レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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相手の嫌がることをしよう  レノファ山口vsブラウブリッツ秋田@維新S 2024年3月3日

1万人プロジェクトとしてホーム開幕戦をシーズンはじめから集客プロモーションしてきたレノファ。8906人と目標には達することはできませんでしたが、大観衆の中、見事に秋田を2−0で下し、今季初勝利をあげてくれました。

シーズン開幕戦の横浜FCとの試合でも感じた『今年のレノファは違う』。これを今節でも披露してくれたと思います。得点以上の快勝であったと個人的には思っています。

では、今節は下記2点について考えていきたいと思います。

 

1)SB裏と「4」の脇を取れ。目的は◯◯。

2)変更したセットプレー対策。

 

得点

レノファ         秋田

7分    梅木         なし

89分 小林

 

1)SB裏と「4」の脇を取れ、目的は◯◯。

プレビューでも書きましたが、今節のポイントの一つとして新保と秋田の中村のマッチアップのところがあったと思います。秋田はフィジカルを活かしたプレーを使いながら攻めてきます。アバウトにボールを縦に出してそこに体躯を活かしてせってきてセカンドボールを回収といった具合。特に自陣深くに押し込まれてしまうとロングスローなどを交えながら、常に押し込まれる展開になってしまいます。

そのため、レノファはこの位置でイニシアティブを渡さない、自分たちで握ることが勝ち筋の一つであったと思います。

立ち上がりからいくつかシーンを挙げていきたいと思います。

まずキックオフ直後。前回の横浜FC戦と同様に左サイドに選手を並べ、平瀬のロングボールからスタート。。。の前に平瀬と前で一度パス交換。秋田がどのあたりからプレスに出てくるかを観察します。

そして、そのロングボールが秋田にわたりRCB喜岡からCF小松。ワンタッチでRSH中村へボールが渡ります。ここでこの中村にマーカーの新保がつくのではなく、田邉がマークに付きます。ロングボール対応で飛び出していたボムヨンと新保はそのまま平瀬・前と共に最終ラインを形成します。

今年のレノファを考えるうえで昨シーズンまでと違う点として最終ラインの危機管理が挙げられると思います。

前節のレビューで4-4-2のブロックを作り、極力最終ラインを崩さずに、SHやボランチがサイドのケアなどをすることを挙げました。このシーンも最終ラインの面々は下手にラインを崩して相手に付くことよりも最終ラインを安定させることを選びます。

中村が深い位置まで来たところで田邉とともに新保もボールへいくと行った具合にしっかりと構えることを選びます。

また、このシーンではありませんが秋田の最終ラインから長いボールをこの中村ー新保のところに蹴り込んできても、佐藤や河野が対応するなどもしていました。

これは単に背の低い新保を競らさないということよりも、まずやはり最終ラインを崩さずに守ることが目的であると僕は考えます。

秋田のやり方を考えれば、ここで新保が競り勝ったとしても、こぼれ球を秋田に取られてしまえば、新保が出た裏へ小松らが走り込みここからクロスを上げてくる展開になります。

それよりは違う選手が競ったり、新保が競りに出ていってもそのポジジョンをしっかりと他の選手が埋めることを徹底していました。こうすることで守備局面で簡単に裏を取られずに押し込まれる展開を避けることをこの試合は徹底できていました。

 

守備は上記のように安定させており、では攻撃の局面は?

まず前半の早い段階のビルドアップ時にLSB新保を高い位置へ上げて、前、平瀬、ボムヨンの3人で最終ラインを組みます。4バックから3バックへフォーメーションを可変させました。FC大阪のときも志垣監督はこのような形を作ることもあったので、あまり1節では見れなかった形を出してきました。

このレノファに対して秋田はミドルゾーンで構えダブルボランチの佐藤と田邉を消す形で徐々にプレスの機会を伺います。

レノファが狙っていたのがRSH中村の脇、そしてRSB村松の裏であったのではないかと考えます。

狙いとしては如何にして新保がクロスを上げる場面を作れるか。

そしてそのポイントになるのがLSBの位置に動く佐藤とインサイドを取る河野でした。

 

上記で多少触りましたが、秋田のCFはレノファのCHを消しながらプレスの機会を伺ってきます。そして秋田のSHは基本中央寄りに位置し、CFが出ていけばCHを見つつSBに出ていくような動きをします。

 

これを抑えたうえで、9分のシーン。8分40秒あたりから佐藤と河野が一度ずつこのLSBの位置に入りボールを受ける動きをします。小松であったり中村が多少気にしながらもレノファはこの動きを見ながら最終ラインでボールを回し、チャンスを伺います。

そしてLCBボムヨンにボールが渡り、小松がついてきたところ新保がLSBの位置に戻ります。すると小松がボムヨンに出たため、佐藤を見るために中央よりにいた中村が新保のところへ向かいますが、新保は余裕を持ってワンタッチで佐藤へ。佐藤も藤山がマークにまだ来ていないこと、そして河野が落ちてくることでRSB村松を釣り出して、左サイドに大きなスペースができていることを確認してワンタッチでこの空いたスペースへ出します。

ここに梅木が走り込みボールを収め時間を作り新保の上がりを待ってクロスを促すようなパスを出しました。吉岡のヘディングかという場面を作り、最後は田邉のエリア内でのシュートで終わりました。

また11分は佐藤がやはりLSBのところへ受け、またCHの位置に戻ろうとしたところをボムヨンがハンドジェスチャーで制止し、レノファが後ろ4枚になったところで、秋田は中村が1列上がって3人で見るような形になり、CHのところには田邉の前方に河野が落ちてくることで、やはり村松を引き連れているので梅木がその背後を狙います。もちろん新保は中村の脇のところで常にフリーで待ち構えていました。

 

また、18分には佐藤が最終ラインに落ちて、前が多少上がり3バックのような形。ボムヨンが中村に向かってドリブル。正対したところで中村の脇を取りつつ並走していた河野へパス。ここはひっかかるもやり直して、今度は平瀬が多少持ち上がりLSH丹羽とやはり正対したところで脇を取っていた前へパス。とSHの脇を取っていきます。

結局最後は左サイドにボールが流れ河野、吉岡、新保、ボムヨンの4人に対して、秋田は中村、諸岡、村松の3人とレノファ数的有利の状態で新保がワンツーで抜け出そうとしたところでファウルをもらってFK。敵陣で人数をかけてやはりこのレノファで言う左サイドの奥へ新保の侵入を促していきます。

 

23分は田邉が今度はLSBのところに入ることで、秋田がぐっとプレスを強めますが、自陣深くに秋田のプレスを誘い込み、田邉からパスを受け取ったボムヨンは吉岡へロングパス。吉岡が一人交わしてゲイン。若月ポケットを取ってクロス。(流れたところにまた新保。)

 

25分は今度は新保がLSBの位置深くでボールを受けて、中村が出てくるのを待って河野→佐藤、そしてやはり村松が空けた場所へ新保を走らせる。

といった具合にLSBの位置に誰かがあえて入ることで、中村に秋田のプレスのスイッチを押させるような状況を作り、秋田が前のめりになった背後を突くことを繰り出していきました。

志垣監督も

-意図的なボール出しはできていたのではないか?
前に入っていく意識は良かったと思います。ただ、相手に人数が掛かっている状況で入っていっても仕方がないですので、もう一回広げる作業、意図のある横パス、意図のあるバックパスももう少し増やしても良いと思います。(引用元:レノファ公式

とあるように、上述したようなあえてボールを下げて相手をおびき出すことやプレスのスイッチを入れさせるような横パスを使うことで、いなすことなどができていたと思います。

 

前半終盤にかけて、秋田が村松が出ていったところは喜岡がカバーする。それに合わせてより秋田のブロックがコンパクトになったところで多少レノファは手詰まりを起こしてしまいました。前節の横浜FCでも5角形の中の話題を出させていただきましたが、相手がある程度修正、特にコンパクトに布陣を整えられてしまったあたりで多少ノッキングをしてしまいます。前半のうちに2の手3の手を出していけるようになるのは今後の課題かなとは思います。

また、後半に入り多少詰まっていたので、このLSBのやりかたを辞め、新保をあげて後ろ3枚(前、平瀬、ボムヨン)+CH2枚(田邉、佐藤)の形に変えて、前から吉岡そこからフリックでその裏を突くような展開をし打開をしていきました。

 

ただ、前半からこれをやらなかった理由としては修正ができなかったのもあるかもしれませんが、やはりシステムを可変させて新保を前に上げるというよりも、相手をずらすことでスペースを作り、新保がクロスを上げる形を作るというのがあったからこその展開ではなかったかなと考えます。

画像

レノファ公式に上がっていた「STATS LEADERS」ですが、新保がチャンスクリエイトでトップになっていますが、それは書いてきた通り、レノファとしては狙ってこの状況を作っていたと考えられるのではないかなと思います。

中村の談話が下記の通りであり、やはり彼自身が難しい対応を迫られていた。レノファが強いていたと考えたいなと思います。

新保(海鈴)選手とCBの選手から左足で長いボールを入れてくるという事前の情報があったので、そこにプレッシャーを与えたかったです。押し込んではいましたけど、自陣に入ったときにやっぱり人数を増やされて、クロスというのは形としてあったので、そこをもうちょっとしっかり奪い切ってカウンターにつなげていきたかったです。なかなか前半途中からそういうシーンが出せなくて、押し込まれる展開が多かった。そこをもうちょっと粘り強く守備をして攻撃につなげたかったですね。(引用元:Jリーグ公式

 

2)変更したセットプレー対策

いくつかセットプレーについても言及しておこうかと思います。

まず得点を取ったCKについて。ゾーンで守る秋田に対して、ニアへ人を集めるような形で秋田のゾーン全体がその動きにつられてしまい、梅木がフリーになりヘディングで得点をしました。

ボムヨンや平瀬が多少ニアによることで、秋田のゾーンの外で待っていた梅木がフリーに。

 

正直愛媛対秋田の試合で愛媛のCKが10本ありました。急いで見てましたが、確認できただけで8本のうちファーに蹴ったのはそのうち3本。その僕が見た3本全てインスイングのボール(蹴ったボールがゴールへ向かっていくボール)でした。また愛媛は新保の蹴ったようなアウトスイングのCKはほぼニアサイドに蹴っていました。

どうやってここが空くと調べたのかはわからないですが、プロはやはりすごいですね。単純に秋田対策というよりもゾーンで守る相手対策であったのかもしれませんが、FC大阪を率いていたときの志垣さんのチームもセットプレーからのゴールが多かったので、これはチームの傾向として良いものではないかと思います。

 

また、前節ゴールを奪われたコーナーキックの守り方にも変更が。レノファのCKのゾーンの作り方に修正が加えられていました。

横浜FC戦で失点時にニアサイドでボールをクリアする役割のストーンには若月と河野が入っていました。そして、この二人の間にボールを落とされ、ヘディングで合わされてしまいました。単純に若月の身長の問題に逃げたくはないですが、ストーンの間に入りこまれている以上応急処置としては仕方ないかなと。

今節の4分のCKの時点では佐藤と前がこのストーンの位置に入っていました。180cmの佐藤が一番前に入り、その後ろに172cmの前が構えました。その後も59分は佐藤と河野(177cm)であったり前節の修正を図っていました。

 

また、秋田のロングスローの場面でも、エリア内はマンツーマンでマークをし、吉岡と梅木が遊撃隊のような形でスローインに対して競る役を担うなど秋田対策もしっかりできていたように思えます。

志垣監督も

守備では集中力を切らさず、危ない場面はほとんど作られなかったと思います。失点するとすればカウンターやロングボールのこぼれ球の事故的なもになると思っていましたので、そこをさせないことは試合前にしつこいくらいに言っていましたので、選手たちはしっかり実行してくれたと思います。(引用元:レノファ公式

とおっしゃる通り、集中して守れていたと思います。

誰かが前に出てもすでにそこにフォローは入っていたり、相手におびき出されてしまってもCFの選手含めて戻る意識ができているので、隙をあまり作らないで開幕より守れているのではないかと思います。特に自陣。

かといって後ろに重くなるのではなく、しっかりと切り替えをし前へ出ていくことも厭わない献身的な姿勢もチーム全体に浸透しているように思えます。

 


今季の勝ち点目標が55で、失点目標が45。

特に失点目標についてこれは結構達成ができるんではないか?という姿を見せてくれた志垣レノファ。まだ2節ではありますがなかなかおもしろいシーズンが迎えられるのかと期待が高まります。

小林の負傷は気になるところではありますが、2点目のヘナンのクロスも結局RSBの奥に対して、数的同数だが位置的優位を見抜いてのオーバーラップであったこともあり、攻撃面でもチームの意思統一ができているようにも思えます。

 

次節の岡山戦から5連戦になる上、まだ自チームよりもクラブ規模が大きいチームとの対戦が続きます。

一喜一憂しすぎずにこの連戦を見守りたいと思います。まあ勝ったら騒ぐんですが。笑

2年連続の岡山。鰆食べれるかな?シティライトスタジアム初めてでファジフーズなにあ食べようかなって今からワクワクです(あれ?去年は?)

勝利を飾って美酒を飲めることを期待したいと思います。(ルカオは勘弁)

プレビュー記事出す予定ですので、またよろしくお願いいたします。

 

ここまで読んでいいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

 

 

 

 

 

5-4-1もオプションとして持っている?

さて、今回のあとがきはこちら。高橋と加藤が交代で入り、小林が脳震盪で交代となってからわかりやすくレノファは5−4−1の形へ。意外にも山本がCFかと思いきや五十嵐が最前線の5−4−1。もともと山本はSHで使うオプションがあったので、このあたりから今年のそれぞれの使われる場所がみえてきますね。五十嵐くん一番前の想定なのね。

ただ、もう一つ抑えておきたいのが、4-4-2の他に5−4−1のオプションがあったということ。おそらく高橋と加藤がSHに入る4-4-2を使うことはできていたはず。

だが、秋田がパワープレーで来ていたというのもあり、5−4−1を選択。身長のある山本はSHとして低い位置にさせ、おそらく小林が健在でもこのシステムを使ってのではないかと思う。

FC大阪のときに福島戦で3バックを1度だけ採用したことがあった、と実況のかたがおっしゃっていたので、てっきり志垣監督は4-4-2にこだわりがあるのかと思っていたが、実際は困ったときの3−4−2−1がでるかは分からないが色々違う引き出しはあるように思えた。

特に次の対戦相手の岡山が3−4−2−1を採用。4-4-2で受けきれなかったときに、この形を用いることはなくもない、、、かな、、、

そんな別の引き出しが見えた気がした、というあとがきでした。