9試合ぶり?の勝利!!複数得点とクリーンシート。ようやく自分たちの目指した形が実を結んだように思えます。熊本戦で見られた今の志垣レノファの形の継続がでた試合だったかなと思います。タイトル通り前節のブログの続きのようなものですが、読んでいただけると幸いです。※ジャッジについては過度には触りません。自分が見えたことを書きますのでご了承ください。
では、今節は下記のとおりです。
1)続コンパクトな布陣とサイドハーフの位置。
2)理想の展開からの躓き。
3)来年以降にどのようにつなげるのか?

1)続コンパクトな布陣とサイドハーフの位置。
前節SHをインサイドへ配置、または逆サイドにまで行かせることによってセカンドボールやトランジションの局面で有利な形をつくるような特徴的な戦術を取ったレノファ。
これ自体は以前も時々やっていた形でありましたが、試合を通して大きく採用することはなかったかと思います。
この形は熊本にあわせてのものであったのか、それとも今後も採用していくものなのか、個人的にそれが注目の一つでありました。
ふたを開ければスタメンから熊本戦を踏襲した並びになっており、試合開始直後から早速SHの2人は自由なポジショニングでした。
まずレノファの形から。上述したように熊本戦のようにサイドハーフの吉岡や野寄の位置を中央に寄らせることでロングボールのセカンドボールを拾いやすくすること。また、攻→守のネガティブトランジションの場面であれば、ボールの即時奪還要員を増やすこであったり、もしそこでボールが奪えれば守→攻のポジティブトランジションの場面ではパスの選択肢を多くすることで、ボールを奪ってから素早く相手ゴールに向かうことができます。(このメリット・デメリットについては熊本戦のブログ参照)
ただ、熊本戦のように強風で出来るサッカーが限られた中では、この攻撃をやり続けることが良かったと思いますが、やはり一辺倒にならないようにしていたように思えます。
5:30のところで、前・下堂・ヘナンの3人で最終ラインを形成して新保を上げる左肩上がりの布陣であったり、8:30ではレノファの最終ラインでボールを動かしているところでは下堂・ヘナン・新保が最終ラインとなり前貴之はボランチの位置に移動していました。ここの流れでは新保はロングボールで相手の背後を狙うふりをし、LSH吉岡が高い位置を取ることで甲府RWB飯田を引き、新保と吉岡の間にスペースを作り、そこに相田が入り込んで新保からパスを受けて前進する形も見せていました(大分戦の形)。
また、25分にはゴールキックから、ヘナンが平瀬よろしく関からのロングボールのターゲットとなり競り合い、相手ボールになりますが、すかさずカウンタープレスをかけて前貴之がセカンドボールをおさめます。すかさず右サイドから中央に寄っている野寄へ出して、同じく中央に寄り気味であった吉岡へつなぐことで、甲府RCB関口を引き出します。そして関口が出てきたところを末永が裏を取ってエリア内へ侵入するなど熊本戦のような形も出せていました。
しかし、なかなかペースはつかめなかったのはレノファのプレスに対して逃げ道をしっかり甲府が用意していたことにあったと思います。
下堂の試合後コメントに
今日はアダイウトン選手が攻め残りをしていて、前(貴之)選手が上がったタイミングだと、そのリスク管理は自分になると思うので、そこをアラートにすることは対応できたと思います。スペースを与えると相手の特徴が生きるので、そこのリスクは一番気をつけていました。(引用元:レノファ公式)
とありました。
アダイウトンはだいたいセンターサークルから自陣に入ったあたりの左に多少寄ったところ。ミドルサードのハーフスペースで待ち構えているような形でした。
ここに彼が構えることである程度人数をかけて攻めるレノファに対して、CFの三平の他LWGアダイウトンが攻め残りをすることで、甲府のDF陣がボールを奪ったときにまず見るのがこのアダイウトンのところ。
アダイウトンの足元にだせばしっかり収めますし、下堂がいうように前貴之が攻め上がりRSBのところが空いていれば、甲府はアダイウトンを走らせるようなボールを出すことで、レノファ陣深くまで入っていきました。
このような形で前半は割と押し込まれるような展開も増え、なかなか相手陣での時間という形には持っていけませんでした。
それでも、先に上げたような形での前進やロングボールでの裏抜け、また下記の通り甲府のボールロスト位置が甲府陣深くでのものも多かったりと後半の人数が減ってからのものもありますが、試合のペースを握ったわけではなくとも相手陣でのプレーを増やせていたことが後半につながっていったのかなと思います。

2)理想の展開からの躓き。
そこで、レノファは後半から佐藤に代えて、田邉を投入しました。
田邉の投入の意図を考えると、ある程度裏抜けなど手応えはあるところはあるものの、セカンドボールの回収の回数であったり、5-2-3で守る甲府に対して、もう少し中盤のところで動きをつけたかった意図であったのかなと感じます。
熊本戦ではアンカー然とした佐藤のプレースタイルがはまっており、ロングボールであったり押し込んだところからの配球など冴えわたっていたと思います。
今節の甲府戦でも決してパフォーマンスが悪かったことではなく、田邉の特性のほうがこの試合では向いているとの判断だったように思えます。また、前貴之のコメントにあった
”後半に向けてもう1個ギアを上げなきゃいけないというところで、”
というのはもしかしたら、田邉を入れることでチーム全体としてそういう意識に向けたのかもしれません。
その中で後半開始早々に下堂→若月が奪った得点は先行逃げ切り型のレノファにとっては大きい得点となりました。ギアを上げたところでの流れでの得点であったことや、取った時間などがあったと思います。
この場面ではスローインの流れから相手のクリアボールを収めたところで下堂へ展開し、そこからのロングボールでした。
練習通りの形でヤマトが走ってくれましたし、なぜそこが空いたかといえば他の選手が手前に動いてくれていたりしたことがあったと思います。チーム全員で取れたゴールだと思います。そういう形が一つできたことで、今後もバリエーションは増えていくと思います。(引用元:レノファ公式)
と下堂が語っていた通り、ある程度チームとして相手を引き出して間延びさせたゴールであったと思います。
画面では映ってないので、予測の範疇を出ないものではありますが、まず甲府の3CBのRCB井上に対しては吉岡が高い位置をとることでここのマークを引き受けます。また、相田や田邉も割と自陣を意識したポジショニングをしており、前貴之についてもセンターサークルあたりにいました。そのため甲府のボランチはレノファ陣よりに出て行ってしまっており、甲府のダブルボランチとCBの間は約15m~20mくらい空いていたのではないかと思います。そこに末永が入ることによって、甲府の残ったCBの林田とマンシャの意識は多少末永を気にすることで前がかりになったと思われます。
そしてそこのタイミングで若月と下堂はその裏を狙っており、CBから縦一本という省エネですがかなり難易度の高いパスが通りゴールが生まれた、という流れであったように思えます。
甲府の最終ラインがあまりハイラインを敷かないことで間延びするところ、そこにセカンドボール対策などでしっかり人数を割くことで最前線の選手からのアラートをそらしたことなどはチームの狙いが反映されていたのかなと思います。
マンシャが退場したところでもやはり末永は甲府のCBとボランチの間に入り込むことでGK関の低い弾道のロングボールをヘディングでそらし、若月の裏抜けをアシストしていました。このシーンも甲府のCBが末永に対して全く寄せることができておらず、若月の抜け出しに対してもマンシャが遅れていることもあり、あの位置でのファウルにつながったと思います。
その後についても相手が一人減ったこともあったり、田邉を入れた効果がでてきたこともあるのか、ミドルゾーンで引っかけてのカウンターであったり、高い位置でのボール奪取などシュートへ持ち込む機会が増えました。65分前後の田邉が中盤で相手パスを引っかけてのカウンターなどは狙い通りの展開ではなかったかなと思います。
こういうところで点をしっかり取れていれば【試合巧者】なんですが、まだまだその経験値は積み重ねないといけないかんじですね。
甲府は9分のところで早くもアダイウトンからの展開をあきらめ右サイドに宮崎を投入。一人少なくなったところであまり人数は掛けられなくなりましたが、宮崎一人でも打開はできますし、RSBとの連携でフィニッシュ局面までは持っていくことが可能です。また、70分あたりまで何度かビルドアップのところでレノファに引っかけられてしまい、被カウンターとなっていましたが、67分にダブルボランチの佐藤と木村を交代することでマイナーチェンジを施します。
レノファもこのタイミングで小林と板倉を入れて5-4-1っぽい形を模索していきます。主に3バックのサイドの選手、ヘナンや板倉が鳥海ら甲府の中盤の選手がボールを持ったところで迎撃に出ようとしますが、いかんせんその位置が低い。出て行っても間に合う場所でもなくただ闇雲に出て行ってスペースを空けてしまう状況がちらほら。(84分のシーンなど)
また、後ろを多少重くしていることもあり、前線でプレスをかける選手たちが減ってしまったことやレノファの前線の選手たちの疲れも見え始め、甲府の最終ラインの選手たちが徐々にボールを回すことを苦にしなくなっていきます。
10人である甲府は勇気をもって出てきて、それを受けるレノファといった横綱相撲ができるチームならいなせるのでしょうけど、レノファだとひやひやの場面が続いていきました。
3)来年以降にどのようにつなげるのか?
そんな中でも疲労が見えていた末永・野寄に変えて山本・奥山と途中交代で入った選手がもう一度ギアをあげてくれたり、多少プレスのスイッチが入らなくなったところで前貴之がボランチ位置から出て行くなど修正が加わってきたところで、2枚目のレッドカードが出たところで大勢が決したかなと思います。
多少荒れた試合となりましたが、少なくともレノファの選手たちが熊本戦同様に今までとまた違った形を見せてくれたことで手にした勝ち点3であると思います。
山形戦を挟んでやり方を多少変えることが好転しているようです。思い返せば開幕戦に比べれば色々とやり方は変わってきており、来年以降の編成はどうなるんだろうというのがありますね。
当初の梅木選手を使ってのゲインの仕方は酒井選手や山本選手で続けようとしているところもありました。ただ、怪我などで選手がうまくそろわなくなってから、かなりコンパクトにした布陣を引いて開幕節よりもよりセカンドボールを意識しているような布陣にも見えます。
若月、奥山、末永タイプをとるのか、もう一度ハイタワー選手を何人かそろえるのか。来年はベンチ入りメンバーが9人になり選択肢の幅が広がります。
この熊本・甲府戦での結果・内容が伴ったプレーがでたことで、あと2試合はこの形の継続をするのではないかと思います。チームの目標勝ち点55があるので決して消化試合でありませんが、選手起用含めて来年への形が見えてくる残り2試合になりそうだな、と感じております。
さあ、残り2戦、どうなりますかね。
愛媛戦には行けませんが最終戦は維新みらいふスタジアムで今年のラストを見届けたいと思います。勝ち点55以上、失点45以下、8位でのフィニッシュ。それを願って参戦したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)