レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

渡邉レノファ初陣『維新とは勝つ場所』 レノファ山口vs松本山雅 2021年2月28日 @維新

開幕戦は宝箱をあけるような感じ

 

中村憲剛さんが2月27日のJ1の試合の解説で話したフレーズです。

霜田体制から渡邉体制になり、陣容も大きく変わり、開幕を上記の気分でわくわくして迎えた方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。

 

遅くなりましたが、はじめまして。黒津と申します。東京在住のレノファ民として5年間遠方より応援をしておりました。

今年に入って渡邉監督の著書を読み、今年のレノファはどんなことが起こるのだろうかと楽しみになり、備忘録としてもこのblogで書き残しておきたいと思いました。

まだまだ勉強中の身なので『違くない?』『私はこう思っている』などあればどんどん教えて

いただければと思っております。

 

では、今節について振り返りたいと思います。

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両チームフォーメーション

今期より4-4-2へ変更。移籍組が11人中8人と新しいチームを強く感じさせてくれる布陣になりました。

昨年最下位であったもののJ1経験者(監督も選手も)が加入するなど良いオフシーズンを過ごしたレノファ。ただ、松本も良い補強に成功したクラブです。

去年の監督変更より安定した布陣、レンタル組の完全移籍への移行(前、常田など)、新加入選手(山口、表原など)も加わりJ1復帰への本気度がうかがえます。

特に去年水戸に所属していた山口にはやられてしまってましたね。(今節は怪我で欠場。)

 

さて、強敵松本を維新に迎えた初戦どのようにレノファですが、結果は0-0のゴールレスドロー。個人的にはとてもポジティブにとらえることができました。

最後の惜しいシーンもありましたが、僕の感想としては『なんでロングボールに草野と石川、澤井が走りこんでいるの?』『石川は右サイドにいたよな?』など色々な発見があり楽しむことができました。

下記の3点僕が感じたことを書いていきます。

1)昨年崩壊をしていた守備の改善は見られたのか。

2)攻撃についてはどのようにするのか。

3)今後の課題は?

 

1)守備面

去年は前線からのハイプレス。局地的に数的優位を作り奪い返すことを目的にしておりました。それが功を奏して得点になることもありましたが、多くは敵陣に引き込まれて、前がかりになってしまったところをディフェンスラインの裏へ通されてしまい失点。

人に強めに付いて行ってしまうため、左右に守備陣形が振られてしまったときにマークがずれてしまい失点を重ねてしまっておりました。

 

今年は、FWの31草野が前から守備には行きますが、あくまでエリアの誘導。サイドへ追いやるくらいで、チャンスがあれば取りに行く程度にとどめ、ディフェンスラインはしっかりと前がかりになりすぎず、敵を向かいうちます。そのため昨年のように裏に通され背走する場面はかなり減りました。
相手がサイドから攻撃してきた際は、守備陣はそのサイドにより逆サイドはある程度空いてしまいますが、攻められているサイドについてはしっかり人数を割いて守ります。

また、ボールを奪われた際の切り替え、ネガティブトランジションについてもかなり早く動けており、守備の安定につながりました。危ない場面もありましたが、渡邉監督も試合後のコメントで守備の手ごたえを感じており、昨年の失点数よりは減ることが大いに期待できそうです。

 

2)攻撃面

前半はかなり苦戦しました。おそらく今日の狙いは松本両WBの3田中・17表原の後ろのスペースへの侵入だったかと思います。いかにこの2人を動かして31草野・46高井の両FWが侵入し、そこを基点に攻め込む。

しかし、松本の両FWの間に8佐藤謙が立ち、その前に5佐藤健が位置し、山口のSBかSHがサイドラインで幅をとっていましたが、いかんせん松本のまえの5角形+SBにつかまるシーンが続き、苦し紛れにロングパス。13楠本が右前方へ蹴るシーンが目立ちました。一例ですが6渡部がボールを持ったシーンをあげると、渡部より8佐藤謙にパスを出す。ただ、彼は前を向くのがむずかしいです。確かに中間ポジションをとり、松本のFWどちらかをおびき出すことはできますが、守備陣形で崩れるわけではなく、前を向いても松本の2列目が待ち構えており、前進しません。

SB44石川に出したとしても、ここは松本の5前にプレスをかけられ、前方を向いても外に追いやられるようにプレスをかけられているので、7高木に出す以外のコースがなく3田中の包囲網にひっかります。そして前線に蹴ったとしても松本の3CBは大して崩れておらず跳ね返されてしまいます。

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相手守備網

39分には、左サイドからパスをつないで右サイドへサイドチェンジをしましたが、幅を取っていた11島屋への13楠本からのパスがずれ、島屋は相手に背を向ける形でボールを受けます。

この時おそらく松本アンカー38佐藤の脇は空いたスペースになっているので、そこに14澤井が位置し、38佐藤・43常田を牽制することで、11島屋と17表原の1対1のシーンを作ります。カメラアングルであまり見えなかったのですが、島屋が中に寄せてしまったのか、単に楠本のパスがずれたのか測りかねるところがありますが、ワンタッチに前を向け突破のチャンスがつぶれたうえ、強引に突破を図った島屋は止められ、結果的に負傷交代になる痛いプレーとなってしまいました。

位置的要素で相手を惑わす渡邉監督の意図が見えましたが、選手間の意図が統一されていなかったり、パスミスが起こっていたりとうまく行かない前半でした。そして後半ですが、佐藤謙・石川・高井の位置で相手をずらします。

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後半50分の立ち位置

明確に8佐藤謙をCBの間もしくは左サイドへ降りさせて、最終ラインを拡げてビルドアップを始めます。5佐藤健は相手の5角形の中にとどまりそれぞれを牽制したままにします。

そして両SBを松本4安東・5前の位置よりもあげます。GK21関もより交えてビルドアップをすることで松本の前線4人の距離を拡げていきます。前半に5前・3田中に簡単に捕まえられてしまった44石川でしたが、立ち位置で二人を惑わします。

49分まずそこに46高井の位置でボールが収まるようになります。GKの21関から一本で高井にパスが通ります。受けた位置は松本38佐藤の脇、33大野の手前と空いた位置に入ります。

続けて50分にも13楠本から(かなり危うい体勢からでしたが)、同じ位置で高井が受けます。ワンタッチで44石川→7高木へとボールがつながり、結果的にはやり直しますが、簡単に松本のセカンドラインを突破することができました。

 

ここからは松本の疲れもあったのでしょう。主導権を握りボールが回せるようになりました。
SHの7高木・10池上が幅を取り、松本38佐藤の脇のハーフスペースにSBの44石川・14澤井が侵入します。この侵入によって松本のマークが乱れ、この山口のSBに松本のRCB・LCBが吊られて、幅を取っているSHに松本のWBが吊られて前にでる。そうなることで山口のロングパスが松本のWB裏に届けられます。草野の飛び出しがようやく奏功していきます。

面白いのが最初に書きましたが、これをフォローするのがSHではSBなく14澤井であったり、飛び込むのが44石川であったりと攻撃が好きな二人のSB。特に石川は後半縦横無尽に走り回ってました。

強化指定の橋本も入ってくると思うと、ポジション争いが楽しみです。

 

3)課題

試合後のスタッツを見ると攻撃が右サイド40%、真ん中20%、左サイド40%の割合でした。ただ、岸田選手が入るまで真ん中はあまり効果的に使えていなかったと思います。唯一54分に8佐藤謙→46高井でシュートがあったくらいではなかったかと。

そのため2トップの草野と高井のコンビネーションも見られず。昨年よくやっていたフリックのようなプレーもなかったです。サイドをずっと突いていれば、中が疎かになるタイミングはうまれるはずなので、そこを使えるようになるとよいかと思います。

ただ、まだ始まったばかりですし、次の琉球はこれまた昇格候補の磐田に勝っています。引き続き応援し選手の躍動を楽しみにし、「維新とは勝つ場所」をまず1つ達成をしてほしいと思います。