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レノファ山口を応援・分析します。

流れをもう一度自分たちに! ファジアーノ岡山vsレノファ山口@シティライトS 2022年8月13日

7試合勝ちなしとなかなか厳しい試合が続いています。

菊地の試合後インタビューでの「最近の試合では距離感は良くできていると思います」とあるようにフォーメーション変更後より確かに上向いているとは思いますが、なかなか結果が出ません。7月以降の試合の7得点のうちセットプレーで5点。なかなか得点自体もですが、流れでの得点が取れていないのが現状です。

今節の岡山戦も追いつくまでは良かったと思いますが、そこからひっくり返す。それができなくても勝ち点1をもぎ取る。ここまでの馬力がまだ出せない。山形戦と似ているな〜と感じたこの試合、下記について考えてみたいと思います。

(※PKのシーンには特に言及しません。PKを取る審判なら取られるかなと個人的に感じたので)

1)与えてもらった山口ペース

2)奪い返したかった山口ペース。

3)色々用意していた?セットプレー。

得点者

岡山         山口

9分  チアゴ     26分 高井

22分  バイス     45分+3 菊地

65分  柳

 

多少、煽ったようなキャッチを書いてしまっていますが、山形戦と似ているなと思った理由の一つとして前半からペースを握ることができていました。小気味よくパスを回しサイドからの攻撃。その要因の一つとして対戦相手のFWの守備が挙げられると思います。

前節の山形は山田康の位置が定まっておらず、ファーストラインのプレスが曖昧だったことや、それに伴い山形のセカンドラインがファーストラインとの距離を詰めれていなかったことを挙げました。

今節の岡山についても前半は早々に岡山が先制をしたこともあってか、チアゴ、デュークの両FWのファーストプレスが甘く、LWB桑原をビルドアップの逃げ道にすることや、佐藤謙もしくは前へのコースもあまり締められておらず、ミドルゾーンへの前進が可能でした。また、ミドルゾーンでもプレスバックに来るシーンがあまり多くなく、やはりダブルボランチが余裕をもってボールを触ることや、岡山に跳ね返されたクリアボールについてもレノファとしてはセカンドボールをひろうことができ、相手陣内でサッカーをする時間が序盤から続きました。

試合途中で相手陣内でのパス数が岡山4に対して、山口が50を超えていたことがこの試合の前半を表していたかと思います。

そして今節のレノファのトピックスとして前選手の復帰がありました。今季の松本山雅ではRWBで使われていたようでしたが、今節の出場はボランチ。とても効いていたと思います。栃木戦の後半から使われているこのフォーメーション。前は時に佐藤謙の衛星のようにパスコースを作ったり、自分が動いてどのあたりにいれば味方が空くかな?といったような周りを活かすプレーをしていたと思います。

個人的に好きだったシーンが15:30からのシーン。左サイドでクリアボールを拾い、渡部→高井→佐藤謙→前→兒玉といったようにつないでいき右サイドへ展開したシーン。

まず15:35兒玉がボールを保持し一旦落ち着かせたところ。前は岡山LSB41徳元を見つつ右サイドへポジションを取っていきます。そして左手で沼田へインサイドにいることをさり気なく指示。徳元と河井の中間ポジションをとります。兒玉から高橋へボールが渡り、河井が高橋へ行く代わりに、佐野が前へのコースを代わりに背中で消します。が、2人が前につくことで佐藤謙への道が空きます。岡山としては本来ならもっとチアゴが消すべきコースであったかもしれませんが、高橋から佐藤へのパスが通ります。佐藤が前を向けば、沼田が前に指示をされたとおり、徳元とバイスの間に位置どっており、ボックス内へ入りクロスを上げるシーンを作れました。このシーンは岡山の最終ラインが下がったところに、梅木があえて遅れて入ることでペナルティマークのところでフリーになっていた場面でしたので、沼田にはここを見ててほしかったです。

ただ、それで終わらずこのクリアボールを再度レノファは拾い、前がニアゾーンへの走り込み。梅木がニアで潰れたところ後ろから高井が入ってくるところを見ており、この試合流れの中では一番惜しいシーンを演出しました。これは岡山の河野を褒めるべきだったかと思います。

1点目のPK獲得前もセカンドボールを拾い、叩いて、もう一度受けて、大外の兒玉へのクロス。また、36分のシーンなどはさり気なくスローインからの流れで高井へのボールを戻し、箱の位置に入った沼田→裏を取った桑原といった展開にも寄与。結局オフサイドにはなりましたが、ネットを揺らすところにも絡んでいました。

このように田中渉とは違った持ち味を発揮しており、田中渉がもしかしたら一列前に上ることもありえるのかなと思う出来でした。

前半終了間際、急に焦ったかのようにプレスバックをしたデュークのファウルからのFKで同点に。レノファとしては2つのPKで失点はしましたが、岡山の守備がなかなかうまくいっていない状況を突いての得点になったと思います。そのため、これは後半流れがレノファに!と思いましたが、そうはならなかった後半でした。

 

2)

後半岡山の前線2人の守備意識が改善され、まずビルドアップのところでコースの限定がされます。中切で外誘導へ。そうすることで活きてきてしまったのが、この試合理解ができないレベルで走り回っていた岡山RSH田中。桑原へのコースを潰し、前節に比べてキックの精度が落ちていたGK31寺門は後半開始よりロングキックを選択することが増えます。また、48:55ではあわや失点というミスキックもでてしまいます。

この蹴らされてしまう、つい相手のプレスに対して蹴ってしまう、というところがこれまた山形戦に似ているな、と思ったところであり、結局良い時間帯はあれど結局敗戦してしまうことに繋がってしまったと感じます。

J2 第31節 岡山 vs 山口 時間帯別パスネットワーク図 | SPORTERIA

※sporteriaさんより引用させていただいております。

このように前半に比べてFWの位置が後半は遠く矢印も減っている状態でした。

この岡山が盛り返した状況に拍車をかけたのが後半16分の選手交代。仙波の登場です。システムを5−3−2へ変更。右の田中という槍の他に左にも仙波という槍が加わります。チアゴと永井でコースを切っただけなら面食らうことはなかったと思いますが、この2人がFWを追い越して2度追いをするボランチをケアするなど守備範囲の広さを見せます。71分などは前が最終ラインへ落ちて、CB2人をFWの2人が監視。佐藤謙がその間に入りボールを受けたと思った途端、自分の守備位置を放棄して仙波がプレス。佐藤→渡部→高橋とつながれば、レノファのチャンスになるところだったと思いますが、仙波の思い切りの良さが上回り、オフサイドとなり助かりましたが、あわやショートカウンターから失点という場面。このようなシーンを後半は数回作られてしまっていました。この選手交代でブーストがかかる相手、かからなかったレノファという構図も前節の山形戦と似ているとも思いました。

 

ただ、だからといってペースを奪われっぱなしになって良いわけはなく、もう少しやりようはなかったのか、と思います。

この試合、レノファがチャンスを作れていた形として複数人が関わり、ショートパスを繋いでサイドを攻略した事にあったと思います。

sporteria.jp

再びsporteriaさんよりお借りしました。ゴール期待値。両軍ぐっと上がっているところがPKのシーンです。0.8点換算。なのでPKを抜くとゴール期待値は0.82点対1.41となります。前半だけに区切ると約0.4対0.95くらいでしょうか。ただ、後半でいうと0.42対0.46くらいと前半に比べ数値は半分ほどに。そのうち0.1を稼いでいるのはCKからの梅木と試合終了間際の菊地の分かなと。そう思うと後半いかに前半のような形を作れていなかったか、というのを感じられるかと思います。

例として76分のシーン。

前がやはり最終ラインへ落ちて、後ろを3枚でまわしています。38永井に対して前、渡部で回し数的優位でボールを保持。この間に佐藤謙が岡山の5−3−2の「3」の脇に位置取ります。この岡山のやり方であればここの位置は空きやすくなるのでここまでは良いと思います。が、ここから9岸田へのロングパス。結果として岸田が粘りコーナーキックを取ります。そのコーナーもゴールラインを割ってしまってましたが、高木ニアそらしを無警戒だったのでチャンスになりかけていました。しかし、ここでこの選択ではなく、岡山CH26本山の位置に16吉岡18高木が入り数的優位の場所。本山は高木に引っ張られていたため、吉岡はフリー。画面で足しか映ってませんが、おそらく吉岡が前を向いたら高井がバイタルエリアでフリーで待ちかえまえていたと思います。

同じように80:50くらいでもやはり高橋→佐藤→高木への裏へのボール。ここも吉岡はフリー。確かにその吉岡につくために22佐野が前に出てきており、高木へのコースはできておりましたが、徳元がしっかりとケア。ショートパスを使い、時折裏を使うなら効果が出るかと思いますが、試合終盤この裏へのボールが殆どとなり、相手も予測はしやすくなっていたと思います。

そのため86分のところのように渡部→中間ポジションに入った高木→吉岡→高橋→佐藤→桑原のような変化がもっと先の時間にほしかったなと思います。また簡単に87分のように前→高井のように岡山の「3」の間に立つなどももっと出せても良かったなと。たらればたられば・・・。自分たちの時間をもう一度引き戻せなければ勝ち点は見えてこない。そんな終盤になってしまいました。

 

3)

この項ではちらっと2点目のゴールシーンについて。再開前に菊地、佐藤、高井で話し込むシーンが。見事にその菊地が決めてくれました。あまりにうまくいっていたので何がそれまでにあったのかなと見直しておりました。

結局確信も持てなかったのですが、気づいたことをちょろっと。このFKの場面までにレノファがCKやFKでクロスをあげたシーンが6個ありました。そのうちコーナーキックが4本。フリーキックが2本。

前段としてフリーキック時には岡山はバイスをファーから2番目の位置に置き、ラインを作って守備をします。コーナーキックではやはりバイスは中でファーから2番目。コーナキックでは27河井が渡部に、26本山が菊地にマンマーク

1分のFK、4分のCKなど菊地が大きな動きでニアに走りこむシーンが続きます。間の3分のCKでは梅木と渡部をスクリーンにし、CKにあわせるシーンもありました。12分のショートコーナーは相手も動かなければ、自分たちも動けずというもったいないもの。

39分のFKは高井が相変わらずオフサイド位置でウロウロし、菊地はペナルティアークあたりでウロウロ。左手で左の頬を触ったことがサインか、ニアに走りそこへ佐藤謙がグラウンダーのボール。本来ならもう少し高井がゾーンの一番前の佐野をスクリーンして留めることが念頭にあったのかもしれませんが、意表をつくプレー。

といった具合にこの試合菊地がトリガーとなったセットプレーが続いていました。そして47分のフリーキック。ここではゴール位置が近く、初めて岡山が壁を作っての対応。デュークや柳など身長の高い選手が壁に入ります。中の人員はバイスはいるものの、田中や河井など160cm代の選手が多くなります。そしてインサイドから佐野・田中・本山・バイス・河井の順でラインをつくります。

佐藤が蹴る瞬間、まず梅木がバイスを触りそのままラインを下げさせます。そしてバイスのあたりにいた渡部が彼の前の本山の目の前に入りこみます。そしてタイミングをずらして菊地がそこに入ります。14佐藤162cm、26本山171cmのところに、渡部186cm・菊地182cmが入り込み、ドンピシャのボールが来れば制空権はレノファに軍配。この本山はCK時に菊地のマーカーでした。ある程度外すことなどもできそうであることを蹴る前に伝えていたのか、試合後インタビューで言っていたように「蹴る前に(佐藤)謙介にどこのポイントに蹴るのかを確認しに行って、あのようなボールを蹴ると伝えられたので、信じて入って行った結果、良いボールが来ました。」となったのかなと思います。

 

さて、最後に高橋くん!寺門と共に今節はちょっと乗れなかった試合となってしまったかなと思います。仙台戦同様チャンスで枠に飛ばせないシーンがあったほか、LSH佐野にボールを奪われる、運ばれると難しい対応を迫れれていました。また、2失点目は高橋くんがしっかり繋いでいればあのカウンターはなかったかなと思います。ただ、この試合でも運動量は落ちませんでしたし、この試合は糧にまた活躍してほしいです。

 

twitterでも挙げましたが、昨年渡邉前監督が解任された31試合が終わり、勝ち点や失点が同じこと。下位との対戦が残っていることなど、名塚監督としても2年連続同様の踏ん張りどころを迎えていると思います。

次は維新スタジアムですし、もう一度「維新は勝つ場所!」を思い出し勝ち点3を掴んでもらいたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略