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もう何度目?今シーズンの最低限&次大事!!ジュビロ磐田vsレノファ山口@ヤマハS 2023年9月16日

前半の飲水タイムまでに2失点を喰らう試合が続き、布陣も変わるなど迷走気味にも思えてきたこの数試合。

今節も何とか変えようという思いからかまたフォーメーションをいじってきました。前の2試合とは違い、勝ち点1とはいえ、上位のいる磐田からアウェイで無失点で引き分けたことは良かったと思いました。

では、今節の修正点を中心にこの試合を追っていこうと思います。

 

1)結局今年もたどり着いた3-4-2-1

2)シュートを打てたと打てなかったの壁

【得点者】

磐田        山口

なし        なし

 

1)結局今年もたどり着いた3-4-2-1

今節はパッとみ5‐3‐2の形に戻したかなと思いましたが、試合開始から成岡は佐藤謙介の横、河野もいつもより低くサイドにも顔を出しており、3-4-2-1を採用したことが判明。エスナイデル監督いじるの好きですね~。

さて、磐田の狙いや試合の状況を端的に説明してくれていたのが、14松本のコメント。いくつか拾っていきたいと思います。まずレノファの守備局面のところからです。

--試合の入りが非常に良かった。意識したことは?
相手がどう守備してくるかというところで前から来ていたので、まずは背後を意識した。そこからセカンドボールを拾って押し込んで、相手が3人目の動きについてくるのが苦手というのがあったので、そういう動きは意識してプレーしていました。

(引用元:【公式】磐田vs山口の選手コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年9月16日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

とあるように、ハイプレスを仕掛ける山口に対して磐田の狙いはその裏。

レノファ3-4-2-1ではめ込むために、前線の梅木がボールを保持したCBへ横を切りながらプレス。磐田CBにはWBがジャンプし、磐田のダブルボランチにはシャドウが付きます。磐田のSHが下がればレノファの両サイドのCBがついていき、トップ下の藤川にはダブルボランチのどちらかが付くなど嵌めに行こうとしていました。

 

前回ホームで対戦した際は磐田のダブルボランチは遠藤・針谷のセットが起用されており、今節とは人員やコンセプトが違っておりました。第2節時ではある程度保持率を高くする印象でしたが、現在はどちからという運動量やインテンシティなどを求められている印象です。

そのためか磐田の攻撃は割と2つに分類されていたかなと思います。

・ダイレクトに前線へ長いボール。共有元はGK三浦やRCB伊藤

・SHやSBを使い、ジャーメインを交えてコンビネーションでサイドの攻略

この磐田に対してレノファは今節ボムヨンをCBの真ん中にし、右に前、左にヘナンを配置し、ダブルボランチを置く形を採用しました。

ここ最近ブログでも書かせてもらっていましたが、気になるところは裏を取られているところ。その関係もあってか、CBのヘナンとボムヨンを変えた意図があったのかもしれません。

また、今節のレノファは印象論でしかないのですが割とWBも含めて最終ラインは割と中を締めていたように思います。そのためどんな状況が起きていたかを考えていきます。

マッチアップとしてまずボムヨンとジャーメインのところ。長崎のファンマほどではないですがボールをおさめられるジャーメインに対して、空中戦は多少不得手なボムヨンのマッチアップ。結果としては割と劣勢。良くも悪くも積極的にボールへチャレンジしがちなボムヨンがジャーメインへのパスに対して前に出れなかったこともあったりとボールを納められてしまいます。

磐田の狙いとして一度ここに預けることでサイドのRSH松本であったり、LSH古川に振ること。ジャーメインを経由することで彼らがしっかりしたポジションを取れる上に、裏へ抜けるにしてもオフサイドにならないようなタイミングも取ることができます。

単純に裏を狙ってくれる際はオフサイドになるシーンもありましたが、ワンクッションを入れられてしまうことで、ハイラインの裏を取られてしまう場面がありました。

そしてこのジャーメインへ充てるために悪さをしていたのがOH藤川。ビルドアップ時に磐田のダブルボランチがある程度落ちることでレノファのシャドウとボランチの間に多少空間を空けておき、ボールホルダーとタイミングを合わせて、マークを外しこの空間を使ってフリックしてジャーメインに届けるなど(33分のような形)していました。

 

失敗例をいくつか。序盤の7分。ネガティブトランジションLWB田中がGK三浦までチェイスをしたところで、後ろが全く連動しておらずGK三浦からRSB鈴木へ簡単につながれて、上原⇒ジャーメインの裏抜けのように、最近の悪癖の準備不足で簡単に裏を取られたシーン。

38:50のドゥドゥと池上の競り合いから、ドゥドゥ⇒藤川フリックしてジャーメイン⇒ドゥドゥ裏抜けとヴェルディ戦で散見された3人目の動きや2つ前にボールを持っていた選手を放してしまっていたシーン。

また、7分のところに近いのですが、ラインをあげることや中を締めることを意識していたからなのか、31分や43分のように磐田のGKや伊藤から割とフリーのSHへロングボールを簡単に渡されてしまうところがありました。

多少松本の言葉にだいぶ寄せて抜粋したところはありますが、これらが磐田の狙いを出させてしまっていたところかなと思います。

ただ、この試合目立っていたのがしっかりと裏抜けをされてもそのあとにエリア内に人を置けていたことがあったと思います。

相変わらず関の再三の好守が見られたこの試合ですが、この試合で目立っていたのはクロス対応のところでした。

ゴール期待値で残念ながら大きく差をあけられてしまっていますが、ほぼブロックかシュートが外れており、関がシュートを防ぐというシーンは試合を通して少なかったです。

関のクロス対応について触れましたが、中を締めていたこともあり、クロスをあげられてもまだ中で体を張れる選手がおり、磐田に幅を使われつつも、エリア内では決定的な仕事をさせない守備ができていたのではないかと思います。ゴール期待値で線が上がっているところもセットプレーで満足にジャンプさせず、体を寄せることでシュートをはずさせたところも数度ありました。

また、例えば38:30のように藤川がサイドに流れていた場面(松本の奥)でも、ダブルボランチの一角の成岡がこの裏抜けをケアできるのはよかったと思います。ダブルボランチなのでもうひとりの佐藤謙介もまだアンカーポジションにいることができ、中を下手に空けることがないようにしていました。

 

では今度は攻撃の局面。もう一度松本のコメントを引用します。

(山口が)アンカー1枚で予想していたが、ダブルボランチだったので、ちょっと行きづらい部分はありましたが、立ち上がりは前からハメていこうという意識でやりました。そこから行けない時間も出てきましたけれど、それはそれでチームとしての共通意識があれば問題なかったし、そこでバラバラにならずにみんなでブロックを作るところに合わせられていたと思います。ただ、それだけになるとキツいので、行けるタイミングではハメていって、大外を捨ててという意識がもっとあれば、前半ももう少し奪いにいけたとは思います。

磐田は非保持時でも4-2-3-1の形は崩さず。ジャーメインを頂点にSHを両CBとWBに充てて、藤川をアンカー版に・・・というのは5‐3▼‐2の形だった想定。今節はダブルボランチにすることでまず何が起こっていたか。

序盤は磐田の圧力に押されてしまい、佐藤謙介が最終ラインに落ちて後ろ4枚、アンカー成岡のような形になってしまっていましたが、徐々に改善へ。キーになっていたのは成岡。

成岡が藤川の脇でボールを受け、ここで簡単にボールを裁かずにキープをすることで磐田が動くのを待ちます。その動いたのを見て下げてやり直す、持ち運ぶことで磐田を揺さぶります。

すると、15分のところでボムヨンが最終ラインに落ちている佐藤謙介に対して1列上げるようにジェスチャーを送ります。これで藤川のところにダブルボランチで数的優位に。また磐田のダブルボランチとレノファのシャドウを含めても、中盤で数的優位を作ることができました。

25:50のように成岡が落ちてボールを受けて持ち運ぶところでは、藤川が佐藤謙介へのコースを切りつつプレスを掛けますが、シャドウが気になる磐田のダブルボランチ含めて、これが緩いと見るや成岡は一気にドリブルでファイナルサードを伺うようなシーンがありました。この辺りが松本の言う「ダブルボランチだったので、ちょっと行きづらい部分」に当てはまってくるのかなと思います。

 

ただ、ここから冷静だったのが磐田。松本が言うようにしっかりブロックを組んで守備をしていました。

この辺りは佐藤謙介が試合後コメントにて

我慢できずに打ち込んでいる場面もありましたので、本当に冷静にゲームを見て、相手を見て、チャンスをうかがっていければもっと良かったのかなと思います。(引用元:第35節 ジュビロ磐田 | レノファ山口FC

と残しているように、このブロックを組んだ状態に対して、攻め急ぐところが確かにあったかもしれません。

例えば25分のところでCF梅木が落ちてボールを保持。梅木の位置に成岡が入ります。梅木はこの成岡に対して楔のボールを入れますが、待ち構えるのはリカルドグラッサ。

この場面では、梅木の左に佐藤謙介が構えており割と彼はフリー。相手のブロックに対して積極的に前につけることは必要かもしれませんが、佐藤謙介がいうようにもう少し周りを見れるとよかったかもしれません。

前半は序盤こそ押し込まれましたが、後ろでつなげるようになってからは幅を使いながら磐田を動かすことで、相手陣でスペースを作りつつアタッキングサードまで侵入できるようになっていました。

人基準で付いてくる相手、金沢などにもこのように落ち着いて回すことは効いてくると思いますので、上位のチームに対して押し返すことができたのは自信としてよいのかなと思います。

 

2)シュートを打てたと打てなかったの壁

そして後半。

前半のところでもう一つ磐田を動かし切れていなかったなと思ったのが、梅木のところ。ワントップのため相手のCB二人と対峙をしないといけなく、体を張るのは厳しい状況を強いられますし、マークもなかなかはずせない状況が続いてました。

ただ、意欲的に何度もポストプレーだったり、裏抜けを狙っていたなと思いました。

そこで、繰り出したのが後半はじめの決定機だったと思います。

 

--後半の最初にあったチャンスシーンについて。
ハーフタイムに選手同士で話していたプレーができたので、そこで決め切るところもそうでしたが、チームとしての狙いが出せていたのは良かったこと。そこをゴールにつなげる部分は僕自身も、チームとしてもつなげられれば、自然と勝点も積み上がってくると思うので、もっと突き詰めていきたい。

と池上が残しています。

前半、梅木は田中からの斜めに差し込んだボールであったり、シャドウの2人からのボールで裏抜けやポストプレーをするシーンがありました。

ただ、割と梅木がすでに相手を背負っていたり、梅木にわたった時点でツートップでないこともあり相手を背負った状態で単独で前を向かないといけないようなシーンが多かったです。ただ、この後半の決定機では梅木の動きを起点にしたプレーではなく、起点になったのが池上。

ヘナンがボールを保持したところで、おそらく池上がRCB伊藤、RSB鈴木、RCH上原の中間ポジションへ移動。伊藤の気を池上に向かせたところで梅木が伊藤の裏へスタート。ヘナンから注文通りのロングボールが届けられました。

欲を言えばここで仕留めてほしかったですし、せめて枠へ。

 

後半から磐田がダブルボランチの位置をあげ、レノファへのプレスを強め佐藤、成岡への時間を奪うようにしていきました。

後半の構図はプレスラインを上げた磐田に対してレノファは主に長いボールを駆使し磐田を動かすという流れが続きました。

60分、67分には佐藤⇒梅木への一発狙いがあれば、70分はその梅木へのボールと見せかけて交代で入っていた野寄がその裏を狙っていたりと、80分のようなカウンターも繰り出していき、防戦一方にはならないように押し返すことができていました。

ボムヨンも水を得た魚のように右足、左足とサイドチェンジにロングボールを散らしていき、監督の起用に応えていました。

86分もセカンドボールを拾った野寄⇒皆川のポストプレーでファウルをもらうという場面もありましたが、佐藤謙介の言葉をもう一度借りれば、その隣で佐藤と五十嵐はフリーだったのでここを一度経由することも手段だったかと思います。

しかしながら難しい上位とのアウェイゲームであったものの、勇敢にたたかったレノファ。ただ上記に挙げたゴール期待値には大きな差が。シュート数についても倍の数字を磐田は打っていました。(枠内はJリーグ公式は磐田10本ですが、スポナビは2本だったので、8本弱はブロックしていたのかもしれないですね。)

攻撃回数自体は磐田のほうが上だったと思いますが、ただその回数がシュート数と比例していたかというと、、、正直レノファの攻撃時に、そこはシュート打てよ!って思うシーンもあまりなかったように思えますので、やはり単純にシュートシーンまで持っていける上位チームとの力の差がここで出てしまっていたのかなと思います。伸び代ですね。

 

もちろん、後半も前節に出せなかったところがいくつかありました。それはしっかり最後までさぼらない、気を抜かないところ。

69分には多少無謀かなと思いましたが、ハイプレスを敢行。なんかギリギリ後ろもついてきている、、、あ~サイド変えられた…というところも根性で吉岡らがここまで詰めきりマイボールに。

95分の被カウンターのところでもいつぞやのジョギングで戻ることなく全員が全力疾走。五十嵐が15mくらい後ろでしたが、後藤へまずくらいつき、ヘナンがサイドの選手へつきます。五十嵐はここでも足を止めることなく、ボムヨンとヘナンの間のスペースを埋めニアサイドを切りました。そしてその動きを見た成岡がマイナスのボールに備えるようにステップを踏みなおしており、ここも切り抜け最終的には最後河野のボレーシュートまで試合をやり切りました。

ふわっとしてる。走ってない。などどこか「次が大事!」といった試合でこういうネガティブなところを露呈してしまっていましたが、この試合では最後まで泥臭く冷静に戦ってくれていたように思えます。

3連敗でまた上位の群馬をホームに迎えるのではなく、0点で抑えて勝ち点1でホームに戻るのでは全然気持ちも変わってくると思います。

個人的には今シーズンの「最低限の試合」という言葉はもう3回くらい使ってましたが、佐藤謙介

今日ぐらいのアグレッシブさを最低限のところとして保ちながら、やはり得点を取るところ、ゲームを決めきるところをもっともっとこだわらないといけないです。そこで点が取れるようになってくれば、ゲームとしても楽になると思いますので、もっとこだわってやっていきたいです。

と口にすれば、

池上も同じように

この最低限の試合をしたあとの試合は常に意識しなければいけないと思っています。前回の(J2第32節・)甲府戦もそうでしたけれど、勝った次の試合は最悪の試合でしたし、良い試合をしたあとに継続できなければ、勝点を積み重ねていくことはできない。もう一度練習からチームとして気を引き締めて、一つひとつのプレーにこだわってプレーしていければ、次の試合も良い入りだったり、求めている結果がついてくると思うので、そこは常に意識してやっていきたいと思います。

と述べていました。

もう次こそは信じていいよね??(笑)

僕らは選手・スタッフを信じて、勝ち点3を期待するだけですね。

レノファニスタで広大が「走れば良いんです」と精神論といった言葉をまじえて話していましたが、どこかレノファの戦いに磐田戦で見せたような、戦う姿勢であったり、まずここはしっかりやろうよ、といったものを感じていたのかもしれません。もともとレノファは運動量が多いチームでもないので、どこかこういうところがフワ付いていたかもしれませんが、「もう一度信じるぞ!」と思えた試合であったことは間違いないんじゃないかなと思います。

さあ、ホーム2連戦+大宮戦。どんな結末になるか。『レノファ山口』今シーズンの天王山です。期待しております。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略