レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

0を1に。1を3にする後半戦になるように。レノファ山口vsファジアーノ岡山@維新 2022年6月12日

惜しかった。負ける試合ではなかった。最近よく使ってしまっていますが、もうあまり使いたくないですね。やはり勝ち点がほしい!

相手のスーパークリアやポストに2回あたろうが、得点は0ですし、5月はじめの町田戦以降8試合先制点がとれていない。2勝5敗1分 7得点9失点 そのうち4試合は無得点。

42節の前半を終えて17位という現実はしっかりとらえてないといけません。チームが昇格を目標に掲げている以上、結果はシビアに見ないと!!(正直個人的な感想では勝ち点は想定内ではありますが。)

降格圏の岩手までは勝ち点差6、ただ、6位山形(2戦すくないですが)ここも勝ち点6。団子状態なのでまだまだ後半の戦い如何でなんとでもなります。

下を向いても仕方ないので、上を向きたいですね。と、〆の言葉っぽくなりましたが、今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)じれた時に自分たちのやり方を継続するか、力業で押し切るか。

2)沼田に続いて橋本も正念場?

 

1)

おそらくこの試合を見ていたレノファサポであれば、「決して悪くなかった」「いつものようにうまくやれていた」このような感想があるかと思います。

岡山の木山監督はアライバルインタビューで「切り替えのスピード」「相手コートでプレーをする」を挙げていらっしゃいました。

ただ、暑さの問題もあってかまず岡山は前からハイプレスをかけるというよりもミドルゾーンまで引きこんでからを想定していたように思います。ただし、長崎・山形・群馬のように4-4-2の布陣を引いて、前2枚でアンカーを消しつつミドルゾーンまで引き込む、といったチームとは割と試合をしていたこともあり、ある程度もう外し方はわかっている、といったような形でレノファは前進が出来ていました。

岡山のCFの二人がアンカーを消しつつ、割とムークが多かったですが、CBにつく、GKまで一人で行ってしまう、といった後ろが連動をしていないプレスが来た場合は容赦なく佐藤謙、橋本を中心にテンポよくワンタッチ、ツータッチで外⇒中⇒外といった形で大きく岡山をタテやヨコに揺さぶることができていました。特に前節の群馬の奥村と同様に、岡山14田中もヘナンについたらよいのか、橋本についたらよいのか、といった形でポジショニングに苦労させることができていました。

また、右サイドについても生駒のフィットもあり、試合後インタビューで名塚監督のおっしゃっていた「前には強いですが、クロスに対してはアーリークロスが弱いというスカウティングがありました」という言葉を体現するように、高木からこのようなボールが供給されておりました。

左サイドはコンビネーション、右サイドは手数をあまりかけずにシンプルに、といった形で自分たちの時間を増やすことができていました。

しかし、後半に入り岡山の方もプレスをかけるラインを上げてきて、2列目の4人についてもハーフウェイラインを超えて守備をしてきたことで、岡山もショートカウンターをしてくるような展開になり、前半程うまく攻めることができませんでした。

後半失速した要因として橋本が岡山のこの2列目の高さの修正で14田中につかまりやすくなってしまっていたように思います。
また、もう一つは前節から気になっているRCB渡部への誘導。右サイドへ誘導されることでそもそも橋本からボールを遠ざける。サイドチェンジなどで沼田や橋本に渡っても既に岡山がセットしている状態でこうなるとCB柳とバイスの高さが中々破れません。

もちろん46分田中渉のハーフスペースのタテ走り込みから、時間をずらしての山瀬の2段目のニアゾーンへの侵入など惜しいシーンはつくれてはいましたが、前半の後ろから丁寧にトライアングルでスピードを生かしつつ、相手を翻弄するやり方がなかなか繰り出せなくなっていました。

またSPORTERIAさんより引用させていただきますが、パスの矢印がやはり後半は右向きになってしまっています。
sporteria.jp

もちろん、右に誘導されてとても困るというわけではありません。高木のタテへの抜け出しはこの試合何度もありました。彼のクロスはこの試合13本だそうです。(※SPORTERIAさんより https://sporteria.jp/data/2022061201

池上⇒高木⇒大槻のダイナミックな攻撃は点と点でしか合わないようなものでしたが十分相手を出し抜くようなプレーでした。

また、池上が入ったことで右誘導でも、右のニアゾーンをとる動きを入れていくなど、状況に併せて打開策を打っていたと思います。

しかし、もう少し揺さぶらないとこの日の柳とバイス・宮崎が外せなかった。。。むしろ試合終盤は崩しが右側一辺倒になってしまい、対策をされやすくなっていたようにも思えます。

きれいに崩さないとシュートを打たない、というツイートをいくつか見ました。もう少しミドルシュートがあれば相手を引き出すこともできるかもしれないですし、シュートを打たなければ何も起きないというのはあります。

ただ、ヘナンか渡部を上げてパワープレーというのはおそらくこの柳とバイス相手には通じなかったと思いますし、きっとカウンターで白井・川本にダメ押しを食らうことになっていたのではないかと思います。

昨年からやり方を変えていることもあり、そこまでこのチームはオプションは多くないと思います。負けた時には何かとやり玉に挙がってしまう言い方ではありますが「自分たちのスタイル(サッカー)」をやり通す方が、今年のチームは良いのではないかと僕は考えています。

では、どんなことが他にできるのか?というか前節から何か変わっていったか?というのを考えてみたいと思います。

まずクロスについて。名塚監督はハーフタイム・試合後にも「まだ甘い」といった談話を残されていますが、今節は大槻がまずニアに飛び込むことで迫力を出せていたと思います。上述したダイビングヘッドもですが、12分や24分のシーンでは周りとも連携してクロスに入れていました。12分は田中渉のポスト直撃、24分は橋本のクロスミスでしたが、中では沼田と大槻がバイスと柳と2対2になっており、柳とバイスから離れるように大槻を軸に沼田が衛星のように走っていたので、ここにピンポイントであえばおもしろそうな場面でした。

また、解説の中島さんも惜しいとおっしゃっていた10:20あたりのシーン。

左サイドの三角形に大槻が加わった形。大槻の落としから田中渉のシュートで終わったシーンです。

このシーンでは19沼田がハーフスペースに立つことでRSB16河野、RCB5柳を吊ります。そして沼田の脇かで大槻がポストプレーで受けに来ます。これを田中渉に落とした場面。あまりこの連動はこれまでのレノファではなかった形です。

おそらく即興で大槻が機転を利かせたようなプレーだったこともあり、反対サイドの生駒高木の動きがなく、山瀬が走りこもうとしたところで田中渉のミドルシュートでしたが、この動きを察して(というかある程度決まり事として)右サイドの生駒・高木あたりが中に詰めることで、宮崎との2対1。バイスが間に合いそうでしたが、それでも2対2と局地的に数的有利、位置的にも屈強なCB二人を外す機会ではありました。

多少机上の空論感はありますが、このように大槻がファイナルサードの崩しのところで関わることで相手のCBを動かすことなどもできればまた違ったシュートチャンスも生まれそうですので、外から中への差し込み、そこからまたサイドへ振るなど多少やり過ぎ感はありますが、奥行きと幅を使う攻撃ができるようになれば名塚監督の狙う形が増えていくのではないかと思っています。


(2)

で、橋本ですね。相変わらずレノファのキーマンには変わりないですし、前半も上述した通り相手RSH田中を困らせることができていたと思います。

沼田が多少タテへのドリブル突破からのクロスが抑えられ始め、最近は得点という形で殻を破り始めていますが、橋本は多少迷っている印象があります。象徴的に感じたのは上述した24分と60分のシーン。

24分はドフリーであったにもかかわらず、迷ったのか大きくふかしてしまったこと。60分は佐藤謙から沼田へボレーでのサイドチェンジ。察した橋本は速度を上げオーバーラップをかけます。山瀬がまず柳とバイスの間に入るように走り込み、バイスはおそらく山瀬のところから動けなかったでしょう。それもあってペナルティスポットのあたりでフリーになっている大槻が見えたのかふんわりしたボールを上げ、ディフェンスにあててしまいます。

田中渉がニアで要求していたのもそうですし、大槻・高木のフリを見る限り「お前ならうまくやられるだろ!」という不満げな素振りや、橋本自身も24分同様失敗したことへの表情というのが、単に1つクロスをミスったという顔でなさそうに僕は思えました。

 

この試合、橋本と変わって入ったのが桑原でした。21試合目にして今期リーグ初出場。去年は短い期間とはいえ育成型レンタル移籍の選手として頑張ってくれた選手でした。ケガなのかコロナなのか、単純に力不足だったのかわかりませんがようやく天皇杯からつかんだ出場機会で、ファーストプレーからうまくドリブルで相手をいなすなど、アディショナルタイムのヘディング含め彼の色を出していたと思います。去年の水戸戦の幻のゴールもあってか、橋本よりも直線的にゴールを目指すイメージがあります。

橋本もゴール、アシストに目標を立てていることもあり、もう少しどん欲に自分でゴールを狙うなどエゴを出してもよいのかもしれません。多少彼が上がった後の、裏を狙われてのカウンターなども打たれてしまい悩むこともあると思います。ただ、後半開始直後も結構危なかったですが、渡部が止めてくれたシーンもありましたし、開幕直後ののびのびとしたプレー、はつらつとした表情が戻ることを願いたいです。

もちろん桑原にも今後試合にどんどん絡んでいってもらいたいですね。まだ明らか沼田と田中渉と息が合ってなかったので、これからの伸び代ですね。

 

さて、負けてしまった試合ですが結構長くなってしまいました。思い出したいのはうれしいシーンですよね。週末は監督・コーチが変わったヴェルディ戦ですね。維新では勝ちましたし、アウェイ初勝利を勝ち取ってもらいましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)