レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

ファジアーノ岡山という基準点 ファジアーノ岡山vsレノファ山口 @シティライトS 2024年3月10日

晴れの国岡山。本当に気持ちの良い青空が広がったなか行われた今節、残念ながら84分セットプレーからの失点を喫し敗戦となってしまいました。

昨年のホームゲームでのイベントに参加させていただいたこともあり、個人的には岡山さんとは縁を感じており、今年はアウェイに行ってみたいなと思い現地参戦しておりました。

よく頑張った!ここができてないんだよ!いや~梅木!など反応は様々な試合でしたね。新監督を迎えてまだ3節と始まったばかりですし、ましてや岡山さんとのアウェイゲーム。そりゃ色々負けたらみんなが思うことなんて違いますよね。

僕も試合後ちょっと自滅な印象で落ち込んでいましたが、岡山から東京に戻る時くらいにはできていたこともあったよね。と思うようになっておりました。

 

今節も岡山サポーターのゼロファジさん、レノファサポーターのエルロコ・ペップさんとXのスペースで今節の振り返りを行う関係もあり、そのスペースを意識した書き方をしているので、ご了承いただければと思います。

 

1)コンパクトにはできていたが、しつこかった岡山の狙い撃ち

2)ファーストサードの難しさ

3)第3節アウェイ岡山であること

得点
岡山         山口

84分 田中      なし

 

1)コンパクトにはできていたが、しつこかった岡山の狙い撃ち

両チームのスタメンはほぼ前節と変更はなく、出場停止の田上のところに柳(育)が入ったのみと、両監督開幕から信頼して送り出した11人を継続して起用してきました。

 

今回のブログでは時系列に物事を追わずに、この項ではやられてしまったなと思うところを挙げていこうと思います。

 

では、まずレノファの守備局面のところから。

アライバルインタビューで、志垣監督はグレイソンとそこに関わるシャドウの選手への警戒を口にされてました。

コンパクトにした4-4-2のスリーラインを敷いたうえで、平瀬とボムヨンの両CBの距離を近づけグレイソンを警戒するような形に。時折グレイソンにこぼれ球や甘くなったボールをかっさらわれてしまうこともありましたが、彼のところで起点を作らせないことやセカンドボールをシャドウに拾われないようにするなどの作業は試合通してできていたように見えました。

一番ゴールに直結するところを潰すレノファ、プレスのかけ方についても横浜FC戦同様にCB→WBへのようにボランチやシャドウを経由させないように行っていきました。

 

そこで岡山が次に打つ手としてはハーフレーンの活用。

フォーメーションの噛み合い上、どうしても岡山のシャドウとサイドのCBがここを突きやすい形になります。そのためレノファとしては極力コンパクトに最終ラインを組んでCBとSBのスペースを埋めたいところでしたが、岡山の両WB柳(貴)と末吉が高い位置を取るために、レノファのSBが岡山のWBに出ていくことになります。

そうするとCBとSBの距離が広がってしまうため、シャドウの木村・岩渕がここをしつこくついてきます(ハーフスペースやポケットのところ)。この動きは試合終盤まで徹底をされていました。前半早いうちはまだ田邉や佐藤がこのスペースを埋める、このハーフスペースへ侵入する選手を捕まることで対応をしました。

しかし、20分にはレノファの左サイドで柳(貴)、阿部、木村、藤田の4人に対して、新保、河野、田邉の3人と位置的数的優位を作られてしまいます。これは上述した通り、3-4-2-1の岡山と4-4-2のレノファではどうしても数的不利ができてしまう場所です。

柳にLSB新保がでていったところで、流れてきた岩淵にハーフスペースを取られてしまいます。ここは佐藤がなんとか間に合いましたが、

22分のところは末吉に前と吉岡が二人で付いたものの、再び岩淵へのパスを許してしまい、木村についていた佐藤の寄せは間に合わずグレイソンに決定機を与えてしまっておりました。

やはりCHであったりSBが外へ出ていかずに予めこのスペースを予測して埋めれていれば怖くないのですが、走り込んだ選手を追うような形になってしまうとちょっと危ないなというのは横浜FC戦から感じているものでもあります。※横浜FCのWBは岡山ほど高い位置を取ってこなかったので、コンパクトさが保てていたというのはあると思います。

 

後半については徹底的にここを突かれてしまったのは木山監督がここが勝機と考えたからかなとも思います。シャドウの選手を同サイドに寄せておいて、ハーフスペース攻略などもしてこられましたね。後半立ち上がりの木村が左のハーフスペースを取ったところなどは最たる例だったと思います。

また、ここに至るまで秀逸だったのが岡山のサイドのCB。レノファのSHが横浜FC戦のように1列上がって4-3−3のようにし数を合わせたかったところですが、準備が間に合っていないと、すぐに4-4-2の「2」の脇へ持ち運んで来てしまうので、ここでレノファ自体は守備の遅れを取ってしまうので、ズレを作られてしまいました。持ち運んだ岡山のCBにレノファのSHが付きに行けば、そのCBの選手はWBへパス。SHは引き出されているので、レノファのSBがWBにでて行かざるをえないのでCBとの間にスペースが生まれるのでシャドウが走り込む。

とてもざっくりとした例ではあるのですが、このようなことが頻発してしまっていたなと思います。ただ、後半についての見解は違うので後述します。

 

話をもどして、やられてしまったの2個目はセットプレー。

まず失点にも繋がってしまったCKの守備について。秋田戦のレビューでも触れましたが、横浜FC戦にストーンに171cmの若月をおいていましたが、2戦目には180cmの佐藤がストーンを担っていました。ニアサイド対策。

そして、ゾーンで守るレノファの中で田邉のみ最も警戒をしないといけない選手にマンマークで付きます。すべて秋田戦と同じだったと思います。そして田邉がマークしていたのが柳(育)でした。競り勝つ必要はなし。体を当てて体制を崩せればOK。

この試合岡山最初の10分のCKではニアサイドに蹴って佐藤がクリアをしていました。ただ、そのほかはFKを含めても結構な比率でファーサイド狙いだったと思います。もちろんレノファもファーサイドを警戒しているので、秋田戦ではロングスロー迎撃要員として使っていた梅木を配置しており、現に彼が何回かクリアをする場面がありました。

ただ、岡山はしつこかった。ハーフスペースを突くこと並みにしつこかった。失点シーンはRCB4阿部がスクリーンというか手を田邉に絡めるような形で柳のマークから外し、梅木が目測を誤り田部井の高速のCKがバッチリ柳にあってしまいました。もう少しボールが緩ければ目測を誤らなかったでしょうし、中でも誰かが対応できる速さになっていたかもしれませんが、ここ一番で最高のボール、最高のヘディングと続いてしまい、田中のプッシュには誰一人反応ができませんでした。かなり悔しいですが、横浜FCの福森同様にあの時間帯にあの精度を出してくるのがJ2上位勢。また形が変わるかもですが、改良を続けていくほかないのかなと思います。

※下記は簡単な今のレノファのCK時の守備体型です。

 

2)ファーストサードの難しさ

次にレノファの攻撃局面。

ここはいくつかコメントをまず引用させてもらいます。

志垣監督

攻撃のビルドアップのところで簡単にロストするところがありました。それは私自身が立てた戦い方の部分もありますし、選手の部分でもイージーなミスが目立ってしまったというのがありますので、全員で反省しなければいけないと思います。

相手のウイングバックが積極的に前を狙ってくる中で、足元、足元へのボールになり、相手のやりたいプレスにうまくはめられてしまったというところがあります。ゲームの中で修正してくれた部分もあったが、動き自体が遅くなってしまいました。その中で迫力ある攻撃をできなかったのが今日の大きな敗因の一つだと思います。

平瀬

もっと謙介さん(佐藤謙介選手)と光平(田邉光平選手)をうまく使い、監督も言っていましたが相手の前への矢印を一度ストップさせたかったです。単なる横パスでは相手はプレスを掛けてくるので、真ん中へのパスを挟んで相手を絞らせたかったですが、ボランチへのパスが今日は少なかったと思います。僕もボムさん(キム・ボムヨン選手)もタカさん(前貴之選手)もボランチには当てたかったですが、ボールが跳ねやすいグラウンド状況だったのもあって、出すのが怖いというところもありました。そこでの意図が上手く噛み合っていなかったというのはあったと思います。

(両コメント引用元:レノファ公式

志垣監督、平瀬共にビルドアップ時に狙いを出せなかったことを挙げています。

岡山のグレイソンはボランチあたりを消して、シャドウの二人がCBを見つつSBまで2度追いすることや、WBがSBまで強くでて来る場面が多かったと思います。

横浜FCの戦では序盤横浜FCの5−2−3の前線の2−3で組まれる5角形の中を使いながら、SBを浮かせることを狙っていることを書きました。ただ、横浜FCにコンパクトにされたところでこの5角形の中を使うことができずに逆にボールを奪われるシーンがふえました。そして後半ここを飛ばしてロングボールをDFライン裏へ送ることで再度流れを握っていきました。

今節で言えば、コメントを読む限りこの5角形の中であったり、この脇を使えなかったと。

さっと見る限り11分のところで河野が「2」の脇を取ってRSB前へボールを逃がしたシーンがありました。

また32分には相手のロングボールを回収したところから、岡山がプレスに出てきたところにボムヨン→佐藤→田邉と相手の中間ポジションを取っている二人でボールを動かして、田邉から若月へロングボールをが出た場面がありました。

おそらくこういう場面をもう少し織り交ぜたかったのかなと思います。ただ、相手を自陣深くまで引き込んでの疑似カウンターであったり、相手プレスを受けてしまい意図的にロングボールを蹴ることができず、柳(育)の制空権を脱することができませんでした。

秋田の選手のような体躯をしていれば、まずは蹴っちゃえでも良いとは思いますが、レノファの面々では全てそれをするのは難しいし、選手の特徴を考えれば一旦手前で相手の矢印を変える、相手の特定の選手を動かしてから、その場所を突く。このことが相手の嫌がることをするというのにつながるのかなと思います。

ただ、今節で言えば前半は藤田を動かしてその裏という形がいくつかありましたが、後半はグレイソンをもっと下げておいてシャドウとWBでレノファの最終ラインに対してプレスをかけて、蹴らせたところを柳と前線に行かずセカンドボールを拾う役に回った藤田に回収されてしまい、流れをレノファに戻すことができませんでした。

岡山のこぼれ球回収のトップが藤田で、レノファが関。本来であればレノファも田邉や梅木の名前が欲しかったところですが、岡山に押し込まれてしまった証左であったかと思います。

 

相手陣に入りさえすれば、サイドの奥を突き、クロス主体にゴールを狙う。

クリアされてもセカンド拾う。ボールが相手に渡っても即時奪還を狙う

奪還できれば2次攻撃、つながれてもブロックは崩れてないので、しっかり守れる。

といった具合に岡山相手でもファイナルサードミドルサードでの振る舞いについては4局面を回す流れはできているので、ファースサードの精度については今後の課題、伸び代かなと思います。

あと、みなさまシュートは枠飛ばそう!!笑

 

3)第3節アウェイ岡山であること

で、色々難しかったことを長々と書いてきました。確かに岡山に圧倒され気味ではあったと思います。ただ、僕のなかで若干あるんですよ、後半山口プランを変えて積極的に勝ちを取りにいかなかったかな。という感覚が。引き分けOK。ワンチャンあれば点を取ろう。

リスクを冒してまで勝ち点3を取りに行かなかったかなと。なぜなら、今節は第3節であり岡山アウェイであったことが挙げられます。

もちろん勝ちたいですが、レノファは別にこの試合勝ち点1でも全然OKであったと思います。

『ラインを上げて岡山のCBへプレスに行ったほうが』という解説の方の意見も、CBへの制限がかけられていなくそこから展開されていたので、最もなご意見ではありますが、最終的にやられていたか、というとやられておらず木山監督が『あとはどうやって1点取るかというところが焦点だと思います』と仰っていたように、岡山が1点取れるか取れないか、だったように思います。それだけ後半開始から岡山は出力を上げてきましたので、その出力に付き合えば先にガス欠をしてしまったのはレノファであったでしょうから、あの守り方・時間の使い方は必ずしも間違いではなかったように思います。

悔し紛れの意見ではありますが、失点する5分前くらいから、徐々にレノファが岡山ゴールに迫るシーンがでてきており、ようやく岡山陣でのプレーが増えてきているところでした。また、失点したCKの時点ではすでに高橋と石川が交代の準備を進めており、次の1手を出すところでした。

交代で入った石川もCF山本と中盤をつなぐような役割を担うようにいわれたとのことで、岡山が間延びしつつあったので、CKから失点してしまった上、梅木が退場になりタラレバばかりにはなりますが、80分前は試合の潮目がレノファほうへ変わるタイミングであった可能性もあったのではないかと個人的には思っています。

それくらい、最後のところで体を張る、そもそもやみくもに体を張るのではなく、ちゃんとエリアのスペースを埋めつつブロックに行っているので、岡山の『ゴールまであと少し』の時間が長くつづいたでしょう。

 

若月が一番前で柳相手にもしっかりボールキープをするところ、裏抜けをするところなど体格関係なしにJ2屈指の選手でもやれていました(その分50分過ぎにガス欠でしたが。。)。

加藤も左サイドでやはり形を持っていますし、田邉はプレーの好不調もないし、平瀬も審判と戦った以外は悪くなかったと思います。関さんは相変わらず神・

負けは負け。できなかったこと、積み上げないといけないことなどが浮き彫りにはなりました。それでも下を向かずに引きずらない。ルヴァンカップであったり4節の長崎戦をしっかり超えることができればそれでいいと思います。

J2上位との力の差という物差しを岡山さんとの試合で手に入れることが早々にできました。去年のようにだめだこりゃという物差しではなかったと思います。

岡山さんがつよかったからこそ、この敗戦があったからこそ。そんなふうにできればそれはそれで良いんじゃないかなと個人的には思っています。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

 

 

で、あとがき。

岡山サポさんにも発見されていたので、もう隠す気はないので、ここから。

聞きました?木山監督のインタビュー。

 

「柳らしい」はそれ以上素因数分解できないから「柳らしい」でいいと思います。

 

かっこよ。正直真意であったり「柳らしい」は他サポの僕では細かいところはわかりかねますが、監督と選手の距離感がわかるな〜と思いましたね。

アライバルインタビューでも多く語っても〜というようにいつものらりくらりかわす監督ってイメージでしたが、しっかりご自分の言葉をメディアに発信もされるんだなって、ちょっと印象が変わりましたね。

あと、アライバルインタビューでも「アグレッシブでも守備もできる。いやなこともできる」って志垣監督の言葉をそのまま言っただけな気もしますが、今年のレノファを見てくれているなって感じましたね。

四方田さんは「データがない」 謙さんは「攻撃的!」みたいなことを仰ってて、ちょっと去年までのイメージ引きずっているなって思ったんで、今節の木山さんはちょっと良い意味での驚きでした。

次は霜田さんに下平さんか〜。語る派ですな〜笑  楽しみだ!