レノファを青黒の眼で東京から見るblog

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レノファらしさか勝ち点3か レノファ山口vsジェフユナイテッド千葉@維新S 2023年5月3日

大敗後、アウェイ2引き分けで迎えたホーム維新みらいふスタジアムでの試合。GW・チケット施策もあって5000人を超える観客の維新スタジアムでのこの1戦。後半45分に同点にされてしまい、負けはしなかったものの残念な引き分けでした。

去年の同時期のホーム栃木戦でも僕は維新に参戦してました。この栃木戦では試合終了間際で同点にされたものの、高木の劇的な勝ち越し弾で2-1での勝利でした。昨年同様に維新劇場を願いましたが、残念ながら同点でフィニッシュ。最終盤は「審判もう終わり!」とバックスタンドで叫んでおり、逆維新劇場となってしまうところでした。

試合後のインタビューで名塚監督から「最後まで前向きなサッカーを」「メンタルをもう一度前向きに出来なかった」という言葉が出ました。僕の考えとしては上位陣に力負けをして仕切り直しの試合で2引き分け。なんとしても勝ちが欲しかったところ。そもそも前を向かざるを得ない状況で1-0で迎えた最終盤、鞭打って2点目を狙うよりも「この試合勝ちきるぞ!」と秋田戦のような泥臭い勝利を目指す方が現実的ではあったようにも思えます。

確かにやりたいことが発揮できず、チームとしてぶれたことで招いてしまった連敗や大敗があったので、「最後まで自分たちの姿勢を」という気持ちはわからなくもないです。ですが、やはりまずは一度区切りの勝ち点3を取ることに重きをおいても良かったのではないかと思います。今節のレノファのゴール期待値は0.42。千葉も得点をするまでは0.43程度。かなり硬い試合でした。であれば。。。

ちょっといつもより前置きが長くなりましたが、下記について考えていきたいと思います。

1)明暗分かれる前半25分以前と以降。

2)千葉がやらなくなった?人でごまかした?

3)次で1/3が終わる。

得点者

【山口】          【千葉】

71分 皆川        90分 米倉

 

1)明暗分かれる前半25分以前と以降。

今節のレノファは連戦ということもあり、池上・小林が先発から外れ、山瀬・松橋がスタメンに。ヘナン・前・矢島・河野のセンターラインはいじらずに疲労を考慮したようなイレブンに。

戦前の両指揮官のコメントは

名塚監督「自分たちのサッカーを取り戻しつつある」「点を取るところ、落ち着き、チャンスの回数を増やす、背後を取る」と述べ「プレスのメリハリ」「相手コートでボールを動かす」

小林監督「粘り強く戦えている」「前に矢印が向いたチーム。トランジションの強度が高いがここを上回る」

といったことをアライバルインタビューで話されていました。

試合展開としては正直このトランジション勝負になることはなく、かなり硬い試合になってしまったように思えます。

試合の展開を時系列に追っていきたいと思います。

まず最初の10分ここは両チームとも相手の出方を確認する時間だったと思います。

そして先に流れを掴んだのがレノファ。12分にこの数試合狙っている形の河野が落ちたところにヘナンから相手のツーラインを超えるパスが通ります。

そして続く13分にはやはり15前から河野へのボール。ここでの一連の流れでボールは相手に渡りますが、すぐに相手陣内で奪還。五十嵐が相手陣内でターンをし、千葉ゴール方面へ矢印を向けたところで山瀬がもう一度外の吉岡へ。千葉がボールサイドに寄ったところで吉岡から大外の松橋へクロス。決定機を迎えました。

今節はおそらく大外を意識している感じのクロスが多く、続く16:25にも右サイドで溜めておいて、左へすぐさま展開。沼田のクロスから大外の吉岡がエリア内でヘディングシュートを放ちます。

続く21:59のところ。松橋が中でボールを受け五十嵐が左サイドに展開。16分同様に時間とスペースをもらった沼田がクロスをするところ。松橋は千葉のLSB日高のところへ位置取ります。実はこの場面では画面では映ってませんでしたが、大外に吉岡が待ち構えていました。松橋が日高のところに入ることで、日高は松橋を見ざるを得ません。ここで吉岡におそらくもう一度クロスを沼田は(レノファは)狙いっていたのではないかと思います。この試合はニアゾーンへの侵入ではなく、大外へのクロスで仕留めようとしていたのではないかと、このクロス3本で感じました。

 

このあたりから千葉がマイナーチェンジをボール保持、ボール非保持で繰り出してきます。

まず千葉のボール非保持では18分のレノファのビルドアップから千葉LSH25末吉が徐々に高い位置を取ります。GK+矢島のビルドアップに対して、千葉が3人を当ててきた形。それに合わせて、LSB67日高はRSB石川に。LCB13鈴木はRWG吉岡へつくことでビルドアップを封じます。

”相手のビルドアップに対して僕たちが前にスライドするようになって、フリーなのはGKだけで、そこからの出しどころに対してもしっかり行けていました”(引用元:Jリーグ - J2 第13節 レノファ山口FC vs. ジェフユナイテッド千葉 - 試合経過 - スポーツナビ)

とジェフのLCB13鈴木の試合後インタビューがあるように、ジェフがある程度用意してきた形を取ってきました。この形は後半に入り、解説の中島さんが整理してきたと仰っていましたが、この前半にうまくいった形をジェフが後半より精度高く守備陣形として採用したと思います。

マンツーマンで捕まえらたところで、ビルドアップがなかなかうまくいかないレノファが逃げ道として使っていたルートの1つが吉岡へのロングボール。

いつもなら吉岡へのロングボールに対して相手のLSBやWBがマンツーマンで付いても、ある程度抜け出している状態からのロングボールということもあり、割と勝率悪くなく吉岡がロングボールをおさめることでレノファの前進を助けていました。

ところが、ここが潰されます。このジェフの守り方では鈴木が吉岡につくと、ロングボールを空中にある段階で鈴木に迎撃されてしまい、吉岡のところで勝負する前に目を摘まれてしまいます。今までは吉岡がボールを収めてくれることである程度相手を押し下げることをしていましたが、このルートが潰されてしまうことで、なかなかルートに困るビルドアップを強いられてしまいました。

 

またジェフのボール保持では20分以降にOH10見木がLSBの位置へ下がり、LSB67日高が内側、LSH25末吉が大外に貼ります。このローリングで五十嵐、吉岡、石川が誰につくかで迷っているような状況に陥ってしまいました。

ここから前半が終わるまで正直かなり厳しい時間を作られてしまったと思います。厳しい時間を作られても修正ができればよかったのですが、正直解決策がなく前半を終えた印象です。それを物語っているのが、ハーフタイムに入ったところで選手が引き上げる中、監督・コーチ陣はベンチのところで対策を練っていらっしゃいました。

 

たまたま僕が今回このシーンを見かけたのか、もともとこんな形で毎試合監督・コーチ陣は振り返っているのかは定かではないですが、前半の出来を見る限り修正を出来ずに20分くらいを過ごしてしまっていたことに苦慮していたように思えました。

 

2)千葉がやらなくなった?人でごまかした?

そして後半です。レノファは千葉のボール保持時は全体の位置をより高めに設定。五十嵐を一列上げるようにし前半は若干4-4-1-1のようなところを4-4-2で両WGも高い位置を取ります。(例:48分の千葉のゴールキック時)

そうすることで前半見木が落ちたときに吉岡がいくのか、五十嵐がいくのかが整理されていないようなところを吉岡をあがることではっきりさせたと思います。

ただ、千葉は後半、前半盛り返していたこの形をあまり出さなくなっていたように思います。55分に山瀬に代わり神垣が入ったところで、レノファが前進できるプレーが増えたので判断が難しいところですが、千葉は多少早めにレノファのSBの裏へ蹴ってきたように思えました。千葉がレノファ陣に早めにボールを送り込み、ボールを失えばプレスで仕留めようとしていたようにも思えました。

そのように千葉がしたようにも思えたのはやはり鈴木の談話にある通り

”守備としてはプランどおりにやれたので、1つ失点をしてしまったところが余計に悔やまれます”

前半にも出してきた末吉がジャンプし鈴木が吉岡まで捕まえる形が功を奏していたからと思います。

 

ただ、千葉の後半戦の戦い方が良かったかといえばそこまで良くもなく、レノファもやられっぱなしではなかったと思います。

まずは63分のところ。日高が石川へ、鈴木が吉岡へ出てきた裏を突きます。一旦はクリアされるものの再奪還し、千葉ゴールに迫ります。

五十嵐がワンタッチで吉岡へ落として、吉岡から神垣へ。ここで河野へのパスの意図があわずに結果には繋がりませんでしたが、鈴木が出てくるリスクをレノファが陥れた場面であったと思います。

このあたりは名塚監督のいう

背後を取るという選手がいないと相手のディフェンスが下がらず、チャンスも作れないですので、背後を取る選手、3人、4人と関わる選手が出ないといけないと思います。

というところにつながるかと思います。吉岡の裏への動きが抑えられているならここを使うシーンがもう少しい増やしたかったところです。

 

得点機は河野に替わり皆川、松橋に変わり小林が入ったシーン。15前から大きく左に展開。ハーフスペースへ神垣が入りワンツーで小林が抜け出し皆川へのクロスからのゴール。

千葉が想定したところではない形で得点を取れたと思います。ある程度レノファの右サイドを千葉がケアしたなかで、そこを一気にロングパスで左サイドへ。そこからシンプルにサイドの奥深くまで侵入しクロスで仕留める。うまくいったのではないかと思います。

 

しかし、やはりこのあとがいただけなかったと思います。

前置きに書きましたが、個人的には次の1点を目指すのではなく、この試合をクロージングしてほしかったです。

ガス欠感のある五十嵐を吉岡の交代。名塚監督の中でボール保持の局面とボールを失った攻→守のネガティブトランジションで千葉の攻撃の芽をつむことを考えられたかもしれません。ただ、結果としては単発の攻撃でトランジション局面もあまりなく、結局守→攻のところでなかなか前に出れない展開に。

挙句の果てにセットプレーの流れから風間→米倉のルートを作ってしまい失点をしてしまいました。この場面でも中を締めることを意識していたと思いますが、米倉をフリーにしてしまっていました。

同点に追いつかれてからは自分たちの失い方の悪さなどもあり、4度の決定機を作ら得てしまい、0点で試合終了を迎えられたのは奇跡のようなものかなと思います。。。

sporteria.jp

このゴール期待値の図でも分かる通り、千葉のほとんどが最終盤のものであり、それまではかなり硬い試合であったと思います。

 

3)次で1/3が終わる。

そこで前置きに戻るのですが、やはりこのような決定打がなく、1点差勝負で迎えた試合で2-0で終えるのは無理があったかなと思います。

相手が1点を取るために前に来る。そこをカウンターで仕留めるという考えもわかります。しかしながらそんなしたたかに点を取ってきたチームではないので、やはり泥臭く守り切るという手段のほうが現実的であったと思います。

生駒を入れて、前をRSBに。石川をRWGにあげるなどの選手交代も取れたと考えます。いま大切なのは「らしさ」を取り戻す試合のクロージングではなく、目の前の勝ち点3を取るためのクロージングであったと思います。

 

ただ、やはりやっているのは選手であり、監督らコーチ陣。

-最後の時間帯で守備的な選手を入れるという選択肢はあったのか?

ありました。しかし結果的に点を取られてしまいましたので、采配ミスと言われても仕方がないですが、あの状況でもあわよくばもう一点を取りに行くという選択をしました。その選択に対しては後悔していませんが、守備の部分での強度はもっと高めないといけないと感じています。

引用元:第13節 ジェフユナイテッド千葉 | レノファ山口FC

 

指揮官の考えがブレるのが良くないので、この名塚監督の姿勢自体は評価はしたいと思います。Jリーグ公式やレノファ公式の選手のコメントを読む限りは、監督と選手間の意見の相違というのはあまり見られないです。今回の交代にしても選手はある程度汲み取った上で最終盤を迎えていたように思えます。

現実問題17位で6試合勝ちなし。難しい舵取りと思いますがここを乗り切ってトップ6を目指してほしいと思います。

明日のアウェイ群馬戦で14節。1/3が消化することになります。さあ、折り返し地点の21節までに僕らはどの順位にいるでしょうか。

吉満のこの頼もしい言葉を信じて応援していきたいと思います。

 

毎試合、毎試合、成長するチャンスだと思って試合に臨んでいますが、成長するチャンスだからミスをして良いということではないです。
チャレンジはしますが覚悟を持ち、ファン・サポーターのみなさん、ピッチの上でプレーできない選手のためにも、責任あるプレーは心掛けてプレーしていきます。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)