レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

ピッチの中での修正⇒後半の畳みかけへ Vファーレン長崎vsレノファ山口@トランスコスモスS 2024年8月24日

カリーレさんが率いてない長崎に初勝利!なんかほんと地力がついてきた?!といまだに事実や現実が受け止められないのですが、どうやら夢ではないようです。なかなか受け入れがたい失点の仕方をしたものの、難しい展開ながら引きずらずにしっかり90分通して戦えたように思えます。

では、今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)長崎のSBの位置取りの妙と時間を追うごとに対応していくレノファ

2)攻撃での相田システム ver.長崎戦

 

【得点者】
長崎         レノファ
14分 M・ジェズス  48分 酒井
           55分 河野
 
1)長崎のSBの位置取りの妙と時間を追うごとに対応していくレノファ
この試合なかなか前半と後半では別の顔が見えた試合であったように思えます。
レノファ対策を仕掛けてきた長崎に対してなかなか嵌らないレノファのハイプレス。ただ、試合中に徐々に微調整をしていき、ある程度解決策を提示できたところで畳みかけて2点をとれた。この効率の良さはかなり長崎に対して大きなダメージと、レノファにとっては大きな流れを引き込んだように思います。
 
では、そのフォーメーションやその形について追っていきたいと思います。
まず長崎は人員は変わっているものの4節の時に対戦した時と同じ4-1-2-3(4‐2‐3‐1のほうが近い??)を敷いてきました。前線にはエジカルジュニオではなく15試合ぶりにファンマをスタメンに起用してきました。
起用選手は違えど相変わらず強力なCFに対して、天皇杯から中2日でしたがレノファは平瀬を起用。4節の時のように対人の強さを買ってのスタメン起用だったように思います。そのほかは河野以外は天皇杯免除組がスタメンに名を連ねました。
 
この試合の長崎の布陣で特徴的だったのが、長崎のSB青木、米田の立ち位置であったと思います。立ち位置としてはSBとして高い位置をとるだけではなく、時にインサイドのポジションをとることがありました。前節の山形戦ではあまり見かけなかったので、レノファ対策であったかなと思います。
ファーストサードでは長崎はGKと両CBで後ろを3人にし、アンカー秋野の脇に24山田が下りてくることで、3-2の形でレノファのハイプレスに対して形を作ってきました。

またミドルサードでは秋野がDFラインに入るなど後ろを3枚にする形が主だったと思います。


対するレノファのハイプレスの形は4‐4‐2をコンパクトに形成することで中を締め、アンカーであったりダブルボランチに対しては相田を1列あげ1人を抑えます。SBへボールが出たときには、片方のボランチにはツートップ酒井、河野のどちらか、もしくはSH野寄か吉岡がこのボランチの選手を消しながら出て行くことが多いです。
そこで前半特にキーになっていたのがLSB23米田の立ち位置であったと思います。高い位置にいるだけでなく、インサイドに入ることでIHのような位置にいたり、WGの増山を活かすように吉岡が行くのか、RSB前が行くのか微妙な位置をとることが多くありました。

時系列でいくつか例を挙げると
 
1分 両CB田中・照山に河野、酒井がつき、CH山田には相田、CH秋野には吉岡が付いていましたが、高い位置にポジションをとっていたLSB米田がフリー。田中からボールが米田に通り、LWG増山のクロスまで行かれてしまった。
 
5分 両CB田中・照山に河野、酒井がつきのはかわらず。相田1人が1列上げて、山田と秋野両方を見る形。ただ。右サイドに展開するところで、河野がRCB照山へ出て行ったところで、相田と河野両人が出て行ってしまったためRSB青木にボールが入ったところでCHが山田フリー。パスがずれたおかげで助かる。
 
17分 ミドルサードでLCB田中から幅をとるLSB米田にパスが出る。ただ、秋野が吉岡ののポジションのところにいるため吉岡は秋野を離すことができず、RSB前が米田のところへ行かざるを得なくなり、前が出て行った背後を増山に使われる。ここは平瀬が対応。
 
20分 LCB田中、秋野、ジェズス、米田の4人に対してレノファも河野、吉岡、相田らで圧縮してボールを奪いに行くも、うまく回されてしまい最終的にサイドチェンジをされボールを逃がされてしまう。
 
といった具合に長崎のSBが多少高い位置をとることであったり、アンカーの秋野の脇に山田が下りてダブルボランチのようにし、最終ラインからの道筋を多くすることでレノファのハイプレスをかわしていっていました。寄せようにも寄せきれず、時にはLSB米田がゴール前に飛び出すようなシーンもあるのでなかなか序盤はここを誰がどう捕まえるかを設定することができませんでした。
長崎はケガなどもあるのか不明ですが中段明けCBの起用が定まっていませんでしたが、今節の左利きの田中の起用はレノファのハイプレスに対してのビルドアップを安定させる狙いもあったのかもしれません。


この長崎のビルドアップに対してなかなか高い位置でボールを奪えないレノファも10分過ぎあたりからマイナーチェンジ。まず4-4◇-1のように相田を1列上げてのプレスではなく、後ろで残っていた田邉も上げて長崎のダブルボランチに対して、レノファも相田・田邉2人をあてることも狙います。

また、ダブルボランチを田邉・相田で見るようにしたことで、吉岡が米田を捕まえるようにします。すると空いてくるのがジェズスですが、29分などはこのジェズスに対して平瀬が高い位置まで出て行ってつぶしました。

徐々に長崎の形に慣れていったもの、32分のようにミドルサードのところでLCB5田中に対して吉岡が付きにいきますが、増山が自陣側にもどることで前を動かされてその背後に米田に取られるところなども、長崎の可変に対して対応がし切れていなかったシーンでした。こうして前半ペースを握っていたのはが長崎でした。

 

しかし、勝負の綾といってもよいでしょうか。この前半長崎の攻撃がうまくいっていたこと、また、ある程度レノファとしても修正ができ始めていたことは、後半の2得点につながっていたように思えます。

 

 

 

www.youtube.com

14分45秒過ぎくらいに前貴之がコメントしているように、長崎がうまくいっていたことであまりやり方は変えないだろうという予測がレノファ側はできていたようです。ハーフタイムを使いレノファは再度プレスのやり方を整理できた。このことは大きかったように思えます。(※もしかしたらレノファ的には前半修正できたと思っていなかったかもですが。)

 

まず長崎の46分と47分のところのビルドアップではCFが前半同様にボランチを切りつつサイドへ誘導するようにプレス。ダブルボランチには相田と後半から左サイドハーフに回った河野がある程度RSB青木にもパスが出ても間に合うように位置を微調整。右サイドハーフに移った野寄は米田を捕まえるよう形にしていました。田邉はおそらくジェズスを見つつフォローができる位置取りであったと思います。

そして1点目は上記のように修正したレノファの47分のプレスからでした。河野がRSB青木へボールがでたところに寄せて、青木からCH山田にボールがでたところを相田がかっさらったところから生まれた得点でした。

また、2点目にしても米田がここは低い位置にいるので野寄が高めの位置をとり、やはりSBとボランチを見るような立ち位置へ。そして米田へボールが出たところで野寄は米田に寄せ、相田は山田、小林は秋野、田邉はジェズスをそれぞれ捕まえます。酒井も反対サイドに振られないような立ち位置をとったことで、LCB田中はクリアの選択肢しかなくアバウト蹴ったボールに対して長崎の選手は反応できず、このボールを平瀬がすかさず河野に付けたところから逆転弾が生まれました。

 

この試合キレイに相手陣でボールを奪えたのは初めてと言っても過言ではないと思います。このような良い形でのプレスをこの10分で畳みかけたことで、2点を奪うことに成功したように思えます。

長崎にとっては修正であったり、頭の切り替えができる前に仕留めたような展開であったと思います。

 

2)攻撃での相田システム ver.長崎戦

ボール保持のところも多少触れます。

長崎のボール非保持は4‐4‐2。時に4‐2‐4のような形でミドルブロックを組んで最終ラインを高めに設定。最前線と最終ラインの距離を短くし、主部陣形をコンパクトにすることでレノファの使えるスペースを小さくするように守っていました。

前半解説の方も何度か言及していましたが、河野や酒井がディフェンスライン裏へ走ってはいるようでしたが、なかなかここにはボールがでず。レノファの狙っているタイミングではなかったのか、マークが外れていなかったのか。GKが高い位置も取っており、背後にあまりスペースがなかったのかは画面ではわかりませんでしたが、なかなか使えない展開が続きました。

ショートパスも交えつつ最終ラインからタイミングを計っているようでしたが、なかなかボールが出ない展開に、相田、野寄、河野、酒井などが長崎のダブルボランチ秋野、山田の位置に落ちることでボールを引き出そうとしますが、長崎自体の陣形は崩れず。ボールは回せど相手のペナルティエリアまで進むことができません。

狙いとしては25分のようにボールを動かして何人かが秋野や山田の動かすことで、ヘナン⇒おちてきた河野が引き取って相田で前進したり、

40分のように酒井が裏抜けを狙い、相手のCBを押し下げたところに野寄が進入してボールを受けることを狙っていたのかもしれませんが、なかなか崩すところまではいけませんでした。

そんななか、後半に微調整。

大分戦や栃木戦で相田が左サイドに流れるようなプレーをしていましたが、この試合ではまず最前線に近い位置まで出て行っていました。

1点目の崩したところでは、今までは河野と酒井で長崎の4バックに対峙していましたが、このシーンでは後半CFとして投入された小林、酒井に加えて相田が前線にいました。ここに相田が入ることによって、長崎の最終ラインは相田も見る必要が出ました。そうすることで、1点目のところは新保から河野にパスが出たところで、前半であれば河野にはRSB青木が出てきていたと思いますが、相田がいることで、長崎の4バックは4人の最終ラインは崩さず、山田にここの処理を任せたように見えました。

ただ、新保がボールを持っているためギジェルメは上がらねばならず、田邉に加えて前貴之がやはり一列上がっているため秋野も山田もサイドに簡単には流れることはできません。新保から河野へのライン際へのパスに対して山田は何とか食らいつきますがこれは間に合わず。

結果的に河野が前を向くことで青木は河野に出ていき、小林は青木の背後を使います。遅れてRSB照山は小林に出ていきますが、相田がすでにエリア内ニアサイドにいるためLCB田中は相田につき、酒井にはRSB米田がつくという多少ミスマッチがここに生まれました。

酒井のエリア内での動き直しや小林の素晴らしいクロスもありましたが、相田が最前線に入ることで生じた長崎の隙であったり、ミスマッチが発生してしまったところなど、チームとしての狙いが出ていたように思えます。

 

そしてここからはレノファは逃げ切るだけ。58分にLCB田中が持ち運び、米田がハーフレーンに立つことで前を吊って、増山に抜け出されるなどなかなか最後までうまくいかない対応はあったものの、72分からはもうハイプレスにはいかずにミドルブロックを形成。ある程度リトリートすることでファーストサードからミドルサードあたりで長崎の使いたいエリアを先に制限。リードしているからこその守備を敷きます。最後は5バックにすることでいつもの逃げ切りパターンを完遂しました。

 

FOOTBALLLABさんより引用)

試合を通してのスタッツこそ長崎のほうが攻撃している数字ではありますが、実際長の今期の平均に比べれば、パスやクロスは多いもののシュート、PA進入回数、チャンス効率、ゴール期待値など得点につながる数字は平均以下に抑えることができていました。

レノファも低いじゃんというのはありますが、これはアウェイで3位の長崎での戦いと思えばこんなもんでしょう。リードしたあとはかなり現実的な戦いもしていましたし。

栃木戦に続き今季2回目の逆転勝利。しかもアウェイで長崎が相手ということを考えれば上々の結果であり、内容も悪いものではなかったと思います。ナイス勝ち点3であったのではないかと思います。

 

天皇杯を交えての3連戦は結果として2勝1敗。藤枝戦の結果・内容は残念でありましたが、それを払しょくするような鳥栖&長崎戦であったように思います。

ここから続く上位陣との対戦もこの調子で進んでいってもらいたいですね。来月は天皇杯もありますし色々感情が忙しくなりそうです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

 

 

で、あとがき。

冒頭にカリーレさんではない長崎ってちょっと失礼な書き方をしてしまったのですが、やはりこの2年の長崎も強いときは強いと思っていましたが、やはりそれは個人の力であってあまりチームとしては脅威に思えなかったんですよね。

なので、もちろん大分同様なかなか勝てなかった長崎に勝ったことはうれしかったんですが、それでもな~って思いでした。

そして、嘘だろって失点から、全然チャンス作らせてもらえなんかったなって今期の4節や今節の前半のような展開でやっぱり強いな~難しいな~と感じていたので、勝ったのは正直望外の喜びでしたね。

2週前もおなじょうなことを投稿しましたが、このチームでどこまでいけるか。どんな展開でも受け入れるので、僕自身も最後までしっかり追っかけていきたいなと思います。

 

以上です。