レノファを青黒の眼で東京から見るblog

レノファ山口を応援・分析します。

この23年シーズンを1試合にまとめたような試合 ベガルタ仙台vsレノファ山口 @ユアテックS仙台 2023年10月28日

ついに40節まで来ましたね。前節同様に引き分けまで持ち込みました。

次の日に行われた大宮対甲府戦で甲府が勝利をおさめたことで、大宮との勝ち点差が5となりました。大宮が清水・ヴェルディに対して2連勝をしないといけない状況に持ち込むことができたのは大きかったと思います。

もちろん、レノファがこの仙台戦含めて勝ち点3を取ることで残留ラインを超えることが好ましいです。あと2節で自力で残留を確実にするためには勝ち点2が必要です。池上の「勝ちます」は持ち越しになりましたし、前半だけ見れば3−0で負けてもおかしくない試合であったのも確かです。あと2節戦う上で最近の悪い流れは断ち切りたいところです。ただ、後半盛り返せたことも確かではあります。

ということで、今節を考えていきたいと思います。

 

得点者

仙台       山口

19分 郷家    78分 ジュニーニョ

 

ベガルタ仙台

・この3試合、残留争いをするチームに対して2勝1分と上り調子

・熊本戦よりシステムを4-4-2に変更後負けなし

 

レノファ山口

・今節も5−3▽−2を採用。

ジュニーニョが久々のベンチ入り。ジョーカー的存在であった野寄はベンチ外

 

  1. 続.ハイプレスに出ていった後のスペース管理
  2. WBとSBの距離感。
  3. 体力の疲れvsミスが混じってしまった攻撃

 

 

続.ハイプレスに出ていった後のスペース管理

今節は前後半で全く色の違う試合になりました。

・前半はプレスもうまく行かない、守備局面に閉じ込められてしまい、なかなか局面を変えることができなかった。

・後半は立ち位置を替えて、よくエスナイデル監督が言っている、逆サイドも見ようね、が出せた。ただ、ミスで自分たちの流れに引き寄せられず

 

前節岡山戦のレビューでハイプレスをかけた際の裏のスペース管理ができておらずそこを使われてしまったことを書かせていただきましたが、今節はまた別の形で宿題を出されてしまいました。

試合開始から現象として起きていたのはレノファの右サイド池上がでていったところ。

仙台の4-4-2に対してレノファ5−3−2で構えます。そうするとかみ合わせとして仙台のSBが浮きます。ここにレノファはIHの矢島や池上をジャンプさせて付きに行かせました。

そのため右サイドではLCB3福森−梅木、LSB2秋山−池上、LSH18氣田−吉岡、CF7中島−平瀬が付く形が多かったです。

仙台はボール保持時、37長澤をアンカーのようにし、32鎌田を上げ、中島を下げてシャドウ(IH)のような形にしたこともあり、中島に付く平瀬の後ろには広いスペースがある状態でした。仙台が狙っていたのはこのスペースで、氣田や山田らを走らせるようなボールを送り込んできました。

 

平瀬が中島につくことで裏が空いてしまいますが、平瀬がここを抑えなければ前節のムークやルカオにやられてしまった形になってしまいますので、ここはしっかり抑えるというのは前節の課題としてはあったと思います。だからこそ平瀬も中島を抑えにいきました。

ただ、仙台のSBへレノファのIHが出ていったところで、そのスライドから裏を使われることが前半7分を皮切りに25分までに5,6回あり、かなり再現性高く攻め込まれてしました。

では裏のスペースを使われたくないからと言って、SBの位置へ出ていかなければいいかというとそうではなく、フリーでボールを保持するSBから前線へパスを通されてしまいます。

17:45には小出からアンカー15前の背後をとった中島にパスを通され、しっかりと中島のキックができていれば得点シーンのように鎌田に抜け出されてしまうシーンがありました。失点後ですが27分には小出→山田というシーンもありました。

失点シーンでは、この場面でもまず落ちた中島にボールが渡り、裏は使われませんでしたが、右サイドから左サイドへボールを振られてしまい、スライドが遅く小出に時間を与えてしまいポジションをずらした氣田に入れられて、郷家までボールを届けられてしまいました。

解説の田村さんも仙台のSBは空きます、と二度三度おっしゃってましたが、レノファとしては今節のフォーメーションを採用した時点でここのケアをどうするかというのは、この試合のポイントであったとおもいます。

しかし、用意してきた形を上回れてしまった。

守備局面で大きく仙台にアドバンテージを取られてしまったこともあり、守→攻へのポジティブトランジション・そして攻撃の局面への流れを作ることができず、クリアをしたボールは仙台にほぼ回収されてしまい、自陣からボールを進めることができませんでした。まるでホーム維新スタジアムで仙台に対して行っていたことをそのままやられてしまった感があったかと思います。

また、ゴールキックからなどボールを保持した状態でも同サイドで繋ごうとするか、縦へ蹴るだけ、といった単調な攻撃を繰り返してしまい、リズムを掴むことが前半はほぼできませんでした。

 

ではこの状況どうしようか?

ここでレノファが出した答えがフォーメーションの変更による仙台のSBへのマーカーの変更でした。27分くらいから池上が前と横並びになりダブルボランチを形成するような形を取っておりました。

変更がわかりやすくなったのが33分。LWB高橋が小出に付こうと前に出ようとしたところで、エスナイデルさんの口笛と前が左手で抑えるようなジェスチャーが。これを受けて高橋は小出につくことは中止。 

そして仙台がレノファの右サイドにボールを動かしたところでLCB福森には皆川が、LSB秋山には長澤に突いていた矢島が背中で長澤を消しながらプレスを掛け、池上は中島を見つつ山田へのコースを切る位置へズレます。そして平瀬も池上がある程度この位置を取ってくれることもあり、付きすぎることなくポジションがとれ、このシーンでは秋山からの裏へのボールをカットできました。

同じく左サイドでは梅木が小出付く場面があり、梅木(時々皆川)と矢島でSBを抑え、ダブルボランチの前と池上で中を固めることで、中へのパスの道を切ることで仙台のパスコースを制限していきました。

レノファとしてはこの形をとることで守備を落ち着かせることができました。

押され放題ではありましたが、結果的に追加点を取られなかったことと前半のうちに仙台が用意してきたものに対して修正をピッチ内で施せたことは大きかったと思います。

 

WBとSBの距離感

そして後半です。守備はある程度整備したので次は攻撃局面です。

 

−試合中、選手交代以外ではどういう修正をしたのか?

戦術的には大きな変更はしていませんが、連動してボールを動かし、早く失わないようにしようという話はしました。それをしっかりとやりきったことでゲームを支配できたと思います。

 

エスナイデル監督が言っているように、おそらくエスナイデル監督は大枠はきっと変えていないのかなと思います。このあたりはシーズン終わったらなにか自分なりの回答が出せないかなと思っていますが、この試合もやりたかったことは前半も後半も変わらなかったのかなと思います。単に前半何もできなかっただけで。

後述しますが、前半もプレスに来る仙台に対してもっとサイドチェンジも使うという策はあったのかなと思います。まあ、エスナイデル監督はたぬきさんなのでちょっと測りかねるところはありますが。

 

話を戻して、

--後半の戦い方について。
前半に比べてちょっと低い位置でもらうようにして、縦にFWを走らせたり自分でボールを運んで切り返してクロスを簡単に上げたりと、「シンプルにクロスを上げる回数を増やそう」と言われたので、そこは意識して入りました。

と吉岡が残しているようにボール保持時にWBの位置を低めに設定していました。

前半はWBが高い位置を取り、サイドのCB(相手のSHが付く)とWB(相手のSBが付く)の間でIHがボールを受けるような意図が見えました。池上がよくやるプレーです。ただ、ここに流れても捕まえられてしまっておりました。また、WBにパスを出してもSBがあまり移動することなく捕まえられていたので、WBとしては相手を背負うは孤立はしているはで「個人でなんとかしてください」という難しい状況でした。

そのため後半、WBが低い位置を取ることで、まず相手のSBが縦に大きくジャンプしてこないとWBにつけない状況になりました。また、ボランチとの距離感が良くなり、ボールを逃がす道が増えたためボールを動かせるようになりました。

例えば50分には吉岡がボールを受けても相手が来るまでに十分に時間があり、皆川にロングパスを通せたのもこの位置取りがあったからこそでした。このプレーから最終的に皆川のヘディングまで早速運ぶことができました。

 

そしてエスナイデル監督が就任当初によく口にしていた「逆サイドを見ろ。空いているぞ」です。

前半は同サイドでIHやWBに預けるようなパスが多く捕まったり、ロングパスも効果的に裏をつくことができず、仙台に跳ね返されてしまいました。ただ、後半はまず上述したWBのところでミドルサードまで進むことができるようになったこともあり、逆サイドに振る展開が増えました。

ミドルサードのところでサイドチェンジ。ピッチの横幅68mを4人で守る仙台に対して、レノファは逆サイドのWBが幅をとることでマークに付かれないように浮かせて、サイドチェンジのレシーバーとして機能させます。

そして沼田が目立った要因としてアーリークロスがあったかと思いますが、吉岡のコメント通り、彼らはシンプルにクロスをあげることを指示されたとのこと。仙台に戻りながらの対応を強いることで、セカンドボールも拾いやすくする。このような流れで押し込むことができてきました。

 

また、ファーストサードのところでも横にボールを動かしていました。平瀬↔ヘナンといった両サイドのCB同士のパスでも小さなサイドチェンジとなっており、相手を動かせます。そうすることでCHが空いてきて、上述したようにWB→中盤3人→反対サイドといった道筋を作っていたことも挙げておきます。

 

このような修正を繰り返して後半はレノファの時間を作ることができたのは収穫であったと思います。

 

ちょっと話を試合開始の場面に。レノファは今節あわせて4節続けて相手にコートチェンジを選ばれております。

金沢と岡山はおそらく日差し問題。大宮は前半から点を取るためレノファに大宮サポーターの声援を背にさせたかったことを明かしてます。

日差しはほぼ関係ないのでおそらく仙台の理由も後者かと思います。そして前半かなり迫力を持ってレノファ陣でプレスやポジションを動かしての攻撃を繰り返してきた仙台。前半から飛ばし気味ではあったと思います。

そのためこの相手に対して後半この幅を使う攻撃はおそらくだいぶ足に効いたのではないかなと思います。

前半に非常にハードにやってくれた分、後半は前の方でのパワーがちょっと足りなくなった印象があったところです。それで押しこまれる展開になった部分があったと思います。

堀監督もガス欠ぽいことを示唆されています。

そして皆川のような真ん中で基準点を作るタイプではなく、長所は「スペースへ走ること」と自らを称したジュニーニョが入り、梅木とともにCFに機動力をもたらします。

仙台のSBはレノファのWBに付くこともあり、その裏をこの2人が突きます。サイドの奥で2vs1を作り同点弾を生み出しました。

 

体力の疲れvsミスが混じってしまった攻撃

しかし同点にしたことは良かったのですが、もったいなかったのがレノファの質のところ。

チーム全体的に「そこはしっかり繋いでくれ…」という場面でボールをロストし流れをレノファへ寄せきれませんでした。あわや失点というカウンターも食らうシーンもありました。

前半の内容を見れば仙台が追加点を奪って2-0くらいで試合を終えることができたという見方のほうが多かったと思います。ただ、後半に足が止まりつつある仙台に対して、レノファはやろうと思えば前節岡山にやられたようにしっかり逆転をすることができたと思います。下記のゴール期待値のように矢島や梅木が決定機を迎えており、このあたりをしっかり活かすことであったり、岡山のようにミス少なくゴールへ迫り続けることができていればもっとこの期待値は伸ばせたはずです。

そもそも前半の出来のほか、後半のもったいないミスを減らさなければトップ6というところは見えないのかなと、上位陣との距離を感じる一戦であったと感じています。

 

ただ、難しい状況の中から前半のうちに修正ができたこと、後半巻き返したことは繰り返しになりますが、前進はしていると思います。

泣いても笑ってもあと2節!まずはホーム最終戦しっかり残留を決める1戦にしてもらいたいと思います。チャンピオンチームが来ようが「維新は勝つ場所」。

笑顔の週末であることを期待したいと思います。僕は東京PVで町田戦を。もう決めててもらいたいですが、最終戦の熊本は現地で今季のレノファを見届けたいと思います。

来年もJ2で戦いましょう!

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)