思います。 
だからこそチームに求めるものを1段階上げたいのか、いや~、小田切監督かなり怒ってましたね。レノファ公式のyoutubeチャンネルの『INSIDE』で削った部分がどれだけだったかはわかりませんが、とにかく「変わんなくちゃいけないよ。大きく変わんなくちゃいけない」と1-1の引き分けの試合でしたが、内容のない試合で連敗をしているチームへの喝のようなものに見えました。ただ、琉球に先制されたシーンには甘さがあったと言わざるを得ないでしょう。
失点の場面では、レノファの選手たちがボールに対して譲り合ってしまった隙を突かれ、一気にボールをかっさらわれてしまいました。鹿児島戦でも形は違えど選手同士が見合ってしまった隙を突かれる失点がありました。「内に秘めたる…」「それだけじゃなく感情をむき出しにして…」などの言葉から察するに、プレーへの主体性やお互いへの要求など、自分たちが目指すところに行くために、高めていかないといけないことへの叱咤であったのではないかと感じます。両チーム勝ち筋はあった試合ではありましたが、どちらが近かったかと言えばレノファだったと思います。勝ち点を挙げて修正ができることは前向きにとらえることはできます。今節を受けてまた違ったレノファの見せてくれることを関門海峡ダービーに期待したいと思います。
 
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
(※文中敬称略)

 

で、あとがき。

正直琉球のWBなど最終ラインも結構積極的に食いついてくるな、という印象があったのでどこかで一発裏をとりたいなと思っていたのですが、なかなかうまくいきませんでしたね。WB裏を取ったり、WB自体が勝手に出てきてくれて、ミドルサードやファイナルサードにすすめることはできていたのですが、肝心のエリア内や中央での勝負がなかなかできなかったようにも思えます。また、やはり交代選手がどのように試合に絡むのか、ということもなかなかまだ難しいのかな、というのも感じます。

特に時間が少なかったとはいえ、末永と藤森の両WBはなかなかボールに触ってもあまり自分の得意な形ではないんだろうな、というような印象もあり、交代で入った選手をどう生かすのか、使うのか。それも伸びしろなのかなと感じました。

 

ただ、まあこの3試合で1勝2分け。試合内容も上がってきていると思うので、ここから徐々に上げていってもらいたいなと。

 

では、また次節。(か、プレビュー1本書けるかな?)