エスナイデルダービー。とても残念な結果に終わってしまいました。
エスナイデルレノファがなかなか組みしにくそうな相手であったいわき・秋田戦が終わり、さあここから、という試合と思っていたのでこの結果はなかなか厳しいものがありました。
エスナイデル体制も3勝3敗3分と五分の数字にはなりましたが、はてさて。
今節は下記について考えていきます。
1)痛かった1失点目と飲水タイム。
2)ミスがこれだけあれば。
3)書くことあまりないので新戦力の雑感
【得点者】
千葉 山口
22分 風間 なし
33分 ドゥドゥ
45分 鈴木
81分 日高
1)痛かった1失点目と飲水タイム。
今節の対戦相手の千葉は4-4-2。ルーキーながらすでに二桁得点を取っているCF41小森をCFに、風間がトップ下のような形にも見えました。
そんな千葉に対してレノファは変わらず4-3-3。変わったところでいうと前線の並び。CFに梅木、RWGに小林、LWGに松橋とこれまでとかなりガラッと変えてきました。
松橋は脳震盪からの復帰ということで無事戻ってきてくれました。よかったよかった。
また、IHに池上と矢島を並べるスタメンもエスナイデル政権では初(なはず)。Hヴェルディ戦以来の組み合わせだったかと思います。
序盤から千葉のセットプレーでゴールを脅かされるシーンはあったものの徐々にレノファペースに。千葉のプレスに対しては神垣と矢島がポジションを変えつつ、時に寺門のSBへ飛ばすパスなどを交えて前進ができるようになっていきました。
相手陣へ押し込んでいければ相手のクリアボールを回収し、2次攻撃につなげるといった良いときのレノファの形を見せることができていました。(11分〜13分くらいのところなど)
また、前や池上がエスナイデルさんの指示でないと思いますが、それぞれが相手を困らすような位置取りをすることで千葉のズレを生むようなプレーも出ていました。
例えば14分。神垣が右サイドバックの位置に降りてRSB高橋とRWG小林の位置を上げます。この場合矢島がアンカー位置に降りてくるのが多かったですが、この試合は前がここを担当。彼の務めるLSBのところは手薄になりますが、その分矢島の位置を上げることができます。左サイドは松橋が幅とり役。一気にここにサイドチェンジはリスクがあるので、前がアンカー位置にいるときはやってなかったかなと思います。
これらの配置もありこのシーンでは、高橋から小林→矢島そして梅木というところで、裏抜けと足元のボールで矢島と梅木で意図が合わず鈴木にカットされてしまいます。しかし、鈴木の前線へのパスはアンカー位置にいる15前がカット。すぐに池上へつなぎ、持ち運んでから松橋へつないで松橋は時間を作って走り込んだ矢島へのパス。ここはバウンドがズレたのか惜しくもミートせず。
続く14:45。ボールを奪い返しており、ボールを落ち着かせるために最終ラインへ。そしてヘナンからまだ中にいる15前へ。そして前から松橋への浮かしたパス。
ここは多少画面には映ってませんでしたが、池上が千葉RSB高橋のところへ位置どることで松橋をフリーにしていました。パスが長くなってしまったため通りませんでしたが、通っていればまたエリア近くまで行けていたような展開でした。
ゴールこそ奪えてはいませんでしたが、徐々に迫るプレーも出てきてそろそろシュートを撃ちたいというところでエラーが起きます。1失点目ですね。
この失点直後に飲水タイムという名の作戦タイムに入ってしまったのがより痛かったと思っています。
この飲水タイムをきっかけに千葉は多少やり方を変更。今までボール非保持は4-4-2で多少コースを限定してサイドへ押し出すようなプレスの仕方をしていましたが、ある程度人につくことをはっきりしたように思えました。
再開直後の小森はわかりやすく寺門へ寄せましたし、田口は序盤多少後ろ重心のような位置でしたが、レノファのIH矢島と池上に千葉の選手がマンツーマンの色を強くしてつくようになっていたと思います。
また、ボールの奪いどころのようになってしまったのがウイングの松橋と小林のところ。レノファがロングボールにしろ、SBへ逃げて出すところがなくなってWGへボールを逃がすようにパスを出したところでガンと思いっきりここを千葉は潰します。
名塚さん時代からの課題の一つではありますが、苦しくなるとだいたいSB→WGへボールが出ます。ただ、このときのWGはDFを背負ってしまっている状態で苦しく、SBも苦し紛れに出しているくらいにプレスを受けているので戻すこともできず、ほぼハマってしまっている状態で毎回ボールを受けるので、その度にボールを失ってしまいます。
試合後の高橋のインタビューでも
(受け手の選手が)狙われている中で厳しいボールを出したりとか、簡単なロストにつながったりとか、そういうところがすごく多かったです。(引用元:第28節 ジェフユナイテッド千葉 | レノファ山口FC)
また千葉のキャプテン鈴木の試合後の談話でも
飲水タイムでちょっと修正するまでは、全体をコンパクトに保って、前で回させるけど自陣には進入させないようにと意識していました。それができたと思うし、徐々にカウンターが効いてきて自分たちがボールを持てる時間が増えましたし、ゴール前まで持っていくシーンが増えたと思います。(引用元:
コンテンツ|2023明治安田生命J2リーグ 第28節 VS レノファ山口FC|2023|トップチーム|試合|ジェフユナイテッド市原・千葉 公式ウェブサイト)
と残しているように、今節で言えば特にWGの位置で奪われ、本来ならレノファがやりたい相手陣でのプレーを許してしまいました。
またボールの非保持局面でもちぐはぐさが目立ち始めました。
序盤ジェフ4バック+ダブルボランチの1角の4田口に対して、レノファはウイングの小林と松橋を多少下がり目にし、池上を1列上げるような形で4-4-2を形成。田口がDFラインに降りたりする場合は矢島もそのまま上がるような形にしていました。
20分までは上述したように相手陣でのプレーをする場面はありましたが、この1失点目以降がなかなか難しい時間が続きました。
これまでの試合でも見られたように、池上・矢島のIHコンビは割とハイプレスをかける際にそのスイッチになるような役割をすることがありました。この試合でもそれだけ彼らは前から行こうとしていたように思えましたが、ただ前線の3人がなかなかIHの2人に比べるとタイミングが合わないというか、今行って良いのかという判断をしかねているように見えました。
前線は「まだミドルゾーンで構えるところ」と判断しても後ろはプレスをかけることを前提にラインを上げているので、ミドルゾーンの守備のコンパクトさはあれど、背後は空いている状況に。
ボールホルダーにもプレスがかかっていないので、千葉のフィードに制限がかけられず、ロングボールを自由に蹴られ、小森やドゥドゥ・田中らに背後を使われ、その都度後退してのセットディフェンスに。この局面になればレノファがもろいのは残念ながら自明の話であり、2失点目を喫します。
両CBのヘナン・松本ともに自分よりも前にいる相手選手を捕まえてボールを奪う対人プレーは得意なものの、背走させられたりするプレーについてはその範疇ではありません。
エスナイデル監督になってうまくいっていたのは前線からプレスをかけてリスクはあれどCB2人の得意なプレーを活かしてのボール奪還であったので、中途半端にプレスがかからない状況でラインを上げてしまっては、その裏のスペースは千葉の狙い撃ちに。
また、トランジションの局面でも1失点目ももうちょい前線がネガティブトランジション(攻⇒守)が早くできなかったかなというのもあります。そして30分のように寺門が松橋へロングフィードを送りますが、全体のポジティブトランジション(守⇒攻)も他がついていっておらず、孤立をさせてしまっていました。このようにチームの意識としてプレス局面同様に意識のズレを感じる展開であったかと思います。
ちょっと話を脱線させるのですが、結果が出始めたときの前線のスカッドはCFが大槻(河野)、RWG吉岡(高橋)、LWG田中でした。
RWG高橋は割と自陣では5バック要員となるなど特別な役割を担い、CFは河野とおそらく大槻も怪我で離脱ではありましたが、それぞれ持ち味を出していたと思います。ただ、いまいち定まっていないなと感じるのがLWG。個人的にはWGは補強ポイントかなと思っていた半面、田中を買っていました。彼はある程度無理がきくというのが個人的に好きなポイントとして挙げられます。
攻撃のところでエスナイデル監督が物足りなさを感じたのか、いわき戦や秋田戦は前半で交代であったり、終盤での投入、この試合についてはベンチ外でありました。
ただ、6試合クリーンシートであった試合で田中が見せていた印象的な姿として
・2度追いもするプレスの献身性。さぼらないトランジション
・沼田とのコンビネーションや無駄走りもいとわない上下運動や裏抜けのアクション
があったように思えます。
今節LWGに入った松橋が悪い、というよりもチームとしてこの千葉戦は上述もしましたが、このあたりの姿勢がチームで不足をしていたように映りました。
個人的に田中を買っているところがこのあたりを手を抜く印象が少ない。ドリブルが相手に引っかかったり、シュートが浮いてしまいがちですが、大事な強度を求めるところは彼はLWGで起用されている選手の中では体現できていたのかなと思っています。まあドリブルやシュートを求めて小林が使われているかもというのは否定しませんが。。。
話し戻して、試合前にエスナイデル監督が
成し遂げることができていた相手陣地へのプレッシャー、相手陣地でボールを奪うことというものを、もう一度やり直したいと思います。(引用元:第28節 千葉 | レノファ山口FC)
と残していましたが、疲れなのか、ピルドアップ時のタスク増の関係なのかは僕は測りかねるところですが、それぞれがプレスをすることトランジションの強度をあげること、エスナイデル監督になってから強みにしていたところが中途半端になっている印象があるので、もう一度考えるべきではないかなと感じました。
2)ミスがこれだけあれば。
プレッシャーを掛けられて奪われるシーンが多々あったので、そこはチーム全体として経験と回数を重ねるところプラス、頭の中で相手がプレッシャーを掛けてきた中で、どういうふうにしたほうが良いのか、回転を早くして立ち位置を取らないといけません。個の力ではやり切れないチームだと思うので、立ち位置だったりは特に重要になってくると思います。
15前の試合後インタビューですが、まだまだビルドアップのところは要改善かと思います。立ち位置もそうですが、今節は相手のプレスに対してミスが続出してしまったところがあったと思います。
特に見えた姿として前がアンカー位置で身振り手振りで味方を動かしながら、中間ポジション(レノファ二スタで鳥養さんがスクエアとかトライアングルと呼んでいるところです)を取る矢島や池上を見つけようとしていましたが、その出すところでのパスミスがかなり多かったように見えます。
この前の試合のようなボールロストをしないこと。
パスの精度を高めること。もう少し効果的にボールを動かすこと。ジェフに関しては自由にやらせてしまうと、素晴らしい選手がいます。
エスナイデル監督が試合前にこのように語っていましたが、残念ながら逆にこの通りになってしまっていたと思います。
41分なども矢島がなんどか中間ポジションへの動きなおしをしてパスを引き出そうとしたところで、松本がボールの処理を誤りボールロスト。カウンターを喰らいました。
特にこのシーンだけではなく、試合中盤では池上が戻したボールをヘナンが逆サイド振りますが、高橋につながらず相手ボールへ。解説の中西さんから「池上が前を向けないで戻してしまう。千葉は怖くない」とおっしゃっていたように、千葉は怖くないのでガンガン来る。レノファはそこにおびえてしまい、ボールが回せなくなるという負の連鎖になっていたように思えます。
前自身も言及していましたが、『「個の力」ではやりきれない』まずこれが前提に来てしまいます。嵌められてしまうことで苦戦することが3試合続きました。そろそろ恒常的な解決策が欲しいところです。
個人的にはCBの人選を変えてみるのも良いかなと考えていました。勝手に平瀬に期待をしているのですが、松本がご存じの通り町田へ移籍。強制的に後ろの人選にテコ入れをする必要が出てきました。生駒の復帰なのか、新戦力なのか、あまりしてほしくないですが前を再度コンバートするのか。見守っていきたいと思います。
3)書くことあまりないので新戦力の雑感
すでに5000字くらい書いているのですが、後半は変な退場もあったので、あまり書く気が起きなかったので、新戦力の雑感を。
本人がインタビューで自分の長所を「スペースに走るところ」とあげていたように、確かにテクニックは多少低いイメージ。また立ち位置的なところも五十嵐や梅木と被るところも散見されたので、チームへのフィットはまだこれからか。
ロングボールへのヘディングもおそらく1勝5敗くらいと鈴木にやりこまれてしまっており、やはりyoutubeであったようなオープンスペースに走らせるようなプレーをさせてあげたほうが活きそう。
ただ、11人でやれた時間が1分くらいであったり、コンビネーションはこれからなのでどのようになるかは楽しみ。人は良さそうなので献身性はあると思っている。
ジュニさん頑張って!
水口
アシストや得点をとるひとつ前のプレーを得意とする選手か?
ショートパスでつなぐようなシーンもあれば、大きなサイドチェンジもありプロの部隊でも臆することなくプレーしていた印象。ジュニさんと違い、4-0で10人だったので水口のほうが思い切ってプレーできたようにも見えた。
プレスバックで2度ほどボールを失う場面があったので、プロの強度にもう少し慣れる時間は必要かもしれないが、試合には絡んできそう。最前線までプレスに行く姿もあり、維新でも募金活動にも参加しているようなので、この数週間チーム練習に参加もしていると思われるので、うまく大学との折り合いをつけつつフィットしてほしい。
こんな感じかな~。異論はめっちゃ認めます(笑)
さ、こんな負け方はササっと忘れてもう一度どういうサッカーをしなければならないかをチームとして取り戻してほしいなと思います。
もともとレノファ山口というチームは守備はあまり考えず攻撃的にというクラブ。
自陣でブロックを作って相手の攻撃に対して受動的に受け止めるような組織的守備は苦手。であれば、失点しないためにゴールを守るためではなく、ボールを奪うため、得点するためにリスクを冒して前に出る。
受動的にならずに常に能動的に振る舞い相手よりも1点でも多くゴールを奪って勝つ。
(参照:モダンサッカーの教書Ⅳ)
理想に向かって突っ走り身を滅ぼしても仕方ないですが、現実的に戦えることはこのエスナイデル監督就任して9試合で見えたところであると思うので、上記のレナートバルディさんの受けうりというかパクったものですが、こんなかんじのことを体現してくれることを期待したいなと思います。
チャプター1がだいぶ多く尻すぼみ感があるのは、MDさんのせいってことにさせてください。プロット壊れたので。
でも、MDさん町田でも頑張ってください。
大分、清水、徳島、甲府と千葉同様にJ1経験のあるチームとの試合が続きます。このままずるずるいくわけにはいかないので、チームの奮起に期待したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
(※文中敬称略)