レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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対策されてきた?3-4-2-1 大宮アルディージャvsレノファ山口@Nack5S 2023年10月7日

4度目の6ポイントマッチ。3度目の敗戦。1勝3敗ですか。勝負弱さが目立ってしまいますね。

金沢戦同様にお互い負けは許されない状況で、レノファの選手たちに慢心があったとは思いませんが、やはり大宮のほうが試合への準備含めて上回られたかなと思います。

今節についてはレノファの戦い方に対して大宮が用意してきたものについて回答を見つけられないまま90分が経ってしまった印象です。選手動向というよりもチームの単位で負けてしまったように思えます。

ただ、先に言っておきたいのはまだレノファが20位であり、勝ち点6の差が大宮とはついていること。そして19位栃木は勝ち点同じく42であり、特別大宮とだけ競っているわけではないこと。

まだまだ残り4節しっかり戦い抜くだけです。

まあ、負けゲームそんなに振り返りたくない!ってのもあるかと思いますので、さっさといきましょう。

【得点者】

大宮          山口
15分 室井       88分 矢島

56分 アンジェロッティ

 

大宮アルディージャ

・前々節から4-4-2を採用。アウェイで2連勝と波に乗ってホームへ凱旋

・出場停止明けのカイケはベンチで前節からスタメンは変えず

 

レノファ山口

同じくジュビロ戦から敷いている3-4-2-1を継続。ホームで2連勝。アウェイへ乗り込む。

・出場停止の池上の代わりは矢島ではなく五十嵐

 

前半

・金沢戦同様に狙われるWB裏と幅⇒奥行きで回避されるプレス

・見えなかったどこを狙うのか?動かすのか?

 

後半

・選手間をもう少しコンパクトにして、レイオフでライン間を突破する大宮

・この力負けをどう活かすか

 

 

・金沢戦同様に狙われるWB裏と幅⇒奥行きで回避されるプレス

アライバルインタビューで大宮の原崎監督が、レノファについて強度が高く勢いがあるチームと称した上で、<圧力を受けない。反対に圧力をかけられるか>をポイントとして挙げていらっしゃいました。前半からいかにレノファにサッカーをさせないか、をプランとして臨まれていることがうかがえました。

攻撃に関しては、山口のプレッシングがどの試合を見ても前半からかなり早いので、その背後をどう狙うかというところ

まず試合の開始のところから大宮の狙いが見えました、

開始2分、レノファのミスから左サイドでボールを失ったところで。ボールを保持した大宮RSH32高柳に成岡が付きました。そして、そこにプレスバックで田中も挟むようにしましたが、ここで田中が戻るはずの左サイドの裏をRSB3岡庭が突きました。

この場面ヘナンがスライドして大外をケアするのではなく中を締めるように動きました。二人で囲むも高柳から駆け上がった岡庭にボールが渡ってしまい、このまま独走からエリア内でシュートまで持っていかれました。

また8分も右サイドで吉岡が出て行きチェイスをするものの、その裏を33室井、LSB25袴田が狙っており、結果的に袴田にこのRWBの裏を突かれます。

金沢戦の後半もそうでしたが、WBを引き出しておいてその裏を突くことは明確に狙われており、14分の1失点目についても田中のバスミスから同じようにWB裏を突かれたものでした。ただ、また中盤の面々はジョギングして戻ってましたね。なぜそこの強度を落とす。。。

 

このシーンは岡庭自身が2分のプレーが呼び水になったのでは、という言葉を残してましたが、

運ばれたところもヘナンはまずリトリートを選び、中盤は上述したように戻るのが遅れ、15前はそのためペナルティスポットあたりのスペースが気になったのか室井を外してしまいました。そして吉岡が割を食ってしまいました。

レノファはWB裏を突かれたところで、CBがスライドするのではなくそのまま中を締めて戻り、エリア内で対応することを選んでいますが、元来クロス対応はかなり苦手な部類。今回のように戻りが甘くなってしまえばそれぞれの判断が鈍り、失点を喫してしまいます。

 

もう一つ気になる点として、ボール保持者に対してもファーストディフェンスの強度が鈍っていたこと&発揮ができなかったこと。

失点シーンについてファーストディフェンスを決められずズルズル下がってしまい失点をしてしまいました。

ただ、この試合多くの場面で見られたのが、プレスをかけようにもはまらなかった場面だったと思います。

まず大宮がボール保持をしたところでまず下げる。そして逆サイドへふることで山口のプレスの距離を伸ばしていきます。そうすることで山口にスライドを促し、特にツートップのアンジェロッティ、室井が降りる動きをするなどし中間ポジションでボールを受けてボールの納めどころとなっていました。

プレスに行こうにもボールを動かされてしまい、ズレたところに縦パスを入れられてしまう。ボールを下げることで縦に陣形を伸ばされ、サイドを替えることで横に伸ばされ、間延びをさせられてしまい、縦パスを入れるスペースを作られてしまいました。

 

個人的に初めて知る選手でありましたが、大宮のLCB市原、高校生とのことですが、10代とは思えぬ落ち着きや、縦へつける精度の高さが光っていたように思います。

的確にレノファのCBを外した大宮CFへしっかりとボールを付けることで、CB陣が捕まえる前に大宮に陣地を挽回されてしまっていました。

このあたりに<相手の圧を受けない>というのが見れたかと思います。

 

・見えなかったどこを狙うのか?動かすのか?

--エンドを変えた理由は、前々節・徳島戦と同じですか?
そうですね。勢いを持って、今日もたくさんのサポーターが来てくれていましたし、前半から得点が欲しかったですし、プレッシャーも掛けたいので、「(エンドを)取れるならば逆にしていこう」と話しています

これも原崎監督の談話ですが、あえて前半レノファのDF陣が大宮のサポーターの声を背中から受けるようにエンドチェンジをしたとのこと。

この声が関係したかは不明ではありますが、レノファの選手たちにやりにくさは生まれてしまったかもしれません。特にボムヨンはDOGSOかと思ったファウルのところからボールを持てばずっとブーイングを受けていました。

大宮のボール非保持の形は4-4-2で中央部分を固めてのハイプレス。金沢とは形は違いましたがまず中を使わせないように人を配置してきました。

CFの2人は背中でボランチを消すように1人が出ていき、もうひとりはボランチを見つつ前にも出れるような位置。ダブルボランチの一角、主に石川のほうが前に出ていき、CFとともにボランチを消します。

また両SHはレノファのサイドのCBを見つつ、レノファのWBへのパスコースも牽制するように外へ外へ誘導します。時折佐藤謙介が最終ラインに落ちて後ろを4枚にしますが、大宮はなかなかその形を崩さず(成岡を捕まえておけばいい)、決め手にかけ結局は誘導されるがままにサイドへボールを送ります。

 

金沢と大宮が違ったのはここのWBの対応です。

金沢は両SHが中へ絞ってボランチを抑えにきており、WBには必然的にSBが対応しました。そのためここにシャドウ池上や河野、CF梅木が流れて来ることによって数的優位、同数を作れていました。

しかし、大宮は両SHがレノファのサイドのCBにボールが出たらそこに寄せて、一時的に前3枚の形にします。ボランチへのショートパスのコースも消しつつ対応してきました。また大宮のSBが下手にレノファのWBを捕まえにいかず、自分の背後のスペースを空けないことで、梅木が裏抜けをさせるスペースをなかなか与えてくれませんでした。(22分あたりで解説の方が茂木のプレーを褒めていたような感じです)

そしてWBに入っても相手を背負った形での対応であったり、梅木に蹴ってしまっても上述したように、SBは上がっていないので受けられるスペースもなく、相手のSB周りでボールを回収されてしまいました。

 

こうされてしまうことでレノファはさてどこを使うのか?という感じに陥ってしまい、スタジアムの上段ではシャドウの二人は中間ポジションいるのにな、と見ていましたが、実際ピッチ内ではコースなどが消されていたのかもしれません。

大宮の前節の相手の大分は似たようなプレスに対してある程度答えが用意できていました。それは特にLSH茂木が出てきたところの裏へミドルパスを落とすて前進するやり方でした。ある程度嵌められる前にササっとボールをここに送り込んでいました。

また、大宮のボランチと最終ラインの間が割とあくのでそこへボールを送り込むこと。

エスナイデルさんのことなので、佐藤や成岡を経由する形よりもこのあたりにボールを送り込むことを好むかなと思いましたが、結果としてはなかなか形を作ることができませんでした。

 

・選手間をもう少しコンパクトにして、レイオフでライン間を突破する大宮

そして後半。レノファは佐藤に替えて矢島、田中に替えて野寄を投入。ボランチのところでもう少しはめどころになっていたWBとの距離をもう少し縮めてボールの逃しどころを作りたかったのかなと考えます。野寄はいつもの通りジョーカーかなと。

ただ、この選手の距離感を改善したのは大宮も。前半はレノファのライン裏へ蹴る傾向が強かったですが、後半も基本は同じでしたが時々大きなボールやアバウトなボールをCFに蹴りますが、CFがポストプレーで落とす先に必ずフォローがいる形に。

2失点目は2回後ろからのボールをCFが後方の前を向いている選手にボールを落とし(レイオフ)て前進して行き、五十嵐が付いてはいたものの多少軽量。コンパクトに左足を振り抜かれてしまいました。

これで正直大勢が決まってしまったかなと。ここから大宮はカイケを入れて5−4-1を作りゴール前にバスを引きます。

レノファも皆川と梅木を2枚並べるような形を取ったり、平瀬を入れて前をボランチに上げましたが、なかなか好転せず。得点した矢島のゴールは大宮ゴール前で何故かマークを離してくれており、矢島の技ありのゴールでありましたが、特にレノファが狙った形ではなく最終盤に放り込んだ結果。といった苦しいものであったと思います。

 

・この力負けをどう活かすか。

大宮を褒めるような記事になっていたので、最後にフォーメーションをいじった最終盤についてちょっと考えたいと思います。

雑感としては2得点目を決められてしまったことで、あまり2点ビハインドのプランは考えてなかったのかなと感じました。

皆川投入直後の60分あたりの梅木のポジションですが、確かにスタジアムで見たときに彼は河野がやっていたように、左サイドで大宮の4−4の中間ポジションを取っていましたし、五十嵐は右サイドで同じようにしていました。

ただ気づけば梅木と皆川はツートップのようになっており、本来であれば5−2-1−2のように「1」のトップ下のように五十嵐は振る舞わないといけなかったように思えますが、ボールが右サイドに寄っていたのもあってか、五十嵐は常に右寄り。

と、なんともチームのちぐはぐさを感じてしまいました。

 

ただ、悔やんでも結果は変わりませんし、危惧しているのは2試合連続で3-4-2-1のビルドアップに対して中を固めるという策を取られていました。金沢戦では上回ることができましたが、だいぶ個に依存したゴールということもあり、大宮戦での状況を見るとある程度根本的な解決策をこの2週間で見つける必要がありそうです。

また、何故か緩んでしまった強度。ここも巻き直さないといけないと思います。局面では個々人で体を張るシーンはありましたが、やはりチームでここ守るよ!というところは磐田戦の最終盤などまだまだ出せていたのに、何故かこの大宮戦では開始15分で緩んでしまっていました。

 

多少2連勝と波に乗るのではなく、ゆるみが出てしまったのかもしれません。僕も反省します(?)

中断期間に入り2週間ありますので、選手やコーチ陣はリフレッシュして残りの4試合をしっかり戦い抜いて残留を勝ち取ってもらいたいと思います。

 

引用元:Jリーグ公式(【公式】大宮vs山口の監督コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年10月7日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

        レノファ公式(第38節 大宮アルディージャ | レノファ山口FC

    アルディージャ公式(明治安田生命J2リーグ 第38節 大宮 vs 山口|大宮アルディージャ公式サイト

※この試合はレノファ側で言えば矢島のインタビューの最初の部分。アルディージャ側は大宮公式の原崎監督の狙いについてのコメントがとても示唆的思いました。

お時間ある方は是非。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)