レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

上位にいる基準を見せつけられた。これが上位か。 大分トリニータvsレノファ山口@レゾド 2023年4月12日

強かった。完敗。ただただ力の差を見せつけられた一戦であったと思います。

レノファ自体の出来としては悪くなかったと思います。ただ、その出来を上回る質を見せつけられてしまいました。それでも光るプレー、チームの意図など汲み取って行ければと思います。

今節は下記になります。

 

1)難しかった右サイドの活かし方

2)池上復帰

得点  

大分           山口 

44分  ペレイラ     69分  池上

47分  藤本

72分  野村

 

1)難しかった右サイドの活かし方。

レノファは前節から5人スタメンを入れ替えました。佐藤、池上、梅木、神垣、国本が入り、かなり目新しい並びになりました。

大分の3-4-2-1に合わせて、ボール保持時は4-2-3-1、ボール非保持は5-2-3と可変システムを取りました。栃木戦同様に吉岡がRSB前と同じ位まで落ちて5バックを形成します。大分の運動量・スピードのあるWBにテクニカルでハードワークもできるSHをしっかり捕まえることを目的とした守備組織でした。

大分はこの3連戦の最終戦は8節終了時点で首位町田であったため、選手の入れ替えをするかと思いましたが、ベストメンバーでの布陣。よりタイトに大分のキーマンを抑えることが求められました。

大分のビルドアップに対して、まずCF梅木がコースを限定。大分の右サイドに誘導した場合は小林がRCB31ペレイラを、CHの28野嶽、6弓場を池上と神垣もしくは佐藤が抑えに行きます。敵陣深くまでのハイプレスに行くなど積極的な姿勢を見せていました。

連戦ということもあり、ハイプレスはあまり繰り出さないのではないかと僕は考えましたが、名塚監督は真っ向勝負を選ばれました。

大分のキーマンのLSH10野村に対しては15前が徹底マーク。自分の担当場所を放棄してかなり高い位置までチェックに行くシーンも見られ、とにかくこの選手にはプレーさせない、といったチームとしての姿勢が見えました。

ただ、このようにレノファが行うことは大分も流石に織り込み済み。

まず前節の栃木戦で、吉岡くんが下がって後ろが5枚になるあの形をやっているのを見ていたので、もしかしたら今節もやってくるかもしれないし、でもSHの吉岡くんをうちの藤本とマッチアップさせるかなと思ったところもあったのだが、実際にフタを開けてみるとそういう形で来たので、スカウティングどおりだった。”(引用元:

https://www.oita-trinita.co.jp/toriten/fight/20230497209/

下平監督の試合後インタビューになります。栃木戦を見た上で、今節のレノファの形を想定されていたとのこと。確かにLWG18藤本を【抑える】ことを考えると、ボール保持時も含めて3-4-2-1で組んで、RWBに前や高橋のような守備もできる選手を置くことは考えられることでした。ただ、レノファ側としてはやはり吉岡のドリブルなどは使いたいところ。このまま吉岡をぶつける形となりました。

 

山口さんがそう来るのであれば再三、藤本に勝負をさせて、アタッカーの選手が最終ラインで守備をしなくてはならないというミスマッチのところを突いていければという狙いはあった。

そして下平監督としてはまさにここを突いてくる形をとり、言葉とおり再三藤本がレノファの右サイドを脅かし続けました。そしてついに不運なFKからの失点と大分の狙い通りの形からの失点で前半痛恨の2-0での折り返しとなってしまいました。

やはりこの可変システムの問題点として、前線の起点にもなる吉岡の位置が低くなることが挙げられます。

守備に割かれる時間が多くなること。トランジションの際に吉岡の位置がそれぞれ攻撃の局面、守備の局面で取らないといけない位置がそれぞれかなり遠いので、特にネガティブトランジションになったときに相手が使いたい場所に戻るまで時間がかかってしまうことがデメリットとして挙げられます。

例えば20:40の場面。佐藤→神垣へのパスがずれ相手へボールが渡ってしまい、上夷→弓場と繋がれてしまい、弓場の多少前方に位置していた5仲川を捕まえるためにRSB前がそのまま弓場まで出ていったため、前が空けたスペースを藤本に使われます。

吉岡は藤本についてはいたものの、マークが外側から付いている状態ということもあり、ワンタッチで出し抜かれてしまい、そのままペナルティエリアへの侵入を許してしまいました。

15前の大分のシャドウを捕まえる積極的な姿勢、吉岡の右サイド深いところで仕事をするウイングとしての役割の代償として、18藤本の働けるスペースを与えてしまい、終始吉岡は藤本の対応に追われる事となってしまいました。これについてはある程度名塚監督も想定はしていたいと思います。

試合後インタビューで『奪ったあとの次のパスをつなごうというところでイージーミス』を挙げていました。確かに奪ったあとにすぐに相手に引っかけてしまうシーンも有り、自分たちの時間を作ることが出来なかったことやトランジション局面では吉岡は大きく位置を変えるので、変えている途中で取られてしまえば、右サイドは不利な形になってしまいます。だからこその15前のチェックであったと思うのですが、大分のシャドウの矢印を前に向かせないことは出来ていたと思いますが、レノファがボールを奪いきれないとスペースを空けてしまっているので大分の狙い所にもなっていました。

結果論ではありますが、お互いに『抑えどころ』『狙いどころ」としてこの右サイドは考えていたと思うので、ここで上回った大分が順当に勝利を収めたとも考えられるのではないかと思います。

レノファの失点シーンについても、FKの取られ方は主審に納得はいかないものの、直接狙ってくると見せかけての中で合わせたトリックプレー。(エリア内が大分5対レノファ3になってました。その反省からか後半は壁の人数削ってエリア内を4人にしてましたね。)
2点目は藤枝戦の2失点目に似ている印象でした。生駒が伊佐に競り負け、ボールを繋がれて、前も吉岡も戻りきれないところを藤本に仕留められるなど卒なく得点を取られてしまった印象です。

ただ、大分相手に勇気を持ってプレスを遂行したこと。プラン通りシャドウを潰しに行ったことなどinside matchで名塚監督が「できたこともいっぱいある」と仰ってましたが、このあたりがそれだったのかもしれません。決してガバガバではなかったと思います。ただ、相手が2枚位上手だったなと。

 

2)池上復帰

そして後半に入りレノファはマイナーチェンジ。

よりいっそう前は野村を捕まえにいきます。そして吉岡の位置は多少下がり気味だったと思います。

それにたいして大分は下平監督曰く

「あのCBがこれだけ出てくるんだったら俺が落ちるからお前が中に入れ」といったふうに、いろんなことをピッチの中でやっていた

と指示をしたわけではないようですが、あえて野村らが落ちることで藤本が内側の最前線へポジションを取るなど対応してきます。

対してレノファは池上が中心になり盛り返していきます。後半序盤のカウンター時に小林へのパスミスなどもったいないところはあったものの、大分のライン間のポジションを取りボールを引き出すなど起点になっていきました。

守備局面でも前半に比べて後半はある程度2度追いが許容された?のか運動量も増やしていき、相手陣でのプレー時間も増えたと思います。

得点シーンは栃木戦で見かけたプレーが重なった結果に個人的には見えました。

まず前から吉岡に入ったところで、外回りにするのではなく大分のボランチがスライドしたところに入ってきた梅木にまずあてる。こぼれたところを矢島が拾い、藤本とデルランが前に出ていたので、空いている大外に位置した池上へ。ここで前が右サイド奥を取るようなランニングをしていましたが、中の梅木へのパスを選択し、大分の矢印をずらすように中へつけます。ここは相手にカットされますが、大分の矢印とは別のところへこぼれますので、再度矢島がボールを拾い短くサイドチェンジ。沼田へボールが入ります。フリーでボールを受けた沼田に対して大分が矢印を向けたところに神垣と梅木がゴール前に侵入することで上夷とデルランを吊り、大外で池上が仕留めます。

このスペースへの池上の走り込みは栃木戦の最終盤のコーナーキックを奪った国本→池上のプレートと似ていたかと思います。意図的にここへのランをしていた池上の、チームの狙いが産んだゴールだったかと思います。

相手の誘導されての外回りの攻撃は対応されやすいですが、栃木戦でも池上は中を使いたそうにしているところはあったので、中へのボールを安易に取られると手厳しいカウンターを食らうことはありますが、やはり相手が嫌がるようなゴールへ向かうプレーを見せていくことが大事かなと思います。

 

これで波にのることができたかなと思いましたが、ここが上位チームの力ですね。ここからというところで野村のスーパーゴール。反撃の芽を5分で摘まれてしまいました。その後選手交代後松橋、五十嵐、大槻でハイプレスからフィニッシュへ持っていくシーンもありましたが、力及ばすタイムアップ。

sporteria.jp

ゴール期待値は0.97対0.63。後半は山口も盛り返しましたが、やはり卒なく大分が点を取りゲームを支配していたかと思います。

その中で、池上の復活、神垣の初スタメンフル出場など明るい材料はあったかと思います。ある程度怪我人含めてキャストが出揃った中で、ここからチームとして陣容が固まっていくのではないかと思います。誰がポジションを勝ちとるのか。チームとして並びはどのようにするのか。昨年度の3-4-2-1に変えたときのような雰囲気を引き続き感じています。

定位置のような15位まで順位は落ちましたが6位までは勝ち点3(得失点差は−8…)です。食らいつきどころです。

次の対戦相手は清水。陣容だけならJ2ナンバー1のチームです。ただ、場所は維新。かつ場所です。臆することなく挑んで勝ち点3を掴み取ってほしいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)