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ようやくものにした【次が大事】 レノファ山口vsザスパクサツ群馬@維新 2023年9月23日

徳島戦、水戸戦と絶対に落としてはいけなかった6ポイントマッチ。

それぞれ強豪相手に善戦したり、勝ち点を得たあとの試合でした。それもあって【次が大事】と言っていても、内容も残念な形で勝利を手にすることができなかったのが最近のレノファでした。(今シーズンに限った話ではないですが)

前節、佐藤謙介や池上の試合後コメントに三度出てきた【次が大事】。3度目の正直。しっかり試合内容と結果を実らせてくれました。

今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)前に出るレノファと構える群馬

2)動かし続けた先のご褒美

【得点者】
山口           群馬

69分 梅木        なし

 

1)前に出るレノファと構える群馬

今節のレノファはおそらくエスナイデル監督になってから初めて前節と同じスタメン・同じベンチメンバーで挑みました。エスナイデル監督の試合後コメントの

−前節からメンバーを変更していないが、その意図を聞かせてほしい。

うまくできたところに関しては変更する必要がないので、前節からの変更はしませんでした。(引用元:第36節 ザスパクサツ群馬 | レノファ山口FC

とあるように、磐田戦の3-4-2-1に手ごたえを得たようでした。

まずはボール非保持の局面についてです。

群馬はベースのフォーメーションは4-4-2でありますが、ボール保持時はRSB川上、RSH佐藤を1列前にあげる3-4-2-1のような形を引いてきます。

これに対してレノファのフォーメーションも3-4-2-1。群馬の攻撃時の形に対してレノファのフォーメーションはそのままマークにつきやすい形でした。

そのため、梅木を頂点に池上、河野の2列目で群馬の最終ラインを抑え、群馬のダブルボランチに対しても、そのままレノファのダブルボランチが付きました。

上記図のように基本のフォーメーション上、(ここから結構動くのですが基本ということで。)人の配置が嵌るためレノファのファーストディフェンダーの設定は容易になり、試合開始直後から敵陣でのボールの奪回をしていきました。

形としては前3人で中を締めながら群馬のボール回しを外誘導していきました。

まず6分の群馬のゴールキックのところ。エリア内にフィールドプレイヤーを3人入れている群馬に対して梅木、池上、河野が中を締めて立ちます。38CH天笠が梅木と池上の裏でボールを受けますが、ここには成岡が付きます。一旦やり直させてもう一度左に展開されますが、47杉本には吉岡、23平松には前がしっかりついていることでタッチラインを割らせてマイボールのスローインにさせました。この間群馬RSB5川上が中に入った位置を取っていましたが、ここには田中が終始捕まえていたのが画面でわかったかと思います。

また、7:25には群馬のパスが乱れたところを田中が猛チェイス。3度追することで天笠を捕まえる成岡、佐藤を捕まえる河野で24RCB酒井パスを寸断。エスナイデル監督の「高い位置でボールを取りたい」を実現させていきました。

 

また14:25には一旦相手にボールを下げさせたところで、群馬の最終ラインの3人+ダブルボランチ2人に対して、レノファは4人で相手を押し下げていき、この4人をとばすように10佐藤へ出た浮き球のパスに対してヘナンがここまで上がってきて迎撃。続く16分にも川上へのボールに対してもハーフスペースへのボールはヘナンが担当することになっていたのか、田中に佐藤のマークを任せここも迎撃と、前線が絞ったコースに対して後ろが準備できており相手陣でボールを奪っていくシーンが出てきました。

また、群馬がショートパスで繋ごうとする局面でも群馬CH38天笠のマークに付いていた成岡がそのまま高い位置を取り、川上や佐藤にでたボールに対して多少天笠を外してしまいますがプレスに参加。この成岡のプレスバックでボールを奪うシーンが前半散見され、33分は河野がチェイスし、ヘナンが迎撃し成岡が挟んでボールを取ると最後は池上の決定機。個人的には前半最大の決定機だったかなと思います。(はい、枠飛ばしてほしいですね。河野も田中などなど)

この試合では特に群馬がレノファの外誘導に対してロングボールをシャドウに入れることくらいしかしなかったため、平松には前、佐藤や川上に対してはヘナンが出ていくことで、山形や仙台戦のような相手陣でしっかりマークを外すことがなかったことが、策としてはまっていたと思います。CB裏へ飛ばすにしても単発ということもあり、落ち着いて対応ができていました。

 

また、ボールの保持についても前半はかなり優位に進めることができました。

要因の一つとして群馬のゲームプランも関係があったかと思います。

無理には飛び込まないという展開ではあったと思います。特に前半の最後の時間帯は、「ここは耐えよう」という感じで選手同士では言っていました。(引用元:【公式】山口vs群馬の選手コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年9月23日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

と風間が残しているように、前半は特に前からプレスに行かないことをプランとして採用していたようです。

 

前節の対戦相手の磐田が試合開始からプレスをかけてきましたが、途中からレノファがいなすことができる展開になりました。ただ、後半から磐田はダブルボランチを高い位置へ上げてプレス強度を上げてきたところでレノファは前半のようにはいかなくなりました。

そのため群馬は前半は粘り強く守って、後半戦しっかり勝ち越すという試合展開が多いとのことで、このようなレノファが疲れてきた後半に仕留めるといった展開に持ち込もうとしていたのかなと僕は考えます。

大槻監督も

少し我々のアジャストするところがもう少し早いタイミングでボールに行ける、行けないという判断や相手の立ち位置の関係の部分をスムーズに理解して戦うことが出来れば良かったかなとは思っています。ただ、私たちから選手へ「このようにやってくださいね」と伝えた部分は彼らが表現してくれたので、僕の方でももう少し準備をして、もっと彼らにやらせてあげることが出来れば良かったと思っています。

(選手交代の流れから「前に出ていこう」という意識だったのか?)
そんなことはなくて、もっと前からです。前半は前から行けるような形ではなかったので、しっかりと整えてハーフタイムに修正をしました。(引用元:ザスパクサツ群馬 試合記録

とおっしゃっているように、多少中を固めてカウンターであったりミドルゾーンでボールを奪うというのを狙っていたように思います。

 

また並びの話をさせていただくと、前半レノファのボール保持時に目立っていたプレイはLWB田中が高い位置でクロスをあげていたことだったと思います。

まず、先に挙げたように群馬は前半はあまりハイプレスをあまりかけてこなかったこともあり、ミドルゾーンまでレノファは割と簡単に進むことができていました。ひっかかったのは10分の成岡のところくらいだったと思います。

そのためミドルゾーンから先でセットした相手に対してレノファがどのように崩すか、というなかなか以前であれば苦戦をしそうな状況ではありました。

群馬はミドルゾーン過ぎたあたりからかなり中央部に人を集めたような布陣となっておりました。SHもSBもペナルティエリア幅くらいしか広がらず中を締めているようなポジション。そのためライン際まで幅を取っている田中はある程度スペースを与えられた状態でした。

また、ミドルゾーンまで簡単に進めた上に群馬のツートップの脇から成岡らがボールを持ち運べていたのも大きかったと思います。

例えば22:40のようにツートップの脇で成岡がボールを受けるため、まずRSH佐藤が成岡をみます。そうすると田中は佐藤よりも後ろでボールを受けるので、今度はここにRSB川上がでるにしても、最初から田中に付いてしまえば最終ラインが大きく空いてしまうので、なかなか出て行けず。

ただ、田中にパスが出たところで川上は出ていかざるを得ないので、河野がすかさずここを付きました。7:50のときはヘナンの持ち上がりでしたが、【中を締めて外に押し出したい群馬】に対して【外へ一度展開するも中を使いながらもう一度外を使うレノファ】といった型がピッチ内で出来上がっていたと思います。

田中を定点にして成岡・河野・池上と人とボールを動かすことで、群馬を外におびき出してその中を使うなどができていた前半だったかと思います。

前半で3-0くらいにしてもおかしくない内容であったと思いますが結果的に前半は0-0で折り返してしまったのは今後の伸びしろですかね。

 

2)動かし続けた先のご褒美

CH風間が試合後コメントで

前半の最後の時間帯は、「ここは耐えよう」という感じで選手同士では言っていました。なので、前半は想定内と言えばそうなります。ボールを相手に持たせて、どこかでカウンターのチャンスを狙おうとは思っていました

と残しているように群馬としては0−0同点で折返しなので、プランにギリギリ即したものであったと思います。内容はだいぶまずかったかと思いますが、結果としてはOK。であればハーフタイムで修正して後半立て直す。セットプレーなどで点取って1−0でクロージング。群馬としてはこれでOKですし、正直解説の中島さんもハーフタイム前後でこのようなことに言及されており、このような戦い方で今シーズンを戦ってきたのだと思います。

確かに下手したらこんな群馬の流れに飲まれてしまった世界線は十分にあったかと思いますが、今節のレノファはそれを内容で上回り勝ちきることがきました。残留に対して多少近づいたこと以上に、良い勝ち方をして前節からの良い流れを継承していけたことが大きかったかなと思っております。

では、群馬ペースに飲まれなかった後半についてです。

 

まず後半開始直後から群馬が勢いをもってプレスを掛けてきました。

一度ボールを奪われるも吉岡がパスをカット。パスを引っ掛けてしまった風間は前半であればここは一旦自陣へ引いていたと思いますが、この場面では再度ボールを奪還しにチェイシング。ただ、吉岡がすかさずパスでいなして梅木とともに前半は割と横に揺さぶっていましたが、一気に縦に早くボールを持ち運び河野のヘディング空振りのシーンを作りました。

49分にも前線からプレスに来ようがヘナンが前半同様に幅を取った田中へボールを通したかと思えば、50分は梅木がGKへのチェイスから成岡の決定機。

51分もやはり前線から来ても池上が落ちてボールを引き取って佐藤謙介に落とすことでプレス回避をして前進するなど立ち上がりに群馬の変化に面喰らうことなく、おそらく前からのプレスを試合当初から想定はしていたでしょうし、前半の群馬の内容を考えれば後半からは来ると予想もしていたでしょう、いなすことができていました。

 

そして両指揮官が早めに選手交代で動きます。

まず群馬の大槻監督が佐藤、川上の右のスカッドを交代。

対するエスナイデル監督は対して左サイドのスカッド田中と河野を野寄と五十嵐に変更、両指揮官が同サイドのテコ入れを行いました。

大槻監督は試合後インタビューでトクダさんの質問を受けて、

・ハーフタイムの指示は「ボールにいきましょう」

・最初の交代は「強度の担保」

と明かしています。また上述した試合後のコメントでもハーフタイムに前から行けるようにし、この交代でよりそこの強度をあげたとのこと。それに対してエスナイデル監督もジョーカー起用で存在感を高めつつある野寄と五十嵐を入れてここのギアをチェンジ。

崩され気味のサイドのテコ入れを図った大槻さん、今が攻め時のエスナイデル監督。お互いの考えがモロにぶつかった交代策だったように思えます。

交代から最初の5分強は群馬北川らのプレスに押される場面がありましたが、64:30の五十嵐が後方からのパスを受けてターンで相手を振り切って持ち運びあたりから雰囲気が再度レノファに。

徐々に保持の時間が長くなり、五十嵐は河野に比べると佐藤や成岡に近い低めのポジションを取っていました。その分野寄は前目のポジションを取っていました。

68:20、後半から多少使うようになっていたロングパスが実を結びました。ボムヨンが7川本のプレスをいなしたところ。実況の八谷さんの言葉とおりであればツートップのプレスにあわせて群馬の最終ラインが上がったところを、前節からキレキレのロングボールを蹴っていたボムヨンの左足から左サイド奥へボールが届けられました。

田中よりもおそらく最終ラインがボールを持ったときに高めの位置を撮っていたと思われる野寄。スピードを活かして群馬の最終ラインを振り切りシュートも枠を捉えており、動きの被っていた梅木もすぐにこぼれ球へ切り替えたことで2度スーパークリアをした城和よりも早く反応しゴールを陥れることができました。

前半からしつこくこの左サイドの裏を様々な形で突いていました。得点時は後ろからの一発ロングパスではありましたが、愚直狙い続けた結果であり、相手に流れを渡さずに点を取りきったことは磐田戦から続く良い流れが結実したものとなったのではないかと思います。

 

また、この試合最も目立っていたのが吉岡無双。吉岡自身が

僕のサイドに相手のサイドハーフの選手が食いついていたので、「逆のサイドで攻めていこう」と試合の中で言っていました。相手がこっちにけっこう人数をかけていたので、そのぶん守備は意識しながらやっていました。自分のサイドでボールを奪って、逆に振ってそっちで崩すというイメージでした。

とパフォーマンスを含めてレノファの狙いを説明してくれていました。

前半の群馬のサイドごとの攻撃比率は左35%、中7%、右58%でしたが、試合終了後LSH佐藤が交代したことも合ったかもしれませんが、左45%、中16%、右39%と以下に攻撃の中心が吉岡のサイドへ寄っていったかがわかるかと思います。

ここを吉岡がしっかり堰き止めてそれをジョーカーの野寄の方へ持っていくといった狙い。このようにチームとしてピッチ内で微調整ができていたことは、試合内容が充実していた要因の一つであったと思います。

あとシャドウに神垣を入れてそれこそ強度の担保をしたエス将の采配は個人的にはヒットでした。

 

 

上位陣相手に2つのアウェイもありましたが、3連戦で勝ち点4を得ることができました。続く2戦は金沢、大宮の降格圏に沈む2チームとの対戦です。

2連勝すれば残留ですし2連敗すればまた残留争いへ巻き込まれます。レノファも必死ならこの2チームも必死。ただ、上回らなければなりませんし、レノファ山口が今後も残留争いではなく一つでも順位を来年以降も上げていくならば、こういうところで躓くわけにはいきません。

この良い流れでこの2連戦をしっかり乗り切ってもらいたいと思います。まだまだ続く【次が大事】。

2023年のレノファ山口の底力を魅せてほしいと思います。

金沢戦は東京PV、大宮戦は現地で僕も声を届けたいと思います。3連勝しましょう!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略