レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

小さな成功体験の積み重ね。レノファ山口vs水戸ホーリーホック@維新 2022年8月20日

待ちに待った勝ち点3!ようやくでしたね。選手一人一人が気持ちを切らさず90分戦い抜いてくれましたね。

前節から続く前のボランチ起用、吉岡のRWB、田中渉のLSH起用など現陣容の最適解がちょっとずつできているのかなという前半の出来でした。打って変わって後半は耐える!という展開の中にも気持ちだったり、ちょっとしたプレイでも水戸を上回ることができたことで勝ち取ることができた勝ち点3だったのかなと思います。

さて、今回は下記について考えていきたいと思います。

1)水戸の前半のファウル数2

2)必死なプレーの積み重なりの末

 

得点者

6分 田中渉

 

1)

アライバルインタビューで水戸の秋葉監督は「流動的な山口に対して受けるのではなく、前からアグレッシブにボールを奪ったら早くゴールに向かいたい」どこかで聞いたことのある言葉が並びますが、そのあとに水戸のスローガンでしょうか「獰猛性」「超攻撃的」を見せたいと仰っていました。

ただ、そのような水戸の姿は出させない前半となりました。

今節は4−4−2ではなく4−2−3−1の布陣であった水戸。

田中のスーパーゴールもあり水戸はとりあえず得点はとらないといけない展開に。ボール非保持時には22土肥がFWの位置まであがり4−4−2のような形。ただ、山形の山田康のときと同じように、そこにはいるけれどもあまり厳しくもなくはっきりもしてないような状態に見えました。そこに20梅田もとりあえずボランチへのコースは切るけども「じゃあ菊地は誰が見るの?」といった場面が散見されました。RSH7曽根田がここまでジャンプする機会もありましたが、間に合わず中途半端に出てしまうだけといった形でした。この試合最もレノファでボールタッチが多かったのが菊地でした。

そんな中、17:55の2菊地から49梅木へのロングボールの際に水戸CB21山田が転倒する場面がありました。このあたりからでしょうか。ちょっとずつ水戸のCBが後ろへ重くなり、梅木と沼田を離す展開が増えました。田中渉の試合後インタビューでもありましたが水戸のCBが一旦は田中につくも、レノファが梅木を使うことで、ディフェンス陣がその展開を嫌って徐々に後ろ重心へと行ってしまっていたかもしれません。

それもあってか、飲水タイム明けの26:50のシーンでは水戸の前線が多少整理され、7曽根田が多少高い位置にいることで、寺門→菊地へのボールにチェイスされてしまいます。菊地は安全にすぐにアバウトに前線へ蹴ります。桑原にはRSB黒石、田中には高岸が付いており、梅木のところでCBが待ちかえまえているかな?と思ったらCBの二人は梅木を捉えておらず。また28:10も相手のボールを自陣の高い位置で奪った流れから、やはり菊地から沼田。ディフレクションはあったもののここも沼田が収めることができました。31分にも繋がらなかったものの6渡部のフィードに対してもだいぶ水戸の最終ラインが低い印象を受けました。ボランチとの距離も空いているため、ここへボールを送り込むことでレノファとしてはあまり手数をかけずに前進をすることができていました。

また、ある程度ビルドアップに時間がかかっても、この日RWBに入った15吉岡が沼田のように裏へのボールへの積極性を見せ、前進に寄与します。LSBタビナスで身長では負けてても、水戸の最終ラインより奥へのロングボールを持ち前のアジリティとテクニックを活かし収めることができたため、より一層水戸の最終ラインは高さを取れない状況になりました。

そしてこの吉岡のRWB起用で恩恵を得た選手の一人がRCB高橋。試合序盤より解説の中島さんが触れられていたとおり、吉岡が中に切れ込むタイミングでしっかりオーバーラップができており、上がるタイミングを取りやすそうでした。

23分の菊地→吉岡→沼田→高橋がクロス。これが最もうまく右サイドが手数をかけないで崩せた場面だったかと思います。クロスの精度は伸び代ですね。直後に前が決定機のクロスをあげているので、次は高橋くんがこれだよ!!

 

水戸のうまくいっていない流れは、攻撃にも影響していました。レノファは5−4−1の形で「4」の沼田、前、佐藤、田中が水戸のビルドアップ時に彼らの間をやぶれせないように立ち、水戸を仕方なく外回りにさせるようにします。水戸はRSH7曽根田らが落ちてくることでこの4人を牽制しますが、曽根田の方は多少嫌な形を作られましたが、22土肥あたりが降りてきても、ただ前の人数が減ったような状態に。梅田の孤立をうんでいました。

この4人の間を割られても、その先の椿には高橋が、梅田には渡部が危なげなく対応。水戸の前線の選手の距離感が遠く、後ろに選手が多い状態でした。

水戸は一度中に差し込みたい、4人のどこかをずらしたい、とあったと思いますが、結果的にゴールに近づいていたのは梅田の裏抜けくらいであり、レノファは水戸の選択肢を削ぐことができていました。

そして水戸のボールの失い方が悪ければ、水戸の行いたいアグレッシブなディフェンスも出させることもさせません。レノファが奪った場所では水戸の選手も少ないので連動したプレスもでないので、レノファのボール保持はほぼ危なげない状態に。また、うまくいっていない水戸は「獰猛性」が出せず、34分の菊地→田中→桑原→梅木→桑原のシーンについては、本来なら田中のところでファウルしてでもここでとめていたと思います。このあたり秋葉監督の激怒にもつながるところかもしれません。

そんなうまくいっていない水戸の状態は表題にも出させていた「水戸の前半のファウル数2」という数字にあられていたのかなと思います。

※大分戦はちゃんとこのあたり水戸は戦ってましたね。「何が何でもリバウンドメンタリティ」を見せていらっしゃいましたね。流石です。

 

2)

後半は人数が少なくなったこともあり、5−3−1で水戸を迎え撃つ、耐える時間が続きました。

ロングボールを収められる梅木、飛び道具になる沼田を残しカウンターの芽を残しつつ、自陣で引くところは引く。などヒリヒリした展開。

梅木→岸田にし一旦プレスを整理。ただ、カウンターが打てなくなりつつあったので、3枚替え。多少高井のフリーダムさが見えてきたら岸田とポジションチェンジをし、その高井の特徴をカウンター局面で出そうとしたりなど名塚監督のなんとかやり切ろうという采配が出ていたと思います。

これは行けそうだなと見えてきたのは僕は83分〜85分のシーンでした。(遅かったですかね 。皆さんどのあたりでしたか?笑)

水戸CF15木下が高井が収めて無理せずバックパスをしたシーンで、このボールに木下は強くプレスをかけますが周りはあまり反応せず。その後も呼応した感じは見られず。その後右サイドに展開されますが、ここは高木が全力疾走の競り合いに勝ちナイスディフェンス。クリアボールに高井はオフサイドとわかっていたと思いますが、相手がもたつくところへファウル気味でも体を張って競っていました。

水戸の気持ちを見せるところ、体をはるところ、精度をあげないといけないところ、例を言えば水戸の交代選手、特にサイドのところでミスがありギアが上がらない。それを尻目にレノファはシュートまではいけませんでしたが、それぞれがプレーをやりきる場面が増え、攻められてはいましたが流れは水戸にはいききっていないと感じました。

気持ちだけでは勝てませんが、この小さな局面での積み重ねが最後まで耐える要因になっていたのではないかと思います。

 

そして今節は高橋くん守備で魅せてましたね。本人も「割り切るところはしっかり割り切って、全員でスライドしたり、スペースを埋めたり、人にも強く行くということを全員で話し合いながら、意識してやっていました。」とある通り、前半に比べ「3」のところを割られてしまうシーンもありました。51分の被決定機、「3」の位置のスライドの矢印をずらされたところ中へ差し込まれて一気にゴール前迫られましたが、桑原だったり高橋だったり、もちろん他の渡部、佐藤なども体を張っていました。ただ、高橋くんの65分だったでしょうか、木下への寄せは良かったです。

自分のポジションではニアゾーンへの侵入する水戸の選手に対してはしっかり吉岡や沼田と連携し侵入を防いでいました。このままあと10試合伸びていってほしいです。

 

さ、あと10試合です。下位との試合があるのでひっくり返される事もあれば、勝ち点を稼ぐこともできる。どうできるかは自分たち次第です。

終わったから言えることではあるのですが、11人対11人での90分はどんな展開だったのだろうか。もしかしたら負けてしまう未来もあったかも。。。というよりも後半レノファはやり方変えただろうか?ずっとロングボールを多用していただろうか?池上が復帰出場したらどんな形にしていたのか。

9月14日の金沢戦を皮切りに始まる現在のレノファよりも下位5チームとの直接対決までに、今日の試合を昇華した姿を見せてもらいたいです。

残念ながら次節は前の欠場は決定しておりますが、田中渉がまたボランチに入るのか、または新加入の成岡くんが入るのか?どんな形であれ、徐々に固まりつつある陣容に+αしどこまで勝点を伸ばせるのか、楽しみにしたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

流れをもう一度自分たちに! ファジアーノ岡山vsレノファ山口@シティライトS 2022年8月13日

7試合勝ちなしとなかなか厳しい試合が続いています。

菊地の試合後インタビューでの「最近の試合では距離感は良くできていると思います」とあるようにフォーメーション変更後より確かに上向いているとは思いますが、なかなか結果が出ません。7月以降の試合の7得点のうちセットプレーで5点。なかなか得点自体もですが、流れでの得点が取れていないのが現状です。

今節の岡山戦も追いつくまでは良かったと思いますが、そこからひっくり返す。それができなくても勝ち点1をもぎ取る。ここまでの馬力がまだ出せない。山形戦と似ているな〜と感じたこの試合、下記について考えてみたいと思います。

(※PKのシーンには特に言及しません。PKを取る審判なら取られるかなと個人的に感じたので)

1)与えてもらった山口ペース

2)奪い返したかった山口ペース。

3)色々用意していた?セットプレー。

得点者

岡山         山口

9分  チアゴ     26分 高井

22分  バイス     45分+3 菊地

65分  柳

 

多少、煽ったようなキャッチを書いてしまっていますが、山形戦と似ているなと思った理由の一つとして前半からペースを握ることができていました。小気味よくパスを回しサイドからの攻撃。その要因の一つとして対戦相手のFWの守備が挙げられると思います。

前節の山形は山田康の位置が定まっておらず、ファーストラインのプレスが曖昧だったことや、それに伴い山形のセカンドラインがファーストラインとの距離を詰めれていなかったことを挙げました。

今節の岡山についても前半は早々に岡山が先制をしたこともあってか、チアゴ、デュークの両FWのファーストプレスが甘く、LWB桑原をビルドアップの逃げ道にすることや、佐藤謙もしくは前へのコースもあまり締められておらず、ミドルゾーンへの前進が可能でした。また、ミドルゾーンでもプレスバックに来るシーンがあまり多くなく、やはりダブルボランチが余裕をもってボールを触ることや、岡山に跳ね返されたクリアボールについてもレノファとしてはセカンドボールをひろうことができ、相手陣内でサッカーをする時間が序盤から続きました。

試合途中で相手陣内でのパス数が岡山4に対して、山口が50を超えていたことがこの試合の前半を表していたかと思います。

そして今節のレノファのトピックスとして前選手の復帰がありました。今季の松本山雅ではRWBで使われていたようでしたが、今節の出場はボランチ。とても効いていたと思います。栃木戦の後半から使われているこのフォーメーション。前は時に佐藤謙の衛星のようにパスコースを作ったり、自分が動いてどのあたりにいれば味方が空くかな?といったような周りを活かすプレーをしていたと思います。

個人的に好きだったシーンが15:30からのシーン。左サイドでクリアボールを拾い、渡部→高井→佐藤謙→前→兒玉といったようにつないでいき右サイドへ展開したシーン。

まず15:35兒玉がボールを保持し一旦落ち着かせたところ。前は岡山LSB41徳元を見つつ右サイドへポジションを取っていきます。そして左手で沼田へインサイドにいることをさり気なく指示。徳元と河井の中間ポジションをとります。兒玉から高橋へボールが渡り、河井が高橋へ行く代わりに、佐野が前へのコースを代わりに背中で消します。が、2人が前につくことで佐藤謙への道が空きます。岡山としては本来ならもっとチアゴが消すべきコースであったかもしれませんが、高橋から佐藤へのパスが通ります。佐藤が前を向けば、沼田が前に指示をされたとおり、徳元とバイスの間に位置どっており、ボックス内へ入りクロスを上げるシーンを作れました。このシーンは岡山の最終ラインが下がったところに、梅木があえて遅れて入ることでペナルティマークのところでフリーになっていた場面でしたので、沼田にはここを見ててほしかったです。

ただ、それで終わらずこのクリアボールを再度レノファは拾い、前がニアゾーンへの走り込み。梅木がニアで潰れたところ後ろから高井が入ってくるところを見ており、この試合流れの中では一番惜しいシーンを演出しました。これは岡山の河野を褒めるべきだったかと思います。

1点目のPK獲得前もセカンドボールを拾い、叩いて、もう一度受けて、大外の兒玉へのクロス。また、36分のシーンなどはさり気なくスローインからの流れで高井へのボールを戻し、箱の位置に入った沼田→裏を取った桑原といった展開にも寄与。結局オフサイドにはなりましたが、ネットを揺らすところにも絡んでいました。

このように田中渉とは違った持ち味を発揮しており、田中渉がもしかしたら一列前に上ることもありえるのかなと思う出来でした。

前半終了間際、急に焦ったかのようにプレスバックをしたデュークのファウルからのFKで同点に。レノファとしては2つのPKで失点はしましたが、岡山の守備がなかなかうまくいっていない状況を突いての得点になったと思います。そのため、これは後半流れがレノファに!と思いましたが、そうはならなかった後半でした。

 

2)

後半岡山の前線2人の守備意識が改善され、まずビルドアップのところでコースの限定がされます。中切で外誘導へ。そうすることで活きてきてしまったのが、この試合理解ができないレベルで走り回っていた岡山RSH田中。桑原へのコースを潰し、前節に比べてキックの精度が落ちていたGK31寺門は後半開始よりロングキックを選択することが増えます。また、48:55ではあわや失点というミスキックもでてしまいます。

この蹴らされてしまう、つい相手のプレスに対して蹴ってしまう、というところがこれまた山形戦に似ているな、と思ったところであり、結局良い時間帯はあれど結局敗戦してしまうことに繋がってしまったと感じます。

J2 第31節 岡山 vs 山口 時間帯別パスネットワーク図 | SPORTERIA

※sporteriaさんより引用させていただいております。

このように前半に比べてFWの位置が後半は遠く矢印も減っている状態でした。

この岡山が盛り返した状況に拍車をかけたのが後半16分の選手交代。仙波の登場です。システムを5−3−2へ変更。右の田中という槍の他に左にも仙波という槍が加わります。チアゴと永井でコースを切っただけなら面食らうことはなかったと思いますが、この2人がFWを追い越して2度追いをするボランチをケアするなど守備範囲の広さを見せます。71分などは前が最終ラインへ落ちて、CB2人をFWの2人が監視。佐藤謙がその間に入りボールを受けたと思った途端、自分の守備位置を放棄して仙波がプレス。佐藤→渡部→高橋とつながれば、レノファのチャンスになるところだったと思いますが、仙波の思い切りの良さが上回り、オフサイドとなり助かりましたが、あわやショートカウンターから失点という場面。このようなシーンを後半は数回作られてしまっていました。この選手交代でブーストがかかる相手、かからなかったレノファという構図も前節の山形戦と似ているとも思いました。

 

ただ、だからといってペースを奪われっぱなしになって良いわけはなく、もう少しやりようはなかったのか、と思います。

この試合、レノファがチャンスを作れていた形として複数人が関わり、ショートパスを繋いでサイドを攻略した事にあったと思います。

sporteria.jp

再びsporteriaさんよりお借りしました。ゴール期待値。両軍ぐっと上がっているところがPKのシーンです。0.8点換算。なのでPKを抜くとゴール期待値は0.82点対1.41となります。前半だけに区切ると約0.4対0.95くらいでしょうか。ただ、後半でいうと0.42対0.46くらいと前半に比べ数値は半分ほどに。そのうち0.1を稼いでいるのはCKからの梅木と試合終了間際の菊地の分かなと。そう思うと後半いかに前半のような形を作れていなかったか、というのを感じられるかと思います。

例として76分のシーン。

前がやはり最終ラインへ落ちて、後ろを3枚でまわしています。38永井に対して前、渡部で回し数的優位でボールを保持。この間に佐藤謙が岡山の5−3−2の「3」の脇に位置取ります。この岡山のやり方であればここの位置は空きやすくなるのでここまでは良いと思います。が、ここから9岸田へのロングパス。結果として岸田が粘りコーナーキックを取ります。そのコーナーもゴールラインを割ってしまってましたが、高木ニアそらしを無警戒だったのでチャンスになりかけていました。しかし、ここでこの選択ではなく、岡山CH26本山の位置に16吉岡18高木が入り数的優位の場所。本山は高木に引っ張られていたため、吉岡はフリー。画面で足しか映ってませんが、おそらく吉岡が前を向いたら高井がバイタルエリアでフリーで待ちかえまえていたと思います。

同じように80:50くらいでもやはり高橋→佐藤→高木への裏へのボール。ここも吉岡はフリー。確かにその吉岡につくために22佐野が前に出てきており、高木へのコースはできておりましたが、徳元がしっかりとケア。ショートパスを使い、時折裏を使うなら効果が出るかと思いますが、試合終盤この裏へのボールが殆どとなり、相手も予測はしやすくなっていたと思います。

そのため86分のところのように渡部→中間ポジションに入った高木→吉岡→高橋→佐藤→桑原のような変化がもっと先の時間にほしかったなと思います。また簡単に87分のように前→高井のように岡山の「3」の間に立つなどももっと出せても良かったなと。たらればたられば・・・。自分たちの時間をもう一度引き戻せなければ勝ち点は見えてこない。そんな終盤になってしまいました。

 

3)

この項ではちらっと2点目のゴールシーンについて。再開前に菊地、佐藤、高井で話し込むシーンが。見事にその菊地が決めてくれました。あまりにうまくいっていたので何がそれまでにあったのかなと見直しておりました。

結局確信も持てなかったのですが、気づいたことをちょろっと。このFKの場面までにレノファがCKやFKでクロスをあげたシーンが6個ありました。そのうちコーナーキックが4本。フリーキックが2本。

前段としてフリーキック時には岡山はバイスをファーから2番目の位置に置き、ラインを作って守備をします。コーナーキックではやはりバイスは中でファーから2番目。コーナキックでは27河井が渡部に、26本山が菊地にマンマーク

1分のFK、4分のCKなど菊地が大きな動きでニアに走りこむシーンが続きます。間の3分のCKでは梅木と渡部をスクリーンにし、CKにあわせるシーンもありました。12分のショートコーナーは相手も動かなければ、自分たちも動けずというもったいないもの。

39分のFKは高井が相変わらずオフサイド位置でウロウロし、菊地はペナルティアークあたりでウロウロ。左手で左の頬を触ったことがサインか、ニアに走りそこへ佐藤謙がグラウンダーのボール。本来ならもう少し高井がゾーンの一番前の佐野をスクリーンして留めることが念頭にあったのかもしれませんが、意表をつくプレー。

といった具合にこの試合菊地がトリガーとなったセットプレーが続いていました。そして47分のフリーキック。ここではゴール位置が近く、初めて岡山が壁を作っての対応。デュークや柳など身長の高い選手が壁に入ります。中の人員はバイスはいるものの、田中や河井など160cm代の選手が多くなります。そしてインサイドから佐野・田中・本山・バイス・河井の順でラインをつくります。

佐藤が蹴る瞬間、まず梅木がバイスを触りそのままラインを下げさせます。そしてバイスのあたりにいた渡部が彼の前の本山の目の前に入りこみます。そしてタイミングをずらして菊地がそこに入ります。14佐藤162cm、26本山171cmのところに、渡部186cm・菊地182cmが入り込み、ドンピシャのボールが来れば制空権はレノファに軍配。この本山はCK時に菊地のマーカーでした。ある程度外すことなどもできそうであることを蹴る前に伝えていたのか、試合後インタビューで言っていたように「蹴る前に(佐藤)謙介にどこのポイントに蹴るのかを確認しに行って、あのようなボールを蹴ると伝えられたので、信じて入って行った結果、良いボールが来ました。」となったのかなと思います。

 

さて、最後に高橋くん!寺門と共に今節はちょっと乗れなかった試合となってしまったかなと思います。仙台戦同様チャンスで枠に飛ばせないシーンがあったほか、LSH佐野にボールを奪われる、運ばれると難しい対応を迫れれていました。また、2失点目は高橋くんがしっかり繋いでいればあのカウンターはなかったかなと思います。ただ、この試合でも運動量は落ちませんでしたし、この試合は糧にまた活躍してほしいです。

 

twitterでも挙げましたが、昨年渡邉前監督が解任された31試合が終わり、勝ち点や失点が同じこと。下位との対戦が残っていることなど、名塚監督としても2年連続同様の踏ん張りどころを迎えていると思います。

次は維新スタジアムですし、もう一度「維新は勝つ場所!」を思い出し勝ち点3を掴んでもらいたいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

得点がないと勝ち点3には届かない。レノファ山口vsモンテディオ山形@維新 2022年8月6日

悔しい。

フォーメーションを変え、新しい選手がでて、「変わろう」「上へ行こう」というところで欲しかった勝ち点3。無理な注文ではなく勝利は実現できるところまで来ていたと思いますが、勝ち点1も叶わず敗戦となってしまいました。

声出し応援など後押しもあった中、掴み取ってほしかった勝利。。。今節は下記について考えていきたいと思います。

 

1)落ち着いて試合はできていた。

2)差が出てしまったか、山形と山口の交代策。

3)やっぱり頑張れ高橋くん。

 

 

 

得点

山口       山形

なし       90分 デラトーレ

 

1)

この日のレノファも3-4-2-1のフォーメーション、対する山形は前回対戦同様に4-2-3-1、4-4-2のようなフォーメーションを組んでいました。山田康の位置でどちらの言い方になるかな?という具合。レノファのボール保持時はどちらかと言うとディサロがワントップ、山田はアンカー番をするように見えました。

ディサロ一人でCBへ来るため、前節仙台戦の前半のようにRSB高橋は相手のファーストラインよりもあがり、後ろはGK寺門、CB渡部・ヘナンの3人で回していました。(10:15のような形)

山田が時折ツートップのような形になったりすることもありましたが(14:20など)、ファーストプレスが定まっていないため、特に山形のRSH国分がヘナンに付いたほうがいいのか桑原に付いたほうがよいのか中途半端になり、桑原がビルドアップの出口となるシーンが続きました。寺門も2試合目とはいえ積極的に相手の頭を越すパスに挑戦していました。この桑原に対してもRSBの半田がジャンプしてつくのか、ボランチの藤田がつくのかも整理ができていない様子でした。とくにボランチはファーストラインから距離ができてしまっており、田中謙にも付きに行くことがなかなかできていませんでした。

そんな山形が2枚で前に並べても後ろが連動することが少なかった前半、解説の中島さんが仰ってましたが、25分のシーンのようにCBが抑えられてても佐藤謙介に寺門から差し込むことができていれば、より展開に幅が持てていたと思います。彼の伸びしろですね。

 

話を多少前線に移すと、先に挙げたように山形のボランチがあまりファーストラインに上がれなかった理由とはどんなことが挙げられるか?要因の一つとして田中渉と佐藤謙が縦関係になり田中渉が高井と並ぶようにインサイドに位置することで、山形のダブルボランチを牽制。そこで山形の南、藤田の両ボランチはポジションを留められてしまったため、ファーストラインとの距離を詰めることができなかった。そのためレノファは相手のファーストラインを超えることができれば、ミドルサードファイナルサードにボールを運ぶことができていた考えられます。※いつもの通りこのシーンがあまりテレビに映っていないため想像です。

もう一つが兒玉がよりインサイドに入ってくるときが多かったか。高橋に幅とり役、左サイドの桑原のようなポジション取りをさせ、兒玉はインサイドへ。そこで田中渉、高井とボランチエリアに侵入をすることで数的優位を作り前へなかなか出させなかったかもしれません。※同上

また仙台戦でも見られていましたが、ボール保持時のロングボールに対して梅木と沼田がツートップのように並び、競り合ったあとのフォローが構えられており、ロングボールでの前進についても改善が見られていました。前半については決定機は多く作ることはできていないものの、相手を見てボールを動かして前進することはできていたました。

 

ボール非保持時についても時折右サイドに侵入されることはあれど、中のマーカーを外すことはせず、守れていたと思います。そのため60分まで山形のゴール期待値は0.4点以下となっていました。(※引用 sporteria様)

https://sporteria.jp/data/2022080613/290944

前からのプレスも山形のダブルボランチに対してボールをあまり入れないようにし、外回りを促し、縦にボールが入ってもWBとサイドのCBで山形のSH、SBを捕まえており、抜け出されても渡部がそこのフォローに入るなど中で勝負させず外へ追いやることに成功していました。

また時折前線でボールを奪うことにも成功しており、特に上述したロングボールのフォローのように、沼田と梅木がそれぞれ近い位置でプレーすることで、引っ掛けたボールの回収をできるシーンがありました。

 

2)

ただ、流れが多少変わってしまったのが山形の3枚替えとLWB桑原と高木の交代だったように思います。

山形はこの交代でボール非保持時には2枚でレノファのCBにつくことで前半のようなどっちつかずというよりはある程度整理をしてきたように見えました。また山形のSHチアゴ・アウベスと樺山がレノファSBへの道を切るような位置取りをしていたことや、レノファのCBとSBの距離感があきすぎており、ショートやミドルパスではなくロングパスだろうなという予測が立てられるようなシーンも見られてきていました。反対に山形はレノファのボランチLWBの間に替わって入った樺山が侵入しボールを引き出せるようになり、レノファは前から奪うこともできなくなっていき、徐々にお互いがボールは運べど試合は動かないという硬直状態に陥ってしまいました。

この時間高橋がある程度後ろを3枚にしてボールを動かそうとポジションを下げていましたが、残念ながらここを使ってのビルドアップではなく、高橋をあげてCBとGKで山形のファーストラインを突破することを試みていたようで、高橋は位置を上げることを指示されていました。ただ、この山形が前線を変えた60分あたりからレノファは後ろから丁寧につなぐことをしなくなっていったように思えました。ある程度ロングボールでもゲインをすることが時折できていたからなのか、仙台戦の後半のようにサイドのCBを余らせてそこから持ち運ぶことを自ら放棄していたように思えました。

また桑原が高木になった際に気になったのは高木の良さが出せていない起用であること。霜田さん時代よりこの位置でプレーをすることがあったための起用であると思いますが、効果的な位置取りができていないためボールも特に回ってくることもなく、汗かき役としてしか存在感を出せない形になってしまいました。

例として83:50のように前線へ高木は上がってきておりましたが、たしかに彼の良さはゴール前とは思いますが、この場ではもっとWBとして幅をとり相手を広げることにあったのではないかと思います。同じように右サイドからインサイドへボールが渡り左サイドへ展開する流れであった53分のシーンでは桑原はサイドに張りカットインからシュートまでいきましたが、この83分のシーンでは残念ながらボールが高木にはまわってきませんでした。失点後の92分では高木が外に貼り、相手を広げておいて、そこに佐藤健へ戻したところでドンピシャの大槻へのクロス。やはり高木の得点力を活かすならせめてシャドウのポジションが良かったのではないかと思います。

そして皮肉めいたものになっていまいましたが、この試合唯一の失点を喫したのがレノファでした。押し込んだ状態ではありましたが、低い位置からの高木のゴール前へのクロスボールがラクラクとGKにキャッチをされてしまい、そこからカウンターになりその流れで失点をしてしまうという、発端をたどると自分たちの<拙攻>が起点となってしまいました。

ゴールシーンについてはヘナンの裏をつかれました。高木がうまくしぼり外へ誘導することができていましたが、高橋と寺門の股を抜かれるという相手を褒めたほうがよいゴールであったかと思います。

1失点はしてしまいましたが、この試合守備陣はよくやっていたと思います。確かにクリーンシートができればそれに越し事はないですし、名塚監督のおっしゃる通り最後寄せきれなかったかなど思いますが、それよりも先に点を入れることができていればこのようなシーンも生まれなかったと思います。攻撃陣の奮起を期待したいと思います。自分たちの時間であった前半の30分以降から後半の10分までの間、ここでなんとか点を取りたかったし、この攻撃をまた流れが変わった60分以降にも繰り出せることができていれば、とタラレバが尽きません。。。

 

3)

で、高橋くんです。今節はホントに守備での奮闘が印象的でした。正直スタメンはヘナン左で、生駒が右かなと思っておりました。しかし、彼ならではの運動量、競り合いの強さを見せ、この数年山形との数試合幾度となくやられていた加藤を抑えておりました。21分の加藤のダイアゴナルランについてもしっかり高橋が付いたことで、加藤の山田へのパスはヘナンがカットできましたし、31分にはイレギュラーのこぼれ球からの加藤の裏抜けについても走り負けずについていけたのも彼の真骨頂であったと思います。

また、前節目についたボール保持時の兒玉とのポジション被りなども目立たくなり、高橋アウトサイド、兒玉インサイドなどすみ分けができてきていました。

また、最大の見せ場だった田中渉からのヒールパスからの持ち上がり沼田へのパス。沼田の切り返しまで100点だったと思います。これも彼の機動力がいきたと思います。この2試合でどんどん自信を深めているのではないかと、次の試合に期待をしてしまいます。だからこそ最後の失点シーンが悔しい。。。

次節岡山戦はスタメン!ということを信じたいと思います。すっかりミーハーのようなファンになってしまってます(笑) もちろん、前節もそうでしたがファイナルサードに入ったときに存在感を出せるとよりレノファの中心選手にも近づけると思います。41分の左サイドから右サイドへ展開されたボールについてトラップが浮いてしまい、相手の接近を許してしまいました。このような場面でピタッととめることで、より自分に余裕を持てる展開になれば、もっと期待ができるのではないかと思います。

 

日付変わって昨日は等々力で偶然フロンターレモンテディオを応援している知り合いのサポーターさんに会い、この前の試合に勝ち喜んでいたとのことで、試合が終わってもまだ「ぐぬぬぬ、、、」といった会話をしてました(45分後には私達共々ぐぬぬぬでしたが)。やはり負けるのは悔しい!勝って色んな話を知り合いとしたい!と思いました。週末は強敵岡山さんですがホームでは追い込むことはできていました。次こそはやっってもらいましょう。祈・勝ち点3!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

栃木戦の後半が活きた? レノファ山口vsベガルタ仙台@維新2022年7月30日

渡部キャプテンの力強いインタビューでしたね。

「自信を持っていい。」などチームを引っ張る選手としての言葉が並んでいましたね。4連敗は免れた1分け。されど上位からの勝ち点1。しかも勝ち点0も覚悟をした試合でありましたので、よく勝ち点1をもぎ取ってくれたと思います。ただ、沼田が言うように悔しさはもちろんあると思うので、それは次の山形戦で結果として期待したいと思います。

では今節は下記について考えてみたいと思います。

1)先制パンチはできた。

2)仙台のストーンの位置?最後の最後でニア。

3)頑張れ高橋くん。

得点者

山口        仙台

22分 沼田     34分 中山 

90分 渡部     38分 富樫

 

1)

今節も3バックを踏襲してきましたね。前節栃木戦では「相手の形に合わせた」という言い方を名塚監督はされておりましたが、今節は「今いるメンバーでどうやったらしっかりとプレッシャーをかけられるか」ということでこの布陣に。

仙台の原崎監督の試合後インタビューで「自分たちの用意してきた形と違う形でプレスを掛けられた。飲水タイム後からは問題なかった」という旨の談話がありました。

僕はまた4−3−3に戻すのかな、と思っていましたが、名塚監督が用意したのは3−4−2−1の形。

仙台は4バックにダブルボランチを混ぜた形でのビルドアップを序盤は行っておりました。4−3−3で挑む場合はレノファはIHのどちらかが主に池上や山瀬がワントップに並び4−4−2のような形になりますので、その対策を考えてきていたのかなと。片方のボランチが降りて、一人中盤を釣りだして、その空いたスペースにSHが入ってくる、とかだったのかな。。。

まあ、この仙台にたいして梅木がCBに対してプレスをかけ、シャドウの高井と沼田がCBやSBを両方見れるような形で割と中を固めます。相手のボランチに入れば、シャドウとボランチで潰すといった具合でした。仙台のSBに出た場合はシャドウ、WB、サイドのCBが仙台のSHまでスライドするなどスムーズにできている場面もあり、先制点は相手のCBとボランチのミスをつけた形でした。

この数試合でみられて、試合直後から相手へフィットできていない、ということではなく、狙った形で奪った先制点。いつ以来だったでしょうか(笑)。シュートはラッキーでしたが、狙いを持って取れた先制点は今後も見ていきたいです。

しかし、飲水タイム明け仙台は形を変え、RSB4蜂須賀を一列前に上げ、LSB41内田とCBで3バックのような形に。蜂須賀がビルドアップの際の抜け道のような形となってしまいました。蜂須賀がボランチの脇でボールを受ける。左サイドもやはり段差のあるLSB内田に沼田が行けばそこにボランチが落ちてボールを引き取るなど難しい対応が続いてしまいました。

後半は沼田をツートップのようなかたちで上げて高井をサイドハーフのような位置に落としてこの形に対応するようにし、ある程度前半よりは整理ができるようになったように思えました。(60分くらいから仙台のペースが落ちたようにも見えたのでなんとも言えないところはありますが)

 

2)

レノファのボール保持はどうったか?これも前半は割とわかりやすくRCB27高橋がSBのような位置まで上がっていました。時々佐藤謙が降りて3枚で回すようなシーンも有りましたが、さっと叩いて終わり。といった感じで、割と渡部、生駒の2枚とGK31寺門で回そうとしていました。

両サイドの桑原、高橋は下がりすぎず相手のセカランドラインを意識していたように思えます。ただ、ここで兒玉が浮くのではなく、ポジション迷子のような形になり、高橋とポジションが重なる場面もでており、インサイドでのプレーもそこまで得意ではないため、右サイドは展開はできても崩しきれない場面が見られました。

そこで後半は自陣へいる場合は27高橋がそこまで上がることはせず、3バックの形で回すようになりました。

兒玉の位置がWBとして幅を取るという形ではっきりしたこともあり、後半ようやく試合に絡めるようになっていったと思います。

左サイドについては高井がやはりキーマン。先制点のところもそうですが、やはりサイドに貼るよりもスタートは中のほうがやりやすそうです。ボールを引き取ること、WGで孤立するよりも味方のサポートもあるので、敵も飛び込みにくくなり、より彼の良さが出せていたと思います。特に59分のカウンターのドリブルは流れをレノファに変えた好プレーでした。

そしてきれいにビルドアップでゴール前まで迫れたのが64分。

GK寺門がボールを保持し、そこに42富樫がプレス。佐藤健が落ちてきてボールを受け渡部へ。そこから持ち運び、佐藤謙は同レーンの先に位置し、仙台の18氣田と44中島がここを消しにいきます。しかし、その裏を付き沼田がその空いた中央のスペースへ移動し、渡部からボールを引き取り疑似カウンターのような形。高井→佐藤→高橋→梅木といった形でコーナーキックを取りました。

この試合レノファのコーナーキックは5本。前半45+3分と67分、78分、88分、89分。

順に追っていくと、まず前半のアディショナルタイムのところ。仙台のストーンの位置はゴールライン上。レノファの高井、兒玉がキーパーの周りに立ち、簡単に前に出れないようにしてました。そこからショートコーナーで兒玉がファーに開いて、佐藤健からドンピシャのボール。結構決定機でした。

続いて上のビルドアップからの流れで取ったCKが67分。ここでもまだ仙台のストーンはゴールライン上。ただ、割とレノファがファーに人数を割いていたため、ニアに大きなスペースが有りました。そこに梅木が飛び込みクロスバー。生駒、高橋は押し込めず。

78分。この時67分のイメージが強かったのか、仙台のストーンはゴールエリアの中へその他のマンツーマンで付いていない選手もニアに入り気味。そこでW佐藤でまたショートコーナー。ボールはファーへ。こぼれ球にここも高橋。枠に飛ばせず。

88分。仙台の並びはほぼ同じ。対するレノファはCFタイプの大槻、岸田を投入。また、兒玉だけだったキーパー前に高木が入ります。ここはファーの渡部へ。クリアされてもう一度。

89分。仙台の並びは同じ。ただ、このときに高木がニアによりすぎている仙台の陣形を見て一気にニアのゾーンの前へ入り、山瀬もピンポイントでそこにボールを送りフリック→スクラム状態から渡部?のゴール。となりました。

前半からコーナーキックについては結構レノファは仙台に対してイニシアティブを取れていたと思います。もちろん、仙台のコーナーキックで桑原がだいぶキッカーの方へ立ちニアへの早くて低いボールなどを警戒していたと思われる中で、ファーのゾーンの外で高橋に競り勝たれ、中へボールを入れられ失点と、どっちもどっちかもしれません。

しかし、何回か試行をしていくなかで最後に取った策が「ニア高木のフリック」。アウェイ大分戦などでも得点をしている形なので、最後の最後で得意のニアでの形で点を取ったことは、大きな選手を増やしファーで勝負か?といったところでその心理状況をうまく逆手に取った素晴らしいセットプレーだったのではないでしょうか。

 

3)

以前アウェイ横浜FC戦で遠征メンバーとしてベンチ入りしていた高橋。試合後の振る舞いなど見てて、なんか頑張ってほしいな〜と思っていました。そしてついにこの試合累積警告で試合にでられない選手がでたこともあり、初スタメン。

試合後のインタビューで、CKから決定的なものを2本外してしまった、とありました。結果は残念ではありましたし、渡部の言うようにこの時期セットプレーなどでディフェンスの選手が点を取ることはチームとして大きいです。ただ、SBが本職で3バックならCBとしても振る舞える。今回のフォーメーションは彼にとってはチャンスなのではないかなと思います。背丈はそこまで大きくないですが、機動力は他のCBタイプの選手に比べて秀でる部分はあります。ジャンプ力もありそうですし。

失敗には終わりましたが、62分の兒玉との崩しのように、CBでありながらニアゾーンを取れるようなプレーを見せることができれば、それは武器にもなると思います。

この試合、生駒が同サイドの縦パスを、特に後半試みている用に思えました。Wボランチの2人はあえて見ないでまず縦パスを選択、という意識が見えました(54分55分など)。

生駒や渡部に比べるとあまりボールを触る機会は少ないものの、ボールが来た場合は割とフリーで前を向ける。高橋自身も「後ろの3人のうち一人は出口になる」というのを意識して後半プレーしていたように見えました。この出口となったときに佐藤謙や兒玉を見ていたと思いますが、その一つ前には抜け出すのが得意な沼田がいましたので、高橋からズバッとここめがけてのボールが入るのも、せっかくの3バックなので面白いのではないかなと思います。

妄想ばかり書いてしまいましたが、去年見た試合よりも堂々とできているなとファン目線で見ていたこともあり、次節ヘナンと眞鍋がもどってきますがまた試合に出てくれるといいなと勝手に思っています。

 

さ、次は山形戦。声出し応援の日のようで、感染状況など心配な側面はありますが、雰囲気の良い維新スタジアムで選手たちを迎え入れてくれることでしょう。

今度こそ勝ち点3!期待しましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

自分に矢印を向けすぎてないか? 栃木SCvsレノファ山口@カンセキ S2022年7月23日

きついですね。後半戦に入り、徐々に戦績が上がりつつありましたが、ここに来て完敗試合での3連敗。前半戦が終わりひと回り対戦が終わり対戦相手もこちらの出方のデータも集まり、対策を講じてきますが、今節のレノファの前半はあまりに無防備に栃木に飛び込んでいってしまったと思います。

またも試合当日のアップになってしまいましたが、下記について考えてみたいと思います。

 

1)余ってるし、ずらされるし。

2)渡邉さんの最初からそうしちゃえ論か?

得点者

栃木             山口

5分 オウンゴール        69分 生駒

14分 根本

 

今節の栃木の並びは3−4−3。予想フォーメーションであった5−3−2とはちょっと変えてきた形でした。中央の32根本がアンカーの佐藤謙をマーク。右の29矢野、左8高萩の元日本代表コンビがCBとSB双方をみる形。

それぞれ中盤は噛み合わせて、栃木のWBはレノファのWGを見つつ、レノファのSBが高い位置で浮く場合はSBについてきました。そしてCF梅木に対しては16グティエレスが付いてきました。ここで空いていたのが栃木の両サイドCB15大谷と18大森。WBがレノファのSBがスライドすればWGに付いたり、浮いたIHに付いたり、裏へのロングボールなどにも対応するなど、レノファの手詰まりの前半の要因の一つでした。

またその両CBは栃木のボール保持の際も誰がみるのか?というとこで惑わされていました。1失点目ではボールが奪われたところから栃木のポジティブトランジションで18大森はすかさずタッチライン際をスプリント。このサイドで高萩、福森に加えて大森が加わることで数的不利に。高木、生駒ともどることはできましたが大森が上がった分、ボールホルダーへ付ききれず逆サイドへきれいに振られてしまいました。

ボールの保持、非保持時ともにレノファの重心が低くなればなるほど、このCBが浮いた状態となり、こちらは混乱をきたし、栃木は余裕を持てる展開となっていました。

また、前半は栃木のサイドチェンジにも苦しむ展開となっていました。

例としてSB生駒がWB福森につくと、LWG高萩、CF根本がその空いた場所を狙ってきます。そこに眞鍋、ヘナンがそれぞれ対応すると矢野があいてしまうというシーンが散見されました。桑原がそれに対応するために、中をしめる形になりますが、そうするとその奥のRWB黒崎がどうしても浮きます。高井が戻る形で対応をしようとしていましたが、陣形としてはすでに崩されており、2失点目は高井と桑原の間をキレイにスルーパスを通されたところからでした。

この失点直後11人がフィールド中央で話し合っており、フィールド内の混乱を物語っている光景でした。ただでさえハイラインを敷いている中でターンやフリックで裏は取れる、大外のWBが捕まらないなどよく2失点ですんだなという前半でした。

 

2)

そして、後半ですね3-4-2-1にシステムが変わります。やり方や並びなど変わらない!と何度もこのブログでは書いておりましたが、大変失礼いたしました、変えてきました。

この3−4−2−1にすることの目的として守備で数を嵌めるためとのことでした。後ろも前も栃木の3人にそのままレノファも人をあてることで、栃木の浮く選手がなくなりました。56分のように16グティエレスから3黒崎へのロングボールなどにも桑原がしっかりついていっており、マークの整理ができるようになっていました。前半浮き気味の栃木の両サイドのCBについてもシャドウとして入った高井と沼田がつくことで整理がされました。

そして守備がある程度整い、安定したことで攻撃も形が作れるようになりました。まず後ろからのビルドアップ時にダブルボランチになることで、前半栃木CF根本はアンカーの佐藤謙を見てればよかったですが、隣に田中渉もいることで根本のファーストラインとしての効果が薄まりました。また栃木のダブルボランチの脇あたりに高井が降りてくることで、ビルドアップの出口として機能し始めました。

高井のボールを収められ、インサイドでのプレーができる力、沼田のその周りを運動量を生かして衛星のように相手に捕まらない動き、とそれぞれの個性が発揮できるような形となったと思います。

本来であれば4−3−3の形のときにすでにこのような形を作りたかったのかもしれませんが、渡邉前監督の著書の「ポジショナルフットボール実践論」に書かれていたようなポジションの被りが発生。特に左サイド。ボールを触りたい高井がおりてくる。桑原は前に行きたいが高井を追い越したほうがいいのか、近くでサポートをするのがいいのか中途半端な立ち位置。。田中渉も自らターンをして相手を交わすなど良さは見せつつも2人との息がなかなか合わず、距離感も測りかねているように見えました。

渡邉前監督の仙台は違う問題(あえて記述はさけます)でそういう形になってしまうなら、3−4−3に最初から変えてしまおう。そうすることでワントップの孤立やツーシャドウの役割確立ができた著されています。この栃木戦のレノファも相手を見て、システムを変えたことで、特に桑原の推進力と高井のキープ力が発揮できるようになり、後半の反撃となったと思います。

今後この形が採用されるかはわかりませんが、「自分たちのサッカー」とベクトルを自分たち自身に向けることはいいことですが、やはり相手あってのスポーツ。2失点を喫して45分経ってからの受け身な修正ではなく、能動的に自分たちのやり方を柔軟にしていくことがシーズン終盤に向けて求められていると思います。

後半は名塚監督はテクニカルエリアに出ず、ベンチに座っていることが長かったと思います。現地では気づかなかったのですがDAZNを見てたら栃木の時崎監督をよく見るが名塚監督出てこないな、と見てて思いました。なにか考えがあって戦況をみていたのかもしれません。仙台戦なにか変わるのでしょうか。

個人的に後半好きだった展開をちらっと話して終わりたいと思います。62分のところですね。眞鍋から佐藤謙へボールが渡ったところ。

高井が「箱」の位置にポジションをとり相手をピン留め。沼田がそれを見て裏へ抜け出したシーンです。ゴール裏で見てて、レノファの選手はいろいろ動こうとするのですが、栃木も後半ある程度割り切って後ろのスペースを埋めるような配置にしていたので、あまり栃木の選手がスペースを空けてしまうシーンは少なかったように見えました。この62分のシーンのように相手を留めることで、もともと空いているスペースを使うようなことができてくればまた違った色が出てくるのではないかなと思います。

 

この試合では佐藤謙がたくさん走って、高井や田中渉のスペースを作ってました。得点シーンはむしろ自分で空けたスペースの先にいる田中渉を使ってほしそうでしたが、まさかの眞鍋からパスが出てきており、目はまだ揃ってないなという印象。交代策にしてもここを神垣あたりに変えてあげたほうが。。。とも思いました。田中渉が出れない仙台戦、誰が中盤を引っ張るでしょうか。神垣あたりには奮起がもとめられそうです。

とにかくホームですし勝ち点3を期待しましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略

 

やり続ける、練習する。だがもう27節が終わっている。ロアッソ熊本vsレノファ山口@えがお健康S 2022年7月18日

今週の火曜日や水曜日、九州や山口では大雨だったようで、チームの皆様、観戦帰りの皆様大丈夫だったでしょうか。

勝って帰ることができてればそれくらいは。。。など思えてしまうのかもしれませんが、(思えないレベルの雨だったと知人から聞いてます)かなり結果・内容が今後に不安を残す試合だったと思います。

日付変わって今日はアウェイ栃木戦ですし、サラッと振り返ってみたいと思います。

1)新潟同様しっかり対策されたときの手詰まり感

2)大苦戦を2回繰り返した。3度目の正直?2度あることは3度ある??

熊本1-0山口

得点

熊本         山口

75分 高橋      なし

 

1)

前節の新潟は鈴木・高木の2人でCB同士でのパス交換や、SBから逆サイドのCBへ送る小さなサイドチェンジを許さず、コースを限定することで山口のパスの出どころを潰してきました。

今節の熊本は全体的に前からマンマークをかけて来て、レノファのつなぎを潰してきました。まずここで後ろからのビルドアップが封殺されてしまい、新潟戦同様ロングボールで活路を見出すことになります。マンツーマンでついてくる分、山口の前線に対して熊本の後ろの人数は同数と薄い状態ではありますが、審判との相性なのか序盤に久々の先発の梅木はファウルをいくつか取られなかなか収めることができません。

ではサイドの高木・沼田の裏抜けを狙うものの単騎での突破が中心になり、クロスをあげようにも中が間に合っていなかったり、もう一度やり直すことになるなどリズムを生むことにはなりませんでした。

リズムの悪さはスタッツにも出て、前半のボールの支配率45%もさることながら、パスの成功率も72%。試合を通すと1ポイントさがり71%となお厳しくなっていました。

ロングボールを使うにしても、ターゲットの近くに誰かを配置するということもあまりできておらず、WGは単騎での突破になり、CF梅木には山瀬はレイオフしたボールを受ける位置にはいましたが、縦への意識のためか、裏へボールを送ってしまい繋がらない場面もありました。

そのため30分あたりからはゴールキック時にはディフェンスラインごと上げて、ゴールキックのセカンドボールを回収する方に切り替わっていました。

また、守備対応に対しても開始10分あたりまで熊本CH6河原を経由させないように山瀬がつくことで、熊本の攻撃を早い段階で外回りにさせることでコースを限定させることができていました。が、WB?SH?15三島らがその脇へおちてくるプレーを挟んで来た場合、ここから逃げ道を作られてしまったりと徐々に劣勢になっていきました。

特に左サイドでなかなか難しいところもありました

試合後インタビューで名塚監督が仰っておりましたが、熊本得意のというか大木監督得意の局地的に数的優位を作る場面や、SBがなかなか出にくい場所へ相手のWG?SHの選手が位置どることでレノファの選手たちは誰が付けばいいのか?といった状態になり、CBが前に出ていればそこのギャップをついて裏抜けを熊本の選手は行うなど、相手に合わせて対応をするというよりも、ただ相手が行ってきた攻撃に耐えるような90分を送ってしまったように思えます。(諸事情があり、右サイドで攻め込まれているシーンを図解してます)

後半多少左サイドのところは整理されたと思います。おそらく18杉山に対して石川が前半より前からついていくようになり、その空いたスペースについては全体的にしぼることで対応していたように見えました。ただ、そこにターレスという、付いてくるなら爆速でその裏をつくといった解決策でまた混乱をしてしまいました。

そして失点シーンについてはこれも前節からかなり顕著に目立っているパスミスから、裏への抜け出されてのPK。この失点シーンに限らずビルドアップに窮するところの他、そこはつなぎたい。。。という場面でもミスも目立っていました。

また前半から何度か出てしまっていたオフサイドの取りそこね。ヘナンの対応ミスもありましたが、SBのラインのズレ(前半32分など)が招いてのオフサイドの取り損ねとチームとして能動的に攻撃も守備も行えていないと感じさせるものでありました。

 

2)

前節「自分の責任です」と新しいワードがでたな、、と思った名塚監督語録。今節は残念がら「やり続ける」「トレーニングする」「クオリティーを上げる」といったいつもの言葉が出ておりました。前にも書きましたが、このチーム自体はそこまでやり方を変えるような器用な一面はおそらくないので、今の形を突き詰めるのが”このチーム”の最善策であると思います。(”このチーム”でなくなるなら話は別ですが)

では、栃木戦・今後どうしていくのか??フォーメーションなどは特に変わることはおそらくないと思いますので、チームとして練度を上げるのか?個人戦術に任せるのか?となります。

そこで白羽の矢を立ったのが高井の獲得だったと思います。ではどう高井をチームに組み込むのか?残念ながら今節のLWGでは彼までボールを届けるところまで行かず、もう少しボールを触らせてあげないと彼の良さは発揮されません。

熊本のようにインテンシティ高く来る相手に対しては池上がいないIH事情を鑑みれば、ボールを収められる高井がIHに来ることも一つの策であると思います。ただ、このポジションをやるのであれば、もう少し守備局面での貢献は求められます。

高井が今節のようなLWGでの起用が続くのであれば、梅木のCFももう少し続くかもしれません。前半こそ審判の笛にナーバスになっている場面がありましたが、後半はだいぶボールを収められるようになってきていました。梅木・高井・田中あたりでロングボールでもマイボールキープができるようになれば、相手もビルドアップ時にもっとレノファの前線にも気を割く必要がでるので、重心が多少後ろに行き、DF陣へのプレッシャーも和らぐことにもなるでしょう。

大木監督がアライバルインタビューで言葉を選んで「(レノファは)いい意味で継続してやっているんじゃないかと思う」と仰ってました。まあ、いい意味でも悪い意味でもこのチームは継続していくでしょう。だからこそ、新潟や熊本のような対策を講じてくるチームも増えるでしょうし、そこを乗り越えていかなければなりません。

気付けば今シーズン3分の2が終わってますし、どこまで上乗せができるかは監督・コーチ陣にかかっているかと思います。栃木戦はこの大苦戦したこの2戦の回答が栃木戦で見れる!と期待をしたいと思います。

久しぶりにまたスタジアム参戦したいと思いますので、目の前で山口一番ができるのを楽しみにしたいと思います。

ネガティブなことばかり書いてしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

文中敬称略

J1・プレーオフ圏内への道険し。。。レノファ山口vsアルビレックス新潟@維新S 2022年7月10日

いや~力負け。手も足も出ずというか、出そうとしていなかったように思えた前半が本当に悔やまれます。

J1昇格を目指す、とクラブ・チームとして目標を掲げているうえで、まざまざと「まだ早い」という現実をたたきつけられてしまったような試合でした。

この試合で名塚監督が選手に託せなかったもの、託したけども実行ができなかったものを考えてみたいと思います。

1)プレスが全くできませんでした。それは私の責任です。そこは練習します。

2)ビビらずにやってほしいところ。

山口 1-3 新潟

得点

山口      新潟

90分 梅木   45分 鈴木

        50分 鈴木

        73分 伊藤

1)

名塚監督が就任されてからあまり聞かなかったフレーズだなと感じたのがこの言葉。敗戦時は「もっとトレーニングをする」「まだ甘い」といった言葉が並んでいたと思いますが、第1声でこの「私の責任」という言葉が出たということは、かなり気にされていたのかなとまず邪推しました。最後にそこは練習します、といつものフレーズが付け加えられてますが、私の責任が先にきたの個人的に気になりました。

ただ、試合展開を考えればそれは納得だったと思います。ホントにプレスがかからなかった。

まず試合開始直後からレノファはボール非保持時いつもの4-4-2の陣形をとります。田中渉が1列前に上がり、佐藤謙と神垣でダブルボランチのような形。

対する新潟はCB2人に加えダブルボランチの一角の高が下がり気味のところに構え、GKの小島も積極的にビルドアップに加わってきます。ここに大槻、田中渉が新潟のボランチを消しながらプレスをかけようとしますが、GK小島に渡されたときに片方のCBと高は消せるがもう片方のCBが空く。ここから前に進まれる。「じゃあどうしようかな」という形で高を消しつつ両CBを見ていると小島から展開をされる。といった具合に前から行くのか、はたまたパスコースを制限して蹴らせるのか?という狙いが見えにくいまま、「どうしようか」が解決されないままやられたい放題に近い形になってしまっていました。

飲水タイム明けに高に対して佐藤謙がつくようになり、ようやく前の二人もCBを背中で消す形でGK小島までいけるようになりました。

ただこの修正を行っても、プレスの出力が上がらず新潟への解決策とはなり切りませんでした。

25:35のシーン。そこまで悪いとは思いませんでしたが、分かりやすい場面だったので取り上げてみます。

GK小島がボールを保持。田中は舞行龍につき、大槻は高に寄りながら早川へも行けるような体制に。画面には映ってませんでしたが、佐藤謙が上がったのを確認し19星は佐藤謙がいた場所をより空けるように、中側からハーフスペースあたりまで移動することで神垣を誘導したと思います。そして、ボールが早川へ渡り、そこから佐藤謙、神垣があけたところを9鈴木が落ちてきて早川からボールを引き出します。星はこの時渡部が吊られて空けたスペースへスプリントを開始しており、渡部はもうここでつぶすほかない状況になっていました。

この渡部が何とか止める、といった行動の前に大槻が早川へもう少し強めにプレスをかけることで余裕をもってパスを出させないことができれば、このシーン変わっていたかもしれないと感じました。

前半はとにかくボールホルダーへ行き切る、奪いに行くという姿勢がかなり消極的になっていたと思います。連戦の疲れなどもあったかと思いますが、付いていってはいるが特に制限ができているわけでもなく、その前の制限しきれなかったところのツケを後ろがファウルや関のスーパーセーブで払うような形になっていました。

これは前線の選手の責任ではないですが失点シーンはパスミスからのカウンターで常にボールホルダーへは寄せられず、相手の追い越す動きなどについていくことしかできずにゴールを奪われてしまったのは、新潟が前半ずっと行ってきたことが集約されていたゴールであったと思います。

後半よりボールに対して強くいく姿勢を出していくようになりましたが、後半開始から5分でセットプレーからの失点をしてしまい、ゲームがより難しい状況になってしまったのはただただもったいなかった展開でした。

選手がプレスを遂行しきれなかったという面はあったかもしれませんが、まず選手達に託したプレスの案について監督•コーチ陣もエラーを起こしてしまっていたと思います。

 

 

2)

試合開始直後からレノファはなかなか守備が嵌らずというか、定まらないままの状態で新潟にペースをつかまれてしまえば、おのずと攻撃もちぐはぐになってしまいます。

いくつかJリーグ公式サイトから選手談話を引用させていただきます

【公式】山口vs新潟の試合結果・データ(明治安田生命J2リーグ:2022年7月10日):Jリーグ.jp

よりプレッシャーに強く行かないといけないという気持ちで全員がやっていた。

新潟CH19星の言葉の通りレノファは新潟のプレスに飲まれてしまいました。新潟もレノファ同様に4-4-2の形でプレスに来ていました。特に形としてはCBに入った際に、もう片方のCBには入れさせないように横から中切りでプレスをかけに行きコースを限定させます。

このような形で最前線からしっかり新潟はボールの出所を制限することで、後ろのプレーヤーがレノファの選手を捕まえやすくなっており、ボールを奪う際は強度を持って対応してくるため、名塚監督のいう「びびってしまった」という状態になってしまいました。短くつないでもとりあえず逃げるパスになってしまい、次の選手も出すところがない。プレッシャーからパスミスをしてしまう。せっかくの自分たちのボールになったにもかかわらずあっけなく相手に奪還されるシーンも前半は目立ちました。

このトランジションの質については田中渉も言及していましたが、

チーム全員が奪ったあとの切り替えのポジショニングのところで、誰一人サボってはいけないと思う。

守⇒攻へ移る際に、常に相手が近くにいる場所でのやり取りになり、再度ボールを奪われるなど悪循環にもなってしまっていました。

こうなってしまうとロングボールに頼るシーンが増え、おさめどころは高木となり、この試合攻撃のパーセンテージは半分が右サイドという今期のレノファの試合としてはかなり珍しい数字が現れました。

名塚監督の「新潟はGKも含めてビルドアップしていたが、自分たちは嵌りにいってしまう」とGKまでもう一度戻してということを考えていたようです。30:30のところでヘナンが関に戻したところで「good」と聞こえます。

確かに佐藤謙を含めて相手CFのところで4対2を作り、ミドルサードまですぐに出ていける試合もありました。また、橋本が多少落ちて3バックのようにし、生駒がインサイドに位置どる試合もありましたので、このようなことをやってほしかったのかなと思います。

しかし、前半関が持った際にはあまりプレスに来ず、CBに行くまで新潟の鈴木・高木善は待っていたようにも見えましたので、どうなっていたかな、というのはあります。

35分あたりから神垣が右サイドへ落ちて、生駒を押し上げてビルドアップに加わるようになり、何度か前進をさせることができていたので、この試合で言えばもう少しIHやSBの位置をずらすなどし、相手の4-4-2の形を崩すことをしないと厳しかったのではないかと思います。この問題については今節に始まった話ではないですが。

 

個人的にもう一つ名塚監督が託したことで出来ていなかったのが、右サイドから左サイドへのサイドチェンジ。もう少し詳細に言うと、CB渡部やRSB生駒からLSB橋本やLWG沼田が高い位置で受け取るサイドチェンジ。

ストロングの左を生かすために、右サイドに相手を引き付けておいて、相手のセカンドラインを超えるようなボールでのサイドチェンジ。幅を使うことで相手に逆サイドへスライドをさせ中のマークをずらす。相手も人数を多く割けないので、沼田・橋本の関係や田中渉も加わり、左サイドを攻略することはこれまで何度もやってきていました。

ただ、この試合ではサイドチェンジで敵陣深くまで入り込めたのは61分の渡部⇒沼田が最初だったと思います。63分には今度は生駒からのサイドチェンジで佐藤謙が加わり、ラッキーな形でしたが、橋本のクロスバー直撃のシーンが生まれました。

流石に新潟も後半はリードしたことや気候・疲れの問題もあり、前からの制限が緩くなり佐藤謙へのマークがだいぶ甘くなってきていました。また、高木善がLSHに入ったためか、高木大へのパスコースが空いており、お兄ちゃんの裏で弟がボールを引き取れるようになりました。ここまで前進すると新潟が撤退をしてくれるので、生駒や渡部にも時間ができるようになりました。そして上記のシーンが何回か出るようになります。

アウェイ仙台などでもそうでしたが、嵌められてしまった時の2の手、3の手がない場合チームとして詰まる。これはシーズンを通しての課題となっており、この答えが出せないともれなくカウンターでの失点を食らうというのがお決まりになりつつあり、なんともプレーオフ圏との勝ち点差8よりも降格圏との勝ち点差8のほうがちらついてしまいそうで怖いです。

明らかに完敗の試合ではありましたが、こういう試合でも勝ち点1を拾うなどすることが、伸び盛りの若い選手には良い経験・自信になるかと思います。監督・コーチ陣にはうまく建て直し・上乗せを期待したいです。

 

さて、そんな状況でも次の試合は来ます。天皇杯は敗退してしまったので、相手も同じですが休養十分で熊本戦へ望めます。どうせフェイクニュースでしょ?!と思った高井の復帰。どこで使われますかね。左のウイングかな~。沼田流出が前提?など要らぬ心配などもしてしまいますが、レノファについて知ってるJ2で二けたゴールをしたことがあるFW。救世主として肩書は十分です。結果を残してもらいたいです。復帰直後の梅木のゴールもFWとしては乗ってくるよいきっかけにもなったでしょう。

田中渉が獅子奮迅のIHにも補強が欲しいところですが。吉岡IH使って!なんて声も散見されますね。レノファ一体(パクリです)でこの厳しい季節を乗り切って行ってもらいましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略)