清水強かったですね。
アウェイとはいえ一矢報いて・・・とあわよくばを期待しましたが、最後は力負けといった試合だったかと思います。ゴール期待値が試合の様相をそのまま反映していたように思えます。(リンク先:SPORTERIAさん)
僕は日本平のアウェイ2階席の端っこで試合8:エスナイデル監督2の割合で観戦しておりまして、X(twitter)で#イライラエスナイデルを見守る会 というとても失礼なハッシュタグを使って、エスナイデル監督の様子を見ながら観戦してました。(本当にエスナイデル監督申し訳ございません・・・)
今回はちょっとその挙動を含めてどんな形でこの試合が流れていったのかを振り返ってみたいと思います。
1)激怒ポイントはプレス、立ち位置、逆サイド。
2)更なる宿題を出してきた清水。
【得点者】
清水 山口
79分 カルリーニョス なし
1)激怒ポイントはプレス、立ち位置、逆サイド
まず、試合の振り返りに入る前に今回こちらのブログを先に拝読させていただきました。清水視点からの情報があり面白かったので、興味ある方は飛ばれてください。
秋葉監督の日ごろのコメント「圧力をかける」「ゴールに向かう」という言葉があるようで、この2つの言葉も念頭に試合を振り返ってみると、試合の解像度が上がるのかなと思いました。そのほか逃げ切り策で3バックを使うことなどですかね。普段は基本自分のブログ書くまで読まないんですが、ちょっと色々訳ありで今回は知恵をお借りしました。
さて、今節のレノファは前節に次いで5-3-2のフォーメーション。懸念点であった出場停止の高橋の位置RWBには矢島を置き、前節出場停止だった神垣はアンカーの位置に入りました。神垣へのエスナイデル監督の信頼度が伺えます。
また河野がケガから復帰をしましたが、スタメンは前節結果を出したジュニーニョと梅木を継続して起用しました。
対する清水は4-2-3-1。山原が復帰やチアゴサンタナも復帰後初スタメンなど清水も徐々に人が戻ってきた印象でした。
さて、キックオフ。
キックオフ直後からこの日の清水の姿勢が強く表れていたと思います。
0-6で負けたホームでの1戦よりもプレスの強度を上げて試合に入ってきました。レノファは割とキックオフ直後にロングボールを蹴っていましたが、最近は様子見るために後ろで回すことが多くなっていますが、ここを早速清水にとらえられます。
スローインからの流れで五十嵐がボールをおさめたところ、すぐに11RSH中山に寄せられボールをロスト→乾がワンタッチでチアゴサンタナにつけてエリア内でシュート。
関のファインセーブで事なきを得ますが、結果論ではありますがこの試合の縮図が試合開始直後に出てしまっていたかと思います。
今節の流れとして清水のプレスをレノファは剝がせるのか。清水陣でのプレータイムを増やせるか、であったと思います。
≪「圧力をかける」「ゴールに向かう」≫に対してレノファの「攻」の局面での打開策としては
・後ろからのビルドアップ
・ツートップへのロングボール
・サイドチェンジ
があったと思います。
まず後ろからのビルドアップ。開始直後に五十嵐がボールを奪われたシーンを皮切りに5:50のところもボムヨンからのボールを五十嵐はマーカーの白崎をかわすも、すぐにフォローしていた原にボールを取られ被カウンターを受けるなど、池上を含めてなかなか清水の圧力を脱することができませんでした。
ではツートップへのボールは?大分戦より採用したこのシステムで大分相手にジュニーニョ、梅木と二人でボールを納めるシーンが出さており、自陣からのゲインを助けていました。しかし、ここも鈴木・高橋の両CBに対して質的優位を取ることができずここも使うことができず。
ようやく糸口が見えたのが「サイドチェンジ」であったと思います。
今節の試合前インタビューでも
-試合中のサイドチェンジに関して、チームにはどのような意識付けをしているか?
あれでは足りないくらいです。要求しているつもりですが、それができる時もあれば、できない時もあります。(引用元:第30節 清水 | レノファ山口FC)
とおっしゃっていたように、試合中も良く反対サイドをみろとばかりに指笛・ジェスチャーを送り続けていたエスナイデル監督。
形となったのは8分前後の2つのプレー。神垣とボムヨンからそれぞれ田中へのサイドチェンジがわたることでミドルサード、ファイナルサードへ入っていくことに成功していきました。清水の右サイドの中山に比べるとカルリーニョスのほうがプレスについては弱め。前半はレノファの右サイドから左サイドへのボールが全体的に多く展開をされていました。
一度突破ができれば多少話が変わります。4分のように相手陣でプレスをかけてもGKのキック1発でひっくり返されてしまうこともありましたが、ある程度相手陣深くでボールを蹴らせることに成功すれば、神垣やCB陣がこのボールを回収することがしやすくなります。
イーブンとは言いませんが徐々に押し返すことができていたのはこのプレーができてきてからかと思います。
多少、試合の本筋からは離れるのですが、気になったシーンを。
上記のようにサイドチェンジが決まればそのケアをするために多少清水の圧は広がります。
清水RSB原は割とCBのケアのために中に絞った位置だったり、IHが抜けてきたところを封じるために高めの位置を取っていましたが、田中が高い位置で幅を取る場合はやはりここを警戒していました。15分のRCB前からのサイドチェンジについては直前でかなり細かくポジションの変更をしながら対応をしていました。
ただ、田中に原がついてくれるのであれば、彼がケアしていたその前だったり、CBの間にスペースがうまれ、レノファが多少使える場所になります。
18:50はジュニーニョにRCB高橋、田中にRSB原がそれぞれついているので、その間を五十嵐と池上が2段構えで裏抜けを試みます。ここはパスは出ませんでしたが、相手の最終ラインとボランチに裏抜けを意識させます。
続く19:10では神垣がボールを持ったところで、右サイドの矢島が裏抜けのそぶりを見せます。ここもパスは出ませんでしたが、最終ラインでやり直したところで、もう一度神垣にボールが戻ります。中間ポジションを取ろうとした五十嵐に対して、白崎と中山が二人で消しにきたのを見て、その背後の田中へ浮き球で裏を狙います。ここは原に跳ね返されますが、セカンドボールを五十嵐が回収し、最終ラインが下がっていたところでギャップに入っていたジュニーニョへ。このままシュートまで持ち込みます。
特に惜しいとかそういう場面ではありませんでしたが、秋田戦やいわき戦のようにはめ込まれたときの解決方法として裏抜けを見せながら、ゲインしていく方法を増やしているように思えます。
前回のブログにて、生駒の交代について言及したところで触れましたが、RWB高橋を上げて相手のSBを押し下げ、RCB生駒との間にIH池上が入り込むことでフリーになる方法であったり、
CBが低い位置でボールを保持しているときに、ボールをうけるためにWBも同じく低くし、嵌めパスになるので相対しているSBが寄せてくるので、その裏にIHを走らせるやり方(47分の五十嵐が抜けたところ)など課題にチャレンジしようとしている姿は見えたと思います。
清水の圧に後半などは屈してしまい、保持をすることはできませんでしたが、前節同様に嵌ってしまっていても自分たちで相手ごと動かして、相手のSBの裏を突いていくことはできている時間もあったりと、少ないながらに収穫はあったように思えます。
話し戻して勢いを戻すきっかけとなったサイドチェンジ。できるタイミングで実行しなければ、、、はい、エスナイデル監督の怒号と指笛が鳴るわけですね。
基本イライラのスイッチは大きく分けて3つあったと感じます。それが「プレス」「立ち位置」「サイドチェンジ」でした。
一番初めにこの試合でエスナイデル監督がキレたのは開始直後の五十嵐がボールを奪われてしまったシーンではなく、7分の五十嵐が右サイドから左サイドへボールを追ったところで、白崎へ強くいかなかったところでした。
逆に五十嵐は白崎からはかなり強く寄せられており、GK時やCBがボール保持をしていたところでボールを受けるところを細かく指示をされておりました。五十嵐がIHで起用されている理由としてやはりここで相手のプレスラインを突破することが求められます。ただ、ここで前を向かれては困る清水はここを潰してきます。彼の突破と相手のショートカウンターはトレードオフではありますが、今節は難しい展開となっていました。
飲水タイムあたりから徐々に池上も五十嵐の近くにも行くようになり、このあたりにもエスナイデル監督の指示が飛んでいました。
そして29分の池上のようにビルドアップで顔を出し、ボールを引き出したところで、逆サイドの矢島はフリー。しかし、選んだのは梅木へのロングボール。梅木が納めればよかったという話ではなく、池上が反対サイドを見なかった時点ですでに嘆いていました。(59分にも田中と五十嵐にもしていました。指笛の音よく通りますね)
現地で一連のエスナイデル監督をみていると、やはり要求していることは一貫しているように思えました。
田中も試合後インタビューで
−途中から左の高い位置で受ける回数は増えた。狙い通りだったのか?
相手が4バックでしたので、そこは絶対に空くと思っていました。みんなも見てくれていたので良かったですが、最後の決めきる力が必要だったと思います。
と、チームとして狙いとしていた部分がここであり、44分には久々に神垣から田中へのサイドチェンジが通っており、ジュニーニョのエリア内でのシュートにもつながりました。
<圧をかける>に対して、その矢印をかわすために逆サイドを狙う。圧が強くなれば逆サイドはその分空きます。すべてこのプレーを狙う必要はありませんが、有効な手立てになっていたのは確かかと思いました。
2)更なる宿題を出してきた清水。
そして後半清水が動きます。
試合途中でクロージングのために3バック(5バック)を行うことはあったようですが、この試合は後半の頭から変更。
RSHに入っていた中山をRWBにし、後ろで5レーンを埋めてきました。また前線もボールの出どころになっていたRSB前のサイドに乾をもってくることでカルリーニョスよりもプレス強度を上げます。
清水の最終ラインが5レーンを埋めたことで、レノファが一方のサイドに選手を集めサイドを替えた時にも、清水の守備陣の横のスライドの距離が前半よりも短い距離ですむため、田中が前半のようにフリーでサイドチェンジを受けるようなシーン、それを狙うようなプレーが少なくなっていきました。
また、前半あったように相手を動かして空いたところをつくにしても、まず神垣が相手のプレスのファーストラインの裏でボールを受けることができず、最終ラインでおちてボールを受けることが増えました。
相手を引き出すことや最終ラインでボールを失うことは少なくなりますが、池上、五十嵐が清水に捕まるシーンが増えてしまい、ボールを受けてもすぐにボールを戻す。ボールをはたいてもパスがずれるなどミスが続いていきました。
また、後半から清水が3-4-2-1のようにかえてきたこともあり、ボール非保持の中盤のセットが変更に。
前半は乾-白崎-ホナウドの3人に対して、池上-五十嵐-神垣の並びでみることができていましたが、後半からはダブルボランチと乾にカルリーニョスが加わり、中盤が数的不利に。
このシャドウの2人にレノファの両CBがついていけばいいのですが、ここへサイドのCBが上がると空けたところにCFが流れてくる、WBやボランチが入り込んでくるといった形でCBは最終ラインから飛び出すことができませんでした。
そして60分の選手交代。レノファは疲れが見えた梅木と五十嵐をそれぞれ河野と水口を入れる形で交代。清水は中山・山原の両WBを北爪・吉田へと変更。両ワイドの推進力を上げなおし、さらにオ・セフンを入れることでさらにタテへの意識・強度を上げてきました。
清水の選手は前線の選手は1人ははがすことができるため、1vs1の局面でも後手をとってしまい、攻撃でも圧力を受けることでズルズルとラインも下がりっぱなしに。
そして押し込まれた状態、カウンターの局面で待っていたのはRCB前が出れない位置で待ち構える乾。サイドに圧縮をしてボールを奪えればよかったのですが、この場合はサイドに寄せられてしまっていたという方が正しく、フリーでボールを持たれるとJ1でも反則級の選手がレノファに襲いかかってきました。(まあほとんどの人がJ2反則級ではあるんですが)
そしてギリギリ持っていたレノファの最終ラインですが、ヘナンの足の故障なのか攣っただけなのかはわかりませんが、最後の最後、乾のスルーパスから瓦解をしてしまいました。選手交代を用意していただけに悔しい失点となりました。
しかし、この時点でミスからの被カウンター、押し込まれたところからの横のスライドなど走らされてしまっており、レノファにはもう足が残っている選手が少なかったのも事実であり、時間の問題ではあったと思います。
「圧力をかける」「ゴールに向かう」を実践されてしまい、レノファはこれを剥がすコとができなかった。残念ながらホームに続き力負けとなってしまいました。
解説の成岡さんもおっしゃっていましたが、後半に入り清水とプレスを受けて、レノファ自体が、どこでボールを動かし、どこを狙っていくのか、ここがだいぶぼけてしまっていたように思います。そこまでプレスが来ていないにも関わらず、ミスをしてボールを失う、前を向けるのにすぐに下げてしまいより清水のプレスのスイッチを自分たちで入れてしまう。など、悪循環に陥ってしまっていました。
確かに清水の質は圧倒的ではありましたが、59分のようなチームの狙いとしていたサイドチェンジができるタイミングであれば、それを行ってほしかったところ。後半は常に同サイドでの狭いスペースを攻略しようとする難度が高いもの。狭いスペースで相手に奪われてもすぐにボールの再度奪回ができれば話は別ですが、そこからすぐにショートカウンターを受けるようなシーンが多かったことを考えれば、やはり取り組んでいることを遂行してほしい。
ただ、エスナイデル監督自身もなかなか有効な手立てを打てなかったことも事実。
そのため反撃ができたのも失点をしてしまってからでした。確かに清水は先制点を取っており、リスクを取っていませんでしたが、吉岡が入ることで一つボールを受けるターゲットができました。ボールの預けどころになったり、前半レノファがやろうとしてた裏を突く動きも出てきました。相手のDFラインの裏を使うことで通らなくても相手陣でのプレー時間を増やせますし、後半やられていたプレスからの被カウンターの場面も減りました。
なぜ吉岡をRWBで使わなかったのか、リソース不足などを考えていくとあと3000字くらい(&3時間くらい)かかりそうなので省きますが、多少選手のやりくりに苦労をしているようにも思えます。
まだ相手の質が圧倒的であった場合、これをひっくり返す力・術がやはりまだ用意ができていない。だからこそ、前半の梅木、後半の神垣のようにプレスからの高い位置でのボール奪取からの決定機はしっかり決めきりたいところ。下位チームであるからこそ自分たちの狙ったプレーをしているところでの決定力は求めたい。
そろそろシステム・選手の見極め期間は終わったかなと思うので、ここから残り試合でより昇華してなんとか残留は決めてほしいと思います。
リソース不足、、、って思っていたところに成岡が今年もレンタルで来てくれましたね。
IHなのかアンカーに入るのかはわかりませんが、去年のように苦しい状況ではありますがきっと力を貸してくれることでしょう。期待したいと思います。
徳島21位 甲府7位 水戸15位 ヴェルディ4位 ジュビロ2位 群馬8位 金沢19位 大宮22位 岡山10位 仙台16位 町田1位 熊本14位
まだまだ上位陣は残ってはいますが、10試合以上残っています。まずは徳島をたたいて、徳島を叩いて!!9月シリーズを迎えてほしいなと思います。甲府にもやり返さないといけないですしね。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)