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再出発なんてこんなもんだ、と思うことにしよう ヴァンフォーレ甲府vsレノファ山口@JIT S 2023年6月10日

エスナイデル体制初戦。撃沈!!

ま、うまくいってなかったチームが一人の監督が就任してすぐに勝てるほど甘くないですね。

エスナイデル監督も仰っていましたが、トレーニングできたのは1日のみ。金曜日の練習だけでそうは変われませんでした。連敗中のレノファに似たところもありましたが、今回は前節との違いがどのようなところだったのかなど、下記について考えていきたいと思います。

 

1)連動というか個人の頑張り。

2)ガス欠?迷い?そのツケのイエローカード

3)中山体制は無視か?

得点者

甲府        山口

64分 須貝     なし

67分 三平

77分 ウタカ

93分 三平

 

1)連動というか個人の頑張り。

エスナイデル監督初戦のレノファが採用したフォーメーションはボール保持は4−2−3-1、ボール非保持は4-4-2でした。後述しますが、中山監督で徐々に形になり始めた3バック(5バック)ではなく、エスナイデル監督の代名詞「ハイライン・ハイプレス」をやりやすいように4バックを採用したと思います。

結論から言えば、多少片鱗は見せたものの全容は見えず。と言ったところだったと思います。試合の流れに沿ってエスナイデルレノファ初戦を振り返っていきます。

 

まず、ボール非保持。相手の甲府もボール保持時は4-2-3-1でした。この形に合わせてレノファは4-4-2でプレスを行っていきました。

大槻の試合後インタビュー

監督もどんどん前から行って、後ろもどんどん付いてきてほしいという感じでした。」(引用元:第20節 ヴァンフォーレ甲府 | レノファ山口FC

とあるように、積極的な姿勢を見せていました。7分にはセカンドボールに対して、CH6矢島がプレスをかけ、LSH11田中もそれに合わせて甲府LSB23関口によせて蹴らせ、CBがこのボールを回収。同じく8分にも大槻、河野、神垣、田中がプレスを掛けることでここも蹴らせてボールを回収することに成功しました。

18:40では甲府のGKからのビルドアップを引っ掛けます。16CH林田ペナルティエリア内のところからボールを預かり、RCB49井上へパス。井上に対してはマーカーの大槻が内側を切りながらプレス。井上の持ち運びのドリブルが大きくなったところを田中が寄せて、こぼれ球を矢島が収めます。そして中に絞っていた吉岡に預けて、もう一度受けなおしてミドルシュート。奪って約7秒でゴールを狙いました。

続く25:07にも。沼田がRSH8武富へのパスに寄せていき、田中がこぼれ球を回収。矢島へ渡し、矢島はエリア内の大槻へ。大槻が振り向きざまにシュート。とここも奪ってから約7秒でシュートまで行きました。

7分の吉岡のインターセプトの所含めて、以前のレノファに比べれば幾分相手陣でボールを奪ってからシュートへいくシーンは見られたかなと思います。

 

ただ、これらはエスナイデル監督のハイライン・ハイプレスによる賜物か、と言われるとあまりそういう印象は個人的にはありませんでした。

確かにチーム全体の意識は変わったのかなと思いますが、前節の長崎戦のほうがチームとして連動してプレスをしてボールを奪っていたように見えました。甲府戦は選手一人一人が自分のマーカーに対して、頑張った結果後ろでそのボールを回収できたという側面も結構強く感じました。

松本や大槻のインタビューを読む限り、これについてはエスナイデルさんの指示通りである程度の手応えというか出来ていた感覚はあったようでした。それは監督自身も

選手とはアグレッシブにプレッシャーに行こうということを共有し、前半はそれがかなりの部分で見ることができました。

と評しているように、良かったところかもしれません。

 

2)ガス欠?迷い?そのツケのイエローカード

ただ、感じたのはこの25分あたりからのガス欠感とボールを奪ったところでの迷いです。

まず30:33のところで神垣が奪った所。解説の堀井さんも「ここでカウンターが打てるか」と仰っており、奪った神垣から吉岡へ。神垣は走り出しているLSH田中へパスの指示。エスナイデル監督も神垣が奪ったところで左手でカウンターを打つようなジェスチャーをしています。しかし、ここで吉岡が選んだのはバックパス。神垣からボールを受けるところですでに田中へサイドチェンジをできるような体の向きではなく、バックパスを選択。

続く32:27ここは吉岡が戻りながらスライディングでボールを奪い、すぐに大槻につけたところ。矢島は前向きにある程度スピードをあげながらボールを受けようとする仕草を見せますが、エスナイデル監督は落ち着かせろ、のジェスチャー。大槻はこれを視認していたようで、右手で答えます。矢島は「そうなの?」という感じでベンチを一瞥。

次に37:35ウタカと武富のワンツーを矢島がカット。カウンターを打てそうでしたが、相手のプレスもありこの場面も河野が戻します。

そして40:15ですね。ボールが両チーム収められない展開から神垣のボールが右サイドに流れ高橋が拾います。ただ、ここで特に前線の動きもなかったため、高橋は同じくこのボールに反応していた吉岡へのバックパスを選択。

パスが弱くなったこともあり、77ジェトゥリオにカットされ、高橋が後ろから止めたことでファウルの判定でイエローカード

後々、このイエローカードが響いてしまい、高橋は後半退場してしまい試合が大きく甲府へ流れてしまいました。

 

まず大槻の試合後インタビュー

つなぐ部分とシンプルにやる部分の使い分けをしっかりしてほしいと(エスナイデル)監督から言われました。リスクをそんなに冒さずに、シンプルにやるところはシンプルにやって、つなぐところはしっかりつなぐ。その判断はしっかり選手がやってほしいと言われていました。

まず、この<シンプル>と<つなぐ>選択。ここを選手に委ねることでどうも意思疎通がうまく行かなかった印象です。18分や25分のように相手陣でボールを奪えば手数をかけずにゴールへ迫ることは出来ましたが、自陣で奪った際にカウンターを打つのか、一旦落ち着かせるのか、ここの共有が選手に委ねられていたようで、チームとして統一感を失っていた印象です。

選手に委ねられていた反面、引いたメインカメラ、エスナイデル監督のアップの画で何度もボールを落ち着かせろ、という仕草が抜かれており、一体どっちなんだ?という印象を受けました。

そして、25分を境に相手陣でのボール奪取がほぼ見られなくなりました。

下記はsporteriaさんの甲府のボールロスト位置ですが、

後半のフルボッコ状態があるので、甲府側から見て敵陣のロスト位置はあまり参考になりませんが、甲府陣内では数えるほど。

『ハイライン、ハイプレスで敵陣でのプレー機会を多くする。』といった目的は前半の早いうちに瓦解してしまっていました。オフサイドも前後半で1個も取れませんでした。

理由は2つあると考えております。1つはすでに前半の早いうちでガス欠だったのではないか。早い段階から2度追いするなど前の選手たちは運動量・スプリント回数が多かったように思えます。そのため30分のカウンターに行けそうなところも、あえて行かなかったように感じました。

そして2つ目に繋げないと思ったら、相手SB裏へのボールを蹴るのですが、これがほぼ下手にボールを捨てているような状態になっており、相手陣深いところでプレスを行い、最終ラインも高くしてボールを回収する、というフェースまで持って行けていない。ただ蹴ったボールに対して走る→疲れる。というような時間帯が増えていたように思えます。

自陣でボールを奪い、一度呼吸を整えることは必要です。何度もハイプレスをかけられるわけではないです。であれば、しっかりボールを繋ぐこと・その精度は求められます。ただ、ここの精度は前(々)政権下でも、ビルドアップを引っ掛けられてカウンターをうけるなど失敗をしていたところ。

このあたりで準備時間が1日、というエスナイデル監督のやりたいことに対して、チームがどうすればよいのか、というのがアジャスト出来ていないように思えました。

そのため、40分のようなゆるいプレーが生まれてしまい、もらう必要のないイエローカードに繋がってしまったように思えます。

そして前半の終盤45分のところでようやく相手のクリアボールをヘナンが回収しますが、結局最後尾の関まで戻すことになります。これについてはエスナイデル監督は肩をすくめていました。敵陣であるならここは多少強引にでもゴールに迫ってもらいたかった所なんだと思います。

 

後半に入り、多少押し込まれるものの、52:40にはセンターライン付近で奪ったところから遅攻にはなりましたが、松本→サイドで張った吉岡→インナーラップでニアゾーンへ高橋を走らせてクロス。エリア内に4人が入っており大槻のシュートは枠を捉えられませんでしたが、惜しい形を作りました。

 

話を甲府の形にさせてもらうと、

甲府は前半何度か見せていたボランチがサイドによることで、SH吉岡をボランチのところへ吊り、LSB須貝に対して高橋がつかざるを得なくし、その裏をジェトゥリオが使うということをしていました。

高橋が退場したシーンは、河野が蓮川から須貝へ2度追いをしていたこともあり、吉岡に替わって入った小林はLCH林田をケアしていたこともあり、須貝と高橋は1対1の状態に。高橋の後ろには大きなスペースが空いており、そこへ大きく蹴り出すようにドリブルをした須貝に対してのファウルで2枚目のイエローカードが提示されました。

長崎戦でのブログでもふれましたが、正直「これも長崎のファウルにしてくれるんだ」とちょっと高橋のこのようなプレイはジャッジに助けられていたところもありました。しかし今節の審判はこれをイエローカードと判定。「不公平な退場」とエスナイデル監督は仰っていましたが、まあ取られてもおかしくないのかなと思いました。

失点シーンではやはり一人減ってしまった中で、ボールを左右に振られることで、甲府の選手に付いていくことができなくなり、前半でも多くの選手がエリア内に戻っていましたがバイタルエリアはスカスカでミドルシュートを打たれる場面がありましたが、須貝はこのチャンスを見逃してくれませんでした。

2失点目でほぼ勝負あり。中の選手たちも難しさを感じているような雰囲気に。3失点目も人数は足りてても、ヘナンが引き出されたところをケアできずウタカに取られるなど、「クロスに弱い」がまた顔を出してしまいました。

前半の前半は良かったかもしれないですが、結果的には完敗。多難な船出となってしまいました。

 

3)中山体制は無視か?

そして気になるのがやはり「ハイライン・ハイプレス」を優先するがあまりに長崎戦で選手たちが口にしていた3バック(5バック)の手応えや徐々にではありますが練度も上がってきた形を完全に捨ててしまうのか、という所。

前のブログでも書きましたが、新しい監督が来たからにはその監督の志向するものへシフトしていくのはわかります。ただ、途中就任であるからこそ、キャンプもなく中断機会もない中ですべて落とし込めるとは思えず、多少なりとも今までのものへのすり寄りは必要なのではないかと思います。

やり方に慣れるためにもう一度10戦勝ちなしは簡便です。まだ1戦目、退場者も出した、準備期間は実質1日、多少なりエクスキューズはありますので、仙台戦以降改善していくことを期待したいと思います。(CB陣の他にたぶん前線も怪我人いそうなので早く帰ってきてほしい)

 

レノファサポはエスナイデル監督の就任が決まり、多少嘲笑にも似たものもありましたが他サポの方にも注目され、僕達も玄米だったり色々と楽しむことが出来ました。

盛り上がる下地は出来ています。あとは勝利のみです。

次回はホームで仙台戦。維新は勝つ場所。僕も東京PVから応援したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略)