正直長崎アウェイ引き分けならベストではないが、ベターな結果である。それも目の前だ。サポーターの声もすごくスタジアムに響いている。そんなきれいごとが頭に浮かんでしまったのが悪かったのか、非情な得点が決まってしまいました。
勝ち点1さえも持って帰れなかった。ただ、やはり前半の出来で得点を奪えなかったら、勝ち点3は取れず、1か0だよと現実を突きつけられたようにも思えます。で、今回は最後の最後で1ではなく0という結果になってしまいました。
後半確かに長崎が布陣や選手の特徴を変えることで盛り返されてしまい、それを45分耐えきれなかったという試合であったように思えますが、選手交代での人選などを考えながらこの試合を振り返ってみたいと思います。
1)生命線は相手陣でのボール奪回
2)守備で相手を上回ることを考えるのか、ワンチャンスを願うのか

【得点】
長崎 山口
90分+6分 江川 なし
1)生命線は相手陣でのボール奪回
この日のレノファの布陣はCBに下堂がはずれ松田が3試合ぶりの先発。右から松田、喜岡、磯谷がならび、RWBに峰田・LWB岡庭と後ろの布陣を変えてきました。前線は前節と同じ並びでした。
対する長崎は3‐4‐3の布陣。ボランチには新加入のピトゥカと久しぶりの出場山口蛍。キーマンのジェズスはRSHと多少ターンオーバーをしているポジションはありましたが、それでも強力な11人を送り出してきました。
まずレノファボール非保持。長崎は試合当初3バック+ダブルボランチ(ピトゥカ、山口)といような形で3+2の形でビルドアップを試んでいました。これに対してレノファは山本を1列挙げて、有田、草野、山本の3人で相手の3バック(特にGK)をマークし、野寄、輪笠で長崎のダブルボランチを監視するような相手の陣形にそのまま選手を当て込むような形を取りました。一人一人が長崎の選手を捕まえることで、特にダブルボランチには前を簡単に向かすことをさせずここからの展開を容易にさせないことをまず行っていきました。
10分のように長崎のRWB翁長が低い位置でビルドアップに加わっても、岡庭がここまで出ていき、相手陣で局地的に陣形を圧縮させボールを奪いに行きます。これを嫌がった左から右へとサイドを変えようとする長崎に対して、長崎のLCB江川にはボランチを監視していた野寄が出ていき、野寄が見ていた山口蛍に対しては松田がマーカーの澤田を喜岡へ任せ、つぶすに行くなど各ポジションでのスライドをしっかり遂行していきました。12分にはやはりマーカーが変わっても山口蛍を見ていた草野のチェイスから野寄のミドルシュートと狙いの攻撃を出していきました。
長崎もこのプレー後のゴールキックではボランチの一角のピトゥカをLSBの位置に落として4バック+山口蛍のような形にし、レノファの長崎の布陣への人数合わせに対して、変化を加えていきます。最初は簡単に運ばれてしまいましたが、2回目からはこの形に対してはSBの位置にいる選手には野寄と山本が中を締めながら出ていき、山口はCFや輪笠が見るなど対応していきます。
またミドルサードにボールが運ばれても山本と野寄がポジションを微調整しながら、相手が3バックの形で回すなら山本があがる、サイドにボールを散らされるなら、輪笠の脇を埋めるなど長崎の狙いを摘んでいきます。
わかりやすく長崎がうまくいけてないな、と思ったのは24分。CFファンマがミドルサードでボールを受けに落ちて、吉岡を吊りだします。澤田もポジションを下げることで松田をけん制。カメラで映していた外でジェズスが喜岡の裏を取り磯谷と1対1のような形でDF背後でボールを受けようとしていたはずですが、ボールホルダーであった米田はここへボールを出せず。距離を詰めてきた野寄のプレスを嫌がったのか、どちらかというとそもそも後ろに下げることを第1の選択肢と選んでいたようにも見えたので、チャンスを1つ棒に振る展開でした。この後米田がジェズスに謝っていました。
33分もマルスマンからのゴールキックで有田が競って最後は喜岡がアバウトにクリアをしたボールも長崎もレノファが陣形を圧縮することでそれにお付き合いし、山本がセンターサークル付近でぽっかりと空いたスペースでフリーでボールを受け決定機を迎えました。
このようにファイナルサードやミドルサードなどでうまく相手の攻撃を制限することもでき、チャンスをつくる。また、長崎がくるしまぎれにジェズスに蹴られても相手が満足な形でないなら磯谷も思い切ってつぶしに前に出ていけます。前からの守備で長崎相手に自分たちの時間を作っていくことができました。
2)守備で相手を上回ることを考えるのか、ワンチャンスを願うのか
これに対して後半長崎はLSH澤田に変えてエメルソンを投入。WBも翁長と米田の位置を変えます。そもそも翁長と米田の位置は前節から変わっており、もしかしたら翁長は山本や岡庭がいるレノファの左サイドを止めることを目的に右サイドにいたかもしれないなと感じました。実際山本は2度ほどファイナルサードでの仕掛けのドリブルを翁長に止められており、翁長から外れるように中央での仕事の方がチャンスに絡めていました
このエメルソン投入についてもある程度エメルソンもジェズス同様に守備が免除されていたのか、攻め残りをする場面のあったので、翁長をまずこのエメルソンの後ろにつけたような印象がありました。そしてここから一気に流れは長崎に戻されます。
前半起用されていた澤田に比べてドリブルなど自分で打開する能力のあるエメルソン。ボールを受けたらまずその推進力を生かして陣地挽回をしていきます。特にエメルソンがボールを受けるのはある程度レノファが前から守備をしていく中で、エメルソンがレノファのあけたスペースへ位置していき、そこから前をうかがっていくために、ジェズス、エメルソンと二人の一人で局面を変える選手をかけないといけないことになってしまいました。
そして流れが変わったところ矢継ぎ早に長崎はこれまたドリブルに定評のある笠柳を投入。RWBに翁長を戻しLWBに笠柳。ジェズスをトップに上げてボールをさばける中村を投入と言い方は悪いですが、札束で殴るような交代でレノファへの攻勢を強めていきました。
では、レノファはどうしたか?
運動量が落ちてき始めた草野に変えて河野、野寄に変えて三沢を投入。続いて、トップの有田をフィルミーノ。やはり疲れが見えていた峰田に変えてボムヨン。そして最終盤は山本に変えて小林を投入しました。
前半のようにやはり前から行くのはチーム全体の疲れ具合などから判断して、前半のようなトランジション勝負のようなテンションの高い試合で守備から自分たちのペースを作っていくのではなく、耐えてある程度パスが出せる、また高さのある三沢をピッチに置き、疲れの見える選手を中心に変えていったように思えます。
スタジアムで見ていた時の印象とDAZN見返したところで印象が違うところがありました。
まず印象が同じだったのはやはり全体的に最終盤に向けて疲れがかなり後ろの選手を中心に出ていたなと思いました。前が出ていっても後ろの選手が続くことが出来なければ成立はしないので交代の意図は分かる気がします。前線だけフレッシュにして前に出ていくのは難しいよな、と。
印象が違っていたのは、河野の使い方。スタジアムではシュートに行く場面などがあったので、最終盤は河野をワントップにして、小林と宮吉や成岡あたりを組ませて5-2-3を組んでいた方が最終盤のフィルミーノのボールロストのような場面はなかったのではないか、と結果論で考えていました。
ただ、おそらくこのチームでは河野にはそのような背負ってのプレーをさせるような意図はあまりなく、ワントップではなく、ツートップやシャドウのようなところで前を向かせてのプレーをしてもらいたいのかなと感じました。ですので、最終盤フィルミーノを後からいれたのもまあそうだろうな、となりますし、ワンチャンスを生かすのであれば何か得点をしてくれるかも、という匂いのする選手をピッチ内にいれたくなるだろうな、と。
ここで思ったのはベンチメンバーにおける人数が増えても、試合の流れでどういう選手を用意しておくかの難しさはあるな、と。
藤枝戦から多少時間はたっているものの、僕の中ではフィルミーノはミドルサードあたりではあまり仕事を求められない選手と感じてます。仙台戦のようにPA内での勝負などで仕事をしてほしい。そのため、仙台戦のように押せ押せで攻撃をしないといけない押し込んでいる状態、相手も自陣に引きこもっているような状態ではPAに行く回数は増えるので、彼の力は生きるでしょう。そこから逆転!!というやはりイケイケの状態であってもそうでしょう。
ただ、長崎戦のように0-0での試合推移。相手も勝ち点が欲しいから攻めてくる。レノファは受ける。そこでワンチャンスを生かす。もしくはその前にボールを自陣から相手陣へ運ぶという作業が必要になってくる。このプレーを今のフィルミーノに任せるのは難しいなと。ただ、ベンチメンバーで誰ができるのか?というのもあったように思います。最もできそうなのはやはりフィルミーノだったようにも思えます。ベンチ外なら古川一択だったでしょうが、彼は帯同しておらず。
河野ワントップ、シャドウに小林と誰か。このようなプランはなかったのかもな~と試合展開の難しさもこの試合では感じました。
それでも勝ち点1でも持ち帰りたかったし、そういうのも含めてゲームコントロールは監督には求めたいところ。求めないともう降格がかなり近いところまでちらついています。
さて、水戸は長崎よりも攻撃の迫力はなくても、チーム全体として規律をもって4局面上手に試合を進めてくるチームです。
レノファとしてはどこにストロングポイントをつくり相手から得点を取るのか。スタッフ陣の腕の見せ所、選手の真価の発揮どころを迎えています。中断前の大一番。良い形で8月を締めくくってほしいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
※文中敬称略