レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

今年もターニングポイントになるか29節。 レノファ山口vs大分トリニータ@維新 2023年8月6日

あと1分。勝ち点2がこぼれ落ちてしまいました。

エスナイデル監督になってから初の3バックと2トップの採用と変化を加えての試合でした。結果としてはロスタイムでの同点弾を喰らうという負けに等しい引き分けになってしまいました。

確かにこの展開何度目だよ、そんな声もtwitterのTLでも拝見しましたし、その方々のお気持ちも理解ができます。自分もそんな気持ちにもなりました。

ただ、このような試合だからこそ次につなげていかないとこの悔しい気持ちもボヤキや愚痴になってしまうのかなと思うので、自分なりにこの試合を昇華していきたいと思います。では、今回は下記3点です。

 

1)新戦力に合わせたシステム変更

2)ずっとイライラしていたエスナイデル

3)H千葉戦とは違う

【得点者】

山口          大分

29分 梅木       10分 高畑

43分 ジュニーニョ   96分 松尾

 

1)新戦力に合わせたシステム変更

試合前に梅木がMF登録のような表記がでており、ちょっとざわついた今節のスタメン。蓋を開ければ5-3-2。3-3-2-2のようにも言えるようなフォーメーションでした。

3CBに右から生駒、ヘナン、新戦力のボムヨン。出場停止の神垣の定位置であったアンカーには前を起用。WBに右に高橋、左に田中。IHには屋台骨であった矢島が外れ、五十嵐と池上。そしてツートップには梅木と新加入のジュニーニョが起用されました。

エスナイデル監督になってから4-3-3を継続して使ってきましたが、今使えるメンバーの関係もあってか、なかなか近年のレノファではみないシステムが採用されました。

 

3バック自体はもしかしたら大分に合わせての形であったかもしれませんが、新戦力のジュニーニョとボムヨンをチームに加え、彼らも活かすために採用されたシステムであったと思います。その形はキックオフのところから見られました。

 

センターサークル内の池上からヘナンへ下げて、そこからボムヨンへボールを渡し、ここからボムヨンがロングフィード。そしてターゲットになるのがジュニーニョや梅木であり、どちらかというとジュニーニョに当てて、梅木が機動力を生かしてセカンドボールを拾うシーンが多かったように思えます。

今節の序盤はある程度ロングボールが主体。いわき戦では『蹴ろ』と指示するエスナイデル監督に反してなかなか蹴れない状況が続いていましたが、今節は序盤からシンプルに相手陣へボールを送る傾向があったと思います。

 

ツートップを採用したこともあり、ロングフィードの受け手の周りには上に書いたように梅木がいたり、池上ら2列目の選手らがいる状況でした。いわき戦では皆川に蹴っても孤立状態であったり、高橋の前方のスペースに蹴っても同じく孤立していた状況とはだいぶ違っていたと思います。

今まで採用していた4-3-3は並びなどによって変わりはしますが、今節のようなロングボールを使いながらシンプルに攻め込んでいくことについては、多少選手間の距離が遠かったと思います。そのため、『セカンドボールが大事』と意識をしていても実際はボールに競った選手のフォローができておらず、相手ボールになってしまうことがありました。

いわき戦で後半15分あたりから大槻と吉岡を投入して縦関係のツートップのような形にしており、佐藤謙介を入れてもう少しボールを散らし始めてから多少後半は押し返すことはできていました。

そこで今回はツートップで、わかりやすいターゲットを2人並べここに放り込む。セカンドボールを狙っていく。そうすると相手は中央に寄るので、大外のWBが空くのでここにサイドチェンジを送る。といった外と中の使い分けもできるようになるなど、単純に放り込むだけというものではありませんでした。

 

また、今節のツートップがただ高いだけではなく機動力があるところも、このシステム変更で出せたところかと思います。

ジュニーニョのインタビューで自分の長所として「スペースへ走ること」をあげていました。エリア内での得点だとか、ドリブルでの突破ではなく「スペースへ走ること」。

得点が期待をされての助っ人にも見えますが、個人的には彼の長所は献身性にあるように思います。

この5-3-2のシステムで4-3-3と異なるポイントとして、『前線にFWが2人いる』。の他に両サイドの選手の位置があります。WGよりもWBは基本の位置が10mほど自陣よりになります。そこに相手のSBがマークにつきに上がってくれば、そのSB裏が空きます。そこにジュニーニョであったり梅木の機動力が活きます。『スペースに走る』。

この空いたスペースに対して1得点目のように何度か彼らが走ることでピッチの幅・奥行きを使うことができ、相手の間延びを生みました。それまではここにCFが流れてもIHやWGが中に来るのが間に合わず、そこを起点にするもすでに相手が戻っているような状況になっていましたが、ツートップにすることでCFもう1人はエリア内で待ち構えることができます。

 

WGを配置する場合、ここで質的優位を出せる選手がいればここで勝負させるような9ことをすればよいかと思います。ただ、今のレノファにはそこまで絶対的にこの位置で勝てる選手があまりいないのが現状。そのため、相手のSBを動かすことでそのSBが空けたスペースをCFやIHが突くことで、相手のマークがあまり来ていない状態でクロスを上げることであったり、縦にスピードを上げているのでエリア内の相手のマークもつきづらい状況にもできます。

動けて高いCF。ここもシステムとしてうまくハマった要素であったと思います。

 

また、今回の布陣で個人的に良かったと思うのが、今季初めてに近いかと思いますがショートカウンターで結果が出たこと。

時系列で1点目を飛ばしてしまいますが、2点目については相手のミスであったり、相手の並びも関係しますが、梅木が引っかけてすぐにジュニーニョへつなぎペナルティエリア内で1vs1をしかけPKを獲得と、エスナイデル監督のやりたい高い位置でボールを奪う⇒そこからゴールへ結びつける、この選手の距離感についても良かったと感じました。

 

ゴールにこそなっていませんでしたが、17分のように生駒が自陣の高めの位置でボールを奪取。池上が拾ってすぐにジュニーニョへつけ、ジュニーニョもワンタッチでSBが池上ついたため空けているポジションへ動いた梅木へ。梅木はすぐに反対サイドを確認し、田中へサイドチェンジ。

ここは惜しくも通りませんでしたが、単純に展開がおしかったというのもあるのですが、割と準備してきたいたのかなという流れに感じました。

高い位置でとったらどのような動きをするのかをそれぞれがわかっていた、ボールが来てから考えているような動きでもなかったので、チームとしての意図が垣間見えたように感じました。

 

2)ずっとイライラしていたエスナイデル

そしてシステムを変更したことで、誰が誰にマークを付けばいいのか?というところで大分が迷っていたように思えます(それはこちらも同じで、34分のようにバタバタしてましたが…)。

前半途中から顕著だったのが身振り手振りで指示するも、なかなか思い通りにならず両手を広げ不満を表すエスナイデル監督でした。

さて何を言っているんだ、何が不満なんだと考えていましたが、一応予想としては

・最終ラインの人間には、前や五十嵐に対してボールをつけろ

・前や五十嵐についてはやり直すのではなく、シンプルに前線に蹴ろ

だったのかな、、、って思っています。

 

まず、ただロングボールを蹴るだけでは一辺倒になってしまうので何かしらメリハリが必要。そこでおそらく15~20分くらいまではロングボール主体で様子を見て、頃合いを見てアンカーの前を使うことなどを織り交ぜていくことを考えていたと思われます。

1失点していたこともありますが、ちょうどこの時間あたりからエスナイデル監督がテクニカルエリアに張り出していました。

25分あたりでは落ちてきた五十嵐をなぜ使わないんだ!とイラつけば、1得点目のシーンでも、15前がボムヨンからボールを後ろから受けたところで、保持をしたことが気に食わなかったのか、不満そうなジェスチャー

大きなサイドチェンジから、高橋⇒ジュニーニョがクロス⇒梅木フィニッシュと見事なゴールでありましたが、ゴール直後にエスナイデル監督をDAZNが映したところでは、初見時はこうやって出し入れしたからできただろ?ってうれしいのかなって思いましたが、見返していくうちに、もっとこう動かせ!と不満を表しているようにも見え、なかなか真意がわからないところではあります。

 

ただ、ピッチ内で起きていた現象としては、ツートップとSHで嵌めようとしに来る大分に対して、レノファは3バック+アンカー。IH2人に大分のダブルボランチはつくので、アンカーの前は空き気味に。ここを埋めるため、大分はツートップの藤本を前につける形にしてサムエルと縦関係に。

これに対して飲水タイム後あたりからレノファは五十嵐をアンカーの位置まで落ちるようにし、15前の脇をサポート。

といった感じに大分が修正すれば、レノファも修正する。主導権は渡さないようにエスナイデル監督も懸命な指示であったのかなと思います。

だからこそ、前半の逆転劇につながったのかと思います。

 

そういう思惑があってのことか、

38:50のシーンではWBの高橋と田中はツートップと同じで高い位置を取り、大分の後ろ4枚をピン留め。レノファ3バック+アンカーに対して大分はツートップとSH2人で対応。そこで池上はもともと高橋がいたRWBの位置へ移動し、大分のボランチは池上に突いてしまうと中央が空いてしまうので、ここまでは出て行きづらいので池上はフリー。

このタイミングでRCB22生駒にボールが入り、池上へ出せそうだったものの生駒はやり直すことを選択し、ここでエスナイデル監督の大きな不満が爆発したようにも思えました。

後半頭から生駒に替えアンカー位置に佐藤謙介を置き、前をRCBへ移動させました。序盤こそロングフィードを使っていましたが、相手が多少間延びしたことで今度はショートパスも交える。秋田戦以降相手に嵌められてしまった時にうまくいかなかったへの修正をうかがわすような展開であったと思います。

 

現に大分サイドからの視点では

下平監督(引用元:2023明治安田生命J2リーグ29vs山口 | 大分トリニータ公式サイト

前半途中から守備の形を変えて2トップを縦関係にしてというところは伝わっていた。そこから少し自分たちの守備はハマりはじめたが、そうしたことでまた相手も変化してインサイドハーフの選手が横に下りるなど工夫してきたので、ゲームの中で選手たちが臨機応変に対応しようとしていた。出来ればファーストプランで入った中で、相手のシステムが予想と違ってハマらないという状況になったときには、もう少し自分たちでも工夫できるようなチームになっていけたらと思っている。

と、大分のチーム状態も影響したかもしれませんが、修正が難しかったことを認めています。

後半になってからは前が右サイドに入ったこともあり、ここを起点にするなど生駒には悔しい交代となってしまいましたが、プレー割合は前半は左サイドが多かったですが、後半は前がRCBに入った右サイドにうつりました。

レノファ山口FC 2023マッチレポート | 8月6日 vs 大分 | データによってサッカーはもっと輝く | Football LAB

 

3)H千葉戦とは違う

良くなかったところも少し。

今節千葉戦同様に裏を取られる場面が続きました。千葉の時はファーストディフェンダーがなかなか決まらなかったと前回のブログで書きましたが、今節は割と中盤で外されてそのまま裏を使われていたように思います。

また特に前半は多少強気に上げすぎてない??それこそ千葉時代エスナイデル監督?というような場面もありましたので、ラインの上げ下げについてはもう少し気を払う振る舞いが求められるのかなと思います。

また、ワンアンカーの前が肝である以上、彼がボールを保持した局面でボールロストをしてしまうところで、ここのリスクヘッジも必要。1分に早速そのシーンがありましたが、このシーンでもWBの高橋が絞って後ろは4人いる形でしたが、これをWB陣がさぼると・・・ロスタイムみたいなことになるわけですね。。。

まだまだこのシステムも新たに練度が必要なところかと思います。1失点目も準備されていたセットプレーのようなスローインからの失点でしたし。

 

そして、もっとも雷を落としたエスナイデル監督の談話で

選手に伝えたことをみなさんにお伝えすることはできませんが、ただ最後のプレーに関しては、練習でどうという話ではなく、しっかりプレーするということです。

このあたりは精神的な部分というか、クラブの負の伝統というか・・・

会長や社長などフロントが変わり、エスナイデル監督になってクラブの体質が徐々に変わってきています。なんでも氏の言葉を借りる感じですが「今、変わるチャンス」「今、変わろうとしている」。このフェーズなのではないかと思います。

結果はいつもと同じ、かもしれませんが、その「被弾してしまった」に至る過程は変わってきていると僕は考えています。

 

何度もこの試合のダメポイントを出してしまってホント申し訳ないのですが、

千葉戦でもロスタイム被弾してたじゃん!といった内容をtwitterのTLでいくつか見ました。

僕の意見としてはこの試合は前半の20分くらいで、千葉CH見木が最終ラインに落ちたりポジションを変更し始めたあたりから、攻守ともにうまくいかなくなっていった試合でした。

皆川のゴールで先制はしたものの、後半も特に何か変わったところもなく、うまくいかないところで、選んだ交代策が『攻めに行く』といったものでした。もともとうまくいっていないにもかかわらず前に出ることを選んで、被同点弾から被逆転弾未遂を3回繰り返すような試合でした。

今節も「前から奪いに行く」ことを続けましたが、これは試合開始からある程度徹底しており、一定の成功を納めているものでした。もちろん連続クリーンシートの時のように引いて守るという選択肢はあってしかるべきですが、あの時は引く以外なかったに近かったかと思います。

今節に関していえば交代選手も手を抜かず、チームの方針を徹底しました。

佐藤謙介の談話にあるように

監督が求める『前に前に』というアグレッシブさは出せたと思いますし、(中略)チームとしてもう1段階上に行くために、少しずつ、本当に少しずつですけど、体を張るとか、体を投げ出すとか、そういうところをもっともっと突き詰めていかないといけないと思います。(引用元:

【公式】山口vs大分の選手コメント(明治安田生命J2リーグ:2023年8月6日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp))

やはりまずベースにあるのは「高い位置で奪う」こと。

梅木が『試合前から90分を通して前から行こうという話はしていました』というように、このベースに上積みをしていくことを話しています。

(第29節 大分トリニータ | レノファ山口FC)

繰り返しにはなりますが、同点に至ってしまった過程は異なります。

 

この前フォロワーさんのツイートがきっかけで、色々調べてツイートもしているのですが、3年連続で29節の終了時の勝ち点は32点なんですよね。2021年は30節で監督交代し34節まで勝てない状態が続いてました。2022年はここから13節で勝点18を稼いでます(1試合あたり勝点約1.38 年間換算約58点)。そして転換点となった3バックは29節のA栃木戦でした。

そして2023年も29節で3バックにし、2トップの採用をし勝ち点32に。

エスナイデル監督が就任して以来11節で勝点13(1試合当たり1.18点)。大分戦で勝っていれば勝ち点3であれば勝ち点15(1試合当たり1.36点)と割と2022年と同じくらいのペースで勝ち点を積めるところでした。

年間の勝ち点換算になおしても60に多少届かないところで推移することを考えると、トップ6に手がちょっと手が届かないくらいの水準にもなります。

 

話を試合に戻しますが、あのような被弾は勘弁ではありますが、繰り返しになりますが過程は違います。そしてここから上がっていく可能性は十分あると思っています。そして今季はだいぶ難しいですが、来期以降トップ6と言わないでもトップハーフなども見えてくるのではないかと思います。

という思いから、ここ数試合は「ここができていなかった」的な記事にしてましたが、今回はよかった探しをしてみました。いかがでしたでしょうか。

 

さあ、週末は「なにもない!!最低の試合です!」の秋葉監督ですね。維新で0-6で負けたかもしれませんが、やっぱり「何もない!!」ですよね。はい。嫌なことは覚えていないので、アウェイだろうが、超強敵エスパルスだろうが勝ち点3を期待したいと思います。台風近づいてますが、試合にはあまり影響しないといいですね。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)