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今年の自分たちの最低限? ブラウブリッツ秋田vsレノファ山口 @ソユーS 2023年4月1日

3連敗でストップですね。まず勝ち点3を取れたことが何よりだったかと思います。

ちょっとこの人は流石に怪我だろうな。。。という印象もありますが、4人の選手が今季初のメンバー入りと何かを変えようという姿勢が見えた人選だったと思います。代わりに入った選手も北九州とのTMで結果を出した選手だったと思いますし、こういう競争は今後も起きていってほしい現象です。

では今節は下記3点です。

1)強風と芝

2)ターゲットとスペース

3)ゾーンの大外か、ゾーンのニアサイドの外側か。

 

 

得点者

秋田          山口

なし          64分 生駒

 

1)強風と芝

海岸に近く普段から風が他の競技場よりも強めの秋田のホーム、ソユースタジアム。

下記気象庁の過去データから見ると14時から16時は風速(m/s)7.1mと6.5mとかなり高井数字が並んでいました。昨年の7月2日14時からは4.3m、3.8mというものと比べるとだいぶ高い数字でした。(※秋田ホームの千葉戦と水戸戦も同じくらいの強風でしたが)

気象庁|過去の気象データ検索

この強風が原因のためか、まず秋田が前半サイドを変更しました。コイントスの様子はDAZNで流れてませんでしたが、前半にレノファがキックオフをしていたので、陣地の選択は秋田が行ったことになります。

では、なぜ変えたか?それは上述しましたが、千葉戦と水戸戦も同じくらいの強風が吹いていました。言ってみればホームの利のようなものでしょうか。この風については秋田は慣れています。そのため前半で得点をし、そのまま逃げ切ることをプランにしていたと思います。試合後インタビューの吉田監督の「(前半を振り返って)ゴールを奪いたかった」というコメントは惜しい場面があったからでもありますし、そもそもそういうゲームプランであったと考えられます。

コーナーキックやロングスローなどセットプレー。そのセカンドボールを拾ってからの右サイドの突破からのクロスで秋田はレノファゴールへ迫ってきました。右サイドのキーマン中村が欠場であったものの、RSH24小暮、RSB22高田の鋭い縦の突破に対して、レノファLSH小林は守備に多くの時間を割くことになり、後半早い段階での後退を余儀なくされてしまいました。また40青木をターゲットにしたロングボールでもゲインを許してしまい前半15分以降は多くの時間をレノファ陣で過ごすことになってしまいました。

 

で、レノファ側で事情を考えてみましょう。どのように試合前は想定をしていたかはわかりませんが、狙いとしてはいつものように相手のSB裏を狙っていました。ショートパスで繋いでいくのではなく、手数をかけずにボールを送り込もうとしていました。

しかしここで風です。ソユースタジアムの芝が他のスタジアムに比べて長くボールが走りにくいということもあり、ショートパスではなくミドルパスやロングパスを選んだのかもしれませんが、ここで大きく算段が狂ったようにボールが風に押し戻されます。

まず押し戻されることで困ったのは、ロングボールなどが押し戻されたり、スペースへ的確なボールが送ることができず、うまく前線の選手がおさめることができない。後半にある程度改善されますが、皆川をターゲットにしてもボールが戻ることで皆川も処理がしにくく、秋田のCB陣に迎撃されてしまいます。

また、クリアしたボールがしっかりとしたクリアにならないというのもあったと思います。ペナルティエリアなどでのクリアも満足にクリアにならないので、セカンドボールを拾われればチャンスになってしまいます。

集中した守備があったこともあり、気持ちがこもっていた!と前節見られなかった姿に対して称賛はあると思いますが、この風についてはある程度想定はしていたと思いますので、【準備】という面では甘かったかもしれません。勝ったから気持ちが入っていた!となったと思いますが、前半のうちに仕留められて1-0で負けてしまっていれば、あの前半は何だったのか、となっていたかもしれません。

ただ、名塚監督の試合後インタビューの「選手が声を掛け合って、前半はしのごうということを明確にやってくれた」という談話がありました。試合前のプランで風下に立ったときはこのような展開になるから、耐えるというプランでこの試合に望んでいたのではないか、、、と思いました。ちらっとtwitterで触れましたが、最初はレノファが前半は風下を選んで、風上の後半勝負かと思っていましたが、結果的にピッチを選んだのは秋田。どちらがコイントスに勝ったのかはわかりませんが、この前半、後半の流れは良かったのではないかと思います。

 

2)ターゲットとスペース

そして後半です。

この試合解説の柱谷さんが何度かいろんな言葉を変えて言及をされていらっしゃいました。特に前半でしたが秋田とレノファの攻撃でCFへのボールに対して違っていたのが、秋田はCF40青木に対してピンポイントでボールを付けており、レノファは吉岡や皆川に対してスペースへ走らせるようなボールを出していました。

しっかりとゲインさせる青木のポストプレーとは違い、レノファは上述したとおり風の影響もありスペースに出しても目測が難しいためかボールをおさめることができませんでした。またスペースに出しても秋田両CB4阿部、5河野にうまくカバーに入られてしまっていました。

後半レノファは風上に入ったこともあり、ボールが伸びることはあれど、戻されることもなくなったため、秋田陣の深くへボールを供給することができ始めます。最初にチャンスになった沼田のクロスから皆川のヘディングも、沼田のフィードに小林が走ったところから取ったスローインがきっかけでした。

また、54分にはFKから吉満のロングキックから河野を走らせ秋田のDFラインを下げさせて皆川がセカンドボールを拾って2次攻撃を繰り出せるようになっていきました。

そしてボールを徐々にボールを動かせるようになってきたところの62分。クリアボールをつなぎ、矢島のドリブルでのゲインから徐々に相手陣内へ入り、生駒から河野、吉岡のクロス。クリアはされたものの、相手の陣内での即時奪還。そして沼田のクロスからコーナーキックを獲得し得点が生まれました。

前半は確かにスペースへ出してもそこからつなげることはできませんでしたが、後半はまず秋田の背後のスペースへボールを蹴ることで自分たちの活動範囲を広げることができました。皆川が落ちれば河野が背後に抜ける。吉岡が個人技で右サイドで時間を作れば、左サイドの沼田が逆サイドのスペースへ入り込むなどのプレーができるようになっていきました。

その後は先制をしたこともあり、受けてしまう時間が長かったですが、皆川を下げずに梅木と併用することで高さ対策をしたり、かなり運動量を使っていたダブルボランチを2人を同時に下げ、今季初出場組を使うことで締めるなどしっかり逃げ切ることに重きをおいた展開になりました。そして2度の秋田のGKをあげてのCKはありましたがホイッスル。ようやくトンネル脱出でした。

 

3)ゾーンの大外か、ゾーンのニアサイドの外側か。

この試合の勝負を決めたのはありきたりではありますが決定力であったと思います。秋田のような得点も失点も少ないチームとしては今節の9本のコーナーキックを活かせなかったのは痛かったと思います。また、3本のコーナーキックで仕留めることができたレノファはいわき戦同様に苦しみながらも勝ち点3を奪うことができました。

もちろん秋田も色々と用意をしてきたものを繰り出してきました。あまりJリーグでは見ない気がしますが、CKでストレート系のボールをファーサイドに蹴ってレノファのゾーンの外側からゴールを狙ってきました。

CKではありませんでしたが、42分の吉満のビッグセーブの場面もやはり右サイドからファーに振られて折り返しをCF15丹羽に詰められてしまった形でした。

ファーサイドを使いマーカーの目線をそらさせて、中で仕留める。セカンドボールに対しても人をある程度配置しておいて、そこを狙うなど虎視眈々といった秋田の姿勢が見えた気がしました。

 

対するレノファの3本のコーナーキックは1本目は右サイドから吉岡のインスイングでファーの生駒をターゲットにしたもの。続いて2本目は左サイドから矢島のインスイング。レノファはエリア内に6人ではなく7人の選手を入れており、その7人目の一番ファーの吉岡を狙ったものでした。

そしてゴールになった3本目。まずは生駒の公式インタビューの談話から。

 

(--CKからの先制点の狙いについて。)
相手のゾーンの外側にいる選手の背後を狙うというのは練習からやっていて、練習どおりの形ができたのかなと思います。』(引用元:【公式】秋田vs山口の選手コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年4月1日):Jリーグ.jp)

 

大柄な選手が揃う秋田でゾーンの中で小柄な選手が1人。CH6諸岡がゾーンの外側の選手でいました。もちろんここでやらせないために近くにCBの河野や阿部もいますが、矢島のキックのタイミングで河野に続いて皆川もニアサイドに走ります。インスイングのためニアサイドをケアしている秋田もさせじと彼らに吊られる形でニアに入ります。しかし5河野186cmが皆川に吊られたことでボールをかぶってしまい、本命の生駒対諸岡の形に持っていけました。矢島のボールもさることながら生駒のタイミングもバッチリと狙った形でのゴールでした。

前節も皆川が惜しいヘディングをしていましたが、その際も高橋が一番ニアサイドの選手に対して走りこむフェイントを掛けて、そこに後ろから皆川がニアに飛び込む形もあったりと今年も色々用意をしているな、という印象です。池上も復帰しましたし、今後もセットプレーには注目したいなと思います。

 

さて、とりあえず連敗脱出ですね。吉満が無失点で勝てたことについて

次の試合で結果を残すことで、こういう試合で無失点で勝てたからこの結果になったんだと言えるような試合にしたいです。」(引用元:第7節 ブラウブリッツ秋田 | レノファ山口FC

と言っていたように、この勝利に一喜一憂はできません。前回のブログで書いたとおり、今節勝点を拾えたとしても、次節またどうなるかはわかりません。今節の秋田であればハイプレスをすることはほぼないので、今回のような割り切った形になりました。

あくまで自分たちのサッカーとして名塚監督が挙げていらっしゃるのは、ハイプレスでボールを奪いに行くことが1つ挙げられると思うので、それが実現したわけではありません。

そういう意味では時崎監督になってからの栃木、下平監督の大分戦で、

名塚監督がどのように振る舞うのかは注目かと思います。3連戦最後の清水は監督が秋葉監督になりましたしどう変わるのやら。

inside matchで山瀬も言ってましたが、まずはこの試合を最低限に。ここから登っていってほしいですね。

さあ3連戦。ホームの試合が2試合ありますし勝利を期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)