11試合ぶり。2ヶ月ですか。だいぶ遠ざかっていましたがようやく勝ち点3。
勝った!勝った!と安堵していたら、『エスナイデル新監督』が発表と忙しい2日間でしたね。
ようやく勝ったこの試合。試合後の中山監督の言葉からは狙ったことが出来なかったと反省の便も。エスナイデルさんになるにあたって、今のチームはどうなのかを今節から考えていきたいと思います。
1)プレスに行けなかったが割り切った守備
2)後半のマイナーチェンジ
3)次節以降どうなるのか。
得点者
水戸 山口
なし 61分 田中
1)プレスに行けなかったが割り切った守備
この日のレノファは3バックを敷きました。栃木戦など相手に合わせる形で3バックをしくことはありましたが、今節の3バックは割とレノファの事情があったかと思います。
事情というのはやはり失点をしないこと。最後に勝った秋田戦以降失点が止まらず、最近では前半の早い時間で失点をすることで、早い段階で試合が決まり気味になってしまっています。
”サイドでボールに行けていないシーンが多く、クロスを上げられて失点していましたので、一週間の準備期間で変えようと思いました。後ろ向きになってしまう部分はあるかもしれないですが、前向きにボールにアタックしていく強度を求めてやりたいと思いました。(引用元:第18節 水戸ホーリーホック | レノファ山口FC)
と中山監督がおっしゃっているようにクロス対策としてこの3バックは採用されていました。クロスをあげてくる選手にWBやSHの選手が対応し、CBの3人のうち1人が釣り出されてもまだ2人エリアで迎え撃つ、というよくある形だったと思います。
対する水戸はボールの保持時は4-4-2。非保持は4-2-3-1のような形でした。
まず水戸のボール保持で鍵を握っていたのがCF20梅田とRSB22長井だったと思います。水戸のターゲットはまず梅田。彼にボールをあてることでまずボールを進めます。梅田のところでまず起点を作ります。
ボランチの10前田らが絡みそこからレノファの左サイドへボールを展開。レノファのスライドが間に合っていなければ、22長井がアーリークロスを上げてエリア内のCF11草野をねらう形が開始早々にありました。
また、ダイレクトに松橋や沼田の裏へボールを送り込むことで、草野や梅田がクロスをあげる。RSH7武田が沼田と松橋を引き付けておいて、フリーの長井へもどしてここからシュートやクロスのシーンを作っていました(2分 14分など)。
長井は前半負傷交代をしてしまいますが、それまでの時間でシュートは2本、クロスは3本くらいでしたでしょうか、アタッキングサードのところでキーとなっておりました。
上述した通りレノファの狙いとしてはクロスをあげさせない、あげられても跳ね返せるような布陣を引きました。ただ、先に挙げた中山監督の言葉から考えると、まず自陣奥深くまで押し込まれてしまったところで目論見が外されてしまいました。
ハイプレスではなく、ミドルゾーンで向かいうつ形でありましたが、それにしてもまずは前を向いてのプレスを行いたかった。
ただ、DFラインからロングボールなどで奥深くまでボールを送られてしまえば、プレスもできることもなく、自陣でセットした状態での守備を強いられます。
20分のようにアバウトにボールを蹴られた際にしっかりとマイボールに出来なければ、セカンドボールを水戸に回収され、自陣からの攻撃を許してしまいます。
プレスを掛けてショートカウンターを狙いたいが、失点もしたくない。そんな気持ちが割と後ろに重たくなるような形になってしまったと思います。ただ、プレスを掛けれずともまずは失点をしないということを考えると最低限の成果は得られました。
池上の談話であるように
”3バックをやる上で、守備面ではゴール前の守る位置の確認は練習からやっていました。出ている選手が理解して最後まで体を張った結果が、失点0にもつながりました”
エリア内でマークを外さない、あげられたボールに対して体を寄せるなどはできたことで久しぶりの無失点に繋がったのかなと思います。
レノファのボール保持では水戸は後ろを3枚で回すレノファに対してダブルボランチの矢島や山瀬をあまり使わせないようにした上で、WBのところへボールが回れば水戸のSBがここまでジャンプし対応するなどショートパスでのビルドアップをさせないような布陣を引いてきました。
具体的には梅田を頂点にし、ヘナンへまずはサイドへのボールを誘導。高橋・沼田の両CBにはSHの武田・小原が山口のボランチを見つつこのポジションへジャンプ。草野はレノファのダブルボランチを引き続きチェックすることで、中央からのボール運びをさせないようにしていました。
レノファはこれに対してショートパスでのビルドアップは諦めロングボールが主体に。水戸のSBがレノファのWBのいちまで上がってくるということはその後ろは空きます。そこへボールを送り込もうとするのですが、精度を欠きます。
inside matchで沼田が話していましたが、水戸はある程度CBにはボールを持たせてくれていたため、彼らが後ろからボールを配球することがこの試合求められていました。
ただ、ここで縦パスがずれることだったり、ロングボールを蹴ってもサイドラインを割ってしまうなど、ここを通さないと、というところが繋がりません。
また23分のスローインからの流れで、矢島→池上→松橋が中央に切れ込んでサイドにスペースを作り、WBの位置まで上がった沼田からクロス。
といったようなそれぞれの選手が大きく自分のポジションから離れて攻撃をすることもなるべく避けていたいようにも見えました。
なかなか攻撃の形は作れずチャンスはセットプレーからという秋田戦のような時間が過ぎていきました。もともとプラン自体が秋田戦のように割り切っているようにも見え、どのようなゲームプランを立てていたかはわかりませんが、前半は失点をしないで相手の出方を見ながらリスクなく試合を進めるような姿勢に思えました。
2)後半のマイナーチェンジ
で、後半です。
山口は多少修正をしていました。前半に比べるとWBにボールが入ったときにボランチとシャドウがワンタッチでボールを受けれる位置に選手間の距離を狭めていたと思います。
このボールの回し方をすることで多少ゲインができるようになったこと。それと、シャドウとボランチがボールサイドに寄れば、水戸のボランチ陣もボールサイドに寄ります。するとCF13大槻がロングボールをおさめるスペースが生まれます。詰まったら<ロングボールで大槻>が前半よりもできるようになりました。
吉岡がいればWBに入ったであろう吉岡を右サイドの深い位置へ走らせるようなボールもあったと思われますが、上述したCB陣の課題含めてこのメンバーでは後半のショートパスと大槻を使ってのゲインが現実的だったかと思います。
得点シーンはスローインの流れではありましたが、左サイドで短く繋いで相手が偏ったところをRWB11田中が中央で受けて右サイドの高橋。そこからクロスをあげ結果的に池上のシュートブロックに入った田辺のハンドでPKとなりました。
後半開始当初から右サイドは、WB11田中が中に入り、RCB高橋がサイドを駆け上がるといった前半あまり出さなかったポジションチェンジ(とまでは言い難いが)を行っており、ニアゾーンをとろうとする場面も見られ、得点を狙っている感が後半から出ていた時間帯でした。正直かなりラッキーなPKだったと思いますが、田中の決定機含めてこのような場面は徐々に増えていきそうなところでの先制点はとても効率が良かったと思います。
ここからはある程度山口は割り切って後ろでブロックを作っての展開。運動量がなくなっていったポジションににフレッシュな選手を入れていくような交代策を取って逃げ切り。なんとか勝ち点3を取ることが出来ました。
3)次節以降どうなるのか。
前節のレビューでショートカウンターを監督・選手ともに口に出していたので、ここを突破口にするかなと思いましたが、今節は秋田戦のような割り切った姿でした。
これについては特に責めるつもりもなく、大事だったのはやはり勝ち点3。しばらく勝ててなかったチームに歯止めがかかったことが一番です。試合後の談話を読んでも、
『自分たちのサッカー < 失点しない。勝ち点3』であったことがわかります。
内容的にこれでいいのか??関が戻ってきたから勝てたんじゃない??という疑問符や揶揄が出てもおかしくない試合内容であったと思いますが、できることからコツコツと。偶然ではありますが前半無失点に抑えれば負けないレノファ。やはりまずは失点しないことで次に向けてちょっとずつ修正していければ良いのかなと思う1勝でした。
ただ、これがじゃあエスナイデルさんがいたらこういうサッカーになるのか?というとそうでないのかなと思います。
「ハイライン・ハイプレス」が独り歩きしている感はありますが、相手が割と蹴ってくるチームに対してもラインは高めに設定するのか、などあまり2017年のジェフをしっかり見ているわけでもないので、何とも言えませんが
”敵陣にプレスをかけ、ボールを奪い返し、得点チャンスを生み出す、攻撃的でダイナミックなチームを目指します。”とおっしゃられています。この水戸戦のレノファの姿とは反対の姿かと思います。
渡部社長の”レノファの現状を打開するため、守備を再構築し、よりアグレッシブなサッカーを展開していきたいと考えています”という言葉もあり、やはりこの水戸戦のレノファの戦い方はおそらく今季最後。
正直今節との振れ幅どうなのよ?という気持ちはあります。もともと名塚さんや霜田さんも同じような志向をされており、それを継承。そしてブラッシュアップさせるということでエスナイデルさんが就任された流れかと思います。
どこまで中山さんにこれが共有されていたかはわからないですが、買ったから言える話ではありますがこの試合はよい意味で「アグレッシブ」も「ハイプレス」も捨てることができていたと思います。
このような試合が続いた方が良いとは思いませんでしたが、やはり今はシーズン折り返してもいませんが残留争い真っ只中。目先の勝ち点3をとったことは称賛されるべきであったと思います。奇しくも千葉戦は名塚さんが多少自分たちのサッカーを求めたところでの引き分けでありましたので、その教訓がいきたのではないかなと僕は考えています。
忘れてほしくないのは『自分たちのサッカー < 勝ち点3』であるサッカーという競技をするうえで前提となるところは失ってほしくないなというところ。
エスナイデルさんが就任して注目されレノファ界隈が盛り上がるのはよいことですし、ラスト10節切ってから就任されるといやいやいや・・・ってなりますが、キャンプのように監督の考えを落とし込むような時間はないですが、まだ20節以上残ってます。好転することを願って、リーグの長崎、天皇杯の水戸とエスナイデルさんの色がどこまででるのか楽しみにしたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)