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中2日でも能動的に。 ヴォルティス徳島vsレノファ山口@ポカスタ 2024年3月20日

公式3連敗&中2日でのアウェイ。相手は中3日での試合の対戦成績があまり芳しくない徳島。難しい試合展開が予想されましたが、1−2と見事に勝利!

オウンゴールで1点は失うものの総じてレノファペースで試合を進めるなど、難しい状況でも大き進歩と大きな勝ち点3を手にすることができたように思います。

では、今節について振り返って行きたいと思います。

 

1)大きかった相田と梅木の復帰と早い時間の成功体験

2)冴えた志垣采配

3)失点時のちょっとした雑感

 

得点者

徳島           山口

81分  オウンゴール   51分 野寄

             56分 ヘナン

 

1)大きかった相田と梅木の復帰と早い時間の成功体験

まずこの試合を振り返る上で外せないのが<強風>。昨年のアウェイ秋田戦のときのように割り切ったサッカーが求めれました。

志垣監督が試合後インタビューで仰っていましたが、本来は前半風上で戦って試合を優位に進めてから後半を迎えたかったようです。ただ結果論ではありますが、前半から五分以上の戦いをしてくれたこともあり、それが後半に繋がったのかなと思います。

また、去年のアウェイ秋田では風のほか芝の問題もありましたが、割り切って主導権をある程度諦めているような展開での勝利でしたが、今節は主導権は概ねレノファが握っての勝利と昨年よりも成長した姿も見せてくれました。

では、内容に触っていきます。

 

まずレノファが流れを呼び寄せたのは相手陣でのプレー時間を長くするプレー、ゲームプランだったかと思います。

最初の5分ほどは徳島に攻め込まれましたが、まずレノファが行ったのが下手に繋くことはせず相手陣内へボールをおくること。1分や4分で関がボールを持ったところで多少つなぐような素振りは見せるものの相田や平瀬が前線を指差しロングボールの選択をします。

また、5分にはスローインのセカンドボール争いのところでも長崎戦同様に平瀬が相手のCF16渡が落ちたところまでついていきます。ここは徳島にボールが渡りますが、平瀬がでていっても前やヘナンが後ろで準備ができているので、前が裏へのボールをカットし若月が収めて、新保へつなぎ梅木のヘディングまで繋げました。

開始5分で前線からのプレス。相手陣でサイドボールを奪ってのショートカウンター。これでシュートまで持っていけたのは大きかったと思います。上述したように中2日ということもあり、ハイプレスを行うには体力的にきついものがあったと思います。風下ですしリトリートしてゴール前に引きこもってしまったほうが体力の消費は抑えられたでしょう。ただ、今年は走るチーム。相手陣でボールを追い奪還することで早いうちに『今日もこのプレーはできるぞ』という成功体験があったからこそ、前半から積極的に行けたのではないかと思います。徳島にうまくいなされてボールを回されてしまったら、岡山戦のようにうまく行かない時間が長くなっていたかもしれなかったですが、見事ここで決定機まで持っていくことができました。

 

この試合キーになっていたのが出場停止明けの梅木。スタミナ的な事情も他の選手よりもあったかと思いますが、まず彼が存在感をしめします。

前半はほぼ繋がずにロングボールであったり、自陣からの相田のロングスローなどを使い相手陣へボールを送っていました。梅木が主に起点を作った場所は左サイド。徳島のRSB13西野のところでした。

身長を考えると西野よりも橋本のところを狙うかと思いますが、やはり考えるのは『新保にクロスを上げさせる場面を作れるか』などがあったと思います。また、橋本もそこまで守備が得意ではないですが、西野も元々FWの選手とのことでスピードはあるものの多少ふわっとしていたところがあったと思います。そのようなスカウティングもあったのでしょう。序盤から常に梅木を左サイドでボールを引き出していました。21分には関がペナルティエリア右でボールをキャッチしましたが、わざわざ左サイドへ移動しているシーンも有り、チームとして狙っていたと思います。

この左サイドに上がったボールに対してはほぼ梅木が競り勝つことができ、前半からここを起点にすることができ、レノファの時間を増やすことができました。前半40分くらいからはRCB3石尾が代わりに競るように徳島は変更してきましたが、梅木はそれもあまり苦にはせず、河野の決定機なども演出していました。

DF優位である空中戦勝率も62.8%と高い数値がでています。ちなみに梅木より高いのがおそらくヘナン77.8%、平瀬68.4%の2人。平瀬はグレイソンやEジュニオ相手にしていたことを考えるとかなり健闘しているなと思います。

(引用元:Jリーグ公式www.jleague.jp

前半のスタッツはボール保持率は徳島59%で山口が41%、パス本数も255本(成功率75%)と136本(57%)ではありましたが、つなぐことはあまりせず前線にボールを送り込み、セカンドボール勝負、徳島ボールになっても高い位置でボールを再奪回するというサイクルができていました。レノファのボール奪取位置は40mを超えており、決定機も多かったのは明らかにレノファでありました。

成功率が低いロングボールを選びつつもゴールに迫れた1つの要因として梅木の復帰は大きかったなと思います。

 

また、ボールの再奪還で効いていたのが相田でした。

昨年のJ3ボール奪取率上位、抜群の運動量という事前の情報通りの働きだったかと思います。6分に左サイドの流れたボールに対しての河野のプレスに呼応して14玄にプレスをかけるところから、14分にはアンカー位置の27島川へのゆるいボールと島川のCBへ戻すボール対して猛烈にプレスを掛けるなど所々で相田が強度を上げることで前線のプレスを牽引します。

16分のように相田がプレスのスイッチを入れ、徳島にかわされるものの再度河野が今度はプレスのスイッチを入れてボランチの相棒の池上が前に出ていけば、相田は真ん中を埋めるなど、なりふり構わず動くのではなく周りとの連動もしっかりと取れていました。

18分のプレスのところではヘナンがプレスに連動するように前に上がった際はヘナンの位置を埋めており、16渡、10杉本、17高田に対して、レノファは吉岡、相田、平瀬、前と構えることができており、もしヘナンが杉森にかわされたとしてもまだ備えることができていました。

また、そこからのスローインですぐにヘナンの位置でそのままボールを受けて、ハーフレーンに落ちてきた若月にすかさずパスを付け、そのまま上がっていき吉岡から再びボールを受けるとエリア内の梅木へ差し込むなど幅広く顔を出していました。

このシーンは最後は池上の決定機まで繋がっており、チームのハイプレスに対して彼が追うシーンもありますが、時には埋める役割もしてそこから試合を作るといった多くの場面でチームに貢献できるボランチだなと感じます。

田邉がルーキーながら色々なプレーができるなと思いましたが、佐藤謙介や池上も含めてもちょっと相田がこの位置では抜けているかなと思う試合にもなったように思えました。

 

2)冴えた志垣采配

連戦で出ている選手たちで、インテンシティーも高くやってくれている中で、後半に足が止まることは考慮しました。また、ハーフタイムで交代カードを切ることで、後半も3回の交代枠を使えますので、もっと勢いを持って入れるというところで交代をしました。(引用元:第5節 徳島ヴォルティス | レノファ山口FC

とインタビューにあるように悪くない前半ではありましたが、やはり中2日、ハーフタイムで動きました。

この試合での出力を下げないことや、次の試合に対しての吉岡や若月のコンディションも考慮されているでしょうから、まさに5連戦も総力で乗り切るような交代であったかと思います。

いきなり野寄が結果を出したほか、高橋がおそらく負傷欠場のなか板倉をRSBで試すことや最終盤河野に代わりジュニーニョを入れることでもう一度前線で収まるポイントを作るなど、的確な采配が行われたように思います。

後半は野寄を入れたこともあり、前半のような左サイドからの起点にこだわるでけでなく、つなぐことであったり、右サイドの山本をめがけてのハイボールなど、新保に〜という彼に負担がかかるようなやり方も変えていたように思えます。

志垣監督は相手のやり方を見てから動くよりも、まず先手を打つ。ただ、次の一手は相手の動きを一手、時には二手分くらい見てから動くようなイメージです。

岡山戦、徳島戦と交代選手が出る直前での失点が続いているのは気になるところではありますが、この試合は総じて先手先手で手を打てたように思えます。

 

野寄にはクロスには中に入っていけ、という指示やニアサイドを狙うという共通認識があったようで、これもバチッとあたったようです。

この場面では徳島のCBの2人が河野と梅木に付いて、山本には橋本がついているので、CB2人に対してレノファは野寄含めて3人があのスペースに入り込めていました。相田のボールも見事でしたが、CBに対して、数的優位であのクロスへ挑めたことなど良かったなと思います。

前半から若月や河野がゴールへ向かうプレーが多かったりと矢印がしっかり相手ゴールへ向いている場面も多かったなと感じる試合でした。

 

3)失点時のちょっとした雑感

断っておくのはこれは個人批判をするわけでもなく、志垣監督のやり方について批判をする意図ではないことを予め記しておきます。

まずボールを失ったところは相手陣の左奥。特に怖い位置ではないので問題ないかと思いますが、その後にボールを回されたところで多少レノファの選手は遅れ気味。

ただ、27島川にパスが出たところで山本がプレスバックで相田、梅木とともに奪う。梅木から板倉へ。

まず板倉がここにいたのは直前に交代で入った8柿谷がボールを逃がせる位置にいたことで左サイドまで付いていったと思われます。

そして3人で島川からボール奪い、板倉がここにいたからこそ梅木はボールをここに出せた。野寄も板倉がキープしそうなので、パスを受けれるよう多少位置を上げた。

ここで児玉が板倉からボール奪取。何人かの選手がおいていかれるような形でカウンターを受けてしまい、最後は不運形でオウンゴールとなった。

 

77分にコーナーキックの流れからやはり多少ハイプレスを仕掛けた時に板倉はセットプレーの流れということもあり、このときも左サイドまで出てハイプレスに加わるような形でプレスの陣をコンパクトするような立ち位置を取っていました。

ただ、このような動きは前も新保も行っていない。結果論で言ってしまうとあそこでボールロストがなければ、、、となるが、うまく児玉をいなせていれば「よくあそこでフォローに入ったな」ともなる。

また、70分くらいに右サイドの高い位置で板倉が攻撃参加をした時に志垣監督から「たける下がるな!追え!」といったような声が飛んでおり、ファーストディフェンスをしっかり行うことやそれに連動することは割と意識をしていたと思われる。

この失点シーンでは最初野寄が30坪井が明らかフリーでいたこともあり、右サイドを埋めるような形で戻っていた。また平瀬・ヘナン、ボランチにポジションを移していた前もある程度後ろにポジションは取れていた。

ただ、一瞬ボールを奪ったことでポジティブトランジションで前がかりになり、再度ボールを奪われてしまい、ボールを失ってから12秒位で仕留められてしまった。橋本への対応も平瀬が1対2のような形で難しいものとなってしまった。

Xの投稿でもともと板倉がここに戻っていることを選んでいればというたられば書いたが、特に選手や監督からもそのような指示は飛んでいるようにも見えなかったし、この場合ではあのポジション取りは正解であったかもと個人的には思っています。誤解を与えるような形になっていたら、すみません、その時はあの投稿消すようにします。

ただ、INSIDEで板倉自身が語っていましたが、「時間を考えてのプレーが大事だった」これに限るのかなと思います。一瞬一瞬判断をしてプレーする難しさ。プロの凄さがあるなと感じた失点シーンでした。

 

板倉が続けて「レベル高いというか楽しい、自分がプレーしてて。成長ができるなって思ったしチームに貢献できるようにしていきたい。試合に絡めてなかったが充実した時間で成長を感じられた。この壁を超えられたらもっといい選手に慣れると思った3カ月間」(意訳)と語っているのを見て、まだまだ成長してレノファに色々なものを還元してくれるのかなと今後に期待したく思いました。

 

関・平瀬・新保・前らは多少替えが効かない選手らも愛媛戦もでることが予想されますが、相田、池上、野寄、板倉等この5連戦で上げてきた選手もいるなど、このあたりはコーチングスタッフ陣もうまく選手のやり繰りができているのかなと思います。

例年通りレノファのベンチの選手たちも良い雰囲気でピッチの選手たちに声をかけているようにも見えますし、元気印の寺門の役割もヒョンチャンが担っていそうで若い選手たちが頼もしい年になりそうです。

愛媛戦はまた荒天のようですが、ホームで勝ち点3。連勝を期待して、この第1ターム勝ち点10で追えられることを強く願って東京から声を届けたいと思います。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(※文中敬称略)

 

 

 

 

 

さて、そろそろこのあとがきも違うことを書きたいのですが、いくつかセットプレーのことを今回も書いてみたいと思います。

長崎戦のあとがきで触れたCK時の守り方。これはあの通りでしたね。今節はメンバーは変われど、ファーポストに一人配置をして全員ゾーンで守ってました。これでしばらくCKからの失点がなくなるといいなと思います。

 

で、2点目についてです。

レノファはだいたいいつもCK時にはエリア内に6人の選手を構えてエリア外に3人といった形(1−6−3)。

その他の形でいうと時々ショートコーナーを狙うようにしますが、それでも6人はエリア内に配置します。エリア外は2人。今節でいうと新保がキッカーで池上がショートコーナーでよっていき、新保がオフサイドになったシーンですね。このときはおそらく(2−6−2)

中の並びは都度違うんですが、大体若月辺りがGKの前に立つんです。特に新保のアウトスイングのボールに対してGKがでてくるのを多少邪魔するように。秋田戦の梅木のゴールの時も若月がいます。

ただ、ヘナンのゴールのときは誰も立たなかったんですよね。確か前半は若月がいたし、ヘナンのゴール後も板倉だったかなキーパー前にちょっと行くような素振りをしていました。

もしかしたら、相手GKスアレスがあまりアウトスイングのボールにでてこない、というスカウティングがあったのかも。で、6人でこの場面では梅木、ヘナン、平瀬にはマークを付けて、ゾーンの選手含めて結構人がいそうなところにあえて蹴ったのかもしれないですね。全部想像です。妄想のレベルに近い。笑

僕のセットプレーの情報は85%くらい下記の本からのインプットなので、興味がある方はこちらを読んでみるのも良いかもです。セットプレーだけの本なのでちょっとおすすめしにくいですが。。。ではでは。

https://www.amazon.co.jp/%E5%85%83AC%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%B0%82%E9%96%80%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%81%AE%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E6%9C%80%E5%85%88%E7%AB%AF%E7%90%86%E8%AB%96-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%AA/dp/4905349303