レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

勝てないのであれば、もちろん負けない方が良い 栃木SCvsレノファ山口@カンスタ 2023年6月24日

タイトル通りまさしくこの言葉通りであったなと思います。

仙台戦で徐々にエスナイデル色が出てきたハイライン・ハイプレス。この栃木戦では相手がロングボールを蹴ってくることもあり、仙台戦に比べれば見ることができませんでしたが、神垣や田中の言うように想定もしていたなかである程度は発揮できていたように思えます。

秋田やいわきなど近々あたるチームでも同じことが起こりうると思いますので、このような試合を経験し無失点で乗り切れたことは、収穫であったかなと思います。

では、今節は下記について考えたいと思います。

 

1)狙ったダブルボランチの脇。ホームとはちょっとテイスト変更。

2)高橋起用の意図とは。

得点者
栃木         山口

なし         なし

 

1)狙う場所は同じだがホームとは違う形。

今節のレノファの布陣も4-1-2-3。前節を踏襲する形でした。

対する栃木は3-4-2-1(5-2-3)とホームで対戦した時同じような形でアウェイの地で対峙しました。

 

ホームの時と同様にレノファの狙いは相手のダブルボランチの脇。

前貴之選手から背後にボールが出ていたが、チームで狙いとしていたのか?

狙いとしていました。ボランチとシンヤ(矢島慎也)も含めて、そこで受けて起点を作ろうというところでした。狙いの一つではありました。

(引用元:第22節 栃木SC | レノファ山口FC

 

エスナイデル監督の試合後インタビューでもあった通り、ここを起点にすることをチームとしての狙いとしていました。

ホームの時とちょっと変えたかなと思うのが、誰がどのタイミングでここを使うのか、というところだったと思います。

ホームではビルドアップのボールの逃がしどころとして、当時トップ下に入っていた河野がここでボールを後ろから引き出すような形がよく見られました。

今節で言うとレノファはもう少し手数をかけた後にここを狙っているように見えました。栃木の5-2-3では、相手の前線の3枚でレノファの最終ラインの4枚を見ます。数字上みればレノファのほうが1人余ります。

 

試合開始当初は栃木のミドルゾーンで構えてからのプレスの出足の早さと強度に押されがちでしたが、時間とともに相手をみることができ始めたことでレノファペースに。

栃木のCF32宮崎はアンカーを消しながらレノファのCBにプレスを掛けますが、ボールをずらしてからは神垣が空きがちに。栃木のダブルボランチの西谷と佐藤はここまで高い位置をとることがあまりなかったため、ここからボールを逃がせました。

また、神垣のところをつぶされても、いったん左サイドの沼田などに預け、栃木の前線の3人がサイドに寄せれば反対サイドの15前が空くといった形で相手の出方をしっかり見て持ち運ぶことができていました。

これは沼田のサイドから前のサイドへ回していくという決まり事ではなく、同様にエスナイデル監督は前にもまずボールを受けるためにライン際まで開くように試合中指示を送られており、前のほうで引き付けて沼田のサイドへ。というのも見られました。

 

そして、実際に栃木のダブルボランチの脇を使うのはミドルゾーンへ進出してからでした。

SB前らが上記の形で持ち上がれば、栃木のSHは自分の背後を使われていますし、WBはレノファのWGを見ながらの対応になりますので、15前にはある程度余裕をもって全体を見渡してロングボールを蹴るのか、ショートパスを使うのかを選ぶことができました。

また、22分のように多少苦し紛れのクリアのようになっても、相手陣でセカンドボールを拾うことで、敵陣でボールを回収。ここから吉岡⇒大槻⇒神垣とつなぎ、サイドを変えて相手のダブルボランチの脇に侵入した沼田へボールがわたるったシーンもありました。エスナイデル監督になってからの『奪った後のカウンターの意識』『ボールを受けたらまず逆サイドを意識する』という形が表れていたかと思います。

 

このあたりから徐々にレノファペース。23分に前から矢島へ相手の背後をとるロングボールがはいり、24分もヘナンがハーフウェイライン付近まで持ち運んだところで、大槻が落ちてきてボールを受けようとしたところで、栃木のボランチが中央を締めたことで矢島がやはりボランチ脇でヘナンからのボールを引き出しました。

またリプレイでも出ていましたが、27分は神垣が横にずれるようにドリブルをし、そこから中間ポジションの田中へズバッと通したボールなど、ハーフスペースを中心にボールを運ぶことができていました。

徐々に安定してきてからは、相手が前から来ても上手くはがせていたと思います。準備してきたものが出せたと思います。

と神垣が話すように事前に準備してきたものが出せたようです。

ただ、この日のレノファはこれでおしまい。相手のCBを動かすというおところまでの展開にもっていくことはできませんでした。(というよりもやろうとしていなかった?)

ホームの栃木との試合では高木や池上が中のポジションをとりつつ、相手のCBをつり出すような動きをしていましたが、なかなか中を使うことができませんでした。

今節についてはあまりここでの局地戦を挑んでおらず、早めにクロスを入れるシーンであったり、ミドルシュートでの打開、ボールホルダーを追い越す選手をシンプルに使ってのクロスなどを選んでおり、栃木のCBを動かすのではなく、その前に攻め切ることを選んでいたように見えました。

 

最も可能性を感じたのは30分のところかと思います。左サイドで沼田がボールを保持。河野が同サイドのダブルボランチの脇で受けるような動きに合わせて、大槻がダブルボランチの間に降りてきてボールを受け、ファウル気味でうしろから栃木CB平松からチャージをうけましたが、こぼれたボールが沼田→神垣へとわたります。

神垣はボールを受けたところで逆サイドへ展開するようなボールコントロール。それには合わせて15前は空いた栃木の中盤の脇へ入り込みボールを引き出します。

栃木16平松が大槻を潰しに上がっており、5大谷が前の上りをケアをするために多少前にでていたため、河野がプルアウェイで栃木の最終ラインの裏を取ります。前もこの動きを見逃さず浮き球のパスを出し、相手ペナルティエリア内でボールを受けることができました。河野が選択したプレーは一度フェイントを入れてからのシュート。ここは栃木のブロックにあってしまいました。

敵陣でのサイドチェンジ。相手がスライドしている最中にこの動きを交えることで、抜け出すことができました。ただ、個人的にはフェイントというよりも・迷いや躊躇といった言葉のほうがあっているように思えます。

シュート後の表情を見る限り、ボールがしっかり止まっていなかったこともあり、納得してフェイントをいれたという感じには見えず、ボールと歩幅をあわせたようにも見えました。山形戦以降ゴールからは遠ざかっていることもあってか、多少大事に行き過ぎていないかなというのが感想です。

同じIHで先発した矢島に比べればCF寄りの仕事を担っている河野だからこそもっと貪欲にゴールにせまるようなプレーを期待したいところ。大槻がワントップとして相手のCBを背負っているからこそ、その周りで河野は空いたところを突くような動きは試合中見られます。ここに侵入してからどのようにシュートへもっていくか。開幕当初とは求められる役割なども変わってきていますが、ここからより高みに行くためには得点という結果が河野には求められているのではないかなと思います。

 

2)高橋起用の意図とは。

話を試合にもどして後半です。

後半に入る前に、いくつか整理したいと思います。

まず栃木から。第8節に対戦した栃木と印象として違っていたのが、

・栃木のWBの位置取り

・CF32宮崎と根本の違い

大きく違っていたのがまずWB。8節に対戦したときは栃木はWBの裏を使われての失点が多かったときでした。そのため、ミドルゾーンで構えつつ、ボール非保持の際にWBは上がることを自重気味にしておりました。

ただ、レノファが緩いボールだったり、押し込まれ気味になればレノファのSBの選手とのことまでジャンプしプレスをしていました。

今節で言えば前半の立ち上がりは割と前から行く様子が見られましたが、レノファが自分たちでボールを保持し始めてからは、栃木のWBが前へ行かなくなったというよりも行けなくなったように見え、引くことをまず選んだように思えました。

ただ、後半の立ち上がりから栃木のWBは完全に前から、レノファのSBへプレスに行くことへチェンジ。

CF32宮崎をアンカーの神垣へつけて、CBにはシャドウの29矢野と36山田がつき、SBにはWB福森と吉田がつくようにしました。

こうすることでレノファが前半できていた持ち上がりは封じられ、流れはイーブンもしくは若干栃木よりになっていきました。

 

レノファ側の話をする前に一つ情報を。

前半終了時にすでにエスナイデル監督はハーフタイムのはじめにロッカールームへ戻らず、53分より交代で試合に入った池上と高橋を呼んで、何かしらの指示を与えていました。

後半頭から行くような雰囲気にも思えるくらい熱心に伝えていました。実際は53分からでしたが、池上は河野よりも矢島に近い役割を託していました。

そして吉岡に替わりピッチに入ったのが高橋。高橋をRSBにして、15前を1列上げてフォーメーションをいじるのではなく、純粋にWG位置に入れました。

YOUTUBEの「INSIDE  MATCH」にあがっていた高橋のインタビューを聞く限り、練習でも多少このポジションでの練習を行っていたとのこと。

【INSIDE MATCH】 vs.栃木SC - YouTube
この中で指示されたことは前向きにプレーすること。攻撃は自由にやりなさい。だったようです。

もちろんこれがすべてではないので、じゃあほかに何があったのか??

まず1つ挙げられるのはボール非保持で高橋が最終ラインまで落ちることで5バックを形成すること。

これについては試合の終盤に見られましたが、押し込まれてしまった中で後ろを5枚にすることで、栃木の形に合わせてしまう。5レーンを先に埋めてしまうことでフリーになる選手を作らせないようにしていました。これはホームでの対戦時に吉岡も同じ役割をこなしてましたし、去年からも見られた形です。

 

ではほかに何が?

押し込まれ始めていた時間での交代であったので、ロングボールで単純に裏へ走らせる。フレッシュな選手にすることでもっと精度を上げたかった。

また《エスナイデル監督》をトリガーにして考えると、そのロングボールが相手に渡ったとしても、ここからの『ハイプレス要員』で考えられいてのではないかと思いました。

単純に高さを使ったロングボールであれば相手選手は小柄とはいえ高橋も大柄ではないので、梅木を選ぶような気もします。吉岡のように運動量や攻撃的なことを考えれば野寄になるでしょう。
そう考えるとやはりどこか敵陣でボールを奪いたい。敵陣で押し込む形を作りたかった。

今節の栃木戦に限らず、今後リーグを戦っていく中で前線のインテンシティを高めたい。あくまで試合開始ではなく途中から起爆剤のような形でチームに組み込む役割、というのが高橋だったのかもしれません。高校や大学の時にはCBを務め対人は彼にとっては得意な要素。

プロに入ってからSBを経験し、高い位置でもプレーする機会が増えました。ですので、そこからのボールを失った後の即時奪還を狙うのであれば、ある程度守備的な高橋を前線でつかうというのは無理難題ではなかったのかと思います。

5バックで最終ラインにも落ちてプレーできますし、途中交代であれば前線からプレスをしても、ある程度時間さえあれば最終ラインまで戻ることを繰り返せるでしょうし。

 

現に交代直後の54分は前からのロングボールからのスローインの流れで相手にボールがわたってしまいましたが、ここからハイプレス開始。

続く55分も前から矢島へロングボール。栃木がセカンドボールを納めますが、すかさず高橋がプレスに行きました。この場面は相手にいなされてしまいましたが、ここで高橋がボールを奪うことができていれば。。。

上記のように考えたのは、このシーンがあったためです。

ただ、まあこれっきりだったんですけどね。なかなか意図が読みにくかったですが、次節以降の交代策に注目したいと思います。

 

試合にもどすと、後半にギアを入れなおしてきた栃木。

63分には高萩と根本というホームでは痛い目に遭った二人が入ってきます。試合序盤からロングボールを多用していた栃木でしたが、高萩が入ってから多少ビルドアップ時にロングボールをけらずに、ショートパスも交える展開に。

ある程度レノファがロングボールに備えていたのを見てかと思いますが、中途半端にレノファが出れば、またそこからロングボールが出てきます。

 

田中の試合後のコメントで

栃木さんが蹴ってくるというのはありましたので、監督からは行く時と行かない時をはっきりさせるということは言われていました。そこに関しては悪くなかったと思います。

と残しており、神垣も似たようなことを話していました。暑さは前節のほうがきつかったようですが、ある程度湿気などで体力は落ちていたということもあると思います。すでにこの辺りから割り切って強くプレスにはいかずに引いて跳ね返すことを考えていたように思えます。

ただ、ここで多少誤算だったのが32宮崎の存在。ホームでは根本に前線でボールを納められてしまい起点を作られるシーンがありましたが、宮崎はおさめるシーンもありましたが、どちらかというとハイボールを競ってレノファの背後へフリックすることやCBの注意を引きつけておいて、周りを活かすようなプレーが多かったように思えます。

根本が途中から入ってからはツートップの形にし、ボール非保持ではレノファのCBにはツートップ、神垣には山田がつくといったマイナーチェンジをしつつ、高萩を中心にサイドを変えつつ高さや体格を活かしてレノファゴールに迫ってきました。

ヘナンや松本など対人に強い系のCBでありましたが、ここで質的優位を作られ気味になり、後半の栃木の流れに拍車がかかってしまいました。

栃木の時崎監督としては、その後19大島10森と攻撃的な選手を入れ替えてきましたが、ここでレノファの割り切った集中した守備が最後まで崩れることはありませんでした。

最終盤はかなり劣勢ではありましたが、カウンターを打つシーンも何回か作るなど、防戦一方というわけではなく、あわよくばを狙えていたように思えます。

最後の交代が矢島→五十嵐ではなく山瀬であったことで、チームとして勝ち点1だと監督のメッセージをしっかり受け取っての結果でした。

ゴール期待値自体は0.84対0.4と1-0負けでもおかしくないようなスタッツ、試合内容でしたが、実際は0-0。引き分け勝ち点1でした。相手に与えなかった勝ち点2ともぎ取った勝ち点1はいつか効いてくることになかと思います。

 

失点が多かった今季。甲府戦は4失点ではありましたが、エスナイデル体制になりクリーンシートの試合が2試合続きました。失点しなければ最低でも勝ち点1はとれます。

関が言うように勝ち点1を取れたことをポジティブに受け取り、無失点であったことを自信に次節勝ち点3を取ってほしいなと思います。(意訳:【公式】栃木vs山口の試合結果・データ(明治安田生命J2リーグ:2023年6月24日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)

 

さあ、また3連戦ですね。アウェイが2つにホームが1つ。まずは惨敗を喫してる藤枝にやり返さないといけないですね。

夏場は順位が違いチームとの戦いが続きます。4月シリーズは失速をし監督解任となってしまいましたが、エスナイデルレノファは如何に。。。

 

欲張って3連勝を期待しましょう!!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

※文中敬称略