レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

課題は来季へ。 ロアッソ熊本vsレノファ山口 @えがお健康S 2023年11月12日

2023年シーズンが終わりました。

願った順位ではありませんでしたし、最終盤まで残留が確定できませんでしたが、まずは来年J2でも戦えることを安堵したいなと思います。

また振り返りについての記事は出そうと思うので、今回はこの試合に焦点を当てたいと思います。

 

試合自体は早々に先制したものの終わってみれば1−3の逆転負け。効率よく点を取った熊本と相変わらず決定力を欠いたレノファが出てしまいました。

では今季ラストのレビュー記事。僕のサボりタイムでだいぶ間が空いてしまいましたが、下記について考えていきたいと思います。

 

1)熊本に翻弄された最終ライン

2)五十嵐太陽に見る第1節との違い

3)良くも悪くも色々試行錯誤が続いた今季を象徴する後半

  

【得点者】

熊本         山口

8分   上村      6分 五十嵐

17分 伊東

83分 東山

1)熊本に翻弄された最終ライン

レノファは今節は前節同様に3−4−2-1の布陣。

攻撃の局面では簡単に蹴ることを選択せず繋ぐ。逆サイドが空いていればサイドチェンジも交えてゴールを迫ります。また守備の局面でもミドルゾーンで構えつつも、機を見てハイプレスをかけていくなど町田戦同様の姿勢を打ち出していきました。

対する熊本は3-3-1-3と称しましょうか、いつもの大木式の布陣を敷いてきました。

ポイントとしてはアライバルインタビューで大木監督が「レノファはハイラインを敷く。ただ、その前にアクションを起こしていきたい」(意訳)と仰っていました。

先制をしたものの、序盤レノファはこの熊本の動きに苦戦を強いられます。

まず狙われたのはハイライン裏ではありましたが、単純にボールを送り込むではなく、熊本は大木監督の言葉とおりまずハイラインの一つ前のところが焦点となっておりました。

まず熊本のワントップの10伊東は元々2列目(だったはず)の選手ということもあり、最前線で張るというよりも偽9番のように振る舞っていました。

トップ下の17平川同様にレノファのダブルボランチと最終ラインの間に位置どることで、人を強めに捕まえるレノファのセンターバッグを引き出す動きをします。

それに呼応するように両ウイングの島村・松岡もレノファのCB、WB、ボランチの間に立つようにし、レノファのCBが出てくるような位置を取ります。そして出てきたところで裏を使っていました。序盤いくつか狙ってオフサイドを取っていましたが、なかなか取れていなかったり、意図せずオフサイドになってくれる場面など危なっかしい場面が続いていました。

 

そしてこの状況に輪をかけて危険にしていたのが、レノファのハイプレス。

10分すぎから顕著になっていましたが、まずプレスを掛けても誰が誰に付くかがおそらくアドリブになっていたので、プレスに行ってもマーカーが被り気味になったり、ギャップを突かれてかわされるような状況がありました。

11:25ではレノファが熊本のDF3枚とボランチ8上村に対して、レノファは5人が行きますが、あっけなく24江崎から17平川へ通されてしまい、6vs5を作られてしまいます。

12:45はハイプレスをかけるもこの日LCBに入った生駒が熊本RWB阿部に付かざるを得なくなり、出ていくもかわされてしまい熊本の疑似カウンター発動。

失点のシーンもやはり島村→上村→平川とつなぎ、生駒がこの平川へ出てしまい、そこを島村がフリーで平川からボールを受けて、生駒が出てしまったところへ伊東へのスルーパスを出されてしまいました。

この3人の関わりで最初にパスを出した選手が3人目の動きで再びボールをうける動きに対してレノファは相変わらず弱くこの場面では島村を外し、その前に平川にも生駒がおびき出されてしまったため、裏を使われてしまいました。

このやられ方はシーズン通して修正ができなかったところであったと思います。

 

話を試合に戻して、このプレスを掛けては剥がされるというのは前半30分くらいまで続いていました。

・CBが前におびき出されるパターン

・前線がプレスを掛けているため、CBもボールの出処を抑えないといけないため、出ていったところをひっくり返されるパターン

と結局CBが割を食う展開。これを修正されたかなと感じたのが、31分。

レノファの右サイドから左サイドへボールが動き、成岡が熊本RCB2黒木へ出ていったときに、それまではRWB阿部や島村へ生駒が付きすぎてしまっていましたが、一旦生駒は3CBの距離感を保つように最終ラインへとどまりました。そして、やはり生駒同様に前へ付きすぎないように田中が構えていたので、田中が阿部を捕まえ、生駒は平川、島村は五十嵐がなんとか戻りながら捕まえることで解決。

だいぶ強引ではありましたが、後ろを多少落ち着かせたところで前線が多少アドリブっぽかった付き方を更に強度加えるような荒療治で試合の流れをレノファに戻していったように見えました。

 

2)五十嵐太陽に見る第1節との違い

そして話はレノファの攻撃の局面にしたいと思います。

この試合、レノファのビルドアップでキーになっていたのが五十嵐であったかと思います。

この試合試合開始から、熊本RCB黒木が五十嵐を捕まえるために割りと高い位置を取っていました。そして五十嵐はこれに対して多少低く構えて黒木が出てきたところを田中や梅木が使うシーンがあったり、五十嵐自身がここで受けて黒きを交わすことで前進をしていました。

熊本が徐々に低い位置を取った場合の五十嵐についてはRWG19島村につかせるなど微調整をしてきました。

しかし、ここで五十嵐が成長したな、というか反対サイドのシャドウの河野含めて変わったなと思ったのが、ここでふてぶてしくここでポジションの微調整を彼ら自身も加えて熊本のWGが付くのかサイドCBが付くのかを促していました。

思い起こせば第1節の五十嵐はどちらかというと、佐藤謙介と矢島のお膳立てから、あとは彼が一人のマーカーを外すだけというようなところで、川崎仕込のターンを見せて、1試合目から僕らは魅せてくれたと思います。

ただ、最終節はこのお膳立てがなくとも河野も五十嵐もこのポジションでCBやボランチ、この試合は特にWBからのボールを引き出すことで相手を動かして、サイドを変えるようにボールを動かすプレーが目立ちました。

第1節ではお膳立てから中央突破や、同サイドのWGを使うプレーが多かったかと思いますが、反対サイドまで見るというエスナイデルさん就任後から言われていることではありますが、ピッチを大きく使えるようになっていきました。

 

1項目でも触れましたが、序盤はハイプレスが交わされてしまいピンチの連続ではありましたが、最終ラインをあまり動かさず、前線もあまり闇雲にプレスを掛けずに構えつつも効率的に池上のプレスのスイッチを機にプレスをし始めることで流れを引き寄せていきました。

この守備の安定から流れがレノファになったのも、ほぼ殴り合いと言ってもいいような展開で攻撃局面自体は滞っていなかったことがあったと思います。

ちょうどゴール期待値も30分を境に横ばいになり、最終的にはレノファは逆転していました。(スコア自体はだめでしたが。。。) ホームでも同じ1−3での敗戦ではありましたが、少なくとも自分たちの色を出せていたのは間違いなく今節であったと思います。

それは五十嵐を主体として書きましたが、チームの成長があったように思えました。

 

五十嵐くんもフロンターレからのレンタル選手。来年の去就はわかりません。田中渉や寺門のようにレンタル2年目があることを願うばかりですが、少なくともレンタル選手でありましたが、2024年も契約を更新してくれた池上を差し置いて、最後までピッチに立ち続けていたことを考えると、エスナイデルさんがこの位置で五十嵐くんに期待をしていたのかなと思いますし、これ自体は彼の成長もあったかと思います。出場試合などのはなしはまた違うときにでも。

 

 

3)良くも悪くも色々試行錯誤が続いた今季を象徴する後半

そして後半。個人的にはやはり最後はいじりすぎかな、と感じました。4-3-3は封印してほしいというか。。。

今シーズンは監督人事もそうでしたが、その暫定監督も含めて3人の監督自体も戦い方だったり、フォーメーションなど試合を経るごとに変えていっていました。後半はまさにそのようなシーズンのレノファの迷走がピッチ内にも現れたように思います。

この試合レノファがボールを運べる道筋としてWBへ一度当ててから、シャドウやボランチがボールを引き取って逆サイドに展開することなどがあったと思います。

しかし、62分の交代で4-3-3にし、前線の野寄や替わって入った高橋のファイナルサードでの突破を期待したのかなと思いましたが、まずここまでボールが運べない。

CBからSBへボールが出ても、そこから中盤の3人へ出るにしても、ここは熊本がすでに全員掴え済み。ボールの逃しどころに人数が合ってしまったこともあり、熊本としては守りやすい展開に。ボールを運べたところもほぼ梅木や2列めのマンパワーでどうにかしたような形で、前半とは様相が違いました。

なかなかスコアが動かせずにいたところで78分に4-4-2へ変更。ツートップへ。ただ変更後の数分後にミスから追加点を奪われ試合が決まってしまいました。

この根底にあるのは良くも悪くも試行錯誤が続いた結果であったと思います。

悪く言えば、シーズンを通して戦い方が定まらなかった。

良く言えば、なんとか応急処置で繋いできた結果。

ここについてはこの記事では深く触れませんが、やはり定まらなかった結果がゴール期待値を活かせなかった。決定力が上がらずシーズンが終わってしまったということに繋がったのかなと考えています。

この状況についてはエスナイデルさんがよく言ってましたが、「決定力で試合がきまった」といいた旨のやつですね。おそらくある程度ここまでは監督として自分は持ってきた。あとは選手、お前らだぞ、という気持ちもあったように思えます。

でも勝てなかった。勝ち点3が積めなかった。

じゃあ何を解決して来季につなげていくの?守備ですか?もっと期待値を上げることを目指すのか?はたまた決定力を個に頼るの?

この答えがエスナイデルさんにはなかったために契約満了出会ったのかなと思います。

そしてレノファのこれについての回答はシーズンオフに判明すると思いますが、「色々やれたこと」「やったけど通用しなかったこと」があぶり出された最終節であったかと思います。

 

町田戦の前半はこの姿をシーズン序盤から見せてほしかった、と思いましたが、この2戦で同じように戦いながらも複数失点をしての敗戦を見せられてしまうと、「結果は対して変わっていなかったかもしれん。。。」と思わざるを得ないのは事実です。結局負けは変わりませんでした。来年につながる勝ちはどこに行きましたか?色々意見も出てくるかと思います。

ただ、それでも今シーズンの終わり方は・・・

 

<今年は過渡期>

2024年のユニフォームのコンセプトが「レノベーション」とのこと。「renofa」+「renovation」をあわせた言葉とのことで、「renovation」(=改修、修繕、革新、刷新)、チームであったりクラブであったりをそうしていくという意思や意図があるのかなと僕は受け取りました。

まだ来シーズンについてはJ1、J3のレギュラーシーズンが終わっていないので、本格的に動くのはらいげつかもしれませんが、そのときにどのような姿を見せてくれているのかを楽しみにしたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今季の振り返りまでお付きあいただけると幸いでございます。

とりあえずレギュラーシーズンお疲れ様でした!!

(※文中敬称略)