レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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まだまだこれからよ。 レノファ山口vsロアッソ熊本@維新 2023年3月11日

完敗!でもなんというか、あまり悔しくはないんですよね。もちろん負けは嫌ですし、たらればももちろん出てきます。

前選手が言うように「これまで2勝1分で結果は良かったけど、内容を見たら今日みたいな結果になってもおかしくはなかった感じだった。次につなげるしかないと思う。」(引用元:【公式】山口vs熊本の監督コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年3月11日):Jリーグ.jp)という発言の通り、特にいわき戦は同じような敗戦でもおかしくなかったかと思います。勝点3を得ましたがなかなか自分たちの形を表現することが難しかった試合であったと思います。

今節の熊本戦については負けはしたものの、チームとしての形は前の3戦に比べれば良いものが見れ、前を向きたいなと思うことがありました。今回は下記について考えていきたいと思います。

 

1)佐藤、生駒がともに指摘をするところ。

2)ある程度苦しめることはできたハイプレス

3)これが例の新しい形か?!

 

得点

山口          熊本

79分 河野       35分 石川

            56分 松岡

            75分 江崎

1)佐藤、生駒がともに指摘をするところ。

今節の試合後インタビューで佐藤謙介生駒仁チームの骨格の2人がこのような談話を残していました。

今季からの新加入選手たちとの意思疎通がもう少し良くなっていけば、良いチームになると思う。(佐藤)   引用元:【公式】山口vs熊本の監督コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年3月11日):Jリーグ.jp

守備の行き方で、行くところと行かないところのコミュニケーションをもっとピッチの中でやっていかないと2失点目のような失点になったり、ミスからの失点につながってしまいますので、後ろから自分たちが声を出してコミュニケーションを取らないといけないと感じています。(生駒)    引用元:第4節 ロアッソ熊本 | レノファ山口FC

ともに別のシーンを指してはいますが、まだもう少しチームとしての新戦力とのコミュニケーションなど成熟が足りていないことを指摘していました。

佐藤謙介についてはわかりやすい場面で言うと、6:55の佐藤から沼田に左サイド深くへのパスに沼田が感じれていなかったところ。同じような場面はいわき戦の後半にもありました。橋本健人ならいただろうな、というシーンでした。もちろんこのようなわかりやすいところ以外にもあることでしょう。何度か田中にもうちょっとで合うのにな、という場面も含めてあともう少し、という感がありました。

個人的にもっと修正点なのかなと思うのが生駒がいっていた守備のところ。2失点目というよりも1失点目について言えるのかなと思います。1失点目と22:10のシーンを挙げたいと思います。共通しているのは

・中に入ってきた竹本を捕まえる人間が指定できていなかった。

・生駒のキープレイヤーを捕まえる意識が裏目に出た。

まず22:10のシーン。まずこのシーンではレノファ陣の左サイドのエリア付近までボールを運ばれ、攻撃のやり直しで熊本RCB黒木までボールが戻ったところ。ここでまず注目したいのが熊本LSH14竹本の中に入ってくる動き。本来このバイタルエリアを埋めるダブルボランチの佐藤と矢島はそれぞれRWG島村・OH平川をマークするために左サイドに流れてしまっていました。そのためここがポッカリと空いた状態に。

ここを竹本が突いてきました。マーカーのレノファRWG11田中は竹本が中に入ったことを指示していたが誰も掴めていませんでした。そこに遅れてここをケアしたのが生駒でした。矢島も竹本を捕まえようとしたのか、平川のマークを外してしまい、竹本がフリック。平川は生駒があけたところへ侵入し決定機を作られてしまいました。

そして1失点目のシーンでは、まずRWG島村がRSH15三島からの縦パスをツータッチで17平川につけることを試みます。熊本大木監督語録のブラッシング(ワンタッチで前方の中の選手にパスを出してライン間で相手の背中を取るプレー)のようなプレーを狙っていました。この平川へのパスは通りませんでしたが、ここにいたのが再び竹本でした。

この場面でも佐藤謙介が左サイドの守備に加わっており、その位置へ竹本が侵入。やはり生駒はキーマンである平川へのボールが入ることをケアし飛び出してしまっており、竹本がフリー。松本は竹本と石川の1vs2の局面を作られてしまいました。松本はこの場面でドリブルで最短コースで行かれないような体の向きを作りました。もちろん背後の石川はほぼ見えてないと思います。戻ることができた前がオフサイドを取るような動きはしましたが判定はオンサイド。残念ながら得点が認められてしまいました。

 

このような形で熊本が明確にレノファが空けてしまうところ、ずれてしまうところを突いてきたことで失点をしてしまいました。このあたりは「五十嵐もう少しバイタルケアしろ」「田中そのままついていけ」「ボランチバイタルあけるな」など解決はできたかもしれません。まだまだこれから向上していければと思います。

2失点目について自分の考えを言うと、確かに松本の技術的なクリアミスではありましたが、あれを松本だけのせいにするのは酷と思います。まず、良い点として後述しますが、レノファは明らかにペースを上げて前半からハイプレスに行っていた。どこかで試合を落ち着ける時間が必要でした。

名塚監督のインタビューにある「ういうサッカーをする以上、それでもやっていくものですので、もっともっと(マイボールの)時間を増やすことが大事だと思っています。前半もそうですが、なるべくボールを握る時間を増やすことで消耗度が変わってくると思います。
熊本さんを相手でも奪ったあとの攻撃で、もう少しボールを握る時間を増やしたかったと思っています。」とあるように、熊本にゴールを脅かされていた時間であったので、解説の中島さんがおっしゃっていたように落ち着けたかった時間だったと考えます。そこでボールを受けた田中であったり、高木が消極的なバックパスを送ってしまい、熊本のプレスを継続して受けるような展開になってしまったと思います。そのように心理的にも熊本に飲まれてしまった中での失点。試合終盤のガス欠状態を見る限り、1失点目、2失点目ともにここ踏ん張ろう、流れ押し返そう!というところでの失点ということもあり、チームとしてペース配分、メンタルコントロールが難しかった試合だったかと思います。

ということでネガティブな話は終了。

2)ある程度苦しめることはできたハイプレス

名塚監督の試合後インタビューでこんな事を仰っていました。

熊本さんを相手に用意してきたプレッシャーなどの部分では、チャンスも作れていましたし、選手も前向きにやってくれていました。

この試合のレノファは熊本に対してハイプレスを行いました。1節2節はある程度ミドルゾーンで構える形、3節はいわきが蹴ってくるのでハイプレスをかけるような相手ではなく、今季初めてハイプレスの形を見せたかと思います。

解説の中島さんも言及されていたように、熊本DH8上村に対して五十嵐をつけるようにし、熊本のビルドアップを阻止するような形を取りました。25分くらいまでは五十嵐をメインにするも、4-4-2のような形でボールホルダーと限定したサイドのCBに対して五十嵐がプレスを掛け、そこに矢島や佐藤が上村についていました。25分すぎくらいからは五十嵐をよりしっかりと上村につけた感じかと思いました。

単純に形で嵌めにいくのではなく、相手のキーマンも抑えつつプレスを行うことで何度かチャンスも作れていました。下記は40:20のシーン。

熊本LCB相澤に田中、LSH竹本に矢島、OH平川に佐藤、DH上村に五十嵐がつき、皆川が外へ誘導するようにボールホルダーのCB江崎にプレス。江崎から竹本に出すも、もう一度江崎にもどり、出すところが少なくなった江崎がLWG松岡にパスをしたところで15前がカット。すかさず矢島、佐藤とつなぎ小林が熊本のDFラインの裏を狙うことができました。

取った瞬間にLSB沼田もすかさずスプリントをし、空いたレノファの左サイドを駆け上がっているように、この試合は嵌めてボールを奪ったあとにどのようにゴールへ迫るか、などチームで描けているように思えました。

この試合のファーストシュートの矢島のミドルの場面(2:50)についても、左サイドまでRWG田中が加わるように相手に対して、プレーエリアを圧縮した上でプレスを2度3度かけていました。ボールの出口であった17平川に対して沼田が付ききったことで、奪ったところでのシュートでした。また、28分もやはり五十嵐がチェイスをしたところで上村のパスがずれたところを矢島が回収。佐藤謙介がすぐに段差をつけるようにポジションを取り、小林へ繋げ、小林はそのままフィニッシュとボールを奪って10秒以内に相手のゴールを脅かしていました。
相手のミスからの小林の決定機含めてこのハイプレスをかけることについては、磐田戦でも一定の形は出ていましたので、ゴールという成功体験ができてくれば、今後レノファの得点パターンとして期待ができるかもしれません。同じようなことを昨年も書いて昨季はおそらく得点には繋げられていなかったと思うので、今季は1つ言わず、2つ3つと得点が奪えるといいかなと思います。

 

3)これが例の新しい形か?!

そしてここからは妄想タイム。好き勝手考えてたのしいやつです。はい。

名塚監督が開幕前から言っていた新しい形。第1節と第3節で実況の方から、「相手を押し込んだときに使う形らしい」という言及がされていました。

ただ、その形は出せていないとも名塚監督は仰っていました。シーズン前から新しい形と言っておきながら全く形が出せないのも解せないな、と。そんなところ見直していたときに、「あ、こういうのあまり見ないな」と思ったのが、前半44分。右サイド深い位置でスローインからの流れ。五十嵐から松本へ戻し、ボールは生駒へ。生駒から内側へ位置どった小林。ポストプレーに入った皆川へボールをつけて、皆川は相手の2列目の脇をとっていた矢島へボールを落とし、矢島はワンタッチで右サイドの前へ展開。前はワンタッチでグラウンダーのクロス。田中がスルーして五十嵐が決定機。残念ながら空振ってしまい、小林のシュートもDFのブロックに合いましたが、きれいに揺さぶった展開でした。

新しい形か?と考えた点として、今年の特徴でもある

『内に入るウイングと大外のサイドバックがあげられるかと思います。

第1節の大宮戦でも小林と吉岡の2人でゴールに迫るような形があったように、今季は昨季に比べてウイングが内(ハーフスペース)にポジションを取っています。吉岡が持ち、高橋がオーバーラップ。小林が持ち沼田がオーバーラップといった具合にウイングが必ずしも大外にいないことが今季はよく見るかと思います。

このシーンではまず小林が内(ハーフスペース)というよりも中(センター)にポジションを取り、ボールを生駒から受けました。皆川が同じく中でボールを受けることで相手のDFラインの意識を中へ。矢島がすかさず前へ展開したところも、RWG田中はペナルティエリア内にいました。もちろん中を締めている熊本のLSH竹本は前選手へは行けないで余裕を持って際どいクロスをあげることができ、エリア内にはLSB沼田も加わり5人がシュートを狙う位置にいました。

また、去年のレノファのCF事情がありましたが、この位置でCFがポストプレーをして相手の視線を中に集めておいて、外へ展開するという形はなかったかと思います。この辺を考えると、選手たちの即興で行ったといえばそうかもしれませんが、狙いを持っていたのではないか、と考えることもできるのかなと思います。

 

失点シーン、良かったところ、妄想と段落ごとに前向きに良かった探しをしてきましたが、負けるのは悔しいです。ただ、まだ4節ですしいいところを探してポジティブに行ければと思います。

次は金沢戦ですね。もう少し皆川にはシュートを打つ仕事をさせてあげたい、河野にはもっと得点を期待したい、などフォワードが点を取ってチームを乗せてくれればと思います。小林もそろそろゴールしてくれる気がします。この4試合ですでに決定機は4回は迎えてます。次こそは!ですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略