徳島戦に続き試合終了間際での失点。勝ち点3がこぼれ落ちて1になってしまいました。試合終了後の選手たちの顔には当然ながらかなり悔しそうな表情が。特に寺門は責任を背負ってしまったような顔をしてましたね。
事実を淡々と書いてしまえば、最後のクリスティーノが競ったボールに対して、寺門がキャッチをしに行く。または橋本へある程度余裕があるからコーナーではなく前へ蹴り出すなどの指示があればコーナーもなく試合は終わっていたと思います。コーナーになったときの菊地の仕草がより寺門のこのときのプレーに対する評価を物語っていたと思います。
ただ、チーム全体として良いパフォーマンスではなかったので、この結果についてはチーム全員が負うものでありますし、「自分の実力の無さを実感している」という寺門には今後彼がチームを救えるヒーローとなれるようなGKへ成長するための糧にしてほしいなと思います。
ということで今節は下記について考えていきたいと思います。
1)いつも通りやれていたこと。
2)割り切っていた?できなかった?気持ち?
1)いつも通りやれていたこと。
今節の試合後インタビューで監督・選手ともに使っていた「相手の土俵でサッカーをしてしまった」「相手に合わせてしまった」。これについてはスタジアム、DAZNで見てた方で異論はないかなと思います。自分たちの色を出し切った岩手。追いつかれたレノファ。何ができていなかったのか、その先が多少それぞれの言葉が使われていました。
(引用元:レノファ公式サイトhttps://www.renofa.com/archives/result2022/iwate-39/、
Jリーグ公式サイトhttps://www.jleague.jp/match/j2/2022/100204/player/)
名塚監督「球際、競るところ、デュエルのところ」
高橋「ボールをつなぐサッカーというのを、もっと余裕を持ってやれば結果は…」
吉岡「下のパスが少なくて、サイドチェンジも少なかったが、ピッチコンディションを言い訳にはできない」
高井「相手に合わせずに主導権を握ってやれれば問題はないと思います。」
そしてピッチのコンディションに言及していたのが吉岡、高井、菊地でした。3人の話を勝手にまとめさせていただくと、
【2日前の練習時でボールを回すのが難しいという芝の状態であることはわかっていた。そのため難しい試合にはなるとは予想していた。実際難しかったが、やはり主導権を握るためにもう少しショートパスをつなぐなどボールを保持する時間を長くしたかった】
といったのが読み取れるのかなと思います。現にこの試合のレノファはゴールキックはつなぐことを選択せず、すべてロングキックであったと思います。解説の小村さんは岩手のマンマークについて言及されていましたが、ピッチの芝・その下のグラウンド状況にも起因していたと思います。
そのため後方からのビルドアップについても他の試合に比べてロングキックが多く、特にピッチが更に荒れ始めてしまった後半はそれこそ相手の土俵に乗らざるを得なかったのか、ショートパスでつなぐというよりも、いつも以上に梅木がロングボールを収めることを解決策として多く採用していたと思います。もちろん田中渉が降りてくることで相手をいなすシーンも有りましたが、時間を経るごとになくなってしまっていったかと思います。
では、まずできていたことは何だったのか?
1つは、ほとんど左サイドでしたが、相手陣内で高井・池上・橋本・田中渉・前の5人で、マンマークで来る岩手に対してポジションチェンジを交えて相手のマーカーを外してのニアゾーンへの侵入が挙げられるかと思います。主導権を握り相手を押し込み、クリアボールに対しても相手ボールにさせず、また2次攻撃・3次攻撃へ移っていくという流れは前半などでは出せていたと思います。
例えば6:55からのシーンで左サイドの橋本から吉岡へサイドチェンジ。一旦やり直して左サイドへいくのですが、まず岩手のプレスをGK寺門含めていなせています。また、上記の5人が関わりつつ、かなり個人の発想力と適応力に依存していますが、くどいくらいにポジションチェンジを繰り返し、マーカーをずらし、15前がニアゾーンは突き、あわや池上へあえば1点、というクロス。またそのクリアボールを2度ひろい最後はコーナーキックを獲得するなど、リスクを負わないで済むところでは吉岡の言っていた「下のパス」とコンビネーションで崩し、敵陣でボールを奪回し攻撃をするといういつもの狙いがしっかり出せていました。
2つ目に梅木をターゲットにしたロングボールでの陣地挽回。解説の小村さんもおっしゃってましたが、この日の梅木はボールを収めるところから展開するなどこの日の環境(温度、ピッチ、相手)に対応するためにはなくてならないピースだったと思います。前半は梅木をターゲットにして、収められなくてもそのセカンドボールを高井や池上がひろうなどしてゲインができていました。例えば31:45のシーンでは梅木が触れませんでした、高井が拾ってやはり上記の5人で左サイドを攻略し、池上のエリア内への侵入ができていました。(もちろんセカンドボールを佐藤謙が回収。)
もちろん梅木が収めるシーンでは群馬戦でも書こうと思っていたのですが、【吉岡のカウンターへの準備の良さ】。大外に張ったかと思えば、文字通り隙あらばインサイドにも侵入してくるなど、吉岡が梅木のその次のプレーを作っていたことで幾度か自陣からカウンターを仕掛ける場面が作れていました。
ちょっとそれるのですが、スタジアムで見てると、後からテレビの画面からは消えている位置なんですが「吉岡待っているな〜。細かくポジションやり直してるし、いつボール出るかな〜。」など思ってて、ボールがでなくても献身的に最終ラインまで戻って守備。気づいたらカウンターで最前線で用意しているなど、ホントに運動量豊富にこうけんしてくれていました。群馬戦からよりファンになりました。高橋くんとともに、献身的コンビ(カッコ悪くて申し訳ない!)であと3戦右サイドを支えてほしいです。
2点目の高井のスペース作るための右サイドへの持ち出した2タッチは渋かったですね。完全に蓮川を動かし、6甲斐の体のむきを反転させたところ、狙い通りだったでしょう。
2)割り切っていた?できなかった?
話を試合に戻して割り切っていたこととして、最終ラインの高さがあるかなと思います。前回アウェイ盛岡での対戦時もオフサイドを取れたのは1つ。そしてこの試合は0でした。結局全部の試合を調べてないのですが、おそらくレノファがオフサイドをとれなかった試合は今季初ではないかなと。
もともと岩手は積極的に裏抜けを狙うチームでもないので、極端な言い方をすれば【前や高橋のところでラインの駆け引きをするのではなく堂々と競る】。もちろんその競った後のボールでは岩手は裏を狙います。
が、レノファがまず引っ掛けようとする裏へ抜けようとする選手や、ロングボールのターゲットの選手にはクリスティアーノやブレンネルはならないため、レノファはオフサイドを取りにくい状況でした。そのため、ライン自体は上げはしますが、そこまでオフサイドをねらうというよりもその競った後のセカンドボールを如何に相手のチャンスにさせないために、全体の縦の長さをコンパクトにするためラインを上げていたように思えました。
繰り返しになってしまいますが、この試合岩手は特に今までのやり方を変えてきていなかったと思います。どちらかといえば前半は左サイドの前、後半は右サイドの高橋のところでボールを収める場所をかえたというか、収める確率が高そうなところを選んだのかなと思います。
名塚監督が「相手のサッカーが分かっていて対策もしてきていたのに、一番大事なところで起点を作られる。」と仰っていました。そして高橋も「相手の外国籍選手はフィジカルが本当に強かった。相手はそこをターゲットにして、そこから攻撃を始めてくるのは分かっていたので、そこは負けられないところだったので守備陣は意識していた。」と試合後インタビューで残しています。
「プレスに行っても相手は蹴ってくるから」ということで、【アグレッシブなプレス】よりもターゲットの外国籍選手の対応での【デュエル】を選手に名塚監督は求めていたと思います。
ただ、オタボーもブレンネルもですが、高橋のちょっと前のスペース、佐藤謙と吉岡の脇の位置も使ってきており、まず誰がマークにつくの?という展開が出てきたと思います。
オタボーへ高橋がとにかく付く、ってことを選択したら、スピードや個人技で裏のスペース使われるから嫌だな、と思っていた矢先にブレンネルに交代。多少やりやすくなったかなと思ったのですが、このブレンネルがどこであろうと収める魔神でした。174cm/69kgvs182cm/85kg(絶対詐称。もっと大きい。笑)ではデュエルの分がやはり悪い。ならチャレンジ&カバーで数的有利で対応すれば、としたいところでしたが、岩手LWG17中村が高い位置にいるのでRWB高木もなかなかヘルプに入れず。高橋の孤軍奮闘が求められてしまっていたと思います。左サイドで同じく交代で入った岩手RSH22奥山に対して橋本や前が手こずっていたところに、菊地を入れることでクリスティアーノに対する高さ対策もできて、橋本へのカバーもできるなどのケアができた一方で、ここの高橋のところにもう少し何か手が打てなかったのか?と惜しい気持ちになります。
もちろん、名塚監督が試合後インタビューで行った【デュエル】のところは高橋だけに向けられてのものではないです。全体的にプレーの精度はかなり低くかったですし、イーブンのボールも相手に取られる場面もたくさんありました。ただ、相手がそのようなサッカーをするとわかっているのなら、FWを3枚入れるのではなくて、けが人の状況はわかりませんが渡部、眞鍋、ヘナンのような選手を入れ、岩手のロングボールのターゲット、ブレンネルらへの競る専門のフリーマンのような役割を課して、高橋をカバーに回すなどの選択肢をベンチが用意をしても良かったのではないかと思います。
「前から行っても相手は蹴ってしまう」という談話や、70分以降の5−4−1で割り切って守るというプランを用意していたベンチなので、なおさらまだチームとして打つ手はあったのではないかなと思っています。明らか前への人員はそんなに多く割く必要はないとシミュレーションはできていたと思われます、
なんとかクリアをするというシチュエーションではなく、仮ではありますが、
眞鍋と高橋でブレンネルを抑える。ここで余裕を持ってボールを奪うことができれば、それこそ高井らが言及した【つなぐ】【主導権を握る】に繋げられたのではないかと思います。「守」のところが崩れてしまい、4局面でいう「守⇒攻」「攻」のところへ移行することができず、相手の攻撃を受け続け最後に決壊してしまったと思います。
「岩手さんの気持ちが上回った試合だと思っています」との談話がありましたが、上記のような岩手の勝ち目に対する実行力とその執念が同点に繋がったのかと僕は思います。
気持ちの強さで勝負が決またと言ってしまったら、負けた方の気持ちがしょぼかったのか?少なくとも高橋くん自分よりも大きな体躯の相手に対して体をぶつけて臆せず戦っていたと思います。守備での存在感は日に日に増していると思います。
ただ、高橋くん含めチーム全体で最終盤は岩手にプレー・気持ちは上回られてしまったことは否定しません。これも試合です。僕達レノファは14位のチームです。この立ち位置を厳しく教えられた一戦であったなと思います。
はい、一部漫画ワールドトリガーの12巻参照ください、気持ちの部分は丸々パク、もとい引用しております。それくらいちょっと試合後の寺門の表情を見て感情移入をしてしまったので、書かせてもらいました。気持ちが入っているからこそのワンプレーの重みをより体感したのではないかなと思いました。高橋くんも攻撃はまだまだですが、守備ではホントに気持ち入って、精度も上がっていると思います。
起きてしまった失点は取り戻せんませんが、この後の3試合で挽回すればいいです。幸か
不幸か残留も決まっても昇格の芽はありません。だからこそ思い切って若いメンバーのはチャレンジを繰り返してほしいと思います。沼田も80、82、88、91分あれはクロスではなくキープでOKだったと思うぞ、など若手みんな伸び代をしっかり実力へ昇華できるといいかと思います。
菊地に続き、渡部の引退が先日発表されました。大きな背中がまた1つレノファから去ってしまうようです。寂しいし、心細いところもありますが、若手の成長を期待しつつ残り3戦を悔いなく終えてほしいなと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(文中敬称略)