レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

また歩き始めればいい。

名塚さん、石原さんの監督とGMの退任が発表されました。

 

まずこの小山会長の石原さんへの公式コメントから掘り下げて見たいと思います。

”今季のトップ6という目標を掲げた中で、名塚監督と命運を共にしたいとのご意向をいただきました。”(引用元:名塚善寛監督および石原正康GM退任のお知らせ | レノファ山口FC

とあるように今季石原さんが「名塚さんと今季トップ6を狙っていく」と現場の責任者として方針を出されたとのことでした。

そのため、一蓮托生ではないですが、今回の名塚さん退任に伴い石原さんの退任についてはある程度納得のいくものであったと思います。

 

reimond.jp

 

GMを務められていた石原さんもお辞めになられたので、多少時間を戻して渡邉元監督の就任のところから考えてみたいと思います。

渡邉さんも就任時こんな言葉を残していました。

攻守においてアグレシッブに、なるべくボールは相手陣地で奪う、なるべく自分たちが攻撃で主導権を握る、理想を言えば90分間相手のハーフコートでゲームをする。それが私自身が持っている究極の理想です。それはこのチームでもしっかりと表現できるようにやっていきたいと思っています”(引用元:レノファ山口、渡邉晋新監督が就任会見。ビジョンに惹かれ快諾、目標は「2年かけてJ1昇格」 | フットボールチャンネル)

 

あ、名塚さんもよく使っていた言葉多いな。という印象でした。

霜田さん後期で失われてしまっていた守備原則を取り戻す。そこから改革に着手をしはじめるという、ある意味レノファらしくないところから渡邉さんは始められました。これについてはフロントも了承のもと監督を打診されていたでしょうし、それが必要であったと考えていたからこそ、このコメントが世に出たと思います。

渡邉さんが見せてくれたものは、ハイプレスやハーフコートゲームなどは序盤は行ってはいましたが、シーズンが進むにつれ割り切って捨てていったと思いました。

その代わり攻守ともにまず立ち位置をしっかり取ることなど、『2年でJ1昇格』を掲げていたこともあってか、すべてをすぐに着手するのではなくやれることを少しずつ進めていった印象です。できるところから精度を上げていこうとしていた。

ただ、順位が下降傾向にあったところでのシーズン途中での退任。

辞任なのか、解任なのかは僕は見えませんでしたが、2ヵ年計画であるならばなぜ彼を踏みとどまらせて、徐々に変わっていくことを選択できなかったか・・・。

 

そして渡邉さんの後を名塚さんが継ぎます。

失いがちだったアグレッシブさを取り戻し、「前向き」な戦いで残り11戦に臨みたいと意気込みを語った。(中略)

名塚新監督に期待されるのは、まずは残留を決めることだろう。そのために改善点については「レノファのサッカー、前に前にというサッカーをすること」を改めて徹底し、「気持ちに部分でも前を向いてプレーすること」を選手に求めたいと話した。「やろうとしていることを選手に体現させる、落とし込むことが今の僕の仕事だと思っています。ボールにプレッシャー行こうよとか、5秒で行こうよとか、ぶっちゃけ気持ちの部分がメンタルの部分が大半を占めると思うので、しっかり選手を競争させた中で、残り11試合を戦っていきたい」”(引用元:【山口】残り11試合で就任した名塚善寛新監督が会見。レノファらしい「情熱的なサッカーがしたい」 - サッカーマガジンWEB)

 

と就任会見で語られていたように、もう一度霜田さんテイストに戻った印象でした。

ここで名塚さんがこのような言葉をプレスリリースで出した、ということはフロントも結局はこちらに戻すことを選択したのではないかと僕は考えています。

今シーズンも2度ほど名塚さんブレましたが立ち返るところは、「攻撃的」「アグレッシブ」「プレス」と就任したころと同じく『原点へ立ち戻る』『自分たちのサッカーをするために、矢印を自分たちに向ける』

 

攻撃:相手を見て立ち位置を決めてビルドアップで崩します。

ネガティブトランジション:相手陣でボールを奪うため即時奪還をまずします。

守備:相手陣からのリスタートなどはハイプレスをして相手陣内でのボール奪還をめざします。

ポジティブトランジション:相手陣で奪って素早くゴールをめざします???

 

聞こえはよいですがやはり何もかもを短期間で行うのは難しい。ましてや毎年、前年のキープレイヤーたちは他のクラブへ引き抜かれるレノファ山口というプロヴィンツィアのクラブであればなおさらです。

しかし、清水エスパルス戦が終わった後のブログの3章目の題名に「全部改善しようとすればボロは出る」と書かせていただきましたが、石原・名塚体制が立ち戻るところはここしかなかった。

これについては名塚さんが悪いという考えではありません。

GMであった石原さんであったり、フロントが少しずつ変わっていくことを選択できなかった、と僕は考えます。

前年ボトムハーフのチームが掲げる『昇格』。フットボールというスポーツでエンターテインメントの舞台で戦っている以上最高峰のJ1を目指すことを全く問題ないと思います。

せっかく立てた『2年でJ1』。渡邉さんでできなかったから、もう一度名塚さんのもとで『2年でJ1』を立てるなどできなかったのか。人心掌握に長けていた名塚さんであれば別のアプローチもあったかもしれません。

しかし、まだ経験したことのないJ1への道筋を、ロマン的な【レノファらしい】【攻撃的な】という言葉でたどろうとしてしまいました。

名塚さんはそれに応えるために、ご自身も同じような志向をされていたかもしれませんが、そのようなサッカーを表現しようと進められていた。

名塚さんは昨年4-3-3を掲げ、上記の目標を達成しようとしたところうまくいかず、途中で3-4-2-1に着手しました。最初は結果はでませんでしたが、徐々に補強もあたったこともありましたが、割と理想をあきらめて最終的に勝ち点50を達成しました。

ただ、今シーズン序盤は勝ち点をひろうことができましたが、そこから相手に対策され始めたところで、3連敗と大分・清水に力負けというところでブレが生じてしまったと思います。

多少試合内容に改善が見られた清水戦以降も正直千葉戦のように相手に対策をされたところで、その修正がすぐにできない。「いいサッカーができている」と言われても結局は勝ち点を拾えませんでした。負け癖のようなものもついていたようにも思えます。

 

もしかしたら、このサッカーで立て直すことはできたかもしれません。ただ、それでも順位はまた15位前後であったのではないかと思います。

霜田さん後期から僕らサポーターが見てきた現実は、よいサッカーをしてても失点する、負ける。でも昇格は目指している。という目標と現実がマッチしていないそれこそ【負け癖のような1年】を繰り返し過ごしてしまっていると思います。

 

渡部社長の2021年シーズンの最後のインスタの投稿に

あくまでも僕たちの目的は「勝つこと」であり、レノファらしいサッカーをすることが目的ではありません。
「らしさ」を貫いて負ける美学は、ただの言い訳でしかない。僕たちはいつも目の前の相手に勝つ方法を考えていくべきです。」(引用元:

https://www.instagram.com/p/CW2oWZjvL9p/?utm_source=ig_web_copy_link

とありました。

NHKやまぐち放送局のツイートからの情報を精査すると、渡部社長がGM業を兼任し、次の指揮官の選定をこれから行っていくとのこと。

さすがに今回の段階よりも前に、名塚さんと渡部社長の中で話し合いの場を持っていたのであれば全く動いておらず、これから動くということはないと思います。ただ、水面下で動いていたのはおそらくGMの石原さんであると思われるので、これは今日の最終出勤の際に引継ぎがされたのではないかなと思います。なので「これから」という言葉が出たと思います。

「トップ6という数字に近づくための決断だった」と渡部社長はおっしゃっていました。

今は逆風だったり立ち止まったりしているような状況ですが、少しでも上の順位に行くために、小山・渡部体制が導く決断が良い方向になるよう応援・見守っていきたいと思います。

 

あらためて名塚さん、石原さん、レノファを支えていただき本当にありがとうございました。