レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

拾った勝ち点1点か、死守した勝ち点1点か。ギラヴァンツ北九州vsレノファ山口 @ミクスタ 2021年4月21日

まず緊急事態宣言について触れたいと思います。

東京に住んでいる身として、この1カ月でまた等々力と味スタでJリーグを観戦する日々が戻ってきておりました。スタジアムでは一部のルールを無視する人はいましたが、総じて皆ルールを守り、新しい観戦スタイルをしておりました。

「またあの無観客試合か」と悔しい気持ちがある一方で、「仕方ない」という諦めのような思いがあります。スタジアムではなく移動の道中が密。であれば通勤だって同じだよ!と屁理屈も思いましたが、1年経っても「自分の振る舞いで何が正解なのか」というのはわかりません。スタジアムにそもそも行かない方がいいのか。今は、自分で間違っていない、感染しないような行動をつづけるだけです。

さて、レノファの布陣も何が正解でしょうか。暗中模索、手探り状態でしょうか。やはりこれも正解は分らないですし、都度正解も変わるでしょうし、適応をしていくしかないでしょう。

前半開始直後からゴールを脅かされ続けた試合でした。今期のはじめによく見られた試合の入りが悪く、なんとか修正をかけていくといった展開でした。修正しても危ない場面もあり、ちょっと勝ち目が見えずらい試合になってしまいました。

「我々が狙おうとしていたスペースが思いのほか空かずに、他のところが空いてきていました」とのことでした。

ん~。ちょっと自信がないのですが、ここかな~というところを書いていきたいと思います。では、今節はこれらについて書いていきたいと思います。

1)迂闊にも試合中に気に入ってしまった北九州の攻撃

2)やっぱり池上の位置取りは好き

3)走りあうのか位置どるのか。ウタカ警報。

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【北九州】64分前川⇒西村 78分野口⇒新垣 84分生駒⇒藤谷 乾⇒永田 富山⇒平山

【山口】67分小松⇒高木 島屋⇒河野 浮田⇒梅木 81分田中⇒新垣 93分川井⇒石川

1)前節8佐藤謙を最終ラインに落とさず、LSB5ヘナンを加えた3人で運ぶことを新しく始めました。前節より以前の試合の時間帯によっては後ろ二人、当時であれば6渡部と13楠本で2枚で最終ラインを組んで、その前にボランチ2人。両SBが上がる形もありましたが、基本は佐藤謙が最終ラインに落ちるのが、多かったかと思います。佐藤が落ちようが、ヘナンが残ってビルドアップをするにしても、最終ラインの人数は3人です。その前にボランチの2人が多少高低差をつけて位置取ります。

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そこで北九州は山口のビルドアップにたいして、4人のチームで3人+関orボランチマンマークをつけます。常にボランチへのパスは背中で消すポジションからプレスをかけてきます。上記は一例ですが、ボールを再度に追いやられた場合は逆サイドは捨てて、一気に圧縮をしてきます。下がってくるボランチや池上に対しても、北九州のCH17針谷11永野も付いて行きます。そこでロングボールを出してもCB5村松4河野が跳ね返します。レノファのキックがミスになってしまうことも散見されました。

北九州の攻撃時には11永野が最終ラインに落ちて、その前に17針谷。両SBは高い位置を取っています。山口は前半あまり相手ボールを前から奪いに行かずにミドルゾーンで待ち受けます。ただ、山口は4-4-2のフォーメーションで縦と横をコンパクトにした陣形を敷いて守りますので、琉球や新潟の試合の時と同様にサイドチェンジをされてしまうと基本フラれます。北九州は前節なども同様にこのサイドチェンジを使っていましたが、スピードやタイミングがほんとに質が高く困ったものでした。北九州のSBが山口のSBの横あたりまで上がってくるので、危険な位置で山口はスライドを強いられていました。また、ただサイドチェンジをするのではなく、北九州はポジションチェンジも併せて行ってきます。(特にサイドチェンジの時にしているわけではなく)
例えば16分のシーン。一旦山口の右サイドに展開されてしまいます。そこから、11永野からCB4河野を経由してRSB22生駒へとボールが左サイドで渡ってしまいます。

この4河野ですが今シーズン初出場とのことで、「え、なんで使われていなかったの?」と思うほど聞いてました。このシーンも山口FW18小松は北九州5村松、11島屋は17針谷にマークをしていたため、河野はフリーの状態。急いでLSH浮田がプレスをかけようとしますが、掛かる前にワントラップから見事に右サイドへボレー気味にパス。見事に22生駒が5ヘナンと余裕をもって1対1の状態を作りました。

余裕がある分フォローに来た10高橋17針谷18富山もタイミングを合わせて仕掛けにかかります。

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5ヘナンが22生駒に吊りだされているので、10高橋が空いたスペースに走り29田中を引き、18富山がそのまた空いたスペースに6渡部を引き連れてポストプレーに入ります。

その富山にボールが出た瞬間シンクロするように、10高橋17針谷が裏を狙いにかかります。ここは島屋が針谷へのパスをカットし事なきを得ますが、なかなかきれいな一連の流れで「お~」と唸ってしまいました。高橋と針谷はにボールが入った時点でお互いで視認しており、フォローに入る人、3人目の動きをする人、などそれぞれがしっかり味方同士で確認しているように感じました。

もちろんこの場面以外でもこのような局面は多く作られてしまい、山口は後半からは前からプレスへ!という形になりました。これは結果的に後半のオープンな展開になったきっかけになったかなと思います。

 

2)山口は前半なかなか北九州の隙が付けませんでした。北九州も山口と同じく4-4-2で守っており、幅は山口よりもちょっと広めにしているかな、といった感じでしたが似たような守り方をしていました。しかしビルドアップに苦戦したため、いつもの相手SB裏への供給は遮断され、サイドチェンジもなかなか決まりません。渡邉監督のハーフタイムコメントの「もっと左右に揺さぶって、相手のスライドを遅らせよう」というのもこういうところがうまく行ってなかったものかなと感じました。

その中でも29:11のシーン、サイドチェンジがずれてやり直したところから。北九州はこの場面でも前4人でプレスをかけてきます。8佐藤謙がもらいに行ったところも11永野がタイトについてきます。2菊地から8佐藤謙へのボールと思いきや、その裏の10池上へ。

上述の通り、北九州は山口のボランチまで食いつきますので、北九州のCBとボランチの間は空いてしまいます。池上は何度か前半のうちにここのポジションは見つけており、多少後述しますが、後半のフォーメーション変更の際にトップ下のような位置に来たのかと思います。

また41分ではこれまたビルドアップのやり直しの場面。北九州も疲れが出てきたため、多少プレスが弱くなっています。このシーンが2菊地が右のハーフスペースに位置し、6渡部が左のハーフスペースにいました。田中⇒関⇒菊地⇒渡部へ。両CBにはそれぞれ15野口と18富山が付いていましたが、このハーフスペース間の2度のハーフレーン間のサイドチェンジ。この20mほどのサイドチェンジで相手を間延びさせます。

渡部に渡ったところでこの時間はFWに入っていた16浮田はタテパスをもらうような振る舞いでCB4河野をつり出します。ちらちら河野の位置も確認する周到さです。狙い通り河野が出てきたのでその裏を小松が狙いますが、ちょっと抜け出しが素直すぎてしまいオフサイドに。ただ、このくらいの揺さぶりでもいいんです。ポジションでずらして裏をとることもできます。できなくても気をつけないとな、と惑わすことにもなります。

で、後半に入ります。山口は4-2-3-1にフォーメーションを変更。ビルドアップについても3人ではなく2人にします。そして両SBは幅を取ります。

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北九州のプレスで前の4人がコンパクトに来るなら、こちらの立ち位置を拡げてしまい、むこうにも拡がってもらいます。

やはりマンツーマン気味できますが、渡邉や川井の後ろに落ちたりする佐藤謙が持ち上がることで相手をずらします。相手がはがせるようになると島屋の槍がようやく発動するようになりました。また池上もトップ下で攻撃の起点や相手のボールのインターセプトを行うなど前半になかったシーンを作ることができました。

69分の3枚交代後はかなり走りあいなどオープンな展開となり、こちらもチャンスは作りますが、ゴールを脅かすことはできず。タイムアップ。ゴールレスドローとなりました。

今節は北九州が素晴らしかったと思います。前節・前々節の北九州の試合を見た際は、ビルドアップ時に最終ラインからボランチにつければ、奪われてショートカウンターを食らう。サイドチェンジはずれる。富山へのパスはスペースに放り込む形で、周りと連動をしていない、といった攻撃面に苦労をしている印象でした。京都戦ではある程度の成功する場面が増えていましたが、まさか6人のスタメンを変えたメンバーでより完成度の高いサッカーを披露するとは。。。といったところでした。

ただ、スコアは0-0です。もちろん勝ち点3を狙った試合でしたが、相手に与えた勝ち点は1ですし、勝ち得た勝ち点も0ではなく1です。関・渡部・菊地を中心に手にした失点0。しっかりと勝ち取った勝ち点1と思います。

 

3)ウタカ警報です。ウタカが襲来です。それもウタカの周りは働きバチのように走りまわる傭兵です。北九州はこの京都にしっかりと仕留められてしまいました。

山口としてはどう戦いましょう。今節のように前半もたつくことはできません。その前に仕留められてしまう可能性が北九州戦以上にあります。このプレスをいなすようなことができるのか。来た相手に対して走る質(ポジショニングを含む)で対抗するのか。

例えば両SHを島屋・高木にすればある程度アバウトに裏に出したボールに対して、小松含めて走りあいができそうです。ただ、位置で惑わすことを考えると、池上は外せないと思います。てことは4-2-3-1あるか・・・

などなど日曜日を楽しみにしたいと思います。ウタカ警報でもあったのですが、バイス注意報もありましたね。北九州との試合で6-1になった後、まだ攻め上がりゴールチャンスで外した味方を睨むバイスは一人だけ0-1で負けていると思っているのではないかと思うくらいの迫力でした。

そんな個性あふれる外国籍選手の他にも確かな実力を持つ日本人選手もいる京都。しっかり維新で向かい撃ち、ホーム2連勝といきたいですね。

今節も読んでいただきありがとうございます。

(文中敬称略 すみません。)