レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

準備の大切さ レノファ山口VS水戸ホーリーホック @維新 2024年4月21日

悔しい敗戦。

何度目だよ、という気持ちはあれど、やはり昨年20位のチーム。まだまだ成長段階だよな。と改めて思い知らされた敗戦であったと思います。

ただ、維新は勝つ場所。あんな喜ばれ方をホームではもうされたくないです。

2失点目がフォーカスされるかと思いますが、個人的にはちょっと別のところから考えられるなと思ったので、今回は下記についてです。

1)準備をされた中で、そこに蹴らされては…

2)この試合の先制点の意義と落とし穴

3)10節を経過すると順位が下降傾向。という意味を改めて考える。

 

【得点者】

山口            水戸

11分 野寄         14分 長井

              30分 寺沼

 

1)準備をされた中で、そこに蹴らされては…

今節の対戦相手のレノファと水戸は割とやりたいサッカーや配置する人など似ている点があったかと思います。

ただ、じゃあ何が勝負を分けたのか。それは【準備してきたもの】【その準備に対する手段】の有無であったかと思います。

端的に言えば水戸がこの準備を完遂し、レノファはそれに対する答えを出せない(見失った)ままリードを奪われ試合が終わっていったように思います。

 

まず、レノファの前提として、『準備をしてきたものを出さなくなってしまった』ことはあったかと思います。

スリッピーなピッチで何が起こるか分からない中で、自陣の低い位置では少し省略し、一つ高い位置でボールを保持しようと(という話をしていた)。梅木翼が空中戦では勝てるという勝算のもと、拾ったボールからしっかりと攻撃を仕掛けていくというところでいくと、2失点目はまさに不必要な失点であったと感じています。(引用元:レノファ公式

と志垣監督が残せば、

もうちょっとボールを持ちたいという意欲から、今日は自陣からのビルドアップの回数が今までと比べて多かったし、ボールをロストしている回数が多かったのにそれを修正できなかった。やっている選手がそれを感じてプレーの選択を変えなきゃいけないし、ベンチも含めてコミュニケーションをもっと取らなければいけないと思う。(引用元:Jリーグ公式

前貴之も言っているように、予め準備していたものに対して、別のアプローチをしてしまって、そこから修正をすることができなかったことを挙げています。


f:id:cross_reno:20240427164839j:image

とりあえず前提のところで誤った選択をし、修正できずに負けた⇒<自滅>  

ただ、この試合の前半でいうとこの自滅以外にも、水戸がレノファ対策をしてきた中でそれについての回答を出せなかった。そんな側面もあるかと思います。

この試合水戸はある程度レノファの対策としていくつか用意していたと思います。

ゴールキックでのロングボールに対して45寺沼が低い位置まで下がっての対応

・Wボランチ長井と前田ら中盤のプレスに呼応するか、セカンドボール対策に備えるかの選択のメリハリ

・サイドチェンジへの早いスライドの徹底

 

他にもあるのでしょうけど、このようなところも挙げられるのかなと思います。

まず1つ目は1:50のところで関のキックに対して梅木が競った相手が寺沼でした。特に前半目立っていましたが、空中戦勝利数がトップである梅木に対して水戸はチームで空中戦勝利数トップの寺沼を、ゴールキックなどリスタート時にマークにつけてきました。

寺沼が競ることで、梅木に負けないというのもありますが、その後ろの選手たちの多くがセカンドボールに準備することができます。

2つ目のところにも共通をするのですが、この試合の水戸の中盤はとても運動量多く守備を遂行していたと思います。まず水戸は前からボールを奪いに来るというやり方はありましたが、ダブルボランチまたはボランチの1角とSHの1人はロングボールのセカンドボール要員として、DFラインとの距離をかなり縮めていました。

相手のボランチを引き出せばよりFWのところにスペースができてくると思います。FWと相手のセンターバックが同数の場面では、もっとシンプルに(梅木)翼を使えば良かったと思います。僕と池上(丈二)選手のところでバックラインと距離感を近くし、うまく相手のボランチを引き出すということは意識してやっていました。前に蹴った時のプッシュアップはもっと行ければ良かったと思います。

相田が言うように、ロングボールを蹴るにしてもセカンドボールを取るために、競る場所の周りに数的有利を作られないために下準備が必要です。

この10節やってきた方法で挙げるなら、相手SBを引き出してその裏で勝負する、SBやWBに対して数的同数くらい人に人を配置して勝率の良い競り合いをする、などがあったかと思います。

 

ただ、先に挙げたように水戸はこのあたりをしっかり対策しており、レノファの選んだ方法がどうであったかという問題はここではおいておきますが、

レノファがつなごうとすれば16:50のように河野へのボールを長井が後ろからチェックしショートカウンターであったり、24:10の池上から河野も同じようにボールの出所を潰していました。

そして1例ではありますが、36分のように新保へボールが渡ったところで新保が前線へロングボール。この時水戸の両ボランチの長井と前田はすでにセカンドボール対策で落下地点の近くで構えており、レノファの選手よりも水戸の選手のほうがこのボールに対しての準備が整っていました。

ここで志垣監督の言葉ですが、

低い位置でボールを奪っても、背後のないまま、距離感の悪いまま、最終的にボールを蹴ってしまう。

と、そもそもつなごうとしていることもあってか、受けてのロングボールの準備ができていないまま蹴ってしまう。しかも受けての準備ができてないためか低く早い弾道のためそこで受け手が受けるか受けられないかというセカンドボールに頼るようなボールでもないということもありました。そして主審とのフィーリングも合わずことごとく先制点以降前線で形を作ることができませんでした。

相田も「プッシュアップにもっと行ければ」と残しているように前線と中盤が離れて間延びしており、セカンドボールを拾えない。また、そのやり直しの動きもポジションの取り直しが遅く選択肢が増えない。またミドルサードまで進んでもやり直しをしてサイドを替えるようなプレーも、水戸のスライドが間に合ってしまっており、これも有効打になることもありませんでした。これについても水戸が準備していたこともありましたが、ハードワークが足りていなかったという言葉にいきつくかなとも思います。

反対に水戸はSHをインサイドに入れてSBに幅を取らせて、コンパクトな4−4のブロックを敷くレノファの大外を使うなど横に揺さぶるようなプレーをアタッキングサードでも行ってきました。

 

後半に入り、ロングボールに対しての受け手を修正をし多少レノファの時間が増えました。ただ個人的にはこの修正をしてもさあどうだったかなと言うのがやはり前半の出来があったので、疑問符が残ります。

ゴール期待値だけで判断するのは暴論かと思いますが、ようやくチャンスを迎え始めたのは水戸が10人になってから。10人するようなプレーをしたという見方もできるかもしれないですが、個人的には10前田の軽率なプレーであったかなと思うので、正直この試合の水戸の出来に対して、ちょっとレノファは準備だったり、メンタル面だったりで足りていなかったように思えます。

 

 

2)この試合の先制点の意義と落とし穴

この試合の一つのターニングポイントとしてレノファの先制点があったと思います。

まず落とし穴のほうを挙げると、このゴールに至る前に水戸陣内へ進んだ方法がロングボールではなく、短く繋いでのものでした。

上述したようにつなぐことは悪ではなく、この場面では攻撃一旦やり直したところで、前⇒板倉⇒新保とサイドを変えて、新保から梅木⇒河野⇒池上で相手陣へ侵入できたところからでした。

もしかしたら、ここで繋いでいけるという感覚になったのかもしれません。ただ、このときはしっかり相手のスライドは間に合っていませんでしたし、攻略ができているパターンであったと思います。ただ、そこからは、、、という話かなと。


f:id:cross_reno:20240427170512j:image

 

で、意義の方。

これはやはりショートカウンターで仕留めたという成功体験があったこと。ほぼ相田の個人でのものではあったかと思いますが、おそらく近年でも得点にしたことはあまりなかったかと思います。

この試合11人対11人でなかなかできなかった「相手陣内で4局面をまわす」ためにはハイプレスやミドルプレスで相手陣でボールを奪う必要があり、得点を取れないにしてもこれをやる理由や成果はありました。ただ、やはり欲しかったのはこれを行うことの大きな成果。

しっかりと仕留める力があると自分たちも思えることや、相手に対してもそういう力があるということを知らしめることができたことも良かったかと思います。

だからこそ、志垣監督がおっしゃっていたように、半信半疑でプレスにいくことや間延びをして自分たちのストロングポイントをなくしてしまうことはやはりご法度。徹底をすることがより自分たちの武器になりますが、この試合では迷いながらとのことでしたが、群馬戦同様にSHが出て行った後ろを使われる傾向が出てきているように思います。

練習でその際はどうするという落とし込みなどをして払拭していくしかないのかなと思います。

今節は成功体験を大きな結果として昇華することはできませんでしたが、このあとのシーズンもまた見たい形であります。

 

3)10節を経過すると順位が下降傾向。という意味を改めて考える。

今節の水戸がこの11節のなかで一番しっかりレノファに対して対策をしてきたように個人的には見えました。

以前小山会長が出されていた年間の順位推移でちょうどこの10節を過ぎたあたりから下降傾向になり、ほぼそのままの順位もしくは下降気味で1シーズンが終わるというようになっていました。

docs.google.com

 

10節も過ぎればどのチームも「今年のレノファはこんな感じね」という傾向がつかめてくるので、その対策をされてしまって覆せずにずるずるいってしまうことになるかなと思います。

この11節水戸戦についてはまさにこのパターンになってしまったように思えます。相手はしっかりリスペクトをして臨んできた中で、当のレノファは自滅含めて対策を徹底できず敗戦。開幕戦より勝利のないチームに勝利をプレゼントしてしまいました。

 

ただ、言い換えてみれば、それは逆にレノファもそのように対策ができるということ。梅木が競り勝てるだろうの中にも、このあたりでの競り合いは勝率が高くなる(徳島戦のRSB狙い撃ちのような)であったり、甲府戦のようにミドルブロックをしっかり引いてはめ込むなどその相手用に対策はとれます。


f:id:cross_reno:20240427170451j:image

この敗戦を機に自分たちのやり方をもっと明確にしていかないといけない。先制した優位性を保ちながらゲームを進められるように、あとは相手のやり方も含めてどうやっていくべきかというのをしっかりと考えながらやりたいと思います。

前貴之のこのコメントのとおり、だいぶ手痛い授業料にはなりましたが、10節を過ぎて手ごたえであったり、欲というものが出てくるとは思いますが、もう一度足元見つめなおして再出発をする。この3連戦はそういう修正であったり、原点への立ち戻りなどそんな姿を見せてほしいなと思います。

ただ、原点に戻ってどのような積み上げができるのか、というのがこの10節以降、シーズンを戦っていくうえで必要なこと。「なんクロ」でもよく話に出しますが、昨年の開幕節の五十嵐太陽と最終節の五十嵐太陽では全く違う姿、という個人レベルのものもそうですし、有効であったかどうかは別として最終節に向かうにあたってエスナイデル前監督のエッセンスが出ていたと思います。

「志垣レノファver.10節以降」どのようになるのか、楽しみにしたいと思います。

 

さあ、GWの3連戦がはじまります。アウェイ鹿児島・仙台と続き1万人プロジェクトの山形戦。大事な試合が続きますね。

欲を出しまくって3連勝としていただきたいですね。

ここまで読んでいいただきありがとうございます。

※文中敬称略

[お写真:トリバンさんよりいただきました @jtki2004]

 

今節の後書きは『修正』についてです。

水戸が10人になってから

ジュニーニョ投入で大きな選手を入れる

・後ろ2枚+池上にして、前と相田で水戸の5-3-1の「3」の脇に立たせてピン留め。大外の山本と新保を浮かす。

・山本が割と中に入ってくる傾向にあったので吉岡を入れて幅を吉岡に取らせる。ピン留め訳は相田と池上

・五十嵐と佐藤を入れて、後ろをほぼ2人にして、ピン止め役を相田と五十嵐に。五十嵐はポケットをとるような動きを入れることで右サイドの水戸のマーカーをずらす。


f:id:cross_reno:20240427170435j:image

など、徐々に手を打っていました。最終的にゴールを割ることはできませんでしたが、段階的に手を変え品を変えといった印象を受けました。

修正していったことはよかったかなと思いますが、中だるみの時間はあったのは事実。選手交代をしたところから修正というようなプロセスであったと思います。ベンチの動きとしてはこれが正解であるし限界。

やはりピッチ内でもできるとよいかなと思います。例えば幅をとっていればもう少し水戸のエリア内薄まりそうだなというのもありますし、「3」をピン留めしているなら大外は空く、そこをシンプルに使わずに難しいプレーを選択してしまっていた。中での競り合いは勝てていました。それはやはりクロスをあげる選手がしっかり精度を上げられる状況、簡単に言えばフリーもしくはそれに準ずる形でクロスを上げている場合であったと思います。

去るアジアカップU-23の日本対カタール戦で後半日本が右サイドである程度決まったやり方をやり切っているのを見て、やっぱり下準備をしていたものをしっかりやっていくことは大切だな感じました。(一度中を使って外を浮かせたところで外を使う)

 

シーズンを通していればこういう試合は出てきます。切り替えましょ。ただ、天気で致し方ない試合、自分たちのエゴを押し通してしまった試合。ちょっとシーズン通してこんな試合があるでしょうってケースが11節で割と出てきてしまっているのはちょっと心配ですね。


f:id:cross_reno:20240427170415j:image


f:id:cross_reno:20240427170423j:image