レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

The残留争いを制したことの意味 レノファ山口vsツエーゲン金沢@セービング陸上競技場 2023年10月1日

3度目の6ポイントマッチ。

試合最終盤の金沢の波状攻撃、防ぐ&いなすレノファの姿はまさに【残留争い】そのものだったと思います。

試合終盤にレノファが苦手そうな展開になっても、1失点こそ喫してしまいましたが、時間を稼ぐことシュートは打たせど体を張って守りきれたことなど、地力がついてきたように思えます。

もちろんエースが良い意味でエゴイスティックに振る舞い結果を出せたこともとても素晴らしかったと思います。

 

【得点者】

山口         金沢
16分 ボムヨン    46分 加藤(潤)

22分 梅木      77分 加藤(潤)

53分 梅木

 

レノファ山口

ジュビロ戦から敷いている3-4-2-1を継続。スタメンも3試合連続で同じメンバー

・年に1度の下関開催(ピッチ問題はあるが、風についてはある程度アドバンテージ)

 ショートパスでつなぐのは割と難しい環境。しかし風の影響などは経験あり。

 

ツエーゲン金沢

・4-4-2。今節は前プレス強め。SHが中に入ってダブルボランチを捕まえる

 ボランチもシャドウを抑えて、中を意識した非保持

・前半勝負を見据えてのキックオフ時のエンドチェンジ。

 

 

前半

・金沢の中央封鎖と前半勝負だった狙い

・CFの献身性と相手に満足にロングボールを蹴らせないためのプレス。

 

後半

・金沢のSBとWBの位置関係の変化。WB裏を狙う意図。

・リアクションパターンのエスナイデル監督。

 

 

・金沢の中央封鎖と前半勝負だった狙い

レノファが敷く3-4-2-1の形に対して金沢が敷いたのは4-2-2-2(2-4-2-2)。レノファのダブルボランチとシャドウの2人を抑えつつプレスをかける形でした。

特にダブルボランチ佐藤謙介、成岡には奥田、加藤(大)の両SHが付き、池上、河野には梶浦・藤村がマークにつくことでレノファの中央部を封じてきました。

彼らにボールが入ればマーカーが厳しくつきますし、プレスバックで挟めそうな場合は2人でボールを奪いに来るなど、リズムがつかめない序盤続きました。

 

また金沢は保持の局面ではこの下関の風が強い環境を意識した入りでした。

金沢GK白井の試合後コメントで

先に点が欲しいというのと、やっぱり追い風のほうが押し込めるので、前半を追い風にしようと思って相談して決めました。

とあるように、金沢はコイントスでエンドチェンジを行い風下を選びます。またGK関にとっては前半は正面から日差しを受ける形でした。

風を利用することでシンプルに裏を狙うことや、ロングボールに対して人をかけてセカンドボールを回収するなど狙ってきており、中3日の試合ということもあってか前半から能動的なサッカーを仕掛けてきました。

金沢のこの試合にかける気概といってしまうと失礼かもしれませんが、前節の群馬戦でも前から来る形でしたが、前の試合よりも人の捕まえ方やネガティブトランジションの鋭さなど、試合の入りとしては金沢が上回ってくる立ち上がりとなりました。(12分の池上への対応からの一連の流れなど)

 

・CFの献身性と相手に満足に蹴らせないプレス。

対するレノファが金沢の流れを払拭できたのが、まずマンパワーとセットプレー。

風や芝の状態の影響があってか昨年もセットプレー、吉岡の突破からの高井のゴールなど、割とキレイに崩すというよりも属人的にゴールが生まれる印象がこの下関開催にはあります(モグラゴールは別)

今回も梅木の50mをゲインするドリブルからの流れから、再度梅木のドリブルでしかけることで得たCKからの得点でありました。

多少皮肉だったのは金沢がエンドチェンジを行ったことで風の影響で不規則にボールが変化したことも考えられ、金沢としては前節に続き不運なゴール。ただ、レノファとしては流れも呼び込む幸運な得点が生まれました。

これである程度自分たちで流れを掴んだところもあり、中央を封鎖する金沢に対して、ヘナン・前の両CBが持ち上がったり、ボランチ脇でボールを配給するなどし、吉岡・田中のWBが高い位置を取ることもでき、サイドから押し込むことに成功していきます。

そして何と言っても梅木。ゴールが素晴らしかったことは言わずもがな。ゴール以外にも献身的な動きが目立ちました。

ヒートマップにある通り、サイドに流れることで起点を作る動きを広範囲で行っており、レノファが持ち直すきっかけを作ってくれました。

また2点目のゴールについてもこのサイドでボールを収めたところからの思い切った仕掛けが産んだゴールでした。金沢のCBがマンマークでついてくることや、いわき戦でもありましたが、守備時の選手間が大きく空くことがある状況を突いた素晴らしいゴールでした。

 

 

また、レノファのボール非保持は梅木を頂点にシャドウの2人は片方のCBを見つつ、金沢のダブルボランチを背中で消す形。SBにはWBがついていきました。

前半戦の大部分については金沢がロングボールを使ってくることもあるので、前線でプレスで嵌め込むというよりも、このロングボールを蹴る選手に対してしっかりとプレスがかけられているかが肝であったと思います。

体を張れる加藤大、木村に裏抜けができる林、その間をつなげる奥田となかなか多彩な選手が前線にいる金沢に狙い通りにボールを蹴られては特にRCB前を狙いがちだったこともあり、ここに正確にボールを入れられるとレノファは劣勢になっていました。

そのため、その前にキッカーに対してしっかりプレスをかけることで、蹴らせたとしても落下点がずれていればCB陣が先に触ることでマイボールにするようなシーンも多くあり、金沢には前半の途中からあまり形を作らせずに試合を進めていけました。

もちろん、32分の田中や36分の佐藤が引っかけてショートカウンターを狙うシーンもあり、後々の展開を考えればここでとどめの3点目を取れていれば、後半の消耗戦のような展開にはならなかったかなとは思います。

 

・金沢のSBとWBの位置関係の変化。WB裏を狙う意図。

そして後半金沢が早速動いてきます。LSH加藤大に替えて加藤潤を、RSB長峰に替えて石原を投入してきました。

上記図のようにまずSBの位置を低く、また幅を取るような位置においてきました。レノファのWBがこの金沢のSBのところまでジャンプすれば、そのWBの裏を中に入ったSHがつくような形を取りました。

SHが動けばマーカーであるレノファのボランチの1人を動かすことができるので、その動きに合わせて反対サイドのSHが動かされてしまったボランチのスペースに侵入してくることで中央部に厚みのある攻撃を金沢は狙ってきました。

1失点目についてはボムヨンが「自分のポジショニングが」と言っていましたが、バイタルに多くの人間を金沢が送り込んで来ており、誰が誰に付けばいいのかなど曖昧な状態になっており、ボランチもCB陣も人数はいてもマークは付けてなく、それを捕まえようと半端に前に出たところで失点をしてしまいました。

 

・リアクションパターンのエスナイデル監督

後半早々に手痛い失点を喫しましたが、レノファがやることは変わらず。金沢のビルドアップを前半同様佐藤謙介が引っ掛け梅木が突き放す一撃。

2点差になったこともあり、相手よりも手を早く打ち気味なエスナイデル監督は群馬戦同様に相手の出方を見てから選手交代を行っていきます。

 

野寄・・・交代で入った金沢の石原がある程度金沢のボール保持のところで存在感を出していたので、ここのマーカーをフレッシュに。カウンター局面は反対にここを突きたい。

神垣・・・タテに早い展開、ほぼ試合終盤のオープンな状態が60分くらいから始まってしまっていたので、ボランチの強度を上げる。

矢島・五十嵐・・・梅木に比べまだ足が残っており、動きながらキープすることに長けている河野を残す。

ファーストディフェンスを担うことや、ボランチが引き出され気味だったので、中に入ってくるSHを捕まえるのはシャドウの役目だったのでここの徹底。

平瀬・・・RCBの高さ・守備強度アップ。

 

ざっと書くとこんな具合なのかなと思います。まずベンチの人員についてですが、うまくバランスよく選抜したなというのがあります。今節のリードしている状況では上記のような振る舞い。おそらくリードを許していれば皆川を入れることなどが想定されていたと思います。

そして、多少機能しきれなかった選手はいましたが、状況を見てのエスナイデル監督の采配についても結果として遅かったところもありましたが、適格であったかなと思います。メンバーやフォーメーションの試行錯誤をしてきたエス将政権下での18試合。いよいよシーズン最終盤で2023エスナイデルレノファが固まった印象も受けます。

試合終盤でもバタつかず時間稼ぎをする姿など、選手も自信を持って今はプレーをしているように思えました。

裏天王山であった今節。運もありましたが相手の出方を見た上でのプレー選択。むずかしい状況になっても押し戻せるメンタリティ。この試合しっかりと勝利をもぎ取ったことは、内容面でも来年にも繋がっていくような1勝になったのかなと思います。ナイスゲーム!

 

 

さて、次節は大宮戦ですね。

エスナイデル監督の「俺なら決めてた」「俺のゴールの映像を見ろ」次はなんでしょうね。「俺のサイン入りスパイクをやる」でしょうか。

梅木5ゴールで覚醒??僕はやはりストライカーは二桁いってからの評価なので、この言葉はそれまでとっておこうかなと思います。

絶対に負けられない戦い第4弾。#イライラエスナイデルを見守る会 のハッシュタグでまた現地から発信したいなと思います。(監督には失礼なんですがいちばんしっくりくるんで。。。)

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

参照:Jリーグ公式 https://www.jleague.jp/match/j2/2023/100107/player/#player

   レノファ公式 第37節 ツエーゲン金沢 | レノファ山口FC