レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

梅木への道 大宮アルディージャvsレノファ山口 @Nack5スタジアム 2022年10月9日

6ポイントマッチ5連戦。結果としては2勝2分1敗。なかなか岩手戦に引き続き「う〜ん」といった試合内容での終戦。結果だけ見ればぎりぎり及第点。内容を考えると最終問題に向かうに連れて誤答がおおくなり、平均点ギリギリ。といったところでしょうか。ちょっと消化不良ですね。

ただ、成岡が復帰し、河野孝汰も約1年ぶりの試合と悪いことばかりでもありませんでした。そんな大宮戦を下記について振り返って見たいと思います。

1)超えられなかった大宮のダブルボランチ

2)4−3-3よりは4−2−3-1か。

得点

大宮           山口

3分 中野       60分 成岡

18分 中野

 

1)超えられなかった大宮のダブルボランチ

今節もレノファは3-4−2−1。佐藤謙が出場停止のため、前がボランチに上がって菊地がLCBに入りました。対する大宮は4-4-2の形。前から取りに行く場面もありつつも割と重心は後ろ。その代わり相手を引き込んでおいて、一気に裏を狙ってきました。

名塚監督「大宮が背後を取ってくるのは分かっていたこと

相馬監督「山口さんが前への勢いが強いチームという中で、われわれとしてはそれをひっくり返す狙いで試合に入った」

(引用元:Jリーグ公式https://www.jleague.jp/match/j2/2022/100903/live/#coach)

とあるように、相馬監督はアライバルインタビューでもほぼ同じことを仰ってました。言ってみれば、お互い狙うことはわかっており、成功した大宮と失敗したレノファ。と言えると思います。レノファは2試合連続で相手の術中にはまってしまいました。

名塚監督が言うように正直裏を取られるのもあっけなく取られ、マークも「え?」という形で外れていたし、付きにに行けてなかったので「安かった」と名塚監督がいうのも納得ではありました。

早々に失点をしたことである程度大宮がどっしりと構える。レノファが多少焦り気味に攻撃を伺えば、大宮が返す手で裏を狙うという展開が繰り広げられました。

まずレノファのボール保持時の狙いとしてはいつものざっくりですが、下記のような形だったと思います。

まず最終ラインからのビルドアップのところでは大宮の「2」の脇を使うことを意識していたと思います。今節もRCB高橋をRSBの位置へ上げ、田中渉がアンカーのような4−3-3のような形。15前は大宮の「2」の脇を使うため、右に左に降りてきてボールを動かす役目を担っていました。アンカーの位置にいた田中渉も本来ならこういうプレーをできるものの、この試合は佐藤謙のように大宮ツートップの間にいて、レノファのCBに大宮のCFが食いつけばボールを引き取るプレーが求められていました。

ただ、正直ここに(「2」の脇)腐心をしてレノファ自体が自ら難しくしていってしまったかなと。大宮は最前線から行くかというとそこまでは来ず。ボールを取る位置をミドルサードにしていたと思います。なのでレノファはハーフウェイライン付近まではすすむことができていました。

その方法として序盤は降りてくる前を使うことで前進を狙っていました。しかし、なかなかうまく行かず解説の石川直さんがおっしゃっていたように、外回りになるか、前自体が奪われてしまうような場面が散見されました。前の他に高井なども降りてくるものの今度は前線へ選手不足になるなど難しい時間が続きます。大宮がブロックを作る4-4のツーラインの前に手をこねても大宮は揺るがず、といった展開になってしまったと思います。

レノファ全体がある程度前進をしているため、ミドルサードでボールを奪われた場合、GK関とDFの間には20〜30mくらいのスペースができており、ここを中野に終始狙われてしまっていました。

 

その要因のひとつとして表題にも書きましたが、梅木への道がなかったことが上げられると思いました。前節の岩手戦である程度できていたことについて、梅木を使った前進を挙げました。

レノファが後ろからつなごうとしてうまく行かない場合、梅木へあててしまうというのが、梅木が復帰してから1つの方法としてありました。希望を言えば「後ろからキレイに繋いで前線へ」というのはあると思いますが、最終ラインから梅木へ通せば相手のファーストライン、セカンドラインも突破できるので、言ってしまえばショートカット。群馬戦なども前から来るところを生駒⇒梅木といった形でひっくり返してましたので、チームとしてもうまく使いたいところであったと思います。

ただ、大宮は先制していることもあるので【特に前から来ない。】

そのため、梅木が裏抜けをうかがうことや、ボールをおさめるエリアが狭かったことがこの試合あったかと思います。また上のgif画像の2枚目のようにボランチの二人が梅木へのボールが入らないように締めていました。CBとイーブンの競り合いさえもさせないようにその前で門を築いていました。

そしてレノファの中盤の選手がこのボランチの前のエリアでボールを受けようものなら、大宮のCF、SHがプレスバックをし複数人でレノファのボールホルダーを自由にさせず、あわよくばボールを奪い、ショートカウンターを狙っていました。

この試合大宮のダブルボランチの大山と小島はCBの前の壁として立ちはだかっており、それぞれ守備のスタッツについても、クリアやタックル成功・ブロックでCBなみの数字を叩き出していました。(下記sporteria様の守備スタッツを参照ください)

sporteria.jp

こうして大宮はレノファに対して中を徹底的に締めることで、レノファの攻撃を封じにきました。そこでレノファが取ったのがサイドチェンジ。これも1つの武器としてつかっていますね。あまり見ないシーンでした、高橋から橋本へのサイドチェンジも2度ほど前半あったりと横の揺さぶりをかけにいきました。

27分などは相手のクリアが中途半端になったところでしたが、吉岡から橋本、高井とつないでクロスに大外吉岡。中への折り返しを橋本のシュート。と中を締める大宮に対して大外を使いながらの攻撃を仕掛けていきました。

 

2)4-3-3よりは4-2-3-1か。

そして後半にレノファがシステムをいじりました。3-4−2−1から4−2−3-1へ。今シーズン中盤までつかっていた4ー3-3ではなく4−2−3-1へ。

変更した理由として、まず成岡を使った形にしたかったことと、守備がいまいちハマっていなかったことが挙げられると思います。守備についてですが、劇的に改善をしませんでしたが、この試合大宮が山口のシャドーの脇を使うシーンが何回か見られました。

上記のように20何分だったかな。。。すみません、メモのし忘れです。。。

大宮のLCB袴田に対して梅木がチェイスできずに高井が行こうとしたところを、すかさず茂木にその脇というか裏を使われ、富山の決定機(結果的にオフサイド)を作られたシーンがありました。その他にも落ちた小島を今度は誰も捕まえておらず、一気に裏を狙われるシーンも有り、人数は足りているものの相手への制限がかけれていないシーンがいくつか。橋本や特に吉岡が最終ラインから相手のSBまでチェイスしないといけないかみ合わせもあり、フリーで裏へのボールをいれられてしまい直接失点に関わってしまうため、ある程度大宮の合わせる4-2-3-1を使ったのかなと思いました。

そして攻撃としてはもともとボール保持時にはツーバックにしてますし、最初からこの形にしてしまおうというのがあったと思います。攻守においてシステムを可変させることでメリットとしては相手をずらすことがありますが、デメリットとしては奪われたときのポジションの悪さやトランジションの強度不足が挙げられます。そのためだったら最初からこうしよう。といったものだったのかなと思います。

後半から入った成岡が相変わらず臆せずボールを受ける、ターンをする、持ち運ぶとJ2では異次元のプレーをしてくれることもあり、前や橋本のSBも高い位置をとることができ圧力をかけることができていました。(もちろん大宮のボランチらにインターセプトされ、何度もカウンターを受けたことは問題でしたが) 名塚監督も試合後インタビューで言っていたように、前半にできていた横の揺さぶりだけでなく、「相手の背後をとった」縦の揺さぶりもかけられるようになっていったと思います。

そこにはSBから中の梅木への斜めの挿すボールもあったり、田中渉が3列目から追い越す動きが出てくるなどが縦の揺さぶりとしてありました。これが最初から出せればといったところですが、それはやはり大宮がリードしていたからこのような試合展開になったと言うのもありますので、20分で2失点は本当に痛かったなと思います。

 

システムの話に戻すと、基本は3ー4ー2ー1のままかなとも思いますが、4-2-3-1を併用するのもありかなと思います。名塚監督の理想は4-3-3の気もしますが、今いるレノファの陣容や現実問題としてワンボランチ(アンカー)を務められる選手、もしくはワンボランチにしてこの選手を助けられるようなIHはレノファにはいないので、このダブルボランチのほうが安定しそうですので、オプションとしてこの形は持っておいても良いかなと思います。この数回のブログで書いておりますが、来季に向けてうまくつなげる2試合にしてほしいなと思います。

 

さて、河野孝汰が復帰!と多く書こうと思いましたが、出場時間!!!次の試合はもっと長く彼の勇姿をみたいですね。長崎戦はリアタイできるので楽しみです。

もうこのチームでは2試合ですね、気づけばあっという間ですね。まずは長崎に初勝利!!これですね。

 

 

ちょっと脱線した話題を本文とは別に。

Nack5の雰囲気すごかったですね。僕の家から一番近いのが多分このスタジアム。(もしくは柏か埼スタ。) 結構10年前は友達と通ってました。川崎戦だったり、トゥーリオ見に行ったりと思い出の多いスタジアムなんですよね。

この友達は実は野球畑でなんかJリーグ見てみたいといったライト勢。何度か埼スタや等々力に連れて行ったのですが、一番ハマったのがこのNack5でした。目線と同じ高さで見る選手の迫力や筋肉がぶつかる音がたまらないとのことで足を運んでました。

そんな思い出深いスタジアムで菊地へのあの拍手。twitterでの画、改めてDAZNで見た映像は素晴らしかったです。Jリーグいいな!って思える光景が広がっていました。引退やお別れは寂しいですが、あのような花道は素晴らしいなって思いました。

奇しくもその前日に川崎対清水を見に行ってました。中村憲剛さんが等々力に来場しており、試合前のウォーミングアップのところで姿をだされ、その時に彼の現役時のチャントを歌うという一幕がありました。DAZNでも引退セレモニーは放映されてましたが、実際に彼へのチャントは録音でしか流れませんでした。

僕は昔はリーガエスパニョーラしか見てなかったんですが、中村憲剛さんのおかげでJリーグに、川崎に足を運ぶきっかけをもらいました。だからこそ、コロナで声が出せず「ありがとう」という言葉を届けられなかったことが唯一の心残りでした。ですが、この前の試合前のチャントを、僕が座っていた席は声出し不可でしたが、声をだされていたサポーターの方に思いを拍手で託して「ありがとう」をおくることができました。

あと2試合。ホーム最終戦で菊地・渡部の両選手のセレモニー。直接維新には足を運べませんが、しっかり「ありがとう」の思いをテレビの前から送りたいなと思いました。

コロナで色々不自由なことがあったからこそ、選手・スタッフさんへの思い入れもこの数年深くなったなと感じます。ただの自分の年齢のせいかもしれませんが(笑)

どうか悔いのない最終戦を終えられることを願いたいなと思った1週間でした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

文中敬称略

相手の土俵・デュエル レノファ山口vsいわてグルージャ盛岡 @セービング陸上競技場 2022年10月2日

徳島戦に続き試合終了間際での失点。勝ち点3がこぼれ落ちて1になってしまいました。試合終了後の選手たちの顔には当然ながらかなり悔しそうな表情が。特に寺門は責任を背負ってしまったような顔をしてましたね。

事実を淡々と書いてしまえば、最後のクリスティーノが競ったボールに対して、寺門がキャッチをしに行く。または橋本へある程度余裕があるからコーナーではなく前へ蹴り出すなどの指示があればコーナーもなく試合は終わっていたと思います。コーナーになったときの菊地の仕草がより寺門のこのときのプレーに対する評価を物語っていたと思います。

ただ、チーム全体として良いパフォーマンスではなかったので、この結果についてはチーム全員が負うものでありますし、「自分の実力の無さを実感している」という寺門には今後彼がチームを救えるヒーローとなれるようなGKへ成長するための糧にしてほしいなと思います。

ということで今節は下記について考えていきたいと思います。

1)いつも通りやれていたこと。

2)割り切っていた?できなかった?気持ち?

 

1)いつも通りやれていたこと。

今節の試合後インタビューで監督・選手ともに使っていた「相手の土俵でサッカーをしてしまった」「相手に合わせてしまった」。これについてはスタジアム、DAZNで見てた方で異論はないかなと思います。自分たちの色を出し切った岩手。追いつかれたレノファ。何ができていなかったのか、その先が多少それぞれの言葉が使われていました。

(引用元:レノファ公式サイトhttps://www.renofa.com/archives/result2022/iwate-39/

Jリーグ公式サイトhttps://www.jleague.jp/match/j2/2022/100204/player/

名塚監督「球際、競るところ、デュエルのところ」

高橋「ボールをつなぐサッカーというのを、もっと余裕を持ってやれば結果は…」

吉岡「下のパスが少なくて、サイドチェンジも少なかったが、ピッチコンディションを言い訳にはできない」

高井「相手に合わせずに主導権を握ってやれれば問題はないと思います。」

そしてピッチのコンディションに言及していたのが吉岡、高井、菊地でした。3人の話を勝手にまとめさせていただくと、

【2日前の練習時でボールを回すのが難しいという芝の状態であることはわかっていた。そのため難しい試合にはなるとは予想していた。実際難しかったが、やはり主導権を握るためにもう少しショートパスをつなぐなどボールを保持する時間を長くしたかった】

といったのが読み取れるのかなと思います。現にこの試合のレノファはゴールキックはつなぐことを選択せず、すべてロングキックであったと思います。解説の小村さんは岩手のマンマークについて言及されていましたが、ピッチの芝・その下のグラウンド状況にも起因していたと思います。

そのため後方からのビルドアップについても他の試合に比べてロングキックが多く、特にピッチが更に荒れ始めてしまった後半はそれこそ相手の土俵に乗らざるを得なかったのか、ショートパスでつなぐというよりも、いつも以上に梅木がロングボールを収めることを解決策として多く採用していたと思います。もちろん田中渉が降りてくることで相手をいなすシーンも有りましたが、時間を経るごとになくなってしまっていったかと思います。

 

では、まずできていたことは何だったのか?

1つは、ほとんど左サイドでしたが、相手陣内で高井・池上・橋本・田中渉・前の5人で、マンマークで来る岩手に対してポジションチェンジを交えて相手のマーカーを外してのニアゾーンへの侵入が挙げられるかと思います。主導権を握り相手を押し込み、クリアボールに対しても相手ボールにさせず、また2次攻撃・3次攻撃へ移っていくという流れは前半などでは出せていたと思います。

例えば6:55からのシーンで左サイドの橋本から吉岡へサイドチェンジ。一旦やり直して左サイドへいくのですが、まず岩手のプレスをGK寺門含めていなせています。また、上記の5人が関わりつつ、かなり個人の発想力と適応力に依存していますが、くどいくらいにポジションチェンジを繰り返し、マーカーをずらし、15前がニアゾーンは突き、あわや池上へあえば1点、というクロス。またそのクリアボールを2度ひろい最後はコーナーキックを獲得するなど、リスクを負わないで済むところでは吉岡の言っていた「下のパス」とコンビネーションで崩し、敵陣でボールを奪回し攻撃をするといういつもの狙いがしっかり出せていました。

2つ目に梅木をターゲットにしたロングボールでの陣地挽回。解説の小村さんもおっしゃってましたが、この日の梅木はボールを収めるところから展開するなどこの日の環境(温度、ピッチ、相手)に対応するためにはなくてならないピースだったと思います。前半は梅木をターゲットにして、収められなくてもそのセカンドボールを高井や池上がひろうなどしてゲインができていました。例えば31:45のシーンでは梅木が触れませんでした、高井が拾ってやはり上記の5人で左サイドを攻略し、池上のエリア内への侵入ができていました。(もちろんセカンドボールを佐藤謙が回収。)

もちろん梅木が収めるシーンでは群馬戦でも書こうと思っていたのですが、【吉岡のカウンターへの準備の良さ】。大外に張ったかと思えば、文字通り隙あらばインサイドにも侵入してくるなど、吉岡が梅木のその次のプレーを作っていたことで幾度か自陣からカウンターを仕掛ける場面が作れていました。

ちょっとそれるのですが、スタジアムで見てると、後からテレビの画面からは消えている位置なんですが「吉岡待っているな〜。細かくポジションやり直してるし、いつボール出るかな〜。」など思ってて、ボールがでなくても献身的に最終ラインまで戻って守備。気づいたらカウンターで最前線で用意しているなど、ホントに運動量豊富にこうけんしてくれていました。群馬戦からよりファンになりました。高橋くんとともに、献身的コンビ(カッコ悪くて申し訳ない!)であと3戦右サイドを支えてほしいです。
2点目の高井のスペース作るための右サイドへの持ち出した2タッチは渋かったですね。完全に蓮川を動かし、6甲斐の体のむきを反転させたところ、狙い通りだったでしょう。

 

2)割り切っていた?できなかった?

話を試合に戻して割り切っていたこととして、最終ラインの高さがあるかなと思います。前回アウェイ盛岡での対戦時もオフサイドを取れたのは1つ。そしてこの試合は0でした。結局全部の試合を調べてないのですが、おそらくレノファがオフサイドをとれなかった試合は今季初ではないかなと。

もともと岩手は積極的に裏抜けを狙うチームでもないので、極端な言い方をすれば【前や高橋のところでラインの駆け引きをするのではなく堂々と競る】。もちろんその競った後のボールでは岩手は裏を狙います。

が、レノファがまず引っ掛けようとする裏へ抜けようとする選手や、ロングボールのターゲットの選手にはクリスティアーノやブレンネルはならないため、レノファはオフサイドを取りにくい状況でした。そのため、ライン自体は上げはしますが、そこまでオフサイドをねらうというよりもその競った後のセカンドボールを如何に相手のチャンスにさせないために、全体の縦の長さをコンパクトにするためラインを上げていたように思えました。

繰り返しになってしまいますが、この試合岩手は特に今までのやり方を変えてきていなかったと思います。どちらかといえば前半は左サイドの前、後半は右サイドの高橋のところでボールを収める場所をかえたというか、収める確率が高そうなところを選んだのかなと思います。

名塚監督が「相手のサッカーが分かっていて対策もしてきていたのに、一番大事なところで起点を作られる。」と仰っていました。そして高橋も「相手の外国籍選手はフィジカルが本当に強かった。相手はそこをターゲットにして、そこから攻撃を始めてくるのは分かっていたので、そこは負けられないところだったので守備陣は意識していた。」と試合後インタビューで残しています。

「プレスに行っても相手は蹴ってくるから」ということで、【アグレッシブなプレス】よりもターゲットの外国籍選手の対応での【デュエル】を選手に名塚監督は求めていたと思います。

ただ、オタボーもブレンネルもですが、高橋のちょっと前のスペース、佐藤謙と吉岡の脇の位置も使ってきており、まず誰がマークにつくの?という展開が出てきたと思います。

オタボーへ高橋がとにかく付く、ってことを選択したら、スピードや個人技で裏のスペース使われるから嫌だな、と思っていた矢先にブレンネルに交代。多少やりやすくなったかなと思ったのですが、このブレンネルがどこであろうと収める魔神でした。174cm/69kgvs182cm/85kg(絶対詐称。もっと大きい。笑)ではデュエルの分がやはり悪い。ならチャレンジ&カバーで数的有利で対応すれば、としたいところでしたが、岩手LWG17中村が高い位置にいるのでRWB高木もなかなかヘルプに入れず。高橋の孤軍奮闘が求められてしまっていたと思います。左サイドで同じく交代で入った岩手RSH22奥山に対して橋本や前が手こずっていたところに、菊地を入れることでクリスティアーノに対する高さ対策もできて、橋本へのカバーもできるなどのケアができた一方で、ここの高橋のところにもう少し何か手が打てなかったのか?と惜しい気持ちになります。

もちろん、名塚監督が試合後インタビューで行った【デュエル】のところは高橋だけに向けられてのものではないです。全体的にプレーの精度はかなり低くかったですし、イーブンのボールも相手に取られる場面もたくさんありました。ただ、相手がそのようなサッカーをするとわかっているのなら、FWを3枚入れるのではなくて、けが人の状況はわかりませんが渡部、眞鍋、ヘナンのような選手を入れ、岩手のロングボールのターゲット、ブレンネルらへの競る専門のフリーマンのような役割を課して、高橋をカバーに回すなどの選択肢をベンチが用意をしても良かったのではないかと思います。

「前から行っても相手は蹴ってしまう」という談話や、70分以降の5−4−1で割り切って守るというプランを用意していたベンチなので、なおさらまだチームとして打つ手はあったのではないかなと思っています。明らか前への人員はそんなに多く割く必要はないとシミュレーションはできていたと思われます、

なんとかクリアをするというシチュエーションではなく、仮ではありますが、

眞鍋と高橋でブレンネルを抑える。ここで余裕を持ってボールを奪うことができれば、それこそ高井らが言及した【つなぐ】【主導権を握る】に繋げられたのではないかと思います。「守」のところが崩れてしまい、4局面でいう「守⇒攻」「攻」のところへ移行することができず、相手の攻撃を受け続け最後に決壊してしまったと思います。

「岩手さんの気持ちが上回った試合だと思っています」との談話がありましたが、上記のような岩手の勝ち目に対する実行力とその執念が同点に繋がったのかと僕は思います。

気持ちの強さで勝負が決またと言ってしまったら、負けた方の気持ちがしょぼかったのか?少なくとも高橋くん自分よりも大きな体躯の相手に対して体をぶつけて臆せず戦っていたと思います。守備での存在感は日に日に増していると思います。

ただ、高橋くん含めチーム全体で最終盤は岩手にプレー・気持ちは上回られてしまったことは否定しません。これも試合です。僕達レノファは14位のチームです。この立ち位置を厳しく教えられた一戦であったなと思います。

 

はい、一部漫画ワールドトリガーの12巻参照ください、気持ちの部分は丸々パク、もとい引用しております。それくらいちょっと試合後の寺門の表情を見て感情移入をしてしまったので、書かせてもらいました。気持ちが入っているからこそのワンプレーの重みをより体感したのではないかなと思いました。高橋くんも攻撃はまだまだですが、守備ではホントに気持ち入って、精度も上がっていると思います。

起きてしまった失点は取り戻せんませんが、この後の3試合で挽回すればいいです。幸か

不幸か残留も決まっても昇格の芽はありません。だからこそ思い切って若いメンバーのはチャレンジを繰り返してほしいと思います。沼田も80、82、88、91分あれはクロスではなくキープでOKだったと思うぞ、など若手みんな伸び代をしっかり実力へ昇華できるといいかと思います。

菊地に続き、渡部の引退が先日発表されました。大きな背中がまた1つレノファから去ってしまうようです。寂しいし、心細いところもありますが、若手の成長を期待しつつ残り3戦を悔いなく終えてほしいなと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略)

ザスパ草津群馬vsレノファ山口@正田醤油スタジアム群馬 2022年9月24日

まずは自分事なんですが、アウェイ初勝利でした!東京在住なんでアウェイがメインではあったのですが、ようやくアウェイでの勝利!ヤマグチ一番もホーム栃木戦に続いてようやく2回目(しかもゴール裏だったので選手目の前)と6得点で湧いたり、橋本健人のアシストを目の前で見れたりと個人的満足度がとても高い一戦となりました。

今回の勝利でレノファの残留がほぼ確定。日曜日の試合で岩手が破れたため残留が決定とホッとした1勝でした。負けられない戦い5連戦も2勝1分と勢いがついてきたようにも思えます。

さて、思いもよらない(失礼!)ゴールラッシュでしたが、今節は下記2つです。

 

1)池上の気が利く顔出し

2)圧巻の前と橋本。

1)池上の気が利く顔出し

今節は琉球戦とおなじメンバー・フォーメーションを選んだレノファ。対する群馬も同じメンバー・フォーメーションの4-4-2を組んできました。

群馬の非保持は4-4-2というよりかは多少4-3-2-1というか4-4-1-1のような47川本が最前線でボールホルダーに対してコースを限定するような形。生駒に対して寄せた場合、前へはRSH10田中が出てくる形でした。7:20などは40鈴木が佐藤謙を消しつつ田中・川本で追うことで、レノファ陣の低い位置でのボール奪取をされてしまい、あわや決定機というところまで運ばれてしまいました。その流れのゴールキックの場面、いつものように佐藤謙がLCBの位置に落ちるパターンのところでは、川本が最前線から追い、田中には細貝、生駒には鈴木と蓋をされており、注文通りに前線へ関は蹴らされてしまいました。高い位置で奪ってサイドから攻める群馬の狙いが見えた気がしました。

続くCKもゾーンで守るレノファに対して40鈴木がするするとエリア外に出て、そこへピンポイントの岩上のボールからのダイレクトシュート。これも決定機。残りのセットプレー鈴木はほぼファーサイド、一番奥にいたので一発目にやるということで用意してきたセットプレーだったと思います。群馬のこの試合まず先制点という気概がここでも見れました。

しかし、ここで相性が悪いこのスタジアムでズルズル行かなかったレノファ。まず前半存在感を発揮したのが池上だったと思います。10分。佐藤謙が落ちている状態で田中がアンカー位置。ただ、ここには先程と同様に細貝がいました。そこで池上がその脇で受けます。群馬10田中が15前にも行けるように高い位置を取っていたので、田中の背後にいるフリーの橋本へつけて、そこから高井へ展開。とまず相手のプレスをいなし前進することに成功します。この流れから相手陣へ押し込む展開に。

その前にも決定機を迎えていたシーンも有りましたが、右に左に顔を出し裏を抜けるプレーなどもサボらず、ボールが動くたびに田中渉とともに細貝、岩上を翻弄していました。そして12分あたりで佐藤謙からボールを受けた池上。そして岩上と細貝はそれぞれレノファの左サイドによってしまっていたので、高井が抜け目なく人がいないバイタルエリアへ。左から右へ高井がボールを持ち運ぶのに合わせてスルスルと池上は右サイドのハーフスペースのところへ侵入。吉岡→梅木→池上と繋がりエリア内でフリーでのシュート。とマーカーの岩上を完全に置いてきぼりにしていました。

ブログを書くタイミングを逸してまだ出していない琉球戦もそうでしたが、池上は琉球戦でも幾度か右サイドのニアゾーンを取る動きや、このハーフスペースでのボールの引き出しを意識していたようにも見えたので、それが実ったシーンかと思います。

ただ、彼がより輝いたのはこの後の時間帯。16:30くらいにやはりボランチエリアに顔を出し、その後15前から左サイドの脇でまたボールを引き出して、とやっていましたが、すかさず名塚監督が身振り手振りで「お前をもっと前でプレーしろ!」と。

そして16:40佐藤謙が最終ラインへ落ちて後ろ3人で回すことで、前が川本の脇から持ち上がるスペースが生まれ、池上は群馬のセカンドラインと最終ラインの間の中間ポジションへ。前からのボールを引き出しワンタッチで田中へ。このワンタッチで細貝から田中はフリーになって余裕を持って右サイドへ展開。この流れから梅木のポスト直撃のヘディングへ繋がりました。

そして2点目ですね。佐藤謙への生駒の見事な縦パスから橋本へ展開。そしてやはり池上が細貝と藤井の間に位置取りボールを引き出し、そのまま吉岡へ展開。惜しくも吉岡のシュートはヒットしませんでしたが、梅木がこぼれ球を押し込み2点目を奪取しました。

飲水タイム開け後に群馬も流石に修正を加え、34分のところのようにRCB4川上が池上に付くようになってきました。既に20分のところで33細貝が自分の背後の池上に対して見ておくように指示を送ってはいました。ただその直後に失点を喫しているなど、おそらく群馬としては準備ができていなかったのかなと思いました。群馬としては前線から嵌めに行った際は縦パスを入れられ、ひっくり返されることで、ある程度広大なスペースを群馬のボランチの2人が見る展開になってしまいました。池上がこの空いたところを抜け目なく見つけてボールを引き出し、前半で2点のリードを奪うといった展開に持っていってくれたかと思います。

 

ただ、群馬の修正もあり、前半の終わりなどセットプレーなどで危ないシーンは作られました。群馬が4-5-1のような形で外切りで内側へ誘導するようなやりかたや上述した池上への寄せのように、ある程度強度を上げてレノファへ対応したことでインターセプトをされるシーンが散見されるようになり、後半開始から10分くらいまで群馬の時間が続いてしまいました。

 

2)圧巻の前と橋本

そんな群馬に対してレノファは若干高井に対してボールの引き出す動きについて求めたように思います。前半は主に池上が担っていた中間ポジションでのボールの引き出す動き。前半の平均ポジションは池上は梅木と重なるような形になっていましたが、高井はおそらくボールタッチ自体もそこまで多くなく、左サイドの高い位置に張ったり、スペースへ走るプレーが多かったと思います。(DAZNのHTの平均ポジション参照)

後半に入り、スタンドから前線の選手が近くなったのもありましたが、わかりやすく群馬のSBとCBの間に池上や高井が位置しボールを引き出す動きをしていました。梅木を含めて彼らがこのあたりでボールを引き出そうとすることで空いてくるのが、レノファのWB。橋本と吉岡です。後半は特に橋本はアシストを決めるなど目立っていました。
3点目はやはりこの動きから梅木がRSH加藤、RSB岡本、RCB川上の中間ポジションでウロウロと。岡本が梅木を気にして中に絞り気味。加藤は橋本を気にするものセカンドラインを気にしつつ中途半端なポジションに。そこへ田中渉からピンポイントのロングパス。橋本がドリブルで持ち運び、加藤がマークに付きに来ることで、この空いた加藤の位置に入ってきたのが前でした。そしてまあスーパーゴールは動画のとおりです。ゴール裏からすごいものを見ることができました。

前は前半からでしたが川本の脇から持ち上がるシーンが多く、この前の持ち上がりを気にすると橋本が空くなど相手のRSH田中や加藤に難しい対応をさせていました。背中でこのコースを切ってしまえば、とも思いましたが、そうすると高井などがまたその脇に降りてくるなどできていました。

前についてはこの試合パス数は125。成功数も113と9割の数字。生駒や佐藤謙、田中渉などと細かく繋いだかと思えば右足左足と使い分け橋本に長いボールをつけることで、相手のラインを押し下げるなどゲームをコントロールしていました。

また、橋本もこの試合は2アシストとなるんですかね。左サイドで素晴らしい存在感であったと思います。どこかでブログで書こうかなと思っていたことのなかに、橋本のパスを呼び込むようなスペースへのランがこの数試合見れていたと思っていました。町田戦などは特に最前線でウイングのように振る舞うシーンもあったりもしました。

 

上記はチームの5点目ですね。前からボールを引き取って、前方のスペースへ走る岸田へ。そしてもう一つ隣のレーンを駆け上がりボールを受けての中へのパス。高いのゴールに繋がりました。大槻監督が試合後インタビューで言っていた「後半コントロールを失った」と仰っていましたが、4点目、5点目あたりは両CBが釣り出されてしまったり、多少お互いのフォローをしていたのかもしれましたが、肝心のゴール前での守備についてはポジション的に甘くなっていたようにも見えました。そこをしっかり付いた高井と橋本のゴールであったかと思います。

75分には佐藤謙が大外へマーカーを引き連れていってくれたところに入っていき、そのままパスを受けてドリブルでゴール前へ。高木へパスをし自らゴール前へ。大外を空けるランだったのか、指示していたようなGKとDFの間へのボールが欲しかったのか、多少わかりかねるところはありますが、やはり新しい橋本健人の形が増えているように思えます。やはり今季中に1ゴール!期待したいです。

53:45の寺門の声ですかね「ケント戻れ!ケント!」と檄が飛んでおり、周りも良い意味で彼を甘やかさない雰囲気があるのもいいですね。

 

 

すみません、ちょっと仕事がちょうど半期を終えるところでかなり忙しくなっており、なかなかアップできませんでした。琉球戦も途中のままでどうしようかな、ってなっております。

そんな中、菊地選手の引退の一報が。フロンターレであれは何戦だったかもう覚えていませんが、長い距離を走ってのカウンターからのヘディング一発。お〜かっけ〜!!!なんて騒いでいたな、と昔の記憶が蘇ります。というかそのチームで横に山瀬選手いましたよね。こんな記憶を掘り出すとレノファで再会ってとても個人的には感慨深いものがあります。

大宮に所属していた塚本さんの件もあり、移籍した時はショックでしたし、こうやって引退を発表と成るとまた寂しい気持ちも出てきます。昔フロンターレの試合後に出待ち(バス乗り場のところで他のサポーターともども待っていただけですが)をしていたことがありまして、すごく丁寧に対応されていたことも思い出です。自分と年が近い人の引退は寂しいものですが、新天地での活躍を期待したいです。
そんな菊地選手が引退しても今のチームには生駒という新しい幹が育ちそうな予感。高橋くん同様にどんどん自信を持ってボールをまわす、FWへのボールへのチャレンジをするなど菊地というよりも渡部に近いかもしれませんが、頼もしさを増しています。

残留が決まった今。失敗を恐れずにどんどん伸びていってほしいなと今のDFラインには期待をしたいと思ったこの群馬戦でした。

ちょっといつも以上にまとまりがない最後でしたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。もうちょい更新日狭められるように色々調整していきたいと思います。

文中敬称略

相手にとって嫌な動きだったのは?レノファ山口vsツエーゲン金沢@維新 2022年9月14日

勝点40に到達。とりあえず残留に向けて最低ラインには入ってきました。

今節はなかなかエンジンがかからないところで、小野原の特上の恩返し弾を食らってビハインドの展開。しかしここをあと少しで勝点3を取るところまで持ち込めました。

理想は逆転で勝ち切ること。仙台戦や横浜戦のように追いつくところまでは今節もできたし追いついた時間も以前よりも早かったし、交代策で逆転への道筋を作るところまではできた。

前向きに捉えて今節も振り返ってみたいと思います。

 

1)何とも言えない前半

2)5-3-2の「3」を動かす

3)5バックの両CBを動かしてそこを突く

得点者
山口               金沢

63分 前             36分 小野原

 

1)何とも言えない前半

レノファの並びは3-4-2-1。ボール保持では佐藤謙がLCBに落ちる形。4-3-3を形成。対する金沢はベースは4-4-2。ボール非保持時は4-4-2のように見えますが、山口がミドルゾーンに入る辺りからは18CH小野原がRCBの位置に落ちて5バックを形成。5-3-2のような形になっておりました。マンマーク強めの金沢ですが、特に強かったのがレノファ24成岡ー金沢19豊田と、19沼田ー18小野原の組み合わせでした。豊田は背中で成岡へのコースを相方の20林とともに消すとともに、強めに成岡へプレスバックを行うことで自由にさせず、小野原は沼田に対して前を向かせないようにときにはボランチ位置まで上がって潰すなど徹底をしておりました。

試合は見れていないのですが、何試合かは3バックのフォーメーションを金沢が敷いていたとのことなのでこのあたりはフレキシブルに行っていたのかと思います。

金沢のボール保持についてはシンプルにレノファのサイドのCBの裏へボールを蹴ってくるパターンと右サイドのRSB5松田を浮かして、RSH13大石をやはり裏へ走らせてそこでポイントを作るようなパターンがありました。

特に後者はプレスがハマらなかったと名塚監督がおっしゃっていましたが、沼田にしても橋本にしても捕まえるのが難しい位置にRSB松田がポジションを取っており、RSH大石もレノファの最終ラインに対して3トップのような形でCBを牽制し、LWBの橋本に対しても前に行かせないようないやらしい位置取りをしていました。28:30のところのように39庄司に沼田が付き、5松本に橋本が行くも間に合わず、橋本の位置が空いてしまったので、なんとか佐藤謙がカットをしましたが13大石が空いたスペースに走り込んでいました。もちろん34分のように橋本がでなければ松本が持ち上がることもあり、難しい対応を迫られていました。

 

一方で、ボール非保持の場面では、連戦の影響もあったためか金沢は前から行くというよりかはミドルゾーンに引き込んでからのカウンターを狙いたように思います。CFの2人はアンカーの成岡を消しつつ外へ誘導。立ち上がりの3:45あたりの佐藤謙から沼田へ渡ったボールのように、中間ポジションを取った沼田への縦パスから橋本・池上とつながるシーンはありましたが、上述したように沼田には小野原が厳しくマークに付きなかなか前を向かせてもらえず。

その他の場面でもコメンタリーのお二人に指摘されてしまっていましたが、「裏を気にしすぎている」「一本槍」といった調子で裏は狙うも金沢に狙いを読まれており、そのボールをカットされカウンターや右サイドへ丁寧につながれるシーンも見られました。沼田に比べて池上は割とフリーとなっておりましたが、右サイドをえぐった1本くらいで、左サイドからの攻撃が65%であった前半のスタッツでは試合に絡める時間が少ない状況でした。そんな中で決まってしまった小野原のロングシュートは波に乗れていないレノファにとっては厳しい一撃となりました。

 

ただ、それでも金沢がうまくやった前半であったかというと、どちらかというと金沢だが膠着状態の中一発ゴラッソが決まった。といった前半であったと思います。参考までにですが、前半の両チームのゴール期待値は0.4以下。ゴールに迫るというよりもペナルティエリア内でのシュートはなかなかできてなかった前半でした。

sporteria.jp

そして後半です。

後半開始直後高橋のパスミスからカウンターなど金沢の良い時間が出てくるかな?といった雰囲気もありましたが、まず守備で橋本が松田を捕まえられるよう高い位置を取る形を取りました。また全体的にもラインを高くしていたのでカウンターを食らってしまいそうな局面でもセカンドボールへすぐにチャレンジすることで、マイボールへするシーンもでてきました。

そしてそのセカンドボールをとった時など、前半ではすぐに裏へ蹴ってしまっていたボールを後ろへ戻してやり直すことや、時間を作って味方の陣形を整うのを待つなど急ぎすぎないことでペースを手繰り寄せる事ができたと思います。

 

2)5-3-2の「3」を動かす

ちょっと話が戻りますが、ではなぜ金沢は5バックを敷いたのか?

レノファのここ数試合成果が出始めている攻撃として、両ウイングバックが高い位置をとり、クロスやニアゾーンを取るプレーが多くなっていると思います。

例えば

横浜FCの2点目はRWB吉岡のクロスのこぼれ球をLWB橋本が大外から折り返した。

・3点目は左サイドから佐藤謙→高木とサイドを変えてからのクロスの流れ。

・町田戦は梅木からハーフスペースの成岡へ。意図とは違いましたが梅木がエリア内からのクロスで沼田。

など、大外のウイングバックをうまく活かつつ、クロスやニアゾーンをとるなどしゴールへ迫る場面があったため、金沢は5バックで幅を埋めてしまおう。シャドーを経由する時はそこは潰してしまおう。ということで小野原を下げた形になったと僕は考えております。もちろん僕が考えているだけであっているかはわかりません。

ただ、後半の形としてあったのが

・いつものように佐藤謙が落ちなくなって成岡と程よい距離でプレーできていた。(途中からまた落ちてはいた)

・高木のインサイドへの位置取りと両サイドのCBの周りへのアプローチ

があったと思います。

まずひとつ目はここ最近のお決まりですね。前半は佐藤謙が落ちて4-3-3。後半は3-4-2-1のような形でビルドアップを始めます。佐藤謙と成岡が横関係になった際に主にアンカーについていた13大石は片方の選手には付きますが、徐々にもう片方のボランチが空き始めそこから敵陣でのパスが回りはじめました。主に大石と藤村がそれぞれ佐藤謙と成岡を敵陣では見ていましたが、ここに前や沼田、橋本が絡むことで徐々にマークがはずれる選手が出てきました。

2つ目は吉岡がスタメンの際にはよく見られてましたが、RWBがインサイドでプレーをすること。人をマンマークで捕まえる金沢に対して高木が時折インサイドに入ることで、RWB高橋が上がる位置を確保する他、マーカーのLSB2長峰がなかなかついていきにくいところにいるためフリーで受ける場面が出てきました。(両サイドのCBについては後述。)

多少強引ですが、この2つの動きが実ったのが先制ゴールに繋がったファウルをもらったプレーです。

佐藤謙はここではLCBのところに降りていますが、成岡が独力で相手を剥がします。8藤村が付いてきますが、そのマークは苦にせずターンをして前線の池上へつけます。このパスで金沢の中盤3枚は池上のところへ。池上は生駒へ落としますが、画面外で高木は池上がいたシャドーの位置、インサイドへ移動。そして高橋がマーカーの松本が外れていますので、右サイドを駆け上がります。そこへ生駒からグラウンダーのパス。多少トラップは乱れますが、この時フォローに来ている高木はフリーであり、局面としては2対2であり相手背後にはスペースが。当然のようにワンツーで抜けようとした高橋を松本が引っ張りFK。成岡のパスを起点にポジションチェンジで大外からのクロス。山口が狙った形でFKを獲得した場面でした。

後半に入りボランチのところでパスが回せ始めていましたが、同サイドで行うことが多くなかなか大きな展開にはなっていませんでしたが、この場面では縦パスを交えつつサイドを変えていき、縦にも横にも金沢の「3」のスライド、この場面では主に松本ですが間に合わなくさせ、セットプレーからの得点で同点となりました。

 

3)5バックの両CBを動かしてそこを突く

そしてここからレノファとしては珍しくと言っては失礼ですが、交代選手でブーストが掛かります。シャドーの2人を交代させます。

その前に多少沼田に言及させてもらいます。小野原にうまくやられたというのもありますし、彼の特徴が特に生きるポジションではないので、求めてしまうのは厳しいとは思いますが、もう少し相手陣内で前をむくことやしっかりボールを捌くことが今後も求められるかと思います。12分の池上へのパス、23分の成岡へのパスなど違う選択肢、もしくはプレーの精度をあげていくことが、今後のこの位置で沼田が輝ける一歩になるのではないかと思います。前節のゴールや56分の場面で得点の匂いを嗅ぎ分けるのはこの試合シャドーで使われた4人の中では随一なので、まだまだ伸び代と思って見ていきたいと思います。

話戻して替わって入った田中渉と高井。この2人の特徴としてボールがもてることがあると思います。田中渉は佐藤謙が下がっていても、成岡と共にボランチエリアでボールを受けてさばけます。そして高井は2列目でそのボールを受けること、人を使うこと・使われることができます。

そして交代直後からゴールに向かうシーンが見られました。64分にはRWB高木のツートップ?というようなポジションにいたかと思えば、65分は左サイドを佐藤謙→橋本で破り、最後はエリア内で高木のシュート。

そして後半何回か似たシーンが見られたなと思うのが、LCB35孫大河の空けたポジション、右サイドのニアゾーンをとることが一つあったと思います。

66:35高木がタッチライン際でボールをキープ、田中渉が孫大河のマークを連れて背後を狙います。この時佐藤謙は後ろに戻すよう指示をしていましたが、ここが空いたのを見つけすかさずそこへランニング。高井が反対サイドから小野原をつれてきてしまったこと、高木のパスが弱かったこともあり、ここは繋がらず。

更に67分。やはり同じように高木が持ったところで田中渉が孫大河を連れて裏へランニング。やはり彼が付いてきているので、右のニアゾーンが空きます。そこへ田中はヒールキックで高井へパス。エリア内へ侵入します。

反対サイドでも同じようにCBを攻略します。68分高井が落ちてボールをキープ。RCB18小野原は橋本に付くため場所を空け、梅木がCB庄司を背負ってポストプレー。田中渉が小野原の位置を突きます。最後はシュートまで持ち込みます。どれもゴールとはなりませんでしたが、相手のCBをずらしそこへ侵入していました。

おそらくこの流れを嫌がったと思われ、柳下監督はCBの孫大河を交代させます。しかし76分。佐藤謙が田中渉が落ちていたこともあり、シャドーの位置へランニング。成岡をマークしていた毛利は松本へこの佐藤へ付くように指示を出しますが、松本は動けず。柳下監督からはCBの庄司が3黒木とともに梅木に付いてしまっていたためか、「庄司ー!庄司ー!庄司ーー!!!」と大声を出していました。ここも庄司と長峰の間に大きなスペースができておりました。ここは毛利にパスカットをされてしまいましたが、5バックを敷かれようとも縦パスを交え「3」を動かし、「5」も人の動きで場所を空けそこを突く。名塚監督の試合後インタビューの「押し込んだあとの背後の取り方は修正しました。」(引用元:renofa.com/archives/result2022/kanazawa-36/)とありましたが、このあたりが前半ではなかなか出せなかったところだったかと思います。

残念ながら勝ち越しゴールに至ることはできませんでした。何度最後の精度という言葉を聞いたかなと思いますが、やはりここに尽きるのかなと思います。あと6試合どこかで爆発する試合を見てみたいと次節以降に切り替えてもらいたいと思った一戦でした。

 

さて、本当は今日の橋本くんを書こうと思っていたのですが、もう5000字になるのでこれはまた何か別の機会がなにかにしようかなと思います。

で、台風なんですね!沖縄!てか日本縦断とか!悪天候のなかなうえ、中3日の難しい試合になるかと思いますが、この勢いのまま勝ち点3を期待したいと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略)

やはり14番ver.2に期待をしたい。 町田ゼルビアvsレノファ山口@町田GION 2022年9月10日

横浜戦の勢いそのままに!という感じではありませんでしたが、アウェイの地で勝ち点3!残留争い5連戦を前にチームにも良い意味で余裕と勢いをもたらす白星であったと思います。

高井、前、成岡と新戦力がはまり、くすぶりつつあった沼田がゴールをするなど残留に向けて体制は整ったようにも見えます。

ただ、もちろん油断はできませんし、この試合も難しかったところもありました。今回は下記について考えてみたいと思います。

1)借りパクしたい田中、成岡、寺門

2)橋本はまだ引き出しがあるしチームの主役になれるはず

3)今日の高橋君ではなく生駒君

1)借りパクしたい田中、成岡、寺門

今節は両チームともほぼ同じような布陣。フォーメーションは同じ3−4−2−1。ボール非保持時に多少町田のほうが前から取りに行くような姿勢。レノファはある程度割り切ってミドルゾーンまでラインを下げていました。

また、町田ももっと後ろから繋いでくるかなと思いましたが、いつもよりかはロングボールが多めだった印象。お互いショートカウンターをされないようにと多少大事に行っていたようにも見えました。

この試合でもボール保持の場面では佐藤謙が左CBに落ちて、両サイドのCBがSBのような位置に。

対する町田は5−4−1のような形でレノファに対してプレスを掛けてきました。ヴィニシウスはアンカーの位置の成岡を消しつつ、ボールを持ったCBの位置の2人にプレスを掛けてきました。時折どちらかというと8高江が残りつつ、18長谷川がもう一つ前の太田修と平戸と並び用な5−1−3-1のような形になることもありました。

まずそのような町田の中盤に揺さぶりをかけていたのが田中渉。この数試合同様シャドーの位置から3列目まで降りてきてボールを受けて、動かすこと。また、彼が動くことで相手も引き出し、そのスペースを吉岡や梅木、反対のシャドウの高井に使ってもらうことなど相手の「4」の位置を揺さぶります。ボールを持てば左足で左右長短のパスを出すことのほか、シュートまでいく場面も。得点時はやはり佐藤謙からのボールをすかさず梅木に繋げたところなども良さが出たところでした。

 

そして成岡です。横浜戦以上にスペシャルだったと思います。アンカー位置で受けてもくるっと前をむくことで相手に飛び込ませない技術。ポジションの取り直しを繰り返すことでマーカーに絞らせない動きなど織り交ぜレノファのビルドアップを支えていました。

彼の真骨頂は時間は飛びますが、62:50でしょうか。

シャドウの2人は降りてくるものの、出しどころなく停滞をしてしまっていたところから、生駒からボールを受けると一気にターンをしてドリブル開始。マーカーの10平戸をかわして橋本とワンツーでハーフスペースを駆け上がり、最後はアウトサイドで梅木へクロス。梅木決めろ!!と叫んでしまいましたが、成岡の見事なプレーでした。高井が落ちてくることで、町田のLSB5深津を釣り出しており、深津が守っていたハーフスペースが空いているのを確認し、そこをすかさず使うクレバーさ。ほぼ1点もののプレーでした。

時間を戻して、前半の町田は上述した田中や成岡が町田18CH長谷川を引き出すような動きをしたことで、町田の2列目が「4」枚ではなく、「3」枚になり、その空いたところを使うことをレノファは心がけていたと思います。

 

そして後半、町田はそこを修正するためか長谷川と鄭大世の身長を活かすためかは不明ですが、CH長谷川とLSH平戸の位置を変更します。

この選手交代と位置の交代があり、後半は町田に多少ペースを握られてしまいました。今節でも後半から佐藤謙が落ちる形ではなく横浜戦同様3バックの3人が後ろでボランチ2人が前にという形でビルドアップ。ただ、53分には佐藤謙が奪われてショートカウンターを食らう場面や。56分のようにゴールキックから繋がれて、2奥村から鄭大世→長谷川とあわや失点というところまで迫られてしまいました。

ただ、ここで守備陣が踏ん張ったこともあり、上述の62分の成岡の梅木の決定機の演出、64分には高井の決定機も高江のマークを外した田中渉が関わっていました。目安程度の話ではありますが、ゴール期待値を見ると、町田の攻勢に対してこの若い2人が関わった決定機が町田へ流れを渡さず、その後の沼田のゴールまで流れを呼んだと考えることもできそうです。(sporteriaさんより引用)

sporteria.jp

 

 

2)橋本はまだ引き出しがあるしチームの主役になれるはず

そしてレンタル組ではなくチーム保有の若手で触れておきたいのがやはり橋本健人。前回のブログにも書いたとおり、今のフォーメーションやチームのやり方では橋本はパスの受け手になることが多いです。前半戦と役割が変わっていますが、徐々にアジャストし始めていると思います。現在のWBになりより高い位置を取ることで、よりゴールに関わる機会が多くなっています。例えば

13:45から。ゴールキックからの流れで一旦やり直して生駒がボールを保持。落ちてくる田中には10平戸がつき、ヴィニシウスは成岡を消しながら生駒へプレス。生駒は佐藤謙へパス。しかし、ここは前が大外で幅をとり、高井が22太田と8高江の間に落ちてくることで彼らをピン留め。佐藤謙へのプレスに行かせんません。そして佐藤謙から高井。高井はワンタッチで成岡へ落として、成岡もワンタッチで裏へ送ります。ここに走り込んでいたのが橋本でした。

パスの瞬間はオフサイドラインが画面に映っていませんでしたが(もっと引いてくれ…)、正直感覚的に13:52の静止画を見る限り、割と足からボールが離れているタイミングにもかかわらず、走り込んでいる橋本とオフサイドの基準となっていた13菅沼が同じラインであり、多分オンサイドだったのかなと。何より菅沼はオフサイドのアピールはしていないし、していたのは出し抜かれた2奥山でした。

ちょっと判定への不満(ここ以外にもたくさんありますが)を書きましたが、それほど橋本の抜け出しは秀逸だったと思います。(52分のオフサイドも惜しかったです。)

48分には関のロングボールから梅木が競って、RWBの吉岡がつなぎLWB橋本が最後クロスを上げる場面など、レノファの現在の配置上の妙というか、WBがWGの役割も担っており、橋本は時に前半戦でいう4ー3−3の沼田のような役割も求められています。

このシーンではクロスがそのままゴールラインを割ってしまいました。中はしっかり人数をかけれていたシーンでした。よく高木などはホームヴェルディ戦などで強く求めていましたが、彼には良いボールをあげることが期待できるので、もちろんゴールもですが、特にアシストでチームを勝たせることができます。

また今のポジションではシャドウの高井は橋本が上がる時間を作れる選手であり、後ろのLCB前は攻守においてとても気を利かせられる選手。橋本が受け手以外に出してでも活躍ができそうな選手が構えてます。橋本がこの位置で活躍ができれば自ずとレノファの勝利は見えてくる。そんなレノファを引っ張る姿を残り7節期待をしたいなと思います。

 

3)今日の高橋君ではなく生駒君

で、今節影のMVPに挙げたいのが生駒でした。何度かミスはあったものの、この試合のクリア数は両チームトップの9。裏を狙ってくる町田に対して身長を生かした守備の他、CFに入るボールへの寄せも含めてクリーンシートに貢献していたと思います。(sporteriaさんより引用)

sporteria.jp

その他にもセットプレーのターゲットとしても身長を生かしたプレーでゴールを狙っていました。

16:30の右CKでは、ゴール前の密集から一人だけぐるっと密集の中を迂回してゴール前へ。5深津をあとちょっとで置き去りにし惜しい場面。

また39分の右CKでも20分にショートコーナーから高橋のニアサイドでのフリックを見せていたので、今度はニアに走り込む高橋、梅木らをよそに大外に開いてヘディングシュート。と岡山戦での菊地のようなセットプレーでの働きでした。

また、これは高橋にも言えるのですがクリアボールを前線の選手につける意識が高くなっている気がします。単にクリアするのではなく、生駒で言うと42分に佐藤謙につけたところ、58分の高橋から梅木へのボールは繋がらなかったですが、カウンターを仕掛ける意識が以前のチームよりも高いなと感じました。名塚監督の「練習します」の効果なのかトランジションのスピードは暑い夏場を超えたこともあり、相手を上回る場面も少なくありません。ただ、カウンターを仕掛けるにあたって、やはりいかに相手のセカンドラインを抜けて前線へ通すかは大事になってきます。そんななか生駒や高橋など若手が積極的にチャレンジをしているというのは、もちろん質が伴わなければ自分たちのピンチに陥ることいなりますが、頼もしいなと個人的には思っています。

レンタル組の高い個人能力に支えれているところもありますが、チーム保有組も苦しみながら成長している、成長途中だなと今後に期待をしたくなるこの数節でした。

 

さあ、久しぶりのミッドウィーク開催ですね。しかし場所は維新スタジアム。正直ここを取れればもう残留争いとかは使わないでよいところまでいけるでしょう。今節の最終盤の守備固めで入れたアンカー渡部の頭上をボールが通り、中を固めたことで大外からのクロスの雨あられなど、ちぐはぐした最終盤などは流石にもう見たくはないです(笑)

しっかり2点、3点と複数得点を取っての勝利を願いたいなと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

試合終了直後の姿に残り8試合の期待を。レノファ山口vs横浜FC@維新 2022年9月3日

首位を迎えてのホームでの1戦。2点ビハインドと劣勢になるも、水戸戦同様ホームの声を背によくぞ挽回をしてくれたと思いました。

スタメンを見る限り、「戻ってきた選手」「あら、いないの?という選手」どうなるのかな?という興味と不安がありましたが、見事に勝ち点3まではいきませんでしたが、勝ち点1をもぎ取ってくれたと思いました。

タイトルにも出させていただきましたが、試合終了直後の「疲れた」「勝ちきれなかった」という肩を落とす選手たちに、佐藤謙や前、高橋などがすぐに声をかけ、「おつかれ。次もあるぞ!」と肩を落としがちな仲間を労っているような姿に、チームとして残りの8戦しっかり戦っていくぞ、という姿勢が見えたように思えます。そんな姿勢が首位相手でも盛り返すことができた要因の1つだったのかもしれません。

 

では今回は下記について考えてみたいと思います

1)並びが変わっても。

2)ボランチが前で受け始められた後半

3)出して側から受け手側に。



1)並びが変わっても

今節のレノファのトピックスは橋本の復帰と成岡のスタメン入り。

特に橋本はフォーメーションが3-4-2-1になってから初めての出場でした。また4−3−3に戻すか?と多少考えていましたが、並びは3−4−2−1を継続。橋本はLWBに入りました。「個人的には復帰戦でした」と試合後インタビューで語っていましたので、おそらく怪我での離脱だったのでしょう。※引用元:レノファHP

https://www.renofa.com/archives/result2022/yokohamafc-34/

また、成岡が早くもスタメン入り。渡部の欠場もあり前がLCBに入り、成岡がボランチの位置に入りました。この起用方法のためか、レノファのビルドアップの形が変わっていました。ボランチの8佐藤謙がLCBのような位置に落ち、15前がLSBの位置へ行くことで成岡のアンカーの4−5−1(4−3−3?)といったような形を取っていました。

横浜FCのボール非保持は4-4-2。前回対戦時では「2」の部分の片方がアンカー番、もう片方がコース限定といったかたちでした。しかし、今節は2枚のCFは成岡のコースを消し、その後ろの選手たちがレノファの前線の選手たちにそれぞれ付いていました。

積極的にボールを前線から奪いに来る様子もありましたが、どちらかというとコースを限定させる方に重きが置かれていたように思います。

レノファも自陣低い位置でボールを奪われることはなかったものの、前線が横浜FCの選手たちにつかまっていることもあり、前線にロングボールを入れてもガブリエウの壁に跳ね返さえたり、外回りにサイドへ追いやられてしまう場面が前半散見されました。

sporteria.jp

前半ゴールに迫った場面は4分の横浜FC陣内のスローインで成岡がうまく引っ掛けて取った流れの高井のミドルシュート。21分の相手ビルドアップを高井が奪い、成岡に展開して最後は吉岡の決定機だった場面と、相手陣内で奪ったボールをシュートまで持っていくことはできましたが、後ろから繋いで相手を押し込むような展開には持っていけませんでした。

後半レノファは形を変え、3バックの高橋ー菊地−前(+関)と佐藤謙と成岡のボランチをフォーメーションのままの位置でボールを回し始めます。ホーム仙台戦の後半のように並びを変えました。

前半の途中、17分や24分のように既に高橋が落ちて横浜FC16の長谷川が前に出てきた時に「どこ空くかな?」といった具合に見ており、正直前半から(最初から)やっても良かったと思いますが、後半は後ろ3人で回す形に変更していきました。


2)ボランチが前で受け始められた後半

そしてこの変更もあり変わっていったのはボランチの2人と右サイドの3人。

DF→ボランチへのコースが増えたこと。また、CB→WBへボールが出た際にボランチとWBの距離が近くなったことで、サポートが入りやすくなり、ボランチ2人のボールを触る位置が高くなりました。前半はどちらか一人であったり、外回りで相手の誘導に従う形でしたが、ボランチ2人が相手陣の中側でボールをさばけるようになり、セカンドボールの回収もでき始め、チームに勢いがでてきました。

そうなると今度はボランチエリアに田中渉が降りてきて、ボールを受ければ空いたインサイドに吉岡。また空いた大外のレーンには高橋とポジションチェンジをすることで横浜FCを揺さぶっていきます。いつもは高井が落ちてきてましたが、今節は田中渉が落ちてくることで、後ろと前線のリンクマンとしての役割を果たし、成岡とともに運動量とテクニックでチームの潤滑油として機能し始めました。

このようなイケイケの状態で相手のミスを誘い同点に追いついたことは理想的な流れであったと思います。※失点シーンは多少後述。

1−3になった後も75分には成岡→インサイドに入った吉岡→梅木(オフサイド)や、

77分佐藤→梅木→もどして佐藤→梅木がガブリエウを吊って空けた位置に高井→おとして梅木のシュート。

ボランチ2人が高い位置を取ることでチャンスクリエイトはできており、連続失点を喫するものの、勢いを相手に渡さず押し返すことができました。

2点目の最初に押し込んだきっかけは高橋→佐藤→成岡→田中と右サイドへの展開でした。ここはLSB亀川に取られるものの、田中渉の粘りもありレノファ全体で横浜FCを押し込む形に。ネガティブトランジションで全体で押し込んだこともあり、吉岡がまずボールを奪い中へ展開。もう一度ボールを奪われるものの、今度は前がやはり高い位置でボールを奪い返します。(徳島戦の試合終盤の白井をこんな感じで潰してほしかった。。。)

そしてもう一度吉岡に展開をし、橋本の折り返しの流れで梅木のゴールが生まれました。

ボールを失っても相手を押し込んでいたこともあり、横浜FCの攻撃のスタートが自陣深くであり、レノファもボールサイドに人を割くことができており、狙い通りのショートカウンターからのゴールではあったかと思います。

 

また3点目についても後ろ3人の並びに対して横浜の「2」の脇でまず佐藤謙が生駒からボール受けて、大外の橋本へ。アーリークロスは跳ね返されるも橋本がセカンドボールを競り、こぼれ球をやはり高い位置の佐藤謙が回収し右サイドへ展開しこぼれ球を成岡が蹴りこみました。

前から嵌め、クロスからの得点。ピンポイントで合わせての得点ではありませんでしたが、今節の名塚監督の言葉がある程度手応えがあったと捉えていらっしゃいそうな雰囲気でしたので、あと一歩!というところまで監督の中では来ているのかもしれません。町田戦や如何に。

そんな中でやはり失点シーンはいただけなかったかなと。前がかりになったところでオフサイド崩れでCB裏にボールを送り込まれてそのまま失点。PK。など似たような形でやられてしまっていました。オフサイドをとる守り方をしている以上、そのミスで複数失点をしてしまうのは横浜FCの質を差し引いても、今後のチームにも付け入らてしまわないよう改善をしてほしいです。

 

3)出して側から受け手側に。

そして個人的にもう一つ改善できそうと思ったのが橋本健人の関わり方。離脱前までは不動のLSBとして出場をしていましたが、彼の言葉通りですが、「サイドバックでは前が人が多い分、出し手になることが多かったですが、今は受け手になることが多いです。」とフォーメーション変更後の役割の変化を語っていました。引用元:レノファHP

出し手に対してのポジショニングについての反省を述べていましたが、チームとしてはやはり橋本に対して任せすぎでないかなと思います。右サイドが色々コンビネーションを交えているのに比べると、左サイドは橋本健人がやれてしまうのもあってか多少彼の単騎特攻が目立っていたかと思います。シーズン序盤のストロングの左では橋本−田中ー沼田のトライアングルでの崩しもありましたし、ここの練度が高まるとよりチームの精度が上がるかと思います。

ただ、この橋本の高い位置は魅力的ですね。出し手として低い位置で関わるのもよいですが、彼の1対1での思い切りの良さなどが発揮されるように思えます。今節は1対2のような形で失うこともありましたが、今後は右サイドから左サイドへ展開し橋本のクロスを中でしとめるような得点も生まれそうな気がします。

 

成岡君が素晴らしく、高橋君も守備で奮闘(いくつかは僕もファウルではないと思った!)。3失点はしてしまいましたが、徳島戦でのショッキングな負け方は引きずってはいませんでした。

twitterで拝見しましたが、3点目の後円陣組んで改めてチームの意図を確認していたとか。はじめに述べたように、試合後の労いやその姿勢は横浜FCに比べてポジティブな雰囲気を出していたと思います。山口一体!(秋田さんすみません)

まずは町田戦に勝利し、正念場の5連戦もしっかりチームとして戦っていってもらいたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

なんとも術中にハマった感がある。徳島ヴォルティスvsレノファ山口@ポカリスエットS 2022年8月27日

人数が少なくなっても勝ち取った勝ち点3。なんともこれがなかったかのように感じてしまう敗戦でした。

今年3度でしょうか、維新劇場がありました。ただ、それを相手にやられただけ、とも言えますが、シーズン終盤勝ち点が1でもほしいこの試合で、最終盤に勝ち点が取れなかった。このことが精神的なものにも響いてしまわないかなと勝手に憂いております。うまく切り替えてほしいです。

では、今節は下記について考えたいと思います。

1)徳島の5バックへの変更

2)徐々に運動量が落ちていったレノファ、落ちなかった徳島。

得点者

徳島           山口

28分 エウシーニョ    65分 高井

90分+5 内田

 

1) 

この日のレノファは変わらずボール保持時は3-4-2-1、ボール非保持は5−4−1。対する徳島はボール保持時は4−3−3。ボール非保持は4-4-2のような形で入りました。

レノファは水戸戦と同じような形5−4−1で中を固めて、岸田がアンカーの白井を消しながらコースを制限しボールを奪うことを考えていたと思います。しかし、岸田がコースを消しつつもなかなか後ろの4人の脇、特に右サイドのエウシーニョがボールを引き出しては縦につける、もう一度戻して中へ。など内田・カカと共に揺さぶりをかけてき、なかなか矢印を定めることができず、徐々に白井のところでもボールがサイドに振られるようになります。またここでもエウシーニョが桑原に対して兒玉(杉本)・西谷とともに起点を作り、攻め込んできていました。

一方レノファのボール保持の局面、山形や水戸とある程度菊地が浮く形を相手の対応のまずさなどもあり作れていましたが、今節の徳島はそうはさせてくれません。もう一つの逃げ道の桑原のところもRSBエウシーニョがジャンプして対応をしてきたこともあり、序盤は徳島にショートカウンターをくらうこと場面が散見されました。そうするとCF岸田めがけてのロングボールが増えますが、岸田は梅木ほど収められないのに加え、この日は沼田がなんとなく岸田からは遠く、3連敗していたときのようにCFが孤立している状態での展開が続いてしまっていました。

ただ、時間が経ち18:15の佐藤健だったり、24:30のシーンくらいからでしょうか、徐々に田中渉落ちてきてビルドアップに加わるシーンが出てき始めます。このような落ちるプレーを混ぜつつ前進ができ始めていました。展開として痛かったのが「レノファに流れが来るかな〜」と思った矢先で失点を喫してしまいました。

20分あたりからだったでしょうか、レノファがミドルゾーン辺りまで進めた際に、徳島LWG37浜下が最終ラインへ落ちて5バックの形を取っていました。

そして徳島は得点を取ったあたりから、山口のビルドアップ開始時から浜下を落として5バックとなりました。ポヤトス監督が試合後コメントで出されいたものを以下引用。

相手は前線の右サイドへダイレクトでボールを入れてくると予想していたので、それをコントロールしたかったからです。また、当初は前線に張っていた20番の選手(田中渉選手)が、途中から落ちるようになり1対2を作られていたことも要因です。もうひとつ、連戦の中におけるフィジカル面も考慮した上での判断です」

上記の田中渉の動きと同様に前節の菊地からRWB吉岡へ行っていたようなボールへのケアのため、この5バックを取ったとのこと。また連戦の疲れなども考慮に。

この徳島のシステム変更で彼らは多少前から奪いに来る動きが減り、後ろを固めて前線は中へのボールはやらせないような布陣となります。

しばらくは寺門や菊地がボールを保持するも桑原のところにはエウシーニョ、サイドチェンジをしても浜下が吉岡を離しておらず(31分や41分)、相手の出方を見る時間帯が続きました。流石に外循環だけでは厳しいので、34分には渡部→田中へ縦パス。ただ、ここは徳島の包囲網の中なので、捉えられてしまいました。しかし、35分今度は桑原が佐藤健がこの中に入り、自ら持ち上がり田中とのワンツーで深い位置まで侵入しました。また42:20ではスローインの流れから渡部→佐藤謙。沼田が徳島の「3」の脇に降りることで徳島CB6内田を釣り出し、そこへ田中渉が侵入しボールを受けシュート。決定機とまではいきませんでしたが、前半のうちに挽回しはじめた状態で後半へはいりました。ただ、徳島としてはある程度引いて守ることで前半を0に抑えて折り返すことができたとも見ることができる前半でした。

 

2)

やはり先制されているレノファとしてはギアを上げて得点をあげることが必要となります。そのため後半開始から取った策は前からのプレス。前半は岸田が孤軍奮闘というかそれぞれの息があっていないような状態でしたが、後半は高い位置からコースを限定しグループとしてプレスを掛けていきました。ただ、それは徳島も同じ。前半開始のときのようなお互いテンポの早い時間帯が続いていきました。

そんな中、最初のカードを切ったのがレノファ。高井と成岡の投入でした。成岡が入ることで後ろからのボールを引き出して前を向くプレーなど去年相模原で見せていたプレーを出していきます。もう少し高い位置でもこのプレーが出ると彼の真骨頂が見れそうです。

また高井を入れたことで岸田よりもより攻撃という指示がベンチから出されました。そんな中で生まれたのがあの素晴らしいFKでした。ここで畳み掛ける!という雰囲気ではありましたが、64分の嵌めたと思ったが沼田の股を抜かれて抜け出されてしまったところ、69分のカウンターから田中から吉岡へ渡ったところも、前に人がいなかったためかすぐに吉岡はやり直しを選択したところ、71分の高橋から中間ポジションの成岡へのボールがずれたところなど、ここぞというところで精度が落ちてしまい、流れを完全にレノファにもたらすことができませんでした。

そうこうしているうちに、失点直前に徳島は櫻井、田向、一美を後退で入れており、形を5−2−3、5−4−1のような形に変えておりました。この交代で元気になっていったのが7白井。櫻井が入ったことで彼に後ろでボールを捌くことを任せることもでき、持ち前の運動量を活かしてレノファの左サイドへ出ていくシーンが増えました。

また、前半途中から割り切った戦い方をしていた徳島。まだ白井のほか、西谷や兒玉などキーマンの選手たちにまだ違いを出す力が残っており、徐々にレノファは80分以降攻撃を受けてしまう展開が増えてしまいました。特に白井にセカンドボールを拾われることが多く、正直ここで白井を上回れる選手がほしかったなと(前という選手が。。。)

そのため最後のCKへの流れもこの10分徳島の時間帯であったこともあり、試合最終盤に起きても仕方なかった失点ではあったと思います。

徳島はこの試合初めての左CK。インスイングで来るボールはレノファは初めてでした。FKでは変化を加えられてあわや失点シーンというのもありましたが(59分)、CKは仙台戦の高木のニアサイド、と同じでした。児玉の話では、あのカカに当てる形はよくやっているとのことで、やはり警戒をして然るべきものであったと思います。

80分以降前から行くことが難しくなり受けてしまったレノファとは対象的に守備でリズムを再度取り戻しギアを上げることができた徳島。前半得点後からの5バックでの守備、後半に入っても的確にギアをあげていったポヤトス監督。アクセルは踏みっぱなしだったレノファ。踏んだまま突き抜ければよかったのですが、そうはうまく行かず。ミスをつく余力を残していた徳島。このあたりが勝負を分けてしまったのかなと思います。

 

では、何ができたのか?この試合でレノファデビューをした成岡。ボールを受けては前を向く・運ぶ・捌くなど期待を抱かせる選手でした。例えば60:48のFKの流れで、一気に相手のファーストライン、セカンドラインを飛ばして高井へ出したグラウンダーのパスは見事でした。試合終盤、レノファの攻撃は出てきている徳島のセカンドラインの脇を狙ったロングパスが多かったと思います。もちろん相手が出てきているのでWBが競り合ったあとのフォローなどもレノファのシャドウのほうが取れている場面もありました。ただ、そこから徳島へサイドに圧縮されたまま中へ出せない。こんな展開がありシュートまで持っていけなかったと思います。84分の池上へ出したラストパスなどは池上自身が悔しがっていたようにとても面白い狙いでした。

折角成岡がいるのであれば彼を使って持ち運んで相手を引き出してから中を使うなど、工夫があっても良かったのではないかと思います。前同様にボランチに機動力を持たせてくれる存在なので、W佐藤のような役割ではなくもう少し彼の個性も活かせたら良かったかなと思います。85分の桑原が抜けたシーンで並走する佐藤謙でしたが疲れなどもあってか、後ろでのフォローになってしまいました。しかし、ここで成岡あたりがもっと顔を出して受けていれば、後ろではなく横で受け、より相手ゴールへ迫るプレーが出せたのではないかと思います。

高井が最前線にいたこともあり、裏抜けがなかなか活かせなかったと試合後コメントにありました。解説の方も高井や吉岡がよく裏を狙っていると画面外の動きに言及もされてました。この動きを活かせなかったことで、CFですが高井は降りてきてしまう、サイドに開いてしまうなどボールを貰いに行く動きが増え、彼がゴール前でシュートを打つシーンを作れませんでした。後ろから最前線にいる彼にボールを届けることがこの試合では求められていたかと思います。梅木がもしかしたら怪我?で岸田と高井のみ(高木もいると思いますが)となるなら、より彼が降りて来ないようにし、ゴールを奪う仕事に専念させてあげなければなりません。

なので最後92分の成岡のクロスは合わせたかった。というか、中の兒玉と高井が同じ動きをしており、もったいなかった。。。それかもうワンタッチ中へ運んでも、、、

クロスといえば前半など深い位置を取った際は迷いなくクロスを上げていましたが、後半池上が入ったあたりからファイナルサードではより足元で受けたがる選手が増えたこともあってか、まったく見れなくなったのもどういう指示をベンチは与えていたのかなと気になるところ。もちろんニアゾーンをとることができていた前半でももう一歩インサイドへ切れ込むなどして中とタイミングを合わせる、相手をもう一つずらすプレーがでないかなとも以前より書いてますが、出していってほしいです。あ〜悔しい。。。

 

さ、悔しがっても試合はやってきますし、なんと断片的にしか知らないのですが、J2にもアウォーズができるとか?田中渉に年間ベストゴールを取ってもらいましょう。しっかり残留して胸はって取ってもらいましょう。

次節横浜FC、町田と上位は続きますが、水戸戦同様相手の形を見て崩すところまで行けていますし、臆することなく勝点を取りに行ってほしいですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)